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2010-08-02

エピローグ「先輩、私を助けてください」

警察署
朝礼
署長「最近増加している悪質な犯罪に対抗するため……」
署長「この署でも新たな機材を導入することにした」
署長「これが小型発信機だ。犯人を追跡するのに役立つであろう」
署長「諸君にも与える。決して置き忘れのないように!」
署長「もし置き忘れたりしたら減給あるいは懲戒免職とする」
署長「以上。各自持ち場につけ!」
一同「はい!」
しゅう(これが最新の小型発信機……本当に効果あるのかな?)


七咲家
しゅう「ただいま」
逢「お帰りなさい、先輩」
逢「お風呂にします?ご飯にします?それとも……」
しゅう「じゃあ……逢で!」
そう言って僕は逢に抱きつく。
逢「あ……もう。甘えん坊ですね。まるで郁夫みたいです」
しゅう「いいだろ?夫婦なんだし」
逢「でも……恥ずかしいですよ」
しゅう「……それもそっか」
逢から離れる。
しゅう「あ……あとさ!」
逢「はい」
しゅう「夫婦なのにまだ『先輩』って呼ぶの?」
逢「え!?ああ……その……」
しゅう「ふっ。恥ずかしくて呼べない……か」
しゅう「照れる逢も可愛いなあ」
逢「もう!からかわないでください!!」
逢「今日はお風呂もご飯も私もなしにします!」
しゅう「ええっ!?ご、ごめん……僕そんなつもりじゃ」
逢「冗談ですよ。クスッ」
しゅう「何だ、またこのパターンか」
逢「早く上がって着替えてください」
しゅう「うん」

結婚から2ヶ月ほど経過した。
今は8月の中旬。
逢は恥ずかしいらしく、結婚してもまだ僕のことを「先輩」って呼ぶ。
僕も職場の人間から「七咲」って呼ばれるのにまだ少し違和感がある。
勤務し始めて1年経つから間違えて旧姓の「橘」の方で呼ぶ人もいて……
そっちの方が何だかしっくり来る。
まあ確かにお互い慣れないよな。
ちなみに新婚旅行はハワイに行って来た。
逢と一緒に解いた雑誌の懸賞クイズが偶然当選したんだ!
これも愛……いや、逢の力か。
前に輝日東の商店街で一等ハワイを賭けて一緒に福引して、500円の商品券を当て……
一緒に大判焼きを食べたのはいい思い出だ。

しゅう「おお!今日はハンバーグか」
逢「はい。練習が早く終わったので頑張って作ってみました」
逢「お口に合うといいですけど」
しゅう「いただきまーす!!」
逢「いただきます……どうです?」
しゅう「……」
逢「先輩?」
しゅう「……」
逢「あ……やっぱり……」
逢がちょっと残念そうな顔をする。
しゅう「あ、ごめん。あんまりにもおいしかったから言葉に表せなくて」
逢「そう……ですか。ならよかったです」
逢がにっこりと微笑む。
この笑顔を見ていると僕まで幸せな気分になる。
逢「そういえば最近、この近辺で物騒な事件が起きてますね」
逢「何でも、女性が3人も誘拐されていて、しかも犯人の男はまだ捕まっていないとか」
しゅう「ああ、その事件か」
逢「どうなんです?犯人は……」
しゅう「気にしなくていいよ。今一生懸命捜査中だから!」
しゅう「それに逢は僕が守る!絶対に同じ目には遭わせない!!」
逢「先輩……」
しゅう「だから安心して毎日を過ごすといいよ」
逢「はい!そうします」
しゅう(そう。僕は警察官である以前に七咲逢の夫でもあるんだ)
しゅう(この世界で一番好きな逢を……全力で守らなきゃいけない!!)
逢「先輩、ご飯食べ終わったらお風呂に入ってください」
しゅう「うん。そうする」



逢「それじゃ先輩、お休みなさい」
しゅう「え?もう寝るのか!?」
逢「はい」
しゅう「そっか。練習大変なんだな」
逢「あ、いえ。明日はオフです」
しゅう「え?じゃあ、どうして?」
逢「えっと、強いて言うなら習慣……ですね。コンディショニングの一環です」
逢「オフでも休む時は練習のある時と同様に休む。結構重要なんですよ」
しゅう「そっか。生活のリズムを規則正しくしないといけないのか。大変だな」
逢「そういうことです。お休みなさい」
しゅう「お休み、逢。ん……」
逢「ん……」
僕は逢にキスをした。お休みのキスをな。
逢「それじゃ、お休みなさい」
しゅう「うん。お休み、逢」

しゅうの寝室
しゅう「……」
僕は今日もらったばかりの黒い小型発信機を鞄から取り出して見つめる。
しゅう(これであいつの居場所を突き止められたら、逢も余計な心配しなくて済むのにな)
しゅう(そう。あいつとは無論、逢も心配している連続誘拐犯の男だ)
しゅう(男は3人の女性を立て続けに誘拐していて、被害者たちは未だに行方知らず)
しゅう(くそっ。早く捕まえたい!)
しゅう「……と、そんなことより僕も早く寝ないと」

翌朝
居間
しゅう「それじゃ、行って来る!」
逢「行ってらっしゃい、先輩」

逢「さてと。お買い物に行く前に掃除をしないと」

しゅうの寝室
逢「もう、先輩ったら!またこんなに散らかして!!」
逢「仕方ないから私が片付けます!」
逢「はぁ……本当に大きな郁夫みたい」
逢「ん?これは……?小さいけど何かの部品?」
逢「警察の紋章が入ってるから、たぶん先輩の忘れ物かな?」
逢「……」
逢「とりあえず間違って捨てるといけないから、私が預かっておいて後で先輩に渡そう」



居間
テレビ「では、次のコーナーです」
逢「さてと。お買い物に行かなくちゃ」
テレビ「今日の星座占い!カウントダウン!!」
テレビ「一位は魚座のあなた!!」
テレビ「ピンチに陥るけど、必ず誰かが助けに来て、いい雰囲気になるでしょう!!」
テレビ「ラッキーカラーは黒!!」
逢「……黒?」
私は小型発信機を見つめる。
逢「いや、まさか」
ピッ。
逢「占いなんてどうせ適当だから嫌い」
逢「さて、そろそろ行かないと」

商店街
逢(今日は土用の丑の日だから鰻を!)
その時、逢の背後から忍び寄る影が!
逢(あ、これ安い!とりあえずキープ……)
影が徐々に逢に近付いて来る!
逢(あとはサラダの材料を……)
影が逢のすぐ背後に!!
逢「ん?ええっ……」
逢「……」
逢は睡眠薬を嗅がされ、そのまま用意されている車に乗せられ、どこかへ連れ去られた!!
現場に残された買い物カゴ……。



一方、その頃
警察署
松原「ちくしょ!依然手掛かりなしか」
華村「もう3人も犠牲になってるのに、こっちからは何もできない!!」
しゅう「逢が心配してるんだよ。早く取っ捕まえて安心させてやりたい」
松原「あらあら、お熱いこと!な・な・さ・き・じゅん・さっ!」
しゅう「う、うるさい!僕は真面目に言ってるんだぞ!!」
華村「いいよな、勝ち組はよぉ」
しゅう「……」
署長「諸君、静粛にしたまえ。たった今商店街から通報があった」
しゅう「ん?」
署長「今朝10時半頃、近くの商店街で女性が誘拐されたそうだ」
署長「目撃者の証言によると、買い物の途中で突然背後から襲われ……」
署長「睡眠薬を嗅がされ、そのまま用意されていた車に乗せられたそうだ」
署長「犯人は男、年齢は30代、身長170cmで痩せていて……」
署長「目出し帽に黒いジャンパーを着て……」
署長「青いジーンズに黒いスニーカーを履いているとの情報」
署長「また被害者の女性は年齢20代、短い黒髪で……」
署長「黄色いジャケットを着て、青いジーンズを履いていたそうだ」
しゅう(ん?20代で黒髪ショートに……)
松原(黄色いジャケットに……)
華村(青いジーンズっつったら……)
3人「ええっ!?」
署長「ん?そこ、何を騒いでいる!?今大事な話をしてるんだぞ!!」
3人「す、すみません」
僕と松原と華村は署長の目を盗んで小声で話す。
しゅう「まさかとは思うが……」
松原「いや、あいつに限ってそれはないだろ?」
華村「そうそ。あんな気の強そうな女、犯人の方から逃げてくんじゃね?」
しゅう「う、うん。だといいけどな」
しゅう(何か……すごく嫌な予感がするんだよな)
署長「これから人員を派遣し、付近への聞き込み調査を行う!」
署長「被害者の身元を一刻も早く特定し、犯人の行方を追う!!」
一同「はい!!」
しゅう(早く逢に電話しないと!!無事を確認したい!!)

電話「……お掛けになった電話は現在電波の」
しゅう(出掛けてるのか!じゃあ携帯電話に掛けよう)
つい最近結婚記念に二人でお揃いの携帯電話を買った。
やっと普及し始めた携帯電話だ。
電話「……」
しゅう(頼む!出てくれ!!)


誘拐場所
男「ふっ。これで4人目だ」
男「お前ももうじきあの世に送ってやるからな!ふふふっ」
逢「……」
まだ睡眠薬が効いているため眠っている逢。
縄で両手、両脚を縛られている。
ピリリ、ピリリ、ピリリ……
男「あ?この女、携帯電話なんて持ってやがったか」
男「こんなもの捨てて……いや、待てよ。これはこれで使える」
ピッ。
男「とりあえず預かっておこう」

しゅう「切れた……」
松原「どうした?」
しゅう「逢の携帯電話に掛けてみたんだけど、切られた」
しゅう「……まさか誘拐犯が!?」
松原「……まさかぁ。きっと何か大事な用事の最中だったんじゃね?」
松原「例えば練習とか」
しゅう「いや、今日はオフだって言ってた」
松原「でも、急に予定変更したんじゃ……」
しゅう「うーん……」
華村「おお!これすげぇ」
しゅう「ん?一人で何はしゃいでんだ?」
華村「昨日もらったこの小型発信機だよ!!」
松原「ああ、それか」
華村「ほら、こうやって携帯電話で簡単に小型発信機の場所を特定できる!!」
しゅう「へぇ、面白い。僕もやってみよ」
ガサガサ、ゴソゴソ
僕は鞄の中にある小型発信機を探す。
松原「確かに面白い!!」
しゅう「あれ?ないぞ」
ガサガサ、ゴソゴソ
しゅう「くそ!!どこだよ?」
上司「七咲、松原、華村……聞き込みに行くぞ」
しゅう(まさか昨日家で眺めていた時に置いて来ちゃったのか!?)
松原・華村「はい!!」
しゅう(まずい!!まずいぞ!!)

回想
署長「もし置き忘れたりしたら減給あるいは懲戒免職とする」

しゅう(どうしよ……どうしよ)
僕はかなり焦った!冷や汗がだらだら出てくる!!
上司「七咲、早くするんだ!」
しゅう「あの……すみません。ちょっとトイレに行って来ます」
上司「そうか。遅れずに来いよ」
しゅう「はい!!」
しゅう(バレる前に捜さないと!)

僕は上司たちが行ったのを見計らい、署を抜け出し、自宅へと急ぐ!!


七咲家
しゅう「ただいま!やっぱり誰もいない」
しゅう「早く捜そう!」

しゅう「くそ!!何処にもない!!」
しゅう「部屋が綺麗になってたから、たぶん逢がゴミと間違えて捨てちゃったのかな?」
しゅう「くそおおおおおおお!!僕はもうお終いだ!!」
しゅう「いや、諦めるな!!何とかして捜すんだ!!捜し出すんだ!!」
しゅう「どうすればいい……そうだ!!」
僕は携帯電話を取り出す。
しゅう「さっき華村がやってたように……あった!」
しゅう「え?」
僕は驚いた。
何故なら見つかったのはこの町のゴミ置き場ではなく、隣町の潰れた工場跡だ。
しゅう「どうして……隣町にあるんだ!?」
ピリリ、ピリリ、ピリリ……ピッ。
しゅう「はい、七咲です」
上司「お前は一体どんだけトイレに入ってるんだ!?」
しゅう(やべ!もう30分経過してる!さすがにバレるよな)
しゅう「すみません。道に迷いました」
上司「今どこにいる?」
しゅう「え、えっと……」
しゅう(まずい!!自宅なんて言えないよ)
上司「それすらも分からないか?待ってろ、今お前の発信機の場所を捜し出す」
しゅう(まずい!!発信機は隣町だ!!まずいぞ……)
松原「巡査部長!報告します」
上司「何だ?」
松原「どうやら犯人の車はここから北の方角に向かったとのこと」
上司「北?隣町の方か!」
しゅう「隣町!?」
上司「どうした?」
しゅう「あ、いえ。何でもないです。とにかくそちらに自力で向います」
上司「わかった」
ピッ。
しゅう「……」
しゅう(間違いない……目撃情報と発信機の場所を合わせると……)
しゅう(やっぱり誘拐されたのは逢に間違いない!!)

回想
逢「どうなんです?犯人は……」
しゅう「気にしなくていいよ。今一生懸命捜査中だから!」
しゅう「それに逢は僕が守る!絶対に同じ目には遭わせない!!」
逢「先輩……」
しゅう「だから安心して毎日を過ごすといいよ」
逢「はい!そうします」

しゅう「くそっ!!」
ガンッ。
僕は居間のテーブルを拳で叩く。
しゅう「何が守るだ!?結局同じ目に遭わせているじゃないか!」
しゅう「逢……逢……」
しゅう「とにかく、こうなったら犯人と一騎打ちだ!」
しゅう「一刻も早く逢を助け出す!!」

僕は家を飛び出し、タクシーに乗り、小型発信機を手掛かりに誘拐場所に急ぐ!!

しゅう(逢……待ってろ!今助けに行く!!)


一方、その頃
誘拐場所
逢「ん……ん?ここは……どこ?」
逢「え?この長い髪の毛……」
男「ようやく目覚めたか?」
逢「あ……新聞に載ってた……」
男「そうさ。俺は3人の女性を誘拐し、殺害した犯人さ」
逢「さ、殺害!?じゃあ、まさかこの床に落ちてる髪の毛って……」
男「そうだ。今まで殺して来た女の髪の毛さ」
男「お前への見せしめだ……これから同じ目に遭わせてやる!!」
逢「……」
逢「その前に一つだけ聞かせてください」
男「ああ、いいだろう。どうせ何を聞いたところで情報は漏れないからな」
逢「どうして私なんですか?私は恨みを買う覚えは一切ありません」
男「……そうだな。直接はないけどな」
逢「直接?」
男「俺を振った女に似ているからだ!お前を含めた3人が」
逢「最初にその人を殺し、その人に似た人を無差別に殺す!?」
逢「そんなの許せない!!どうして罪もない人たちを!?」
男「さ、もういいだろう?そろそろ黙ってもらおうか!永遠にな」
男は右手にナイフを持っている。
逢「う……」
男「いいぞ、その怯える表情……あの女にそっくりだ!!ゾクゾクするぜ」
逢(助けて……先輩!!)
男「……」
逢「……」
ズッキューーン。カーン。
一発の弾丸がナイフを弾き飛ばす。
男「何!?サツ……だと?」
逢「ん……?先輩!!」
しゅう「こちら、七咲しゅう。隣町の工場跡にて犯人と被害者を確認!」
しゅう「大至急、応援要請!」
しゅう「……と。もうじき仲間が来る。無駄な抵抗はやめろ!」
しゅう「連続誘拐殺人犯!」
男「聞いてたのか、さっきの会話を?」
しゅう「ああ。全部聞かせてもらった」
男「どうやら今はお前一人みたいだな。口封じにこいつと一緒に死んでもらおう」
男はナイフを拾おうとするが、機転を利かせた逢が一瞬早く拾う。
逢「先輩!取って!」
逢は縛られた両手で懸命に僕にナイフを投げる。
床すれすれの安全な高さでナイフが飛んで来る。
しゅう「サンキュ!」
男「こいつめ!」
パーン
怒った男が逢を平手打ちする。
逢「きゃっ!」
しゅう「逢!!お前……よくも僕の妻を!!」
男「妻!?ふふっ」
しゅう「え?」
男「これは面白い。そうか、お前とこいつは夫婦なのか!」
男「だったら話は早い!」
逢「う……」
男は逢の襟首を掴む。
しゅう「何をする気だ!?」
男「お前が持っている拳銃とナイフをこちらに差し出せ!」
男「さもないと、この女の命がないぞ!」
逢「うう……だめ……それだけは絶対にだめ……先輩」
しゅう「逢……」
逢「う……」
男「さあ、どうするんだ!?愛する人を助けたくはないのか!?」
しゅう(どうする!?どうすればいい?)
しゅう(このままだと逢は殺される!!)
しゅう(だが、拳銃とナイフを渡したらもっと危険だ!!)
しゅう(どっちにしても逢は……!!)
男「さあ、早くしないか!?」
逢「先輩……私はどうなってもいいから……早く捕まえて……」
しゅう「逢……」
しゅう(どっちにしても逢は助からない。だったら僕の選ぶべき道はたった一つだけ!)

回想
第25話「先輩、私を思い出してください」
七咲「嫌です」
橘「え?」
七咲「やっぱり先輩を放っておくことなんて私にはできない!!」
橘「七咲?」
七咲「私だって先輩を守りたい!例え自分を犠牲にしてでも」
橘「でも、それじゃあ……」
七咲「例え別れても、私は先輩を独りにしたことを悔み……」
七咲「そのことが原因で私は壊れてしまうかもしれません」
七咲「別れても別れなくても私たちはお互いにボロボロになっていく」
七咲「それだったら、私はずっと先輩のそばにいたい」
橘「七咲……」
七咲「先輩……死ぬ時は……一緒です」

しゅう(そう、死ぬ時は……一緒だ。逢)
僕は男の指示通り、拳銃とナイフを投げる。
逢「え?どうして?」
男「やっぱりそう来たか?ふふふっ」
しゅう「ふっ」
逢「え?先輩……今……笑った?」
しゅう「死ぬ時は一緒……。だが僕も逢も死なない!!死んでたまるか!!」
男が拳銃とナイフを拾う一瞬の隙をついて駆け出す!!
僕は懐の安全祈願のお守りを強く握り締める!!
山から転落して危うく死にかけた僕を救ってくれたお守りだ。
きっと僕と逢を守ってくれるはずだ!!
そう信じて……僕は突っ走った……何の躊躇いもなく!!
しかし……男が一瞬早く拳銃を拾った!!
しゅう「しまった!!」
男「ふふふっ、甘いんだよ……甘過ぎんだよ。そんなに死にたいか?」
男「だったらまずお前から死ね!!」
男が僕目掛けて銃口を突き付ける!!
しゅう「や、やられる!?」
逢「せんぱーい!!」
ズッキューーン。カーン。
しゅう「う……あれ?」
逢「先輩……無傷?」
男「うおおおおおおお……」
どうやら華村の撃った弾丸が男の……いや、僕の拳銃を弾き飛ばしたようだ。
松原「七咲から離れろおおおおおおお」
松原が男に襲いかかった!
華村「やれやれ。一人で飛び込むとはな……」
しゅう「みんな……来てくれたのか?」
上司「お前、一歩間違ったら殉職してたところだったんだぞ?」
上司「自分勝手に行動して……何を考えているんだ?」
しゅう「すみません」
上司「しかし、今回は大手柄だった。どうしてここだとわかった?」
しゅう「小型発信機です!彼女が偶然持っていたので」
逢「え?私が?」
僕は逢に近付いて行ってそっと耳打ちした。
しゅう「あんま大きな声じゃ言えないけど、僕の寝室にあっただろ?」
しゅう「黒い小型発信機が!」
逢「え?もしかして……これですか?」
しゅう「そうそう」
逢「これが……私を救った……」
逢「あ!!」

回想
テレビ「では、次のコーナーです」
逢「さてと。お買い物に行かなくちゃ」
テレビ「今日の星座占い!カウントダウン!!」
テレビ「一位は魚座のあなた!!」
テレビ「ピンチに陥るけど、必ず誰かが助けに来て、いい雰囲気になるでしょう!!」
テレビ「ラッキーカラーは黒!!」
逢「……黒?」
私は小型発信機を見つめる。
逢「いや、まさか」

逢「なるほど。そういうことだったんですね!」
逢「たまには当たるんですね」
しゅう「ん?何か言った?」
逢「いえ、何でもありません」
男「七咲しゅう……とか言ったか?」
しゅう「ああ」
男「お前はいいよな。人生成功してて。俺なんか女に見捨てられて……」
しゅう「あんたには……覚悟が足りないんだよ!!」
男「覚悟?」
しゅう「自分を犠牲にしてまで愛する人を守りぬく覚悟がな!」
しゅう「女の子はそういうところにすごく敏感なんだ」
しゅう「自分を本気で愛して守ってくれる人にだけ信頼を寄せる」
男「信頼……か」
しゅう「あと一つ忠告!」
男「何だ?」
しゅう「選ぶなら他の女にした方がいいぞ?」
しゅう「うちのは特に素っ気無くて、意地が悪いんだ……」
逢「先輩?それ、どういう意味……」
しゅう「今のお前じゃとても敵わない相手だと思う」
しゅう「そう。彼女は……僕にしか幸せにすることができない」
逢「あ……」
男「なるほど。確かにな。ありがとよ」
男「お前たちに出逢えてよかった。七咲しゅう巡査と……」
しゅう「七咲逢だ」
男「七咲逢……か。すまなかったな」
そう言い残し、男は署まで連行された。
この一連の誘拐殺人及び殺人未遂事件は無事解決した。
結果的に一人の刑事の妻がおとりになり誘拐されたという形で無事解決した。

しゅう「さて、帰るか」
逢「はい」
上司「待ちたまえ!」
しゅう「え?あ、はい」
上司「説明してもらおうか?」
上司「どうしてキミの奥さんが昨日キミに渡したはずの小型発信機を持っていたのかを!!」
しゅう(やべ!!)
しゅう「そ、それは……」
逢「先輩……」
逢(私のせいで先輩が!!今度は私が先輩を助ける番!!)
上司「もしかして……言えないのか?」
しゅう「い、いえ……えっと……」
しゅう(くそう!!これまでか!!)
しゅう・逢「ごめんなさい!!」
しゅう・逢「え?」
上司「ん?」
しゅう「何で逢が謝るんだ?」
逢「すべて……私のせいなんです!!」
しゅう「え?」
上司「奥さんの?」
逢「昨日、夫が風呂に入ってる時に夫の部屋を掃除したんです」
逢「その時に鞄を引っ掛けて倒してしまい……」
逢「鞄の開いていたわずかな隙間からその小型発信機が飛び出したんです」
逢「慌てて捜しましたが、見つからず……夫が風呂から出て来たので捜すのを断念しました」
逢「そして今朝夫が出勤した直後にもう一度捜し、見つけたんです」
逢「おそらく捜査に使う大事なものだろうから……私がなくしたなんて知られたらって思うと……」
逢「怖くて今までずっと黙っていました!」
逢「すみませんでした!!」
しゅう(逢……僕のために懸命に嘘を……)
逢「悪いのはすべて私なので、どうか夫を叱らないであげてください!!」
逢「罰するなら私を!!」
逢は俯いて、今にも泣き出しそうな表情で必死に訴えかける……
いや、必死に演じていると言った方が妥当か。
上司「もういいよ」
逢「え?」
上司「そこまで言われたら……さすがの私も怒れない」
上司「それに奥さんの過失がなかったら、今頃奥さんはこの世にはいなかったかもしれないし」
しゅう「そ、それじゃあ?」
上司「お咎めはなしだ。七咲はいい奥さんを持ったな。大切にしろよ」
しゅう「はい!!もちろんです」
逢「よかった……」
こうして逢のおかげですべてが解決した。
本当に僕は幸せ者だよ。


その夜
七咲家
居間
逢「先輩、今日はありがとうございました」
しゅう「いや、僕の方こそありがとう」
しゅう「逢があんなに一生懸命嘘吐いてくれなかったら僕は今頃、減給か懲戒免職を食らってたから!」
逢「だって……先輩がお咎めを受けたら私も困りますから!」
しゅう「うん、それもそっか」
逢「……でも、先輩が偶然小型発信機を忘れて行ったおかげで助かりました」
逢「だから……何もかも先輩のおかげなんです」
しゅう「逢……」
逢「先輩、ありがとうございました!!」
しゅう「う、うん。今回はこれで良かったんだ。だけど、次に忘れた時も同じようにうまくいくとは限らない」
しゅう「気を付けなきゃな」
逢「そうですよ。私、次も演技するなんて嫌ですからね。今回は助けていただいたお礼に、特別です!」
しゅう「ありがとう」
しゅう「……だけど、僕は結局一人じゃ何もできないんだなって思った」
しゅう「一人でカッコつけて犯人のアジトに乗り込んだはいいが、人質とともに身動きの取れない状態になった」
しゅう「今振り替えればすごくカッコ悪かった……」
逢「いえ、あの時の先輩、すごくカッコ良かったです」
しゅう「お世辞はいいよ……」
逢「お世辞なんかじゃありません!!本当のことです!!」
しゅう「……」
逢「先輩、私のために拳銃とナイフを捨て、犯人目掛けて一目散に駆けて行った……」
逢「どうしてあんな無茶をしたんですか?一歩間違えば二人とも……」
しゅう「そうだな……あの時とっさに逢が言ったことを思い出したんだ」
逢「私が?」
しゅう「うん。『先輩……死ぬ時は一緒です』って言葉をな」
逢「あ……」
しゅう「犯人の指示に逆らったら逢は殺される……」
しゅう「でも犯人の指示に従ったらもっと危なくなる!」
しゅう「このどちらをとるかで迷った時、さっきの逢の言葉を思い出した」
しゅう「逢だけが殺される前者と、もしかしたら僕まで殺されかねない後者……」
しゅう「どちらにしても逢は殺される……ならば、僕は逢と一緒がいいって思った!」
しゅう「僕は……助かる時も死ぬ時も逢と一緒がいいって思ってな」
逢「先輩……」
しゅう「だけどやっぱり僕は心のどこかで絶対に死にたくないって思ってたんだろうな」
しゅう「一か八かで犯人とやりあってみようと思った」
しゅう「死ぬ気で勝負する、だけど僕は絶対に死なない……」
しゅう「僕はどうしても二人して助かる道を選びたかった!」
しゅう「だから咄嗟に懐のお守りを強く握りしめた!!」
しゅう「前に僕の命を救ってくれた、このお守りをな!」
逢「あ……あの時のお守り!?」
しゅう「うん。買ってから3年経つから、もうさすがに効力ないかと思ったけど……」
しゅう「信じてたらちゃんと守ってくれた……」
しゅう「僕と逢、それに塚原先輩、松原、華村……みんなの想いが詰まった大切なお守り」
しゅう「またこれに助けられたんだな……」
逢「ええ!きっとそうです。信じていれば必ず、私を守ってくれます!」
逢「お守りも……先輩も」
しゅう「……」
逢「……」
しゅう「……」
僕は言うべきかどうか一瞬迷った……
逢「先輩?どこか……具合でも?」
しゅう「なあ……逢」
逢「はい」
しゅう「怖く……なかった?」
逢「え?」
しゅう「犯人に襟首を掴まれた時、怖くなかった?」
逢「あ……実を言うと怖くて、怖くて仕方なかったです」
しゅう「そっか。やっぱりな」
逢「……」
しゅう「実は僕も怖かったんだ。被害者が逢だって確信した時、すごく嫌な気持ちになった」
しゅう「昨夜、心配する逢に『逢は僕が守る!絶対に同じ目には遭わせない!!』って言ったのに……」
しゅう「結局守れなかった。逢に怖い思いをさせてしまった」
しゅう「僕は……本当に一人じゃ何も守れないのか」
しゅう「悔しいよ、自分の無力さに腹が立つ」
僕は気持ちを抑えきれず、逢の前で涙を流した。
逢「そんなことないです!先輩はちゃんと、私を守ってくれた!」
逢「それに……一人じゃ守れない時だって絶対にあります!人間なので」
しゅう「逢……あ……この手形」
僕は逢の頬にある手形を見た
逢「ナイフを拾って先輩に渡したら犯人に平手打ちされました」
逢「正直、痛かったです。クスッ」
笑っているが、逢の目にも涙が溜まっている。
しゅう「ごめん、本当にごめん!!」
そう言って僕は逢の頬にキスをする。
そっと労るように優しくキスをする。
逢「先輩……」
しゅう「逢、無事で良かった。無事に生きて帰って来てくれてありがとう」
しゅう「僕、逢なしじゃ生きていけないから!」
逢「先輩こそ、無事で何よりです!ありがとうございました」
しゅう「逢!」
逢「先輩……いえ、あなた」
しゅう「あ……今、あなたって……」
逢「助けていただいたお礼に、特別ですからね」
逢「愛してます、しゅうさん」
しゅう「逢……」
僕は全力で逢を抱いて唇にキスをした。
しゅう「ん……」
逢「ん……」
しゅう(逢……逢……好きだ……好きだ)
逢(しゅうさん……しゅうさん……私も愛してます)
しゅう(いや、僕の気持ちはこんなもんじゃない!!もっと強く!!)
しゅう「んん……」
逢「んん……」
最初は座ってキスをしていたが、それだけでは物足りず……
僕は逢をそっと後ろに押し倒してもっと深くキスをした。
しゅう「んん……」
逢「んん……」
しゅう「ん?」
逢「クスッ」
逢が舌を出して僕の唇をそっとなめた。だったら僕も!
しゅう「あん……ちゅっちゅ」
逢「あ……ちゅっちゅ」
僕たちはお互いの舌をなめあった。
しゅう「あん……ちゅっちゅ」
逢「んん……」
僕はそのまま逢を食べるかのようにさらに深く舌を突き出した。
逢の口の中に舌を入れている。
しゅう「あん……ちゅっちゅ……ちゅっちゅ」
逢「んん……んん……」
しゅう(逢……逢。だめだ、ものすごく興奮してきた)
しゅう(もっと逢を……知りたい)
僕は片手を逢の胸元に伸ばした。そしてそっと逢の胸元に手を置いた。温かい。
しゅう「……」
逢「あ……ん……」
しゅう「あれ?この前は拒否したのに今日はいいの?」
逢「さっきも言ったじゃないですか。今日は特別です」
逢「しゅうさん……私を好きにしてください」
逢「今日ばかりはあんなに怖い思いをしたのでしゅうさんにもっとそばにいてほしいんです」
逢「心の底から安心したい……もう、我慢できないんです」
しゅう「逢……」
逢「それにしても今日は暑いですね」
逢「しかもエアコンのない部屋でキスなんてしたら、もっと暑くなりました」
しゅう「そ、そうだな」
逢「あなたも……暑かったら脱いでもいいですよ」
しゅう「え?ああ」
逢「見ていて何だかすごく窮屈そうですし」
僕の興奮して盛り上がっている部分を見て、逢がそう言った。
しゅう「え?あ……もう……えっちな奥さんだなあ」
逢「クスッ。お互い様です」
僕は逢に言われた通りに服を脱いだ。そして、優しく丁寧に逢から1枚ずつ剥いでいった。
しゅう「黒?」
逢「はい。今朝の占いでラッキーカラーが黒だったので」
逢「似合いますか?」
しゅう「うん。すごく似合う」
逢の下着なんて見るのはこれが初めて……いや、そうでもないか。
実を言うと逢にはずっと黙ってたけど……
前に一度だけ逢の下着をこっそり見たことがある。
高校3年生の夏休み、逢のインターハイの日だ。
全力を出し切ってバテて帰りのバスの中で寝ちゃった逢を……
僕は仕方ないので家に連れ帰って寝かせた。
逢はすごく汗をかいていたので、拭いてあげようと思って服をめくったら偶然……
逢の水色の下着が見えてしまったんだ!!
第7話「先輩、兄弟っていいですね」参照)
しゅう「でも占い嫌いの逢が占いを信じるなんて意外だな」
逢「ええ。私も最初はそう思いました。ですが、今日は占いがよく当たりました」

回想
テレビ「では、次のコーナーです」
逢「さてと。お買い物に行かなくちゃ」
テレビ「今日の星座占い!カウントダウン!!」
テレビ「一位は魚座のあなた!!」
テレビ「ピンチに陥るけど、必ず誰かが助けに来て、いい雰囲気になるでしょう!!」
テレビ「ラッキーカラーは黒!!」
逢「……黒?」
私は小型発信機を見つめる。
逢「いや、まさか」

しゅう「なるほど。黒の小型発信機が……」
逢「はい」
しゅう「そしてその誰かっていうのはやっぱり僕だったのか」
逢「そういうことになりますね」
しゅう「いい雰囲気……ふっ。確かに」
逢「クスッ」
しゅう「逢……」
逢「あなた……」
しゅう「これからも逢のピンチには必ず駆け付ける!絶対に守ってやるからな」
逢「はい。期待してます」

それからそのまま僕と逢は文字通りいい雰囲気になった。
それにしても逢から思いも寄らぬ言葉が出てきてびっくりしたよ。
逢も実は変態なんじゃないの?僕たち似たもの同士だし。
ま、それはいいとして、僕と逢は一番涼しい格好のまま……
暑く、そして熱い一夜を共に過ごし、朝を迎えた。
すべてがいい方向に向かって、希望に満ちた朝をね!



七咲アフターストーリー
エピローグ「先輩、私を助けてください」
END

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