--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2010-06-29

第18話「先輩、ちゃんと自力で起きてください」

4月上旬
七咲の入学式の日
新居
橘「七咲、おはよう」
七咲「先輩、おはようございます」
橘「今日は七咲の入学式か。楽しみだな」
七咲「そうですか?入学式なんて退屈だと思いますよ」
橘「うん。まあ、式自体は退屈だけどさ、何かすごく新鮮な感じがしてそれが楽しいんだよね」
七咲「例えばスーツ姿ですか?」
橘「そう!七咲のスーツ姿を見てみたいんだよね」
七咲「別に見ても感動しないと思いますよ?」
橘「そうかな?まぁ、とりあえず朝ご飯を食べよう」
橘「いただきます」
七咲「いただきます」



七咲「どうですか?」
橘「あ……似合う!すごく似合う!かっこいいよ!!」
七咲「そう……ですか?」
橘「うん」
七咲「ありがとうございます」
橘「じゃあ、行こうか」
七咲「あ、先輩」
橘「ん?」
七咲「ネクタイ……曲がってますよ」
橘「え?あ、本当だ」
七咲「ちょっと動かないでください。今直しますから」
橘「うん」

七咲「これでよし……と」
七咲「スーツ姿の先輩、こうして間近で見るとさらにかっこよく見えます」
橘「え?本当に?」
七咲「はい。本当ですよ」
橘「あ、ありがとう」
七咲「じゃあ、行きましょうか」
橘「うん」


七咲の大学
(イメージソング=ゆかな「ほほえみをあげたい」
スーツに着替えた僕と七咲が並んで行く。
桜の舞い散るキャンパス、ここがこれから七咲の通う道となる。いつもの道となるんだ。
出逢った当初は、この道を二人でスーツ姿で並んで歩くことになるとは思わなかった。
つくづく、七咲と出逢えてよかったと思う。
橘「……」
七咲「……」
輝日東高校での七咲との幾つもの思い出を胸に抱きしめてこの道を歩く。
忘れないよ、輝日東高校での日常はな!
季節が流れてもいつまでも輝いたあの瞳のまま……
お世話になった輝日東高校に「さよなら」ではなく……
ほほえみながら「ありがとう」と言いたい。
僕たちの明日のためにな!!
七咲「着きましたね」
橘「……」
七咲「先輩?」
橘「……」
七咲「先輩!」
橘「ん?あ、ああ」
七咲「今、ボーッとしてましたね。何を考えていたんです?」
橘「うん、ちょっとな」
橘「高校生活を思い出しながら、スーツ姿の僕らと満開の桜を見てたら……」
橘「何だか感傷的な気分に浸っていたんだよ」
七咲「なるほど。実は私もちょっと違和感を感じていました」
七咲「ついこの前まで制服を着た高校生だったのに、今ではスーツを着た大学生です」
七咲「初めてなので何だか変な感じがしますね」
橘「うん。去年の僕も同じ感想だった。でも、慣れればそうでもなくなるんだよね」
橘「不思議だな」
七咲「ええ。そうですね」
橘「じゃあ、僕は保護者席だからここからは別行動になるかな」
七咲「はい。では、またお逢いしましょう」
橘「うん。じゃあな」


こうして七咲の大学の入学式に参加した。
僕も七咲もかなり緊張した。
それは当然のことかもしれない。
七咲の大学は毎年数々のトップアスリートを輩出しているので……
僕の大学よりも規模が断然大きい。
スピーチした来賓の中には僕の知ってる選手もいてびっくりした。
それから毎回思うが、来賓の方々のありがたいお話が長くて……
ついつい居眠りしそうになった。
何とかならないものかな……。


入学式が終わり、いよいよ始業となる。
七咲も初めて大学の長い講義を体験することとなる。
輝日東高校では1限が50分だったのに対し、大学ではその倍近い90分だ。
七咲には内緒にしているが、僕は初めての講義でその長さに耐えきれず居眠りしてしまった。
他の学生はみな緊張して起きていたが、僕だけは居眠りしてしまった。
なので、僕はそのことで大学内で有名となってしまった。
だが、それはほんの一刻のことだったので今ではもう松原・華村くらいしか覚えていない。


始業の日の夜
新居
橘「いただきます」
七咲「いただきます」
橘「どうだった?初めての講義は」
七咲「意外と面白かったですよ。何だかあっという間でした」
橘「え?うそ……」
七咲「いえ。本当ですが」
橘「だってさ、時間が前よりも40分伸びたんだぞ。疲れなかったか?」
七咲「私はもともと水泳で培った体力があるので、別に疲れませんでした」
橘「へぇ。僕なんかさ、終了時間を勘違いして50分で片付けを始めようとしちゃったんだ」
橘「でも、先生と周りの学生は微動だにしなくて……」
橘「それを見て……あ、そっか。まだあと40分あったのかぁって気づいた」
橘「あの時は焦ったよ」
七咲「それはないですね!先輩、高校の時の癖が残っていたんですね」
橘「ないとか言わないでくれ。僕が傷つく」
七咲「いいえ。絶対に先輩だけですよ。そんなだらしない学生は。クスッ」
橘(まぁ、実際はそれだけじゃなくて、その残り40分間に耐えきれずに居眠りしたんだ)
橘(このことは、お説教されそうだから七咲には絶対に内緒にしておこう)
橘「ところで、友達はできた?」
七咲「はい。インターハイで競った子と友達になりました」
橘「おっ、早速ライバルを友達にしたのか」
七咲「はい。その子、2年前の輝日南でのインターハイにも出場していたらしく……」
七咲「橘先輩のこと覚えていましたよ」
橘「えっ?何て言ってた?」
七咲「七咲さんはいいわね。あんなに一生懸命応援してくれる彼氏がいて」
七咲「あの人、恥じらいを捨てて応援していたのね」
七咲「私もあんな彼氏がほしいなぁ……だそうです。ちょっと嫌味っぽく聞こえました」
橘「うわ……恥ずかしい」
七咲「私の方が何百倍も恥ずかしいです」
七咲「能天気な橘先輩はこれっぽっちも恥ずかしいと思っていないでしょうが」
橘「そ、そんなことない!!僕だって恥ずかしかったよ」
七咲「それはどうでしょうね」
橘「うう……信じてくれ」
七咲「クスッ」



七咲「先輩、明日は何限始まりですか?」
橘「僕は2限からだよ。だからぐっすり寝ていられる」
七咲「そうですか。でも、そうはさせませんよ」
橘「え?」
七咲「私はまた1限始まりなんです。だから明日の朝食は8時です」
七咲「一緒の時間に起きて、一緒に食べてもらいますからね」
橘「え?そんな……僕の貴重な睡眠時間が……」
七咲「先輩は私が起こしてあげないと寝坊しそうですからね」
橘「そんなことないって!朝ご飯作り置きしておいてもらえれば自分で食べて行くから」
七咲「いいえ。一緒に食べましょう。別々よりも一緒に食べた方がおいしいので」
七咲「それに料理は作り置きよりも出来立てが一番おいしいんです」
七咲「だから、先輩にはそれを味わっていただきたいのですが……ダメですか?」
橘「……」
七咲「私は先輩と一緒がいいんです。もし逆に先輩が1限で私が2限の時も……」
七咲「私が朝ご飯を作って先輩と一緒に食べます」
橘「わかった。そこまで言うなら、僕頑張って起きるよ」
橘「七咲のおいしい朝ご飯を食べるために頑張って起きるから!」
橘「七咲も頑張っておいしい朝ご飯を頼むよ」
七咲「はい!先輩……ありがとうございます」
橘「よし、じゃあ明日に備えて寝よう。おやすみ!」
七咲「おやすみなさい」

こうして僕は七咲と、早起きして一緒に朝ご飯を食べる約束をした。
たぶんつらいけど……七咲のために頑張ろうと思う!


翌朝
橘「スコー、スカー」
七咲「先輩!先輩!」
橘「スコー、スカー」
七咲「先輩、起きてください!!」
橘「スコー…」
七咲「……すぅ!」
七咲「おはようございます!!」
橘「うわあ!!び、びっくりしたぁ!!」
七咲「先輩、おはようございます」
橘「七咲……僕の耳元で大声を出すなんてひどいよぉ」
七咲「でしたらちゃんと自力で起きてください。昨日約束しましたよね?」
橘「う、うん。わかったよ。おはよう、七咲」
七咲「はい。先輩、おはようございます」
七咲「早く顔を洗ってご飯を一緒に食べましょう」
橘「うん。そうだな」

橘「いただきます」
七咲「いただきます」
橘「はぁ。もっと甘い起こされ方がよかったよ。例えばキスとか」
七咲「嫌です」
橘「えっ!?」
七咲「そんな甘い起こし方じゃ先輩は絶対に起きないので」
橘「起きてみせるさ!」
七咲「どうでしょうね」
橘「よし、次こそ頑張ってみせる!!」
七咲「期待してます」

七咲「それじゃ、私は学校に行きます。先輩、くれぐれも二度寝はしないように」
七咲「私許しませんので。そのつもりで」
橘「わ、わかったよ。ちゃんと時間通りに行くから」
七咲「じゃ、行って来ます」
橘「行ってらっしゃい」


橘「さてと、七咲がああ言ってることだし。僕も行くか」

こうして七咲に起こされて一緒に朝ご飯を食べて学校に遅刻せずに行った。
何かいつもの僕らしくなくて変な感じがしたけど……
これでよかったんだよな。


橘しゅうの大学
1限終了
華村「はぁ。まったく。焦ったぜ。起きたら9時半だったんだ」
華村「おかげで1限遅刻しちまったよ」
松原「おいおい!お前もしゅうちゃんを見習えよ」
松原「30分早く学校来てたみたいだぜ」
華村「見習うったって……しゅうちゃんは反則だからな」
橘「反則って何だよ!?」
華村「だって俺らが自力で起きるのに対し……」
華村「しゅうちゃんは七咲に起こしてもらったんだもんな」
松原「そっかぁ。いいよなぁ……」
橘「いや、ちっともよくないぞ」
松原「たぶん、キスとかで起こされたんだろ?うわ……」

妄想
七咲「せん……ぱいっ♪お・き・て♪」
チュッ。
橘「お、おお。今起きたぞ、僕の愛しの逢……」
橘「その……唇に……僕、乾……杯」

橘「って!あのなぁ!!悪いけど、こんな甘い展開じゃないし!」
橘「耳元でいきなり大声出されたんだ!びっくりしたよ」
松原「ほわ……」
華村「ふぅ……」
橘「お前ら……聞いてないな。先行くぞ。遅刻するなよ」
松原「ほわ……」
華村「ふぅ……」
橘(ダメだ、こいつら)


翌朝
橘「スコー、スカー」
七咲「……」
七咲「……すぅ!」
七咲「おはようございます!!」
橘「うわあ!!び、びっくりしたぁ!!」
七咲「先輩、おはようございます」
橘「またか。これじゃあ、生命いくつあっても足りないよ」
七咲「先輩の嘘つき。昨日自力で起きるって約束しましたよね?」
橘「あ……やっちゃった」
七咲「もういいです。早く食べてください」
橘「うわ……」
橘(心なしか、七咲が冷たくなってる!!)
橘(そりゃそうか。これで2度目だもんな。明日こそ頑張ろう!)


翌朝
橘「スコー、スカー」
七咲「……」
七咲「……すぅ!」
橘「隙あり!」
七咲「うぐっ」
僕は起こしに来るであろう七咲を驚かせるためにタヌキ寝入りをしていた。
七咲が大声を出そうと思いっきり口から息を吸い込んで……
頬を膨らませたのを見計らって……
口封じに上体を起こしてキスをお見舞いしてやった!
橘(これでどうだ!?)
七咲「んん……」
橘「……」
七咲「んー……んー!!」
ボコッ。
橘「うお……」
ガクッ。
七咲「はぁはぁ。苦しかった」
橘「い、痛い。お腹を殴るなんて反則だ」
七咲「先輩こそキスをするなんて反則ですよ」
七咲「しかも、思いっきり息を吸い込んだ状態だと苦しいに決まってるじゃないですか!」
七咲「なのに、ちっとも離してくれなかった……」
七咲「こうするしか……なかったんです」
橘「ご、ごめん。つい調子に乗った。今のは完璧な正当防衛だな」
橘「でも、僕今日こそはちゃんと自力で起きたぞ。三度目の正直だ」
七咲「偉い……とでも言ってほしいんですか」
橘「うん」
七咲「先輩は当たり前のことをしたまでです。別に偉くありませんよ」
橘「え?せっかく頑張ったのにひどい」
七咲「早く朝ご飯食べてください」
橘「う……軽く涙目」

こうして三度目の正直で僕はようやく自力で起きた。
でも、やり方を間違えてまたしても七咲を不機嫌にしてしまった。
明日からは普通に起きよう。
うん。その方が身のためだ!


4月中旬
夕食時
新居
TV「ニュースです」
TV「今朝8時頃、○○で道を歩いていた会社員の女性が……」
TV「後ろから来た若い男にいきなり刃物で斬りつけられるという事件が発生しました」
TV「女性は右肩を斬られ、生命に別状はなく、全治1週間の軽い怪我を負いました」
TV「警察では犯人の行方を捜査しており……」
七咲「いきなり後ろからですか?怖いですね!」
橘「うん。やり方が汚いよ……じゃなくって!絶対に許せない!!」
七咲「私も前に街でナンパされそうになったことがあるので、怖いです」
七咲「街を歩く時は注意しないと」
橘「大丈夫だよ。その時はまた僕が駆け付けるから!」
七咲「でも相手が凶器を所持していたらどうするんです?」
七咲「いくら頼れる先輩でもこれでは太刀打ちできませんよ」
橘「そうだな……困ったな」
七咲「……」
橘(って!ニュースつけてるせいで暗くなったじゃないか!)
橘(ここは明るい話題に変えるべきだ)
橘「そ、そうだ。七咲」
七咲「はい」
橘「今度のゴールデンウィーク、いつ帰ろうか」
七咲「そうですね……先輩はいつがいいです?」
橘「僕は……基本的にいつでも。けど、帰るなら二人一緒がいい」
橘「一緒になるべく早く帰るんだ。夏休みはバイトが入っていつ帰れるかわからないし」
橘「ひょっとしたら帰れないなんてことも大いにあるからな」
七咲「でしたら……29日にします?私も特に予定はないので」
橘「うん。じゃあ、29日の午前中にこっちを出よう」
七咲「はい」
橘「楽しみだなぁ。高橋先生や七咲の両親にまた逢える」
七咲「……先輩。一人忘れてますよ」
橘「ああ。梅原か」
七咲「いえ。梅原先輩はどうでもよ……くないですけど」
橘「うわ……今七咲、さり気なくひどいこと言いかけたぞ」
橘「後で梅原に報告しておこう」
七咲「それはいいとして!先輩、美也ちゃんを忘れていませんか?」
橘「あ……すっかり忘れてた。あいつ今頃何してんだろ?」
七咲「今の、後で美也ちゃんに言いつけておきます!」
橘「やめてくれ!それだけは勘弁!」
七咲「でしたら先輩も梅原先輩には内緒にしてください」
橘「わかったよ!絶対にしゃべらない」
七咲「はい。では、そういうことで」

こうして七咲と今月29日に帰省することになった。
楽しみだなぁ。久々の輝日東。
それにしても交換条件でお互いに内緒……か。
はたしてこれでよかったのだろうか?



第19話に続く。

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://ilovenanasakiai.blog24.fc2.com/tb.php/36-2273d05c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Copyright (C) アマガミ・七咲逢をこよなく逢する七咲逢依存症患者の家. All rights reserved. Template by Underground
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。