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2010-08-11

エピローグ特別編「先輩、私最高に嬉しいです!! 中編:前夜に……」

7月の始め
七咲家

しゅう「はい、お待たせ。今日はチャーハン作ったよ」
逢「おいしそうですね!」
しゅう「当たり前だろ?だって、僕が作ったんだから!」
逢「じゃあ、そういうことにしておきます」
しゅう「うう……相変わらず、ひどい」
逢「そんな顔しないでください。いただきます」
しゅう「いただきます」
逢「……あ、確かにおいしいです」
しゅう「だろ?この前作った野菜炒めをちょっと使ってみたんだ」
逢「あ、道理で最近食べたことのあるような味だと思いました」
しゅう「もう料理の研究を始めてから半年経つんだな」
しゅう「まさか本当にここまで続けられるとは思わなかった」
しゅう「掃除や洗濯だってそうだ」
しゅう「あんなに適当だった頃の自分が嘘みたいだ」
逢「ええ。確かに先輩はこの半年でずいぶん成長しました」
逢「当時は私が何度間違いを指摘したことか……」
しゅう「ははは……」
逢「ふふっ」
しゅう「あ、そうだ!塚原先輩の仲人の件、どうする?」
しゅう「僕は……逢との結婚の時にお世話になったし……引き受けてもいいと思うんだけど」
逢「ええ。私も同感です」
しゅう「そっか。よかった」
逢「ただ……」
しゅう「どうした?何か問題でも?」
逢「先輩はスピーチとか苦手ですよね?」
逢「人前に立つと緊張して喋れなくなるタイプですね」
しゅう「そ、そんなことない!バッチリ決めてやるさ!」
逢「どうでしょうかね?」
しゅう「何?僕のこと疑ってるの?」
逢「疑うも何も事実ですから!」
逢「ベストカップルコンテストの時にステージの上で……」
逢「緊張して喋れなくなったのはどこのどなたですか?」
しゅう「うう……あ、あれは……相手がいけないんだよ!!」
逢「相手って……えっ?私ですか?」
しゅう「他に誰がいる?」
逢「あー!!私のせいにするんですか!?」
逢「ねえ?聞いた?お父さんひどいよ!」
逢「自分の失敗をお母さんのせいにするんだって!!」
しゅう「誰に話してんの?」
逢「この子ですー」
逢はお腹を摩る。
しゅう「ああ……そっか」
しゅう「いや、だからあれは……」
逢「あれは?」
しゅう「あ、逢の衣装がいけないんだよ……」
逢「はい?」
しゅう「あ、あんな胸の見えそうなセクシーな衣装に惑わされたんだ……」
逢「……変態」
しゅう「いや、事実なんだから!」
逢「あ、ついに変態って認めるんですね?」
しゅう「いや、そっちじゃない!!断じて!!」
しゅう「僕が事実だって言ったのは衣装の方で……」
逢「お父さん変態だから気を付けるんだよ?」
しゅう「おい、ちょっと待て!子供に何を吹き込む気だ!?」
逢「だから……事実ですよ」
しゅう「それ事実じゃなくて誤解ですから!!」
逢「正直、どっちでもいいです……クスッ」
しゅう(よくない……)
しゅう「だけど……不思議だよな」
逢「いえ、不思議じゃないですよ。先輩が変態だってことは出逢った時から……」
しゅう「ちょっと待て!もうその話題は終わり!!」
しゅう「僕が言いたいのは……塚原先輩のことなんだ」
逢「塚原先輩……ですか?」
しゅう「うん。塚原先輩が結婚するっていうのが何だか意外な感じがするんだよ」
しゅう「あの森島先輩ですらまだ彼氏がいないというのに」
逢「先輩、それは塚原先輩に失礼じゃ……」
しゅう「分かってるよ。だけど、意外なんだよな」
しゅう「一体塚原先輩に何があったの?何か聞いてる?」
逢「いえ、別に」
実は第25話「先輩、私を思い出してください」で逢はすでに事情を知っている。
だが、しゅうにはずっと内緒にしていた。
塚原先輩の恋愛事情は塚原先輩と逢だけの秘密となっている。
しゅう「そっか。何があったんだろうねぇ。すごく気になる!」
逢「一つだけ言える事は……」
しゅう「ん?」
逢「『Need Not To Know』……ですよ、先輩」
しゅう「えっ?それ警察の隠語。どうして知ってるの?」
逢「ふふっ。どうしてでしょうね」
逢「とにかく、世の中には知る必要のないことはたくさんあります」
逢「それを無理に探ろうとするのは良くないですよ」
逢「人様の恋愛事情に首を突っ込んじゃいけない時だってあるんです」
しゅう「うん。確かに逢の言う通りだ」
逢「それに私、そういうの昔から興味ありませんので」
しゅう「ああ、前言ってたなぁ。思い出した」
しゅう「んじゃ、承諾ってことで返事出すか!」
逢「はい」
しゅう「スピーチは僕にお任せを!絶対バッチリ決めてやるから!!」
逢「あまり期待できませんが、期待してます」
しゅう(もう二度とお前には惑わされないぞ、逢!!)
しゅう(惑わされないためには……慣れればいいわけで……)
しゅう(つまりだ、回を重ねればいいということで……)
逢「先輩?さっきから何ジロジロ私を見てるんですか?」
逢「それに、何だか目付きが嫌らしいです!」
逢「やっぱり変態ですね……」
しゅう「いや、だから、僕は変態じゃないと何度も……」
逢「もういい加減認めたら……うっ」
しゅう「もういい加減信じてよー……逢?」
逢「ううっ……先輩が……変な話……するから……はぁはぁ」
しゅう「いや、それ僕のせいか??」
しゅう「って違うよ!!そうじゃなくって!!」
しゅう「来たのか!?ついに来たのか!?」
逢「あう……そ……そ……う……はぁはぁはぁ……」
しゅう「待ってて!今救急車呼ぶから!」
逢「お……お願い……し……ま……」
逢はお腹を押さえたまま倒れる。
しゅう「よし、すぐ来るって!!だから、それまで頑張れ!!」
しゅう「僕がそばにいるから!!ずっと、見守っているから!!」
逢「はい……そばに……いて……ください……」
しゅう「喋るな!!喋らなくていいから!!」
しゅう「そのまま横になってじっとしてるんだ!!」
しゅう(いけない!僕が慌ててどうする!?)
しゅう(ここは逢の夫として一番落ち着いて対応すべきだろ?)
しゅう(逢を不安にさせちゃいけないんだ!!)
しゅう(冷静に……冷静に……)
逢「あ……あなた……」
しゅう「はい?何でしょう?」
逢「服……脱がせて……暑い……から」
しゅう「分かりました……って!えええええええええええっ」
しゅう「馬鹿!こんな時に何言い出すんだ??」
しゅう「人がせっかく落ち着こうとしてたのに!!」
逢「ごめん……なさい」
しゅう「いや、謝らなくていいから!てか喋るなって!」
しゅう「余計暑くなるだろ?」
逢「はい……」
しゅう(もう!どこまで僕を惑わせば気が済むんだよ?)
しゅう(こりゃ慣れるのも大変そうだな)

そんなこんなで約5分くらいで救急車が到着。
僕は逢と一緒に病院へ向かった。


逢の病室
しゅう「結局まだだったか……」
逢「すみません」
しゅう「いやいや、仕方ないって!」
しゅう「でも、明日の午後までには生まれるみたいだな」
しゅう「楽しみだよ」
逢「はい、私もです」
しゅう「それにしても……ここ広いなぁ」
しゅう「他の入院患者もいないみたいだし、貸し切り状態だな」
逢「クスッ。いつかこんな広い部屋で寝てみたいですね」
しゅう「そう?寂しいと思うよ」
逢「いえ。寝るのは私一人じゃありません」
逢「私の右隣に先輩、左隣にこの子で」
しゅう「え?普通真ん中に子供じゃないの?」
逢「真ん中なんて……危ないです」
しゅう「何が?」
逢「いつ先輩に襲われるか分かりませんので」
逢「私が犠牲になって子供たちを守ります!」
しゅう「おいおい……僕絶対そんなことしないからな!!」
逢「それはどうでしょう……」
しゅう「それに、今……子供『たち』って言った?」
逢「はい。言いました。だって……この子だけとは限らないので」
しゅう「そっか……そうだよな」
逢「それより先輩……そろそろ9時です」
しゅう「ああ、消灯時間か」
逢「先輩は明日もお仕事なので、帰られた方が……」
しゅう「休む!」
逢「えっ?」
しゅう「仕事と逢……どっちが大事だよ?」
しゅう「しかも待望の子供が生まれるって時に……」
しゅう「そばにいて見守ってやらない薄情な夫がどこにいるよ?」
逢「先輩……」
しゅう「本当は……僕に……そばにいてほしいんだろ?」
しゅう「そのくらい……分かるさ。何年逢と一緒にいると思ってる?」
逢「……」
しゅう「逢の高校2年のインターハイの時だってそうだった」
しゅう「本当は僕にそばにいてほしかったのに……」
しゅう「そばで応援してほしかったのに……」
しゅう「結局素直になれなくて、本心が言えず、変に強がって……」
しゅう「僕の受験勉強のためだとか言ってわざと僕を遠ざけようとした」
しゅう「だから案の定本番で緊張しまくって……」
しゅう「危うく実力が出し切れずに終わるところだったじゃないか!」
逢「……」
しゅう「あの時、僕が逢の言い付けを無視して応援しに行ったから……」
しゅう「逢は安心して、緊張が自信に変わり……」
しゅう「まるでさっきまでとは別人のように、ぶっちぎって優勝した」
しゅう(そう……あの時、梅原が僕の背中を押してくれなかったら……)
しゅう(今頃、こうはなってなかったと思う)
しゅう(運命って……実に不思議だよ)
しゅう「もう……そういうの、辞めにしないか?」
しゅう「もっと……素直になろうよ。お互いに」
逢「……」
しゅう「素直になれとは言わない。それが無理な時だってあるからさ」
しゅう「でも、素直になってほしいとは思う」
しゅう「その……何て言うかなぁ……そう、義務と権利?」
しゅう「素直になる義務なんてない」
しゅう「でも、素直になる権利なら誰にだってある!」
しゅう「僕の前で……もっと……素直になってくれてもいいんだよ?」
しゅう「迷惑だなんてこれっぽっちも思わない」
しゅう「だって僕は……逢のことが大好きだから!!」
しゅう「もっともっと……僕を頼ってほしい」
しゅう「何でも頼みを聞いてあげるから!な?」
逢「ぐすっ、ぐすっ」
しゅう「……」
逢「先輩……ごめんなさい」
しゅう「うん」
逢「私、本当は明日の出産が終わるまでずっと……」
逢「先輩にそばにいてほしいと思っていました」
しゅう「うん」
逢「やっぱり……不安……なんです」
逢「このまま一人、他に誰もいない真っ暗な病室に取り残されて……」
逢「一人で不安な夜を過ごすなんて……私には出来ません!!」
逢「もし、他の誰かが周りにいたとしても、見ず知らずの人じゃ駄目なんです!!」
逢「一番身近にいて、私の事を他の誰よりも大切に思ってくれている人……」
逢「その人がいてくれれば、私は安心して眠りに就くことが出来ます」
逢「私は……先輩がそばにいてくれれば、どんな怖いことだって乗り越えられます!」
逢「先輩がそばにいてくれるだけで……それが自信に繋がります」
しゅう「逢……」
フッ。
ちょうどいいタイミングで電気が消えた……。
僕と逢しかいない真っ暗な病室……
これはもう……いくしかないよな?
逢「先輩……いえ、あなた……」
しゅう「何だい?逢」
逢「……お願いしても……いいですか?」
しゅう「ふっ、お安い御用だよ」
僕は靴を脱ぎ、逢のベッドへ上がる。
逢は重い身体を持ち上げてベッドの左端に移動する。
空いたスペースに僕は添い寝する。
逢「じゃあ……私から」
しゅう「うん。おいで」
逢「はい!んん……」
しゅう「んん……」
逢が僕の唇にキスをした。
逢「んん……」
しゅう「んん……」
最初は軽く当てるだけだったが、次第に強くなっていく。
と同時に逢は僕の背中に両腕を回し……
僕の後頭部を両手で軽く押さえた。
逢「んんん……」
しゅう「んんん……?」
しゅう(気のせいか?だんだん距離が近付いてる気がするぞ?)
それもそのはず!
逢は両手で僕の後頭部を押して……
僕の顔をぐいぐい近付けようとしている。
まるで絶対に離さない!って固く決心しているかのように。
手だけではなく、両脚も僕の両脚に絡めてきた。
逢「んんん……」
しゅう「んんん……」
しゅう(逢……そこまで不安だったのか!)
しゅう(もし、僕が帰るって言ってたらどうなってたんだろ?)
しゅう(想像しただけでも怖い!!)
しゅう(きっとボロボロになった逢を見て、僕もボロボロになるんだろうな)
しゅう(僕に一緒に残るって言ってもらえてすごく安心したんだな)
逢「はぁはぁはぁ……」
しゅう「はぁはぁはぁ……」
逢「クスッ。息苦しいですね」
しゅう「まったく、世話が焼けるよ……」
逢「ごめんなさい。でも、嬉しいです」
しゅう「うん。僕もだ」
逢「ここ病院なのに、私たちは一体何してるんでしょうね?」
しゅう「そうだな。よくよく考えてみるとすごく不思議な光景だ」
しゅう「病院でこんなにイチャついてるのって……」
しゅう「世界中のどの病院を捜しても……」
しゅう「きっと僕らしかいないんだろうな」
逢「そうですね……クスッ」
僕はこの笑顔を守れたことを誇りに思う。
だから!今度は僕の番だ!!
逢はさっき思いの強さを僕に見せつけてくれた!身体で味わわせてくれた!
僕も負けてはいられない!!逢が大好きだって事……見せつけてやるんだ!!
言っておくが、僕は容赦なんて言葉は知らない!!
思いっきりいくから、覚悟するんだ、逢!!
しゅう「さあ、そんなこと気にしなくていいから……今度は僕からいくよ!」
逢「はい。どうぞ」
しゅう「んんん……」
逢「んんん……?」
ほら見ろ!逢はびっくりしている……。
僕は本当に思いっきりいった!!
僕の後頭部を押さえつける逢の力なんかに負けてたまるか!!
僕の思いの強さはその程度じゃないんだよ、逢。

逢と出逢ってから今まで……約8年間。
嬉しいことも悲しいことも一緒に乗り越えて来た。
思えば……この8年間、逢には本当に色々お世話になった。
勉強が出来なくてヘコんでいた僕に、一緒に勉強をしようって言ってくれたり……
勉強の息抜きにデートに行こうって言ってくれたり……
僕が風邪引いて熱を出した時に一生懸命看病してくれたり……
美也と仲直りさせてくれたり……
朝が弱い僕にモーニングコールしてくれたり……
僕が山からの転落事故で記憶喪失になった時、諦めずに一生懸命僕のために頑張ってくれた。
本当に……何から何まで迷惑かけっぱなしだった。
でも、逢はそれを嫌とは言わず、当然のことのようにやってくれた。
本当に……この8年間、逢には大いに感謝してるんだ。
自分の心の中に仕舞いきれず、今にも溢れんばかりの、その思いの強さを……今逢にぶつけたい!!

しゅう(逢、好きだ!!大好きだ!!)
しゅう「んんん……」
逢「んんん……」
僕は舌を出し、逢の口に入れる。
しゅう「んんん……あん……」
逢「んんん……あ……ん……」
しゅう「あん……ちゅっちゅ……ちゅっちゅ……」
逢「あん……ん……んん……」
しゅう「あん……ちゅっちゅ……ちゅっちゅ……?」
逢「あん……ん……んん……ふふっ」
しゅう(逢……?そっか。僕に負けたくないんだな?)
逢はこのままでは僕に勝てないと見て、手を平手から拳に変え……
さらには手首まで使って、力強く僕を引きつけようとする。
僕も負けまい!と思ったが……さすがに強くいき過ぎて息が続かなくなっていた。
一方、逢は余裕な表情を見せる。
負けたよ……仕方ないけど、僕の負けだよ。
しばらく泳いでないとはいえ、毎日筋力トレーニングを欠かしていない逢に……
肺活量で勝てるはずがない!!
現役の水泳部を甘く見ていた僕の完敗だ。
しゅう「はぁはぁはぁはぁ……」
逢「はぁはぁ」
しゅう「ふぅ……」
逢「え?もう終わりですか?案外だらしないですね」
しゅう「ほっとけ……現役の水泳部に勝負を挑んだ僕が馬鹿でした……」
逢「ある意味無謀な挑戦でしたね」
しゅう「……」
逢「でも、そういうところが私は好きです」
しゅう「……」
逢「ほら、元気出してください」
しゅう「僕にそんな元気はありません。誰かさんとは違って……」
逢「え?」
しゅう「全力でいき過ぎてバテました……」
逢「あ……冗談……ですよね?いつもの」
しゅう「……」
逢「え?まさか本当に?」
しゅう「逢に素直になってもいいって言ったんだ。だから僕だって素直になってもいいだろ?」
逢「あ……はい。すみません」
しゅう「ふふふ……というのは嘘だ!くらえ!!」
逢「え?ええっ?」
しゅう「あん……ちゅっちゅ……ちゅっちゅ」
逢「あ……ん……ん……」
僕は再度舌を出して逢の口に入れた。
と同時に、左肘で身体を支えながら、逢のパジャマのボタンを右手で外した。
家を出る時、焦っていてパジャマを持って来るのを忘れたんだ。
だから今逢が着てるのは入院患者用の簡易パジャマだ。
麻痺がある患者さんでも更衣がしやすいように、ボタンが外しやすい作りになっている。
おかげで脱がしやすくて助かったよ……
て!これじゃまるで変態じゃないか!!僕は変態じゃないのに。
しゅう「あん……」
逢「あん……」
ボタンを外し終わった右手を逢の上半身の二つの膨らみの上にわざと乗せた。
しゅう「あん……」
逢「あん……んん??」
ほーら、早速びっくりしている!!
しゅう「あん……ちゅっちゅ……ちゅっちゅ」
逢「あん……んん!!……んん!!」
だーめ!絶対に離さないからな!
いくら肺活量がすごいとはいえ、こんなことされたらさすがの逢だって息が続かなくなるはずだ!!
僕から逃げようと懸命にもがいているが、そうはさせない。
僕も男だ!負けたまま引き下がれるか!
じたばたしている逢の両脚を自分の両脚で全力で押さえ、逢の口をキスで全力で塞ぐ。
逢に両手で背中を叩かれている気がするが、力が入ってないため、痛くはない。
よって、僕は完全に逢を支配したのだ!!
そしてまた息が続かなくなったから、観念して離してやる。
しゅう「はぁ……やったね!今度こそ僕の勝ちだ!」
逢「変態!」
しゅう「うんうん、負け惜しみならいくらでも聞くから。話してみ」
逢「この変態!」
ドガッ!
逢は頭を上げて枕を右手で掴み、枕で僕を叩いた。
しゅう「痛い!話していいとは言ったけど、叩いていいなんて言ってないぞ」
逢「変態!変態!変態!」
ドガッ!ドガッ!ドガッ!
しゅう「ひいい……辞めて下さい、痛いです」
逢「さっきのは勝ったうちには入りません!反則負けです!」
逢「今はこの程度ですが、ここがもしプールだったら……」
しゅう「沈めるのだけはどうかご勘弁を!!僕を沈めるんじゃなくて、どうかそのお怒りをお鎮め下さい!」
逢「あ……今のちょっと上手いかも……」
しゅう「でしょ?さすが僕!」
逢「う、上手いこと言っても駄目です!許しませんから!」
ドガッ!
しゅう「そんなぁ!ただ、ねぇねにあやかりたかっただけなのに……ひどい」
逢「美也ちゃんになっても駄目です!あ、そっか。後で美也ちゃんに報告してあげればいいんだ!」
しゅう「ちょ……待て!それはまずいって!!」
しゅう(ここで美也を出してしまった僕の自業自得だ……)
逢「何がまずいんですか?美也ちゃん、きっと喜びますよ」
しゅう「うう……美也に言い付けられるくらいなら……いっそここで殺してくれた方が……」
逢「分かりました。それでいいんですね?」
しゅう「え?あ……はい」
しゅう(仕方ない、ここは言う通りにしよう。自分で自分の首を絞めた僕が悪いんだ)
逢「じゃあ……えっと、これをこうして……」
しゅう「ん?何やってるの?」
逢は僕に脱がされたパジャマの上着を僕の頭に掛ける。
逢「よし、準備完了。後は……こう引っ張って……えいっ!」
しゅう「うわ!引き寄せられる!て、お、おい!それはまずいんじゃ……うわあああ」
逢はパジャマの上着の両端を引っ張って、大胆にも僕の顔を上半身の二つの膨らみの上に押し付けた!!
さらにパジャマと自分の身体の間の隙間から空気が漏れないように両手で上から押さえ付けた。
逢「もうそのまま窒息して下さい!」
しゅう「んん!!んん!!」
逢「抵抗しても無駄です!先輩を完全に支配したので」
しゅう「……」
逢「少々手荒ですが、エッチな先輩にはエッチなお仕置きがお似合いかと」
しゅう(た、確かに……これはエッチだ)
しゅう(すぐ目の前には逢の胸がある……)
しゅう(それにすごく甘くていい匂いがする……)
しゅう(これが逢の匂いなのか……もっと嗅いでいたい……)
クンカクンカ
しゅう(はぁ……何とも言えない、いい匂い)
しゅう(逢の柔らかくて破壊力抜群の胸に押し付けられ……)
しゅう(おまけに甘くていい匂いがする……もう僕、とろけちゃいそうだ……)
しゅう(こんな幸せな死に方があるなら、僕は喜んで死を受け入れたい……)
しゅう(逢……僕……最高に……幸せです……享年24歳)
しゅう(せめて最期に、この胸に頬ずりしてもいいよね?)
しゅう(うん、いいだろう。どうせこのまま死ぬんだ)
しゅう(最期くらい、悔いのない人生を!!)
僕は24年の短い人生の最期に、逢の胸にすりすりした……まるで猫のように。
僕の縄張りはここにあるんだってことをしっかりと顕示した!
以上。
逢「え?ああっ。あうっ。駄目……それは駄目です!!」
逢は急いで僕を遠ざけた。くすぐったかったんだろう。
しゅう「はぁはぁ……どうして僕は生きてるんだ……悔しい」
しゅう「逢の意地悪!あのまま死なせてくれれば幸せだったのに」
逢「そ、そんなの……駄目に決まってます!」
しゅう「どうしてさ?」
逢「最初から……そんなつもりありませんでした」
逢「先輩がいなくなったら……私は……」
しゅう「あ……ごめん。僕が悪かった」
逢「え?」
しゅう「死にたいだなんて……冗談にも……程があるよな」
僕は逢のパジャマの上着を取って……
通路で軽くホコリを払って逢に渡す。
しゅう「ほら。着ろよ。そのままじゃ風邪引くよ」
逢「はい」
しゅう「勝手に脱がせた僕が……何言ってるんだろうね?」
逢「いえ、ありがとうございます」
逢はパジャマの上着を着直す。
僕は枕を足元にどけ、ベッドに付いてるリモコンを操作して……
ベッドの頭部を60度くらい挙上して、逢の右隣に座り直した。
二人して一つのベッドに隣同士、背もたれに寄りかかって……
腰まで掛け布団を掛けて座る。
(イメージ図)
しゅう「はぁ……僕たち、病院で何やってんだろ?無駄に熱くなった」
逢「あんなに騒いだのに夜勤の看護師さんに見つからないのが不思議です」
しゅう「確かに。言われてみれば。みんな、寝てるとか?」
逢「かもしれませんね」
しゅう「……」
逢「……」
しゅう「ねえ、逢」
逢「はい、何ですか?」
しゅう「一つ聞いていい?」
逢「はい、どうぞ」
しゅう「不安じゃ……ない?」
逢「何がです?」
しゅう「だって、僕たち、明日から父親と母親になるんだよ?」
しゅう「助産師さんに生まれた子を手渡されて……」
しゅう「『あなたのお子さんですよ。今日からあなたはお母さんです……』」
しゅう「そう言われて、『はい、そうですね』」
しゅう「……って、胸を張って言える自信ある?」
逢「あ……」
しゅう「僕は正直……怖くて仕方がない」
しゅう「本当に僕なんかが父親で良かったのかと何度も思うんだ」
しゅう「僕……このまま父親になってもいいのかな?」
逢「……」
しゅう「……」
逢「よかったです」
しゅう「え?」
逢「あなたも……同じ気持ちだったんですね。私だけかと思い、不安でした」
しゅう「やっぱりか」
逢「ええ。当然です。むしろ最初から自信満々な人の方が珍しいです」
しゅう「うん」
逢「実は数日前のお昼にお母さんから電話が来たんです」
しゅう「えっ!?そうだったのか……」
逢「はい。予定日が近かったので、私のことを心配して電話をくれたんです」
逢「『身体の具合はどう?』とか『しゅう君はどうしてる?』とか……」
逢「『何か悩みや不安はない?』とか……」
しゅう「……」
逢「その時に今の疑問をぶつけてみました」
しゅう「ああ……自分が親になる資格があるかってことか」
逢「はい」
逢「そしたらお母さん……私と同じことを思ってたみたいです」
逢「私が生まれる数日前、お母さんも同じ疑問を持って悩み苦しんでいたそうなんです」
逢「しかも私たちよりも家庭の状況はひどかった……」
逢「私たちはちゃんと二人とも定職に就いて給料も安定してるから……」
逢「私の両親みたいに貧乏じゃないですよね?」
しゅう「うん。それは自信ある」
しゅう「あの話を聞いたから、僕は何としても頑張ろうって思ったんだ」
しゅう「一緒にいてくれる逢に辛い思いをさせないためにね」
逢「ええ。本当なら私は生まれていませんでした……」
逢「お母さんは生まれて来る子供に苦労をさせたくない……」
逢「子供に苦労させるなんて母親のすることじゃない……」
逢「私は母親になる資格なんてない……そう思っていたそうです」
逢「だから、一時は私を産むのを諦めようとしてしまった……」
しゅう「可哀相だな……お母さんも逢も……」
逢「だけど、輝日東の人たちがそうはさせなかった……」
しゅう「うん。みんなで七咲家を救うために努力してくれたんだったな?」
逢「はい。そのおかげで私は今こうして生きて……」
逢「しゅうさんの子供を身籠ることが出来たんです」
しゅう「逢……生まれて来てくれて、本当にありがとう」
しゅう「逢のご両親や輝日東の人たちにも感謝しなきゃな」
逢「しゅうさん……」
しゅう「つまり、誰にだって資格があるってことか」
しゅう「家が金持ちでも貧乏でも生まれて来る子の親になる資格は誰にだってあるんだ」
しゅう「色々と不安なことはある……あって当然なんだ、人間なんだから!」
しゅう「でも、だからと言って諦めちゃいけないんだ!!」
しゅう「周りを見渡せば、助けてくれる人は山ほどいる……」
しゅう「七咲家を助けた輝日東の人たちのように……頼れる仲間はいくらだっている!」
しゅう「それを教えてくれたんだろ?お母さんが」
逢「はい!」
しゅう「仲間……か。そうだな……僕たちの仲間といえば……」
しゅう「身内なら僕と逢のそれぞれの両親、美也に郁夫……かな?」
逢「郁夫……ですか?ふふっ、どうでしょうね?」
しゅう「おいおい……自分の弟に向かって、それはないだろ?」
逢「あ……そうでした」
しゅう「あいつは確かに人見知りで甘えん坊で一見頼りなさそうに見えるけど……」
しゅう「きっといざとなったら助けてくれるさ」
逢「正義のヒーロー、イクオマスクですか?」
しゅう「そう、それいいね!!」
逢「いいんですかね……」
しゅう「身内以外では梅原・松原・華村に……森島先輩……か」
逢「一人、大事な助っ人を忘れてますよ」
しゅう「え?誰だっけ?」
逢「あんなにお世話になっておいて忘れたんですか??」
しゅう「まさか塚原先輩……?でも、あの人は忙しいんじゃ……」
逢「塚原先輩ならこの病院で逢えますよ」
しゅう「いやいや、患者でもないのに押し掛けるのは失礼だろ」
逢「だ・か・ら!患者ならここにいます!」
逢はお腹を摩ってみせる。
しゅう「えっ?その子が?どうやって?」
逢「はぁ。相変わらず鈍い……森島先輩は一発で分かったのに……」
しゅう「何か言った?」
逢「クイズです。塚原先輩は何科の科長になったでしょう?」
しゅう「そんなの……考えるまでもない!小児科じゃないか」
しゅう「うん?小児科!?」
僕は逢のお腹を見る。
しゅう「ああああ!!そういう事か!!」
逢「声が大きいです!今夜中ですよ」
しゅう「ごめん……。逢には一本取られた……」
しゅう「そっかぁ。その発想はなかった……」
逢「ふふっ。先輩、そんな推理力でよく刑事さんになれましたね」
しゅう「ほっとけ……」
僕はそっぽを向く。何か馬鹿にされたみたいで、すごく悔しい!
逢「だーめです。ちゃんとこっち向いて下さい」
逢に強制的に顔の向きを変えられる。
しゅう「なるべくなら病院なんかのお世話にならない健康な子に育ってほしいけど……」
逢「塚原先輩のお世話になるのも悪くはないですね!」
しゅう「そうだな……いっそ、仮病使っちゃおっか!」
逢「……」
しゅう「何その冷たい目……」
逢「あの……塚原先輩はお忙しいんですよ」
逢「仮病に付き合ってる時間はないんです!」
逢「はぁ。あなたのお父さんはどうしてまともな発想が出来ないんですかね……」
逢「可哀想にね」
逢はお腹を摩りながらお腹の子に向かって話し掛ける。
しゅう「はいはい。もう僕、その子のお父さんになるの辞めます!」
しゅう「何か色々とひどいこと吹き込まれてるし……」
しゅう「僕、帰らせていただきます」
逢「駄目です!ちゃんとここにいて下さい、お・と・う・さん!」
しゅう「じゃあ、ここでヘコんでもいい?」
逢「それも駄目です」
しゅう「はぁ。キミのお母さんは厳しい人だから覚悟しときなよ」
僕も逢のお腹の子に向かって話し掛ける。
逢「誰が厳しいんですか!?これでも甘い方ですけど……」
しゅう「じゃあ、そういうことにしておきます。クスッ」
ドガッ!
逢に右肘で左脇腹を打たれる。
しゅう「いたっ!」
逢「あ、今の物真似お上手ですね……一体誰の物真似なんですか?」
逢が不敵な笑みを浮かべる。
しゅう「こわっ……すみませんでした」
逢「何で謝ってるんですか?別にそのまま続けていただいても……」
しゅう「そこは敢えて自重させていただきます」
逢「そうですか……それは残念です」
しゅう(逢の奴、まだ仕返しが足りないって顔してるぞ……)
しゅう(やはりさっきのことをまだ根に持ってるのか……)
しゅう(逢の恨みは恐ろしい……)
しゅう「あ、そうだ。喉渇いてない?」
逢「そうですね……もう3時ですか……」
逢「相当長い間話していたので、喉が渇きました」
逢「でも、こんな時間に出歩いたら……」
しゅう「そんなことだろうと思った……ほらっ」
僕は病室に備え付けのミニ冷蔵庫から、二人分のミネラルウォーターを取り出し……
片方を逢に渡した。
ちょうど昨日買っておいた物を出掛けに持って来たんだ。
逢「あ……これ、うちの冷蔵庫にあったやつ……」
しゅう「喉渇くだろうと思って持って来たんだ」
しゅう「ほら、水分補給って大事じゃないか」
逢「パジャマは忘れるくせに?」
しゅう「もういいだろう、それは……」
しゅう(本当だよ。何でパジャマは忘れたんだろうな……)
しゅう(裸でいいとでも思ったのかな?この変態が!)
逢「あ、せっかくなので、乾杯しましょうか?」
しゅう「うん。今それ思った」
逢「じゃあ、ちょっと気が早いですが……」
しゅう「うん」
逢「この子の誕生を祝って、乾杯!」
しゅう「逢の無事も祝って、乾杯!」
お互いのペットボトルをぶつけ合った。
逢「……はぁ。おいしい」
しゅう「ごくごくごく……ぷは~あ~~うまいなぁ」
逢「おじさん!」
しゅう「え?」
逢「しゅうさんって、実は中身はおじさんですね?」
しゅう「何で?」
逢「今の飲み方、おじさんっぽかったですよ。クスッ」
しゅう「あ、そ。ほっとけ……」
僕がそっぽを向くと……
逢「……は~~~~~~」
しゅう「うお、ビビった!!冷たっ」
逢「あはは……引っ掛かった!」
しゅう「耳元に冷たい息をくらわせるなんて反則だぞ?」
逢「いいじゃないですか。たまには反則したって」
逢「しゅうさんは今日反則ばっかりだったので、たまには私が」
しゅう「僕がいつ反則した?」
逢「覚えてないんですね?じゃあ、身体に聞くしかないですね」
しゅう「え?ちょ……こらっ……やめ!!ふはは……」
逢が僕の脇腹をくすぐる。
逢「にゃんにゃーん!」
しゅう「も、もりひましぇんぱいのまにぇか……ぐははは」
逢「どうしたんです?日本語になってませんよ?」
しゅう「うう……くっそ……やったな……えいっ!」
逢「あ……」
ドサッ。
僕は逢を少し右斜め前に押し倒して、僕の太ももの上に逢の上体を乗せる。
僕の腹と逢の背中がぴったりくっついている。
そして、僕の左手を逢の左脇腹に軽く乗せ、右手を逢の頭に軽く乗せる。
しゅう「今日は……疲れたな。僕がもも枕?してあげるから、そのまま寝ていいよ」
逢「はい……そうさせてもらいます」
逢「でも……くれぐれも変なことだけはしないで下さいね」
しゅう「しないって!どんだけ信用されてないんだ、僕」
逢「いいえ、信じてますよ」
逢「あなたとならこの子を立派に育て、死ぬまで一緒に幸せに過ごせる……」
逢「そう信じてますから!」
しゅう「逢……」
逢「しゅうさん……」
しゅう「この……泣かせてくれるじゃないか!いい子、いい子!」
僕は右手で逢の頭を優しく撫でてあげる。
逢「ふふふっ」
しゅう「そうだね……孫の顔でも見てみたいね!」
逢「それは気が早いです!やっぱりあなたはおじさんじゃないですか!」
しゅう「だったら、そっちはおばさんだ!!これで平等だ!」
逢「どうして私がおばさんなんです?意味分かりません」
しゅう「今は分からなくていいよ。そのうち絶対分かる時が来るから!」
しゅう「だから、その日が来るまで……よろしくな!」
逢「はい!」
しゅう「もう4時じゃないか!早く寝ないと明日に差し支えるよ」
しゅう「明日は大事な一日だからな。僕がずっと見守っていてやるよ!」
しゅう「なあ、逢」
逢「……」
しゅう「逢?」
逢「……」
しゅう「寝ちゃったのか……そっか。明日は頑張れよ。絶対に負けるなよ」
しゅう「おやすみ」
ちゅっ。
僕は眠る逢の横顔に軽くキスをして、右手で逢の頭を優しく撫でてあげる。
逢「んん……しゅうさん……愛してます」
逢は身体をくねらせて……まるで猫みたいに可愛く眠っている。
その表情はすごく安らかで完全に安心しきっている。
しゅう「さて、僕も寝るとするか」
ベッドの角度を少しだけ下げて、目を瞑った。


明日が、二人にとって、最高の一日でありますように。



後編へ続く

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