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2013-01-08

エピソード正月版’13「初夢のお話」

皆さん、初めまして。
私は、七咲しゅうと逢の娘、祈です。
小学校低学年で、私には1歳の弟・幸伎(こうき)がいます。
しっかり者のお姉ちゃんなんだっ!えへへ。

(はぁ、初めての説明だから緊張しちゃって……)

うっ、うんっ!
皆さん、「初夢」って知ってますか?
先生とかお友達は「初夢は大みそかから元旦にかけて見る夢で、新しい年をうらなうものだ」と言っています。
元旦の夜に見るとか、その次の日の夜とか、考え方は人それぞれみたいですね。
私は今のところよく分からないので、先生とかお友達のお話を信じています。

あ、もう9時!
早く寝ないとお母さんに怒られちゃう。
そういうわけで、今夜はいい初夢を見られるといいな。



……
……
場所は七咲家、時は夕飯の後。
そこには僕の他に、逢、祈と知らない少年がいる。

少年「な、なあ、父さん、ちょっといい?」
しゅう「何だ?」

ん?父さん?
今少年は僕を父さんと呼んだな。
てことは、この少年は大きくなった幸伎なのか?

僕は幸伎の部屋に連れて行かれた。

しゅう「どうしたんだ、一体?」
幸伎「大事な話があるんだ。母さんや姉ちゃんには内緒にしてほしい」
しゅう「……分かった。男と男の約束な」
幸伎「さすが父さん!話が早いな」
しゅう「まあな。お前もそういうお年頃だしな。それで?」
幸伎「……母さんって、おっぱい小っちゃいよな」
しゅう「……は?」
幸伎「だから!その……母さんって胸、小さいよな」
しゅう「お、おう……いきなりどうした?」
幸伎「放課後、カズたちと一緒に帰ったんだ。そん時言われたんだよ」
幸伎「この前の授業参観日にお前の母ちゃん見たけど、なんかおっぱいがさみしいな……って」
しゅう「何だと!?そんなこと言われたのか!!」
幸伎「しーっ。声が大きい」
しゅう「悪い」
幸伎「確かにカズの母さんはボインボインだし、クラスの女子もそれなりにボインだし」
幸伎「なのに、母さんや姉ちゃんは親子揃ってまな板じゃないか。ねーよなぁ」
しゅう「うーん……確かにな。悔しいよな」
幸伎「どうしたらおっぱいって大きくなるんだろうな」
しゅう「それが分かりゃ苦労しないよ」

とは言ったものの、僕は以前逢に頼まれて胸を大きくするための胸マッサージをしたことがあった。
思えばあれから逢は変わってしまった。
あれ以来逢の胸マッサージがエスカレートしていって、最終的には妊娠出産へ……。
あ、何のことか分からない人はこの記事を参照。
しかし胸マッサージからの性○為をやっても逢の胸は大きくならなかった。
当然だ。それで本当に大きくなったら苦労しない。
元々期待してなかったけど、最終的には逢も喜んでいたから、まあいいか。
もちろんこのことは例え息子相手でも話せない。これも息子の性教育のためだ、うん。

その時、ドアがガラッと開いた!!

幸伎「えっ?」
しゅう「うわ……」

洗濯物を脇に抱えた逢が鬼の形相で睨んでいる!!
まずいことに、どうしたの、という様子で祈まで駆けつけた!!

幸伎「か、母さん……あ、洗濯物届けてくれたんだな、ありがとう」
逢「幸伎。お父さんと一体何をそんなに楽しそうにお話してたの?」
幸伎「あ~えっと……」
逢「楽しいお話を二人だけでするなんてズルいじゃない。ねぇ、お母さんにも聞かせてくれない?」
祈「えっ?何、楽しいお話??聞きた~い!」
しゅう(頼む、祈は聞かずに帰ってくれ!!)
しゅう「あ~ほらもう10時だし。そろそろ寝た方がいいんじゃないか?楽しいお話はまた明日……」
逢「祈。お父さんと幸伎が、お母さんと祈の胸がまな板だって文句言ってたそうよ」
祈「えっ!?何??最低!!」
しゅう「うわあああああ!!恐れていたことが!!」
祈「お父さんと幸伎の変態!バカ!クズ!最低!」
幸伎「おい、姉ちゃん!!母さんの言ってることはな……」
祈「近寄らないで、包丁!!」
しゅう「……包丁?ああ、まな板とセットで、まな板の心を切り刻んだから。うまいな~……って、おい!!」
逢「グスッ、グスッ。胸が小さくても好きだって言ってくれたのに。あれは嘘だったんですね!!」
しゅう「えっ??」
祈「何?お父さんそんなこと言ったの?」
逢「グスッ、うん」
祈「お母さんを泣かせるなんて!!裏切り者!!変態!!もうお父さんなんか大っ嫌い!!幸伎も!!」
幸伎「そ、そんな……」
しゅう「ちょ、誤解だって!!ちゃんと話せば分か」
逢「出てって!!今すぐこの家を出てって!!家族の縁を切る!!もう金輪際顔も見たくない!!」
しゅう「そ、そんな……」

逢いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
祈いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい



ガバッ!!

しゅう「ハァハァハァハァハァハァ……ああ、はあ、夢かっ!!夢でよかった、いや、よくない」

1月1日、午前5時。
僕は悪夢を見てしまって勢い良く目覚めた。
大量の寝汗でびしょびしょだ。
まったく、初夢がこんな悪夢とは……僕はツイてないな。
……二度寝しよう。


一方、その頃


……
……
ここは先輩の勤めている警察署。
いつも作ってあげているお弁当。
普段は出勤時に持たせてあげているのに、今日は先輩が慌てていて家に忘れてしまって。
たまたま暇だった私が届けに来たというわけです。
もう、しっかりして下さい先輩。

この角を曲がれば先輩の勤めている部署。
あ、先輩が廊下に!
でも、誰かと話している。終わるまで待たなきゃ。

しゅう「やあ、菊川さん。今日も綺麗だね」
菊川「あらあら、褒めても何も出ないわよ。そういうセリフは奥さんに言ってあげなさい」
しゅう「耳にタコができるほど言いましたよ」

あの人は……確か交通課の菊川さんだったかな。

しゅう「それより、今度の土曜日食事に行きませんか?」

えっ?今度の土曜日は親子揃って食事に行く予定じゃ?

菊川「あら、奥さんやお子さんはいいの?」
しゅう「いいんですよ、たまには。僕だって息抜きがしたいし」

息抜き!?
家にいたんじゃ気が休まらない?

菊川「あら、家族と一緒じゃ気が休まらないの?」
しゅう「ええ。そうなんですよ。休日は休みたいのにどこか連れてけってうるさくて」
しゅう「僕はこう見えて毎日真面目に働いているんです!!休日くらい休ませてほしいです」
菊川「なるほど」

そ、そんな……先輩……。

ゴトッ。
あまりのショックにお弁当を床に落としてしまった。
そして泣きながらその場を逃げ去った。

しゅう「ん?逢??来てたのか。あ!まずい!!今の会話聞かれた!!」
しゅう「逢!待ってくれ!!」
菊川「あら、奥さんなんかいいじゃない。今度お食事しましょう」
婦警さんたち「あ!七咲刑事だ!!一緒にお食事しませんか?」
しゅう「あ、ちょ……」

婦警さんたちにモテモテで嬉しそうな先輩が憎たらしい!!
私は一目散に走った……

ドンッ!

逢「きゃっ!」
刑事「うわっ!だ、大丈夫ですか?」

角で男の刑事さんとぶつかった。

逢「あ……」
刑事「お怪我はありませんか?」
逢「は……い」

私は刑事さんの顔を見つめたまま動けなくなった。

刑事「あの……」
逢「……」

刑事さんは……カッコ良かった。私はあろうことか一目惚れ。
たった今先輩のあの光景を目の当たりにしたばかりだというのに。

刑事「立てますか?せいのっ」
逢「ああっ」

私は刑事さんに抱きしめられた。
先輩よりもしっかりした体つきの人なので、抱かれた瞬間嬉し過ぎて放心状態に。

刑事「かわいそうに。旦那さんに捨てられたんですね。僕で良ければあなたを一生幸せに……」
逢「え?え?」

刑事さんの唇が迫る!!

だ、だめ。
そんなの絶対だめ。
だって私には先輩が。祈が。幸伎が。
でも、でも、もっとこの人に抱かれていたい。
離れたくない。
どうしよう。

ピピピピピピピピピ……。

ガバッ!!

逢「……夢」

カチッ。

1月1日午前7時。
私は目覚まし時計のアラームで目が覚めた。
目覚まし時計が助けてくれなかったらもう少しで不倫に発展するところだった。
何だったんだろう、あの夢は。
先輩がモテモテ?
失礼だけど、そんなはずはない!
私が一目惚れするなんて……そんなはず……たぶん、ない。
先輩が菊川さんに浮気……?
でも確かあの人って私よりも2世代上で子持ちだったような。
うーーーーーん。もうどうでもいい!
とにかく、朝飯の支度をしないと。


……
……
そして、七咲家のリビング

祈「お母さん、おはよう!」
逢「祈、おはよう」
祈「お父さん、おはよう!」
しゅう「あ、うん、おはよう……」
祈「ん?」
逢「おはようございます」
しゅう「……おはよう」
逢「ん?」

お父さんはお母さんと私の顔を見てすぐに目をそらした。変なお父さん。
あれ、何かお母さんもお父さんの顔が見れないみたい。変なお母さん。

しゅう「新年」
3人「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
しゅう「いただきます」
逢・祈「いただきます」

あいさつをしてみんなで食べる朝飯。
いつもなら盛り上がるのに、今日はお父さんもお母さんも黙っちゃって何か変。

祈「あ、そういえば!」
しゅう「どうした?」
祈「ねえ、お父さんとお母さんは見たの?」
逢「何を?」
祈「初夢!」
逢「ぶっ!」
しゅう「ぐごっ!!も、もひが、のおに……」

私が初夢って言葉を口にした途端に、お母さんはお雑煮を吹いて、お父さんはお餅を喉に詰まらせたみたい。

祈「お父さん!?大丈夫??」
しゅう「おえっ!!はあ、ああ、死ぬかと思った」
祈「もう!気を付けてよ。お餅を喉に詰まらせて亡くなる人、毎年いるらしいから」
しゅう「ありがとう、気を付ける」
逢「えっと、初夢の話だったね」
祈「うん」
逢「祈が成長してカッコいい彼氏を連れて来る夢を見た」
祈「本当に?私なんてモテないよー」
しゅう「お母さんに似ればきっとモテるんじゃないか?」
逢「えっ?」
祈「そう?お父さんみたいな彼氏ができるってこと?」
しゅう「うん、間違いないよ」
逢「……そ、そういうお父さんこそ、どんな初夢を見たの?」
しゅう「えっ?ああ、大きくなった幸伎と広い野原でキャッチボールしてる夢」
祈「キャッチボール?」
しゅう「そう。息子とキャッチボールするのはお父さんの夢なんだぞ」
祈「ふ~ん」
逢「祈は?」
祈「綺麗なお花畑で、お父さんとお母さんと幸伎とで楽しく遊んでいる夢」
しゅう「女の子らしい楽しそうな夢じゃないか。いいなあ」
祈「今度お花畑連れてってくれる?」
しゅう「いいよ。今度の土曜日に行こうか」
逢「えっ?」
しゅう「ん?」
逢「ああ~~、うん、美味しいお弁当作ってあげるね!!」
祈「やったあ!!!!」


……
……
その夜

しゅう「祈が寝たからそろそろいいか」
逢「そろそろ?」
しゅう「逢、嘘ついてるだろ?」
逢「何のことです?」
しゅう「初夢」
逢「……バレてましたか」
しゅう「分かりやすい」
逢「そういう先輩こそ死にかけたじゃないですか」
しゅう「ま、まあな」
逢「で?」
しゅう「お互いに、その、何て言うか怒らないってことで……」
逢「怒らない?」
しゅう「このまま新年早々嘘ついて黙っているのは健康に良くないからさ」
逢「そう、ですね。私はいいですよ。覚悟はできてます」
しゅう「ぼ、僕もさ」
逢「先輩からどうぞ」
しゅう「逢からどうぞ」
逢「先いいですよ」
しゅう「そっちこそ!」
逢「ああ、もうじれったいですね。健康に悪いですよ」
しゅう「あ、それもそうだ。じゃあ、僕から言う」
逢「……」
しゅう「は~~~~~~~~」

大きく息を吐いた後、僕は逢に正直に打ち明けた。

逢「……最低。変態。クズ。正月早々何でそんなエッチな夢を見てるんですか?しかも女心を傷付けて」
しゅう「ご、ごめん!!僕のせいじゃ……」
逢「先輩はやっぱり胸の大きな人が好み……」
しゅう「な、泣くな!」
逢「泣いていません!怒っているんです!」
しゅう「怒らないって約束じゃ……」
逢「怒りたくなりますよ。私の夢の中でも私を傷付けたんですから」
しゅう「逢の夢の中?」
逢「はい」

今度は私が先輩に正直に打ち明けた。

しゅう「そ、そうかぁ。僕はそんなにモテモテなのかぁ!」
逢「残念ながら、それはありません」
しゅう「がっ!否定するなよ。それを言うなら逢が一目惚れすることも……」
逢「あるかもしれませんよ」
しゅう「何で?」
逢「胸の大きな女性と不倫している旦那さんが嫌になって……」
しゅう「すみませんでしたっ!!」
逢「どうして土下座するんです?」
しゅう「だって、僕の夢の中の幸伎が僕みたいな男になってしまったのも……」
しゅう「逢の夢の中の僕が不倫していたのも……」
しゅう「全部僕のせいだから!!!」
しゅう「本当にすみませんでしたっ!!」
逢「……先輩。もういいですよ。顔を上げ」
しゅう「しかし悔しいな」
逢「悔しい?」
しゅう「その誰だか知らない刑事、僕よりもしっかりした体つきの人で、抱かれて気持ち良かったんだろ?」
逢「……はい」
しゅう「……よしっ!」
逢「あ……」

ぎゅーっ。

逢「先輩……何を」
しゅう「僕、もっともっと逢のことを大切にする。胸なんて気にしない!」
しゅう「もっともっと強くなって逢をもっともっと気持ち良く抱いてみせる!」
しゅう「幸伎だって、ちゃんとまっすぐ育てるさ!約束する!」
逢「……ふふ。楽しみです。大好きな旦那さん。大好きなお父さん」

ちゅっ。

祈「眠れない……あ」

お父さんとお母さん、すごく仲いいみたい。よかった。
今朝のあれはたぶん夢だったんだね。

七咲家は今年もきっと平和です。



七咲アフターストーリー
エピソード正月版’13「初夢のお話」
END


久しぶりにお話を書いたので色々分かりづらかったかと思います。
今回はご覧の通り、視点がコロコロ切り替わっています。

新しい取り組みとして、祈ちゃんに説明役をやってもらいました。
上手にできてたよ。拍手。

・冒頭、祈ちゃんの説明
・しゅう視点になって、しゅうの夢
・逢視点になって、逢の夢
・祈ちゃんに視点を戻して一家の新年最初の朝ご飯
・それから夜になって、しゅうと逢の視点混合
・最後に祈ちゃんにパスしてゴール

っていう流れでした。

しゅうと逢がお互い嘘の初夢発表をした際にお互いの初夢に登場した単語を口にしてひっかかりを覚えるという一面も。

まあ、とにかくそんな感じです。


皆さんは今年どんな初夢を見ましたか?
ちなみに僕の初夢は覚えていないくらい変な夢でした。
あまり寝付けなかった記憶しかないorz
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