--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2010-07-13

第24話「先輩、大学に戻りましょう」


橘家・居間
橘「ふあ~あ。おはよう……」
美也「にぃに、おはよう。ふあ~あ。みゃーも眠いのだぁ」
橘「にぃに?ああ、僕のことか。でもさ、お前……」
橘「『にぃに』って呼ぶのは僕とお前の二人っきりの時だけだって前言ってなかったか?」
美也「え?それは……」
橘「よく覚えてないけど、確かそんな気がした」
美也「き、気のせい気のせい。ね、逢ちゃん?」
七咲「そ、そうだよ!に、にぃに……おはよう」
橘「え?あ、ああ。おはよう、七咲」
七咲「違いますよ、先輩……」
美也「逢ちゃん!」
七咲「あ!ごめん」
七咲「……じゃなくって!違うよ、にぃに」
七咲「私は橘逢!にぃにの妹だよ。逢って呼んで」
橘「は?」
橘(ど、どうしたんだ!?美也は素だとしても……七咲まで!!)
橘(これは……そうか、夢か!夢なんだな!)
僕は自分の頬をつねってみた。
橘「夢じゃない……ど、どういうことなんだ!?一体……」
美也「にぃに?どうしたの?」
七咲「にぃに?大丈夫?」
橘「もう……限界だ。何がなんだか……」
バタッ。
僕は頭を抱えながらその場にうつ伏せに倒れた。
美也「あっちゃあ。ちょっと……やりすぎちゃった?」
七咲「……みたいだね」
美也「にぃに、しっかりして!!」
七咲「先輩、大丈夫ですか?」
橘「スコー、スカー」
美也「寝てる……だけ?」
七咲「……先輩は放っておいて、早く朝ご飯を作ろうか」
美也「そだね。みゃーお腹空いたのだ」



橘「スコー、スカー」
美也「まだ……寝てる」
七咲「せっかく先輩が寝てる間に朝ご飯作ったのに冷めちゃう」
七咲「ふふっ、久々にあれをやろうかな」
美也「あれって?」
七咲「美也ちゃん、ちょっと耳塞いでて」
美也「わかった」
七咲「……すぅ!」
七咲「おはようございます!!」
橘「うわあ!!び、びっくりしたぁ!!」
七咲「先輩、おはようございます」
橘「七咲、いや逢……僕の耳元で大声を出すなんてひどいよぉ」
橘「いくら僕の妹でも許さないぞ!!」
美也「え?」
七咲「はい?」
橘「だから!いくら逢が僕の妹でも許さないぞ!!」
美也「まだ寝てるみたいだよ?お仕置きが必要だねぇ、逢ちゃん。にししし」
七咲「……すぅ!」
七咲「おはようございます!!」
橘「うおおおおおおおおおおおお!!」
橘「あれ?ここは現実……なのか?確か美也が僕の妹で、逢も僕の妹だったはず……」
橘「おっかしいなぁ」
美也「にぃに、さっきのはお芝居だよ!!逢ちゃんに協力してもらったの!」
橘「お芝居?ん?何が?」
美也「だーかーらー!!」

橘「何だ、やっぱりそうだったのか。おかしいと思ったんだよ」
七咲「すみません、先輩。昨夜、美也ちゃんがどうしてもって言うから断れなくて」
七咲「先輩を騙すつもりはなかったんです」
橘「もう……いいよ。別に気にしてないから」
美也「にぃに、ごめん」
橘「謝るなって!正直……嬉しかったから」
七咲「え?」
美也「にぃに?」
橘「ついこの前まで仲違えしていた二人が笑顔で協力しあう姿を見られて嬉しかったよ」
七咲「あ……」
美也「……」
二人はお互い照れ臭そうに顔を見合わせる。
橘「それと!『私は橘逢!にぃにの妹だよ。逢って呼んで。』……いただきました!!」
七咲「あ……」
橘「……いいものを聞かせてもらった!僕の脳内にしっかりと保存させてもらったよ!」
七咲「もう……先輩!!」
七咲が赤面する。
美也「お兄ちゃん、ご飯抜きね」
美也が僕の食器を片付けようとする。
橘「おい、待て!何をする!?」
美也「猛省なさい!」
橘「は、はい!だからご飯を……」
美也「今の忘れるって約束する?」
橘「約束します!」
美也「ならばよろしい。お食べ」
橘「ははっ。ありがたき幸せ」
橘(もう!!言いだしっぺは美也なのに、何で美也に怒られなきゃいけないんだよ?)
七咲「クスッ」


午前中
美也「はい。これ、にぃにの卒業アルバムだよ」
橘「輝日東高校か。どれどれ」
僕はクラスメートの写真を見て驚いた。
橘「あ、この人!!それにこっちの人も!!この人もそうだ!」
そこには一昨日の僕の夢に出てきた女の子たちが写っていた。
黒髪ロングで頭が良さそうな女の子……
髪の毛がもじゃもじゃした女の子とその友達の女の子などなど……
七咲「これは絢辻先輩に棚町先輩……と田中恵子先輩?」
美也「にぃに、この3人のこと覚えてるの?」
橘「いや、知らない」
橘「だけど一昨日の僕の夢に出てきて僕の名前を呼んでたんだ」
橘「彼女たちのことを思い出せなくて怖くて怖くて眠れなかった」
七咲「なるほど。あの時の悪夢」
美也「じゃあ、改めて紹介するね」
美也「この人が絢辻詞先輩。国公立大学の法学部に進学。将来は弁護士になるんだって」
橘「道理で。頭良さそうだしな」
美也「この人が棚町薫先輩。将来は画家になるらしいよ。写生大会で描いた絵が表彰されたんだって」
橘「うーん。そうは見えないな」
七咲「先輩。そうやって見かけだけで人を判断するのは良くないですよ」
橘「ああ、そっか。ごめん」
美也「そう言うにぃにだって刑事さんに見えないもん」
美也「昔からよく言うじゃん。人は見かけによらないって」
七咲「いえ……そういう意味じゃ……」
橘「そっか!そうだよな。って!僕が刑事さんに見えないだとぉ??」
七咲「だから先輩も納得しないで下さい!!」
美也「それはいいとして!次行くよ」
七咲「……」
僕と美也に思いっきりスルーされた七咲はちょっと不満そう。
美也「この人は田中恵子先輩。棚町先輩のお友達だよ」
橘「それで?」
美也「以上」
橘「え??それだけか??」
美也「だって、みゃーは田中先輩のこと全然わかんないし」
橘「……そっか」
七咲「先輩のクラスメートで夢に出てきた人は他にいますか?」
橘「うーん……いないな」
美也「もしかしてりほちゃんとかも夢に出てきた?」
橘「りほ……?誰?」
美也「えっとね、隣のクラスの……」
美也は1枚めくって、B組のページを開いた。
美也「この子!!」
橘「桜井梨穂子?ああ!このぽっちゃりした子だ!!確かに出てきたぞ」
美也「まさかりほちゃんまで忘れちゃうなんて……情けない」
橘「情けない?何でだよ?僕とこの桜井って子は一体どんな関係なんだ?」
美也「幼馴染だよ!!小さい頃よくお互いの家に行ったりして一緒に遊んでた!!」
美也「みゃーも一緒に遊んだんだからね」
橘「そうだったのか!?」
七咲「初耳ですね」
美也「幼馴染の子も忘れちゃうなんて……いやはや、世も末だね」
橘「うっ」
七咲「……」
美也「それでこの人が伊藤香苗先輩。梨穂ちゃんのお友達。すっごい仲いいんだよ」
橘「彼女も僕の夢に出てきたな」
美也「他には?」
橘「ちょっとアルバム貸して」
美也「うん」
僕はアルバムを適当にパラパラめくる。
橘「この子は?」
美也「どれ?」
橘「ほら、この創設祭の写真。この隅にいる茶髪でツインテールの控え目な女の子」
七咲「あ、中多さん……。彼女は中多紗江。私や美也ちゃんと同じクラスの子です」
七咲「アニメ研究所に所属していました。今は……」
七咲「……」
橘「ん?どうした、急に黙ったりして」
七咲「美也ちゃん、代わりに説明して。私はお茶をいれてくるから」
美也「え?逢ちゃん??」
七咲は……どうやら逃げたらしい。
理由は『説明したくない+聞きたくない』
橘「七咲、一体どうしたんだ?急に血相変えたよな」
美也「……無理もないよ。紗江ちゃんはね、グラビアアイドルになったの」
橘「グ、グラビアアイドル!?」
美也「ほら、紗江ちゃん、とってもふかふかしてるでしょ」
美也「みゃーも逢ちゃんも羨ましくてたまらな……って!」
橘「ん?」
美也「何を言わせるんじゃ!?このスケベ星人!!」
ガイッ!ガイッ!
橘「いてええええええええええええええええええええ」
僕は美也に思いっきり両手の爪で顔を引っかかれた……
橘「ひどいじゃないか!!何でいきなり顔をひっかくんだ!?」
橘「僕は何も言ってないのに」
美也「あ……ごめん。いつもの癖が出ちゃったのだ!にししし」
橘「笑い事じゃない。僕は……深く傷ついた」
美也「そっか。にぃには記憶がないから変態じゃなかったんだ……」
美也「みゃーとしたことが……」
橘「変態って……あのなぁ……」
美也「にぃに、お詫びにまんま肉まん、後で奢るね」
橘「あ、ありがとう」
七咲「はい。お茶いれましたよ」
橘「ありがとう」
美也「逢ちゃん、ありがとう」
七咲「いえ、どういたしまして」
七咲「……それで?他に誰か先輩の夢に出てきた人は?」
橘「うーん……こんな感じかな」
七咲「そうですか。まあ、これで一昨日の悪夢の件は解決できましたね」
橘「うん。思い出せてよかった」
美也「アルバム見て他に思い出したことはないの?」
橘「うーん……特にこれといったものはないな」
美也「そっか……」
七咲「午後はどこかに出掛けますか?先輩、何か思い出すかもしれないので」
橘「うん。そうだな」
美也「あ!いっけなーい!!」
橘「どうした?」
美也「今日模試があるのすっかり忘れてたのだ。にししし」
橘「おい!」
七咲「何時から?」
美也「1時」
橘「い、1時だと!?」
七咲「あと1時間しかないよ!早く行ったほうが!!」
美也「そ、そだね!それじゃあ、にぃには任せたよ、逢ちゃん」
七咲「うん。頑張ってね!」
橘「お前寝不足だろ?試験中に寝るなよ!!」
美也「大丈夫なのだ!」
美也は部屋へと上がる。
橘「じゃあ、僕たちも美也と一緒に出るか」
七咲「はい」
橘「どこ行く?」
七咲「水族館と浜辺はどうです?以前デートした場所です」
橘「うん。そこ行こうか」
七咲「はい」


13時
美也は輝日東高校に模試を受けに行った。
僕と七咲は水族館に到着。

水族館
七咲「どうです?何か思い出しました?」
橘「うーん。前にこのペンギンの水槽の前で七咲と話をしたような気がする」
七咲「それってもしかして私の水泳についてですか?」
橘「そうだっけ?」
七咲「はい。確か私が水泳を始めた理由についてでしたね」
橘「そうだったような……違うような」
七咲「とりあえず、他の水槽も見に行きましょう」
橘「うん」

しかし、他に何も思い出せず、水族館を後にした。


14時
浜辺
二人で寄り添って岩に腰掛けて、近所で買ったお弁当を、海を眺めながら食べている。
橘「風流だなぁ」
七咲「そうですね」
橘「ついでに、このお弁当もおいしいね」
七咲「はい。味付けが私好みでよかったです」
橘「……」
七咲「でも、すみません。以前とは違ってお弁当を作る暇がなくて」
七咲「しかもピクニックシートも用意できず、このゴツゴツした岩に直接……」
橘「ううん。仕方ないよ。今回はそれどころじゃなかったし」
橘「それにさ、こういう経験もたまにはいいよね」
七咲「そうですか?」
橘「うん。何か幸せって感じがする」
七咲「幸せ……なるほど」
橘(よし。うまく七咲をフォローできたようだ)
七咲「そういえば、先輩。海といえば……覚えてますか?」
橘「ん?」
七咲「先輩がまだ高校3年生だった頃、先輩は風邪を引いていたにも関わらず……」
七咲「海に飛んで行った私のピクニックシートを追いかけて……」
七咲「全身ずぶ濡れになりながら拾ったんですよ」
七咲「それで風邪をこじらせてみんなに迷惑かけて」
橘「そんなことあったか?」
七咲「はい。ありましたよ」
橘「……覚えてないな」
七咲「他には……今年の夏休みにアパートの近くの海に行って……」
七咲「先輩と私で協力して、溺れた男の子の救助をしたことも」
橘「……」
七咲「もしかして……両方とも覚えてないんですか?」
橘「ごめん。思い出せない」
七咲「……」
橘「……」
七咲「……くっしゅっ」
橘「だ、大丈夫?寒くない?」
七咲「ちょっと……肌寒いですね。さすがに秋の海は冷えますね」
橘「よし。それじゃ、移動しようか」
僕が片付けを始めようとしたその時!
橘「あ……」
お弁当を入れていたビニール袋が風に流されて海へと飛んで行く。
さらにその視線の先、海に浮かぶブイを見て……
さっき七咲が言ってた二つの出来事が不意に脳裏に浮かんだ。
すごく曖昧だけど、何となく、断片的に思い出した。
その瞬間、また激しい頭痛に襲われた!
橘「うっ!」
七咲「先輩?先輩!!しっかりして下さい!!」
僕はその場に跪いた。



回想
第3話「先輩、また明日から頑張りましょう」
ヒュー!バサッ!
橘「ああ!ピクニックシートが!!」
僕は、風に飛ばされるピクニックシートを無我夢中で波打ち際に向かって追いかける!
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……
バサッ、バサッ、バサッ……
橘(頼む!止まってくれ!……大事な思い出の品を奪わないでほしい!)
橘「くそっ!何としてでも取り返してやるー!!」
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ…
バサッ、バサッ…
橘「止まったぞ!今がチャーンス!滑り込み…」
ザッバーーーーーーーーーーーーーーン!
橘「セーーーーーーーフ!ぐふっ」

橘「大丈夫だよ。ほら、この通り、しっかり掴んでいるから」
僕は、ピクニックシートを強く握っていた。大切な物を失いたくないからな

橘「こんなピクニックシート……じゃないよ。これは……大切な思い出の品じゃないか」
橘「……ここでお弁当を食べたっていう証拠の品だ」
橘「僕は、こんな大切な物をそう安々と失いたくなかったんだ」

そう。僕はあの時、誰かとの大切な思い出を失いたくなくて……必死に追いかけた。
自分を犠牲にしてでも守りたいものがあったんだ。


第19話「先輩、海に行きましょう」
橘「あ、待て。口元にラーメンのスープが跳ねてる!」
??「え?」
橘「……」
??「ん……」
橘「これでよし。あんな小さな子には負けてられない!」
??「もう……先輩!いきなりキスをしてまたチアノーゼになったらどうするんです?」
橘「その時はまたキスをすればいい。人工呼吸をね!」
??「あ……その手がありましたか……」
橘「さてと。すっかり暗くなったな。帰ろうか」
??「はい」

小さな男の子の唇にキスをして人工呼吸を施す女の子を見て……
キスをされている男の子がすごく羨ましくなった。
救命のためにやむを得ないことだとはわかっていた。
だけど、何故か無性に羨ましくなって女の子に不意打ちでキスをした。
あの時のキスの味……何となく覚えている。



16時
橘家
橘「……あれ?ここは……僕の家?」
七咲「よかった。気がついたんですね、先輩」
橘「どうしてここに?確か僕は突然の激しい頭痛に襲われて、砂浜に跪いて……」
七咲「そのまま気絶したんです」
橘「気絶?そうだったのか」
七咲「はい。すごく心配しました」
橘「でも、あそこからどうやってここに?」
七咲「それは……たまたまそこに居合わせたおじさんに協力してもらって……」
七咲「先輩をポートタワーまで運んでもらい、そこからタクシーで帰って来ました」
橘「そっか。道理でな。女の子一人で僕を運ぶのはきついもんな」
橘「ありがとう」
七咲「あ、いえ。当然のことをしたまでです」
橘「でも、どうしてだろうな」
橘「また、せっかく何か思い出しかけたのに……悔しいよ」
七咲「……」
ジリリリリリン
橘「あ、電話」
七咲「私が出ます。先輩は寝てて下さい」
橘「わかった」

七咲「もしもし。橘です」
華村「おお!その声は七咲か」
七咲「華村さんですか?先輩のお友達の」
華村「ああ。ところで何でお前が出てるんだ?」
七咲「ちょっと色々あって美也ちゃんが留守で、先輩も電話に出られない状況で」
華村「そっか。あ、俺は連絡したいことがあって電話したんだ」
七咲「もしかして先輩の大学の講義についてですか?」
華村「ああ。後でしゅうちゃんに必ず伝えておいてほしい。大事な連絡だから」
七咲「大事な連絡?」
華村「ああ。来週法学の小テストがあるらしい」
華村「で、しかも範囲がかなり広いから早いうちから勉強しなきゃやばいんだ!!」
七咲「そうなんですか!?」
華村「ああ。しかも厄介なことに、赤点採った奴には補習をさせるってゴリラが言ってた」
七咲「……はい??ゴリラ??」
華村「あ……い、今の……聞かなかったことにしてくれ!!」
華村(やっべぇ!いつものくせでつい、あだ名を呼んぢまった!!習慣って奴は恐ろしいな)
華村(しかもこのあだ名、しゅうちゃんが考えただなんて言えないよな……)
七咲「ふふっ。わかりましたっ」
華村「え?」
七咲「出題範囲の広い法学の小テストが来週あって……」
七咲「赤点を採ったらゴリラっていう先生に怒られて補習をさせられるんですね」
華村「い、いや、それは……」
七咲「しっかりと先輩に伝えておきますね。他に何かありますか?」
華村「いや、それだけだ」
七咲「そうですか。では、ありがとうございました。失礼します」
華村「お、おーい七さ……」
ガチャッ。
七咲(ゴリラ……か。ふふっ、梅原先輩といい、松原さん、華村さんといい……)
七咲(橘先輩のお友達ってどうしてこうも面白い人たちばっかりなんだろう……?)
七咲(やっぱり先輩が変な人だからかな?類は友を呼ぶ……)

七咲「お待たせしました」
橘「それで?誰からだった?」
七咲「はい。華村さんです」
橘「華村?え?あいつが何だって?」
七咲「何でも……出題範囲の広い法学の小テストが来週あって……」
七咲「赤点を採ったらゴリラっていう先生に怒られて補習をさせられるそうです」
橘「マジか!?それはヤバい。あいつ怒ると怖いからな」
橘「ん??待てよ。ゴリラ??」
七咲「はい」
橘「何で七咲があいつのあだ名を知ってるの?」
七咲「ふふっ、華村先輩が口を滑らせました」
橘「あっちゃあ!あいつ何やってるんだ!?」
七咲「それはそうと。小テストの方はどうします?」
橘「どうって言われても……帰って勉強しなきゃまずいよな」
橘「でも、まだ思い出せないのに帰らなきゃいけないのか。くそぅ」
橘(ゴリラめ……余計なことを!!)
七咲「でも、やっぱり帰るべきだと思います」
七咲「テストのこともありますが、一番は先輩自身のためです」
橘「僕自身?」
七咲「はい。記憶を取り戻そうとして頑張り過ぎて……」
七咲「何度も何度も激しい頭痛に襲われていたのでは先輩の身がもたないと思います」
橘「それもそうか」
七咲「ですからちょっとした休憩だと思って一度帰りましょう」
橘「そうだな。あ、でも!」
七咲「何ですか?」
橘「せっかく帰省したのに、七咲は両親に逢わないまま帰っちゃっていいのか?」
七咲「あ……いえ。別に」
橘「よくないよ!」
七咲「え?」
橘「ちゃんとご両親にお逢いして僕のことをしっかりと伝えてくれ」
橘「昨日の美也の、電話による説明だけじゃきっと心配なさっているはずだから」
七咲「先輩……」
橘「ほら。もうしばらくしたら美也が帰って来るから、七咲は今晩だけでも実家に帰るべきだよ」
橘「それで明日、迎えに来てよ」
美也「にぃに。ただいま!!」
橘「美也!お前いいところに来た!!」
美也「ふえ?」

美也「なるほど。確かににぃにの言う通りだね」
七咲「美也ちゃん……」
美也「にぃにのことはみゃーに任せて。逢ちゃんは今晩だけでもゆっくり休んでよ」
七咲「うん。わかった。ありがとう、美也ちゃん」
美也「どういたしまして」
七咲「それじゃあ、先輩。また明日」
橘「うん。明日、一緒に帰ろうな」
七咲「はい。じゃあね、ありがとう、美也ちゃん」
美也「逢ちゃん、また明日ね」

こうして僕と七咲は明日の午前中にアパートに帰ることになった。
七咲は今晩実家に帰り、ご両親に近況報告した。
この日の夜は久々に美也と二人っきりで過ごすことになるのだが……

橘しゅうの部屋
美也「にぃに!にぃに!起きて!!」
橘「あ、ああ。美也か。こんな時間にどうした?」
美也「にぃにがものすごい声を出すからびっくりして飛び起きたよ」
橘「そっか。また悪夢を」
美也「にぃに、すごい汗だよ。本当に大丈夫なの?」
橘「あ、ああ。わざわざありがとうな」
美也「みゃーは心配だよ」
美也「だって、にぃに、毎晩悪夢にうなされて眠れないんじゃテストどころじゃない!!」
美也「逢ちゃんだって毎晩寝不足で……」
美也「みゃーはそんな二人が見ていられないよ」
橘「美也……心配かけてごめんな」
美也「ねえ、何かみゃーにできる事はない?」
橘「え?そう言われてもな……」
美也「みゃー、やっぱり何の役にも立てないのがすごく悔しいよ」
美也「黙って大好きな二人がボロボロになっていくのをただ見過ごすだなんて……」
美也「そんなの……みゃーには耐えられないよ!!」
橘「美也。気持ちは嬉しいけどな、こればかりはさすがに」
美也「にぃに」
橘「僕のことはいいから、美也はもう寝るんだ。早く休め」
美也「……うん。お休み」
橘「お休み、美也」
美也は不安そうな表情で僕の部屋を出て行く。


美也の部屋
美也「ぐすっ。ぐすっ」
美也(にぃに……逢ちゃん……。みゃーは……みゃーは一体……どうすれば?)
美也(どうすれば二人を助けられるの?そんなの……みゃーにはわからないよ)
美也(みゃーなんか何の役にも立たない。こんな時……誰かがいてくれたら……)
美也(……そうだ!!塚原先輩と森島先輩がいた!!)
美也(あの二人ならきっと何かいい知恵をくれる!!)
美也(明日、電話してみよう!!)

これまで橘しゅうの記憶を取り戻すために奔走して来た七咲逢。
それに彼女を支えて来た橘美也を始めとする4人の仲間たちと高橋麻耶先生。
そして二人の身を案じた橘美也によって……
今、最後のバトンが塚原響・森島はるか両名へと託されようとしている!!


美也(お願いします!!みゃーに代わって二人を助けて下さい!!)
美也の……この必死の想い……
はたして二人に届くのか!?



第25話に続く。

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://ilovenanasakiai.blog24.fc2.com/tb.php/43-63abae07
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Copyright (C) アマガミ・七咲逢をこよなく逢する七咲逢依存症患者の家. All rights reserved. Template by Underground
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。