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2010-08-27

エピソード「先輩、一緒にゲームしましょう」

七咲逢(23)、妊娠7ヶ月を過ぎた頃のエピソード。
季節は春。例年になく暖かい1日だった。
僕、七咲しゅう(24)はこの日も朝から仕事だった。
競泳の選手である妻、逢は妊娠が発覚してからも……
軽く、筋力を維持するための筋力トレーニングを行っていたが……
妊娠5ヶ月を過ぎた頃……ついにドクターストップがかかり……
筋力トレーニングすら行えなくなった。
そこから本格的に産休が始まった。
だから、僕がその分頑張って働くしかない!!
僕が外で、産休の逢の分まで頑張って汗水垂らして働き……
逢は四六時中、家で安静にしている。
そんな毎日を送っていたある日のことだった。


七咲家
しゅう「ただいま」
逢「お帰りなさい。今日は早かったですね」
しゅう「うん。逢がお腹空かせてるといけないから、早めに切り上げて来た」
逢「そうですか……」
しゅう「あ、そうだ。お昼の肉野菜炒め……どうだった?」
しゅう「ちょっといつもとは違う隠し味を使ってみたんだけど」
逢「あ……道理で。いつもより美味しかったです」
しゅう「ならよかった」
逢「いつも、ありがとうございます」
逢「私のためにお昼ごはんまで作り置きしてくださって」
しゅう「ん?いいんだよ。あれは僕のお弁当でもあるんだから」
しゅう「逢こそ、毎日僕のために3食作ってくれてたじゃないか」
しゅう「逢に出来て僕に出来ないことなんてないんだから」
逢「先輩……」
しゅう「さあさあ、僕もお腹減った。早く作ろうか」
逢「……今日は肉じゃがですか?」
しゅう「当たり!買い物袋の中身を見ただけで当てるなんて……」
逢「いえ、別に普通ですよ。それに、私だてに主婦やってませんから……」
しゅう「それもそっか」



しゅう「いただきます」
逢「いただきます」
しゅう「……」
逢「……」
しゅう「うん、おいしい……」
逢「ええ……先輩にしては上出来ですね」
しゅう「うう……何だ、その褒め方。素直に喜べない」
逢「いえ、喜んでいいですよ。本当に……上出来なので」
逢「味が染みてなくてあまり美味しくなかった最初の頃に比べ……」
逢「今ではちゃんと味の染みたおいしい肉じゃがを作れるようになったので……」
逢「本当に、先輩は成長しました」
しゅう「う……そう言われると……今度は照れるな」
逢「クスッ」
しゅう(確かに料理の腕は半年前よりも格段に上がった気がする!)
しゅう(でも、それを逢に言われると……何だかすごく照れるんだよな)
逢「はぁ……おいしい」
しゅう(逢、あんなに喜んでいる……頑張ってよかった)
逢「ん?どうしたんですか?私の顔をジロジロと……」
しゅう「あ、いや、別に。何でもない……」
逢「……?」
しゅう「あ、それよりも!」
逢「はい」
しゅう「僕が仕事に行ってる間、具合悪くならなかった?」
逢「いえ、平気でした」
しゅう「そっか。ならいいんだ」
逢「ただ……」
しゅう「ただ?」
逢「暇です」
しゅう「暇?」
逢「何もすることなくて、すごく暇でした」
しゅう「はぁ……んで?」
逢「んで?って何ですか?」
しゅう「いや、他には?って意味だけど」
逢「それだけです」
しゅう「……ふーん」
逢「何ですか、その薄いリアクションは?」
しゅう「え?だって暇って言われても……なぁ?」
逢「……」
しゅう「仕方ないよ」
しゅう「僕は日曜以外は仕事だから、一緒に家にいられるのは平日の夜か日曜だけ」
しゅう「それに逢はそんな身体じゃ出歩けないし。僕が一緒でもね」
しゅう「となると、平日は逢一人でしかもこの家の中で暇潰しするしかないね」
逢「……」
しゅう「逢?どうした?」
逢「……本当に……暇なんです……」
逢「今までずっと忙しかった私にとってはあり得ないほど暇なんです……」
逢「だから困っているんです」
しゅう「そ、そうだったな……ごめん。僕が悪かった」
逢「別に先輩が謝らなくても……」
しゅう「いや、配慮が足りなかったんだ」
しゅう「よく考えてみれば逢の言う通りだよ」
しゅう「子供の頃からずっと家事に勉強に部活に弟の世話に……って何かと忙しくて……」
しゅう「結婚してからも家事に仕事に僕の世話に……って何かと忙しかった逢……」
しゅう「今、やっとそれらから初めて解放された」
しゅう「今まで味わったことのないすごく暇な時間……」
しゅう「だから何したらいいか分からないっていうのも無理はない」
逢「はい……」
しゅう「そうだな……こういう時って……本当に何したらいいんだろう?」
逢「……」
しゅう(考えるんだ……逢のために全力で!!)
逢「じゃあ、逆に聞きます」
しゅう「うん」
逢「先輩は今まで暇な時って何してたんですか?」
しゅう「え?そ、そうだな……」
しゅう(対外、お宝本の山を読んで暇潰ししてたけど……そんな事、口が裂けても言えない)
しゅう(えっと、他には……あ、そうだ!!)
しゅう「ゲーム!」
逢「ゲーム?」
しゅう「うん、今流行っているRPGがあるんだ」
逢「RPG?何ですか、それ?」
しゅう「やりながら説明するか。ちょっと待ってて」
逢「はい」

しゅう「これ!正月に実家に帰った時に、久々にやりたくなって持って来たんだ」
しゅう「きっと逢もハマると思う」
逢「はぁ……」
僕はゲームを始める準備をした。
しゅう「まず、この電源を押して始める」
逢「あ、画面にゲームのタイトルが!」
しゅう「オープニングは飛ばすね」
しゅう「主人公の性別と名前は……そうだな」
『女 アイ』
しゅう「これでいい?」
逢「はい。それで?」
しゅう「まずは女勇者のアイが誕生した」
しゅう「RPGって言うのはRole Playing Gameの略……」
しゅう「登場人物それぞれに役割があるんだ」
しゅう「アイには女勇者としてこの世界を平和にする役割がある」
逢「な、何だか……すごい役割ですね」
しゅう「まあ、これが現実ならね。所詮ゲームだからそれほどでもないよ」
逢「なるほど。確かに」
しゅう「まず最初にすることは隣町に行けって」
逢「行ってみてください」
しゅう「了解」

逢「あ、町から出たらこんな風になってるんですね」
しゅう「うん。町の外をフィールドって言って、ここにはモンスターも登場する」
逢「あ、そういえば思い出しました」
逢「前にも郁夫がこんな感じのゲームをやっていた覚えがあります」
逢「私は横から見ていただけですが」
しゅう「なら話は早い。ほら、早速モンスターとの戦闘だ」
しゅう「やってみる?」
逢「はい」
僕は逢にコントローラーを渡す。
逢「えっと、確か……ここを選んで……こうですね」
しゅう「そうそう。すごいな。郁夫のを見ただけでやり方を覚えるなんて」
逢「いえ、それほどでも」


それから約2時間ほど逢と一緒にゲームをプレーした。
逢「……面白いですね!意外とハマりますね」
しゅう「だろ?僕なんか1日5時間くらいやってたよ」
逢「そんなに?」
しゅう「だって、やり始めたら止まらないし」
逢「そうですね……その気持ち、分かります」
しゅう「でも、今日はここまでだ。あまり無理はしちゃいけない」
しゅう「僕はまた明日も仕事だし、逢も身体を休めないといけないしな」
逢「ええ。名残り惜しいけど、我慢します。また明日やります」
しゅう「じゃ、おやすみ。ちゅっ」
僕は逢におやすみのキスをした。
逢「クスッ。おやすみなさい」

それからというもの……
逢は一人で家にいても退屈しなくなった。
僕が持って来たゲームを毎日堪能しているようだ。
仕事から帰った僕を出迎える逢の表情も日に日に明るくなっていった。
夕飯の会話もゲームの話で盛り上がることが多くなった。
どうやら大成功だったようだ。ゲームってすごいんだなぁ。

しゅう「もしかして今日はいよいよ?」
逢「はい、ラストダンジョンです」
しゅう「そっか。じゃあ、一緒にやるか」
逢「ええ。なかなか攻略出来なくて苦戦しました」
しゅう「まあね」
しゅう「あのダンジョン、僕でも攻略に1日かかったしなぁ……無理もない!」
しゅう「でも、今なら1時間なくても攻略出来るよ」
逢「本当ですか?それは心強いです」
しゅう「まあ、それだけやり込んだってことだよ」
逢「じゃあ、早速お願いします」
しゅう「うん。任せろ!」

逢「あ……これが?」
しゅう「どうやらラスボスのようだね」
逢「見るからに強そうですが……勝てますか?」
しゅう「えっと……うん!レベルは大丈夫。勝てる」
しゅう「今から僕が言うように動かしてみて!」
逢「はい!」
しゅう「ここは……攻撃!」
逢「はい!」
しゅう「ここは……回復かな」
逢「いえ、攻撃だと思います」
しゅう「え?だって体力が……」
逢「回復なら……間に合いますよ……ほら!」
しゅう「あ……本当だ。相手は攻撃して来ない」
逢「ふふっ!私だってやれば出来ますよ」
逢「先輩に出来て私に出来ないことなんてありませんので」
しゅう「そ、そうだな……」
逢「おそらくこの一撃で……」
しゅう「うわ……ラスボスを倒した……当時の僕よりも早く!」
逢「ふふふっ。どうですか?私の腕前は」
しゅう「恐れ入りました!まさかこの短時間でここまでいけるとは……」
逢「そんなに驚くことでもないですよ?」
逢「何となく相手の行動パターンが読めたので、倒しやすかったです」
しゅう「すごいなぁ。逢って実は天才なんじゃないの?」
しゅう「つい最近ゲームを始めて……最初はRPGって何?とか言ってた人が……」
しゅう「どんどんコツを掴んで、しまいにはいとも簡単にラスボスを撃破した……」
逢「でも、ダンジョンは私一人では攻略出来ませんでした」
逢「先輩がそばにいて助けてくださったからです」
しゅう「うん。まあ、ダンジョンは助けたけどさ……」
しゅう「ラスボスはほとんど逢の自力で倒したようなもんだ」
しゅう「逢は最初ラスボスを見て、『見るからに強そう』とか言ってたのにな」
逢「実を言うと……それも先輩がそばにいてくださったからですよ」
しゅう「えっ?」
逢「安心出来ました。ちょっとくらい無理する勇気も湧きました」
しゅう「どういうこと?」
逢「さっき、私は相手の行動パターンが読めたと言いましたが……」
逢「実はあれ、かなり適当でした」
しゅう「うん……」
逢「体力が残り少なくて本当は回復すべきだったのに攻撃を仕掛けたのも……」
逢「ちょっとくらい無理しても平気だと思ったからです」
逢「私は一人じゃない。先輩がそばにいる。だから安心出来たんです」
しゅう「逢……そっか。安心出来たならよかった」
しゅう(逢は僕がそばにいれば安心して何でも出来るんだな)
しゅう(どんなに辛いことだって一緒に乗り越えていける)
しゅう(まあ、僕らは夫婦だから、当然のことかもしれないけどね……)
しゅう(でも……だとしたら……あれだって同じ事が言えるんじゃ……)
しゅう「なぁ、逢」
逢「はい。何ですか?」
僕は逢の両手を自分の両手で包み込むようにして持った。
逢「え……?先輩?」
しゅう「約束する!どんな時でも必ず逢のそばにいるって!」
しゅう「そう、例えば……出産とか」
しゅう「今7ヶ月だからたぶんもうじきだと思う」
しゅう「これからが逢にとって一番辛い時期になると思う!」
しゅう「そんな時は遠慮せずに僕を頼ってほしい!!」
しゅう「僕は今みたいに必ず逢のそばにいて、逢をサポートするから!!」
しゅう「僕も逢と痛みを分け合って、逢だけが辛い思いをする事がないようにする!!」
逢「しゅう……さん……」
しゅう「まあ、逢はこの通り天才だし、所詮僕なんか皮の盾くらいにしかならないと思うけど」
逢「いいえ、そんなことないです!先輩は鉄の盾です!」
しゅう「そ、そっかな?」
逢「ええ。心強い味方です!」
しゅう「ありがと……あ……」
逢「ん……」
逢が僕の唇にキスをしてきた。
しゅう(逢……好きだ。必ず守ってみせるからな)
しゅう「んん……」
逢「んん……」
しゅう「はぁ……」
逢「クスッ。これからも、頼りにしてますからね、あ・な・た♪」
しゅう「あ……うん!任せろ!」

こうして、僕はどんな時も逢と共に闘うことを誓った。このゲームのようにね!
ただゲームを一緒にクリアしただけなのに、何故かこんな甘い展開に発展した。
まあ、仕方ないか。だって、僕と逢だもんな。



七咲アフターストーリー
エピソード「先輩、一緒にゲームしましょう」
END

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