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2011-12-15

第5章「打て終止符!事件解決へ」

一方、その頃……

2年A組教室

絢辻さんは電話を終えて戻っていた。
僕と逢と薫が教室を出て行ってから結構時間が経っていた。

塚原「長かったわね」
絢辻「ええ。仕事絡みで」
桜井「お仕事、大変だね」
伊藤「あんたもアイドルなんだから、大変でしょ?」
桜井「そうだった……えへへ」
中多「桜井先輩って、アイドルなんですか?」
桜井「うん。KBT108のメンバーなの」
中多「そうなんですか。すごいです」
田中「え?中多さん、知らなかったんだ。時々雑誌に桜井さん載ってるよ」
中多「そうなんですか!」
森島「あ、そうか!忘れてた。確か紗江ちゃん、グラビアか何かやってたっけ?」
中多「はい」
森島「どこかで見た顔だと思った」
塚原「呆れた。同じ学校にいたのに学校で逢ったことないの?」
森島「う~ん。分からない」
塚原「これだよ……はるかの物忘れ」
絢辻「そういえばあの3人はどこに行ったのかしら?」
塚原「そうね。遅いわね」
森島「私がちょっと探してこよっか?」
塚原「いや、はるかはここにいなさい」
森島「え?どうして?」
塚原「理由は簡単。危ないから」
森島「どうしてよ~?私全然平気だから」
絢辻「森島先輩は被害者なので危険です。また狙われる恐れがあります」
森島「そっか」
塚原「仕方ないわね。絢辻さん。私たちで捜しに行きましょ」
絢辻「そうですね」
塚原「みんなはここで大人しくしててね」
桜井「はーい。ポリポリむしゃむしゃ」
中多「おいしい……」

こんな状況だと言うのに梨穂子と中多さんはまたポロッキーを食べている。

塚原先輩と絢辻さんが教室を出て行こうとしたその時……

ガラガラ

しゅう「すみません。夫婦喧嘩の後、ちょっとお腹を壊してトイレに篭っていました」
塚原・絢辻「!?」
塚原「ぶ、無事で良かった」
絢辻「七咲さんもトイレに?」
逢「ええ、まあ」
森島「しゅう君に逢ちゃん!……んもう、人騒がせなんだから」
しゅう「すみません。でも、おかげでスッキリしました」
田中「あれ?薫は一緒じゃなかったの?」
しゅう「ああ。あいつはよっぽどひどい物食ったらしくてまだ……」
棚町「あたしがどうしたって?」
しゅう「!?か、薫!?」
棚町「ほら、連れて来てやったわよ」
夕月「つ、塚原!それにりほっちじゃねぇか!」
飛羽「飛羽愛歌……参上」
桜井「るっこ先輩!飛羽先輩!」
夕月「りほっち、久しぶりだなぁ!……ん、太った?」
桜井「そ~んなわけないじゃないですかぁ」
飛羽「りほっち、かわいい」
桜井「て、照れちゃいます」
塚原「あら?あなたたちも参加してたのね」
絢辻「遅いわよ」
伊藤「二人とも制服が埃まみれ。どこにいたの?」
夕月「何か、わけのわからん薄汚い部屋だ」
飛羽「物を隠すにはちょうどいい」
しゅう(ゲッ!)
棚町「この2人は屋根裏部屋にいたのよ」
田中「屋根裏部屋?」
中多「そんな部屋あるんですか?」
棚町「あたしも知らなかったんだけど、こいつが教えてくれたの。屋上から行けたわよ」
絢辻「どうしてそんな部屋を知ってるの?」
しゅう「え?あ、ああ、た、たまたまだよ。誰だったかは忘れたけど先生から聞いたんだ」
棚町「ふ~ん」

そう、あの時していた会話……。

棚町「はい、これあんたの手錠」
しゅう「ああ、ありがとう」
棚町「で?この後どうするの?」
しゅう「僕と逢は教室に戻ろう。薫には行ってほしい場所がある」
棚町「どこ?」

僕は薫に耳打ちした。

しゅう「屋上に行くとそこに扉があるんだ。その扉を開けると入れる屋根裏部屋がある」
しゅう「たぶんそこにまだ被害者がいるはずなんだ。行って来てくれないか?」
棚町「な~るほどね」
しゅう「そう」
棚町「ねぇ、あんたもしかしてさ……」

薫が僕に耳打ちした。

棚町「在校生時代、そこにHな本、隠していたんじゃないの?」
しゅう「ええっ!?そ、そんなこと断じてないよ」
棚町「本当?」
しゅう「う、うん」
逢「あの……2人してさっきから何を?」
しゅう「い、いや、ちょっとした作戦会議」
棚町「わかった!行って来る!」

しゅう(屋根裏部屋って聞いた瞬間にすぐそんなこと聞くからびっくりした)
しゅう(本当、女の子って勘が鋭いんだな)
桜井「3人とも、お腹空いてるでしょ?お菓子食べる?」
しゅう「いいや。遠慮しとく。お腹壊したし。お菓子よりもおかしい話があるんだ」
桜井「……え?」
逢「……」
しゅう「な、なんでみんな黙るんだ!?」
塚原「……はぁ」
夕月「何を言い出すかと思えば」
飛羽「くだらない」
しゅう「おかしい話があるっていうのは本当のことだよ」
しゅう「さっきトイレに篭って何もかもスッキリしたよ……事件のこともね」
絢辻「分かったの?犯人」
しゅう「うん。何もかも。ちょうど全員揃ったところで、謎解きをしようか」
飛羽「THE、全員集合」
夕月「誰なんだい、私たちをひどい目に遭わせた犯人は!?」
しゅう「その前に、僕と逢と薫がトイレに篭っていたという話。それは嘘です」
しゅう「本当は犯人によって、ある場所に閉じ込められていたんです」
桜井「ある場所?トイレじゃなくて?」
伊藤「何でそうなる?」
桜井「あれ?違った?」
森島「ありゃ、トイレじゃなかったのね」
伊藤「あなたもですか!?」
しゅう「実は犯人が分かったから、逢と薫と一芝居打って教室を飛び出したんだ」
田中「あれ、芝居だったの!?本物の夫婦喧嘩に見えた!」
棚町「あたしもびっくりしたわ。いきなりこんなメモ渡されるんだもん」
逢「犯人の狙いが私たちだと分かったので、わざと犯人に狙われてある場所に監禁されました」
中多「ある場所?」
逢「皆さんご存知ないと思いますが、プールのそばに物置があるんです」
逢「水泳に必要な道具が置いてあります」
森島「物置?え?だって水泳に必要な道具はプールにも置いてあったじゃない」
棚町「プールに置ける量が限られているから、余った物は物置に保管しているってことね」
逢「はい」
塚原「……」

塚原先輩の表情がやや曇る。

中多「物置……知りませんでした」
逢「知らなくて当然のはずです。だって、あの物置は……水泳部員しか知らないはずですから!」
伊藤「ええっ……あ、そっか。そうなるんだ」
夕月「てことはまさか!」
逢「ええ。もうお分かりですね?このメンバーで元水泳部員の人が犯人です」
桜井「分かったーーー!」
しゅう「分かったか、桜井?」
桜井「うん!犯人は……逢ちゃん!あなたね!」
逢「……はい??ん、んん」

逢は軽く咳払いをする。

逢「犯人はそう……塚原先輩!あなたしかいませんよね?」

みんなが塚原先輩を見る。

夕月「塚原!てめぇ!よくも」
塚原「ま、当然そうなるわね。だけど、このメンバーだったらっていう仮定でしょ?」
伊藤「ちょっと待って!それだったらおかしくない?塚原先輩は七咲さんを眠らせた犯人じゃないよ」
森島「うん。ひびきちゃん、ずっと教室にいた」
しゅう「ええ。だからこれはあくまで仮定です」
しゅう「塚原先輩が実行犯じゃないとしても、他の犯人に入れ知恵した可能性もある」
逢「他の生徒とか教員の中に犯人がいるかもしれませんね」
棚町「絢辻さん、ちょっといい?」
絢辻「え?な、何?」

薫は絢辻さんの前にしゃがみ込んでスカートに鼻を当てた。

棚町「クンクン……」
田中「な、何してるの、薫」
森島「ワンチャンの真似ね」
棚町「間違いない。ねぇ、絢辻さん。あたしの香水スプレーはどうしたの?」
絢辻「香水スプレー?何のこと?」
棚町「とぼけても無駄よ。あたしを閉じ込めた犯人が絢辻さんだってこと、ちゃんと知ってるんだから」
中多「え?絢辻先輩も?」
桜井「本当に?」

みんなが絢辻さんを見る。

絢辻「証拠は?」
棚町「あたしを背後から狙っている人の気配を感じてこっそり手鏡で顔を確認した」
棚町「さらに、その人に襲われて抵抗している時、どさくさに紛れて香水スプレーをかけてやった」
棚町「そう。ちょうど今あたしが匂いを嗅いでいた辺りにね」
棚町「そしてあたしから没収した手鏡と香水スプレーはたぶん……」

薫は絢辻さんの荷物を物色し始める。

絢辻「ちょ!やめなさい。人の荷物を勝手に」
棚町「いいじゃない。同じレディの荷物なんだから」
棚町「ここにあるはずよ。絢辻さんが犯人だっていう証拠の……あった!」

薫はゆっくりと証拠品を取り出した。

棚町「あたしの手鏡と香水スプレーがね!」
絢辻「う……」
中多「絢辻……先輩」
桜井「ふええええええ」
伊藤「どうして持ってたの?」
棚町「捨てるに捨てられなかったでしょうね。人様の大事な物だから」
逢「棚町先輩、すごいです」
棚町「なーに。大したことないわよ。刑事ドラマか何かで見たやつを見よう見真似でやっただけ」
しゅう「でも、すごいな」
棚町「さあ、塚原先輩の方は証拠がないけど、絢辻さんの方はバッチリ証拠が出てきたわ」
桜井「でも、おかしいよ?絢辻さんも教室に……」
伊藤「あれは電話するフリして教室を飛び出したんでしょ。着信履歴見ればすぐに分かる」
森島「そっか!あれは電話が来たと装うために着信音を鳴らしただけなのね!」
伊藤「そういうことですよ、きっと」
絢辻「ふふふ。ふははは」
森島「絢辻さん?」
絢辻「見事ね、棚町さん。じゃあ、塚原先輩と私がこの同窓会の主催者って言いたいのね?」
棚町「残念。塚原先輩と絢辻さんはただの共犯者。主催者は他にいるのよ」
田中「ほ、他にいる?」
伊藤「マジで?」
しゅう「そう。塚原先輩と絢辻さんはただの共犯者だ」
しゅう「そして主催者の謎を解くためのヒントは今まで起きた6つの事件に隠されている」
桜井「え?6つ?そんなにあったっけ?」
伊藤「えっと、確か、あたしと桜井が食堂で眠らされた事件」
中多「わ、私が図書館で眠らされた事件」
森島「私が保健室で眠らされた事件」
田中「私が家庭科室で眠らされた事件」
逢「しゅう先輩、棚町先輩、私が物置に閉じ込められた事件」
夕月「私と愛歌が屋根裏部屋で眠らされた事件……ってとこか」
飛羽「6つ、揃ってる」
塚原「で?これのどこにヒントが?」
しゅう「まずは中多さんが読もうとした本“頭文字(イニシャル)K”
中多「え?あ、あれは」
絢辻「あれが何を示すか分かったの?」
しゅう「うん。頭文字(イニシャル)Kが示すヒントはずばり、場所の頭文字(イニシャル)だ」
逢「場所?事件の現場のことですか?」
伊藤「それさっきうちらで話し合ったけど、分からなかったじゃん」
桜井「そうだよ~」
しゅう「新たな場所が加わったし、もう一回思い出してみよう」
伊藤「思い出す?えっと、あの本の通りに当てはめると……食堂はS
中多「図書館はTですね」
森島「保健室はエッチね!」
塚原「だから……そこで何でエッチを強調するの?」
森島「いけないの?」
塚原「……」
田中「家庭科室はK
棚町「物置はMね」
飛羽「最後はY
逢「STHKMY?何のことです?」
しゅう「第2のヒント。それは……学年
絢辻「学年?」
しゅう「おかしいと思わない?あの案内状の文章」

背景
暑さが本格的になって参りました。
皆様、熱中症などにはくれぐれもお気を付け下さい。
さて、下記の日程で輝日東高校の同窓会を開催予定です。
なるべく多くの方に参加していただきたいので
学年などは関係なくこの案内状をお配りしております。

後は集合日時と集合場所の他に、制服着用と書かれている。

しゅう「学年などは関係なく……これは当たっている。しかし、ここには3学年しかいない」
桜井「3学年?ええっと、塚原先輩、森島先輩、るっこ先輩、飛羽先輩」
伊藤「後輩は七咲さんと中多さんだけ。そして同学年のあたしたち。確かに」
しゅう「僕と逢宛に届いた案内状が何故か“橘しゅう”と“七咲逢”に分かれていること……」
しゅう「それに会場が輝日東高校で、昼下がりで、制服着用を指定したこと……」
しゅう「これらはすべて、第2のヒント、学年を示している」
棚町「あそっか。在学中は未婚だったわね」
塚原「確かに学年はヒントっぽいけど、それが?」
しゅう「まず、桜井と香苗さんは二人とも2年生。2+2で4!」
田中「よ、4?何で?」
しゅう「実はこの学年の足し算がヒントなんだ」
田中「あ~、なるほど」
逢「そうなると、中多さんは1年生だから1」
棚町「森島先輩は3年生だから3で、同様に恵子は2ってわけね」
絢辻「七咲さん、しゅう君、棚町さんは1+2+2で5になるってわけね」
夕月「あたしと愛歌は3+3で6か」
しゅう「そうしたら、2つのヒントを組み合わせるんだ。場所の頭文字(イニシャル)と学年を」
中多「組み合わせる?」
棚町「学年の順番に場所の頭文字(イニシャル)を並べ替えろってことね」
しゅう「うん」
中多「1番は私で、T
田中「2番は私で、K
森島「3番は私で、H
桜井「4番は私と香苗ちゃんで、S
逢「5番はしゅう先輩、棚町先輩、私で、M
夕月「6番は私と愛歌で、Yだね」

出来上がった頭文字(イニシャル)の文字列は……
T K H S M Y

それを僕が板書した。

塚原「TKHSMY?これ主催者の人名?」
しゅう「そうです」
逢「……あの、これだけでどう解くんですか?」
しゅう「これらの文字がすべて子供の音と書いて子音だってことは分かるよな?」
逢「はい」
しゅう「森島先輩のさり気ない一言を聞いて分かったんだ」
森島「え?私?」
しゅう「はい。僕に娘はどうした?って聞きましたよね?」
森島「うん。でも、それが?」
しゅう「これらの文字は逆に全部子供で、親がいない。だから、母親を連れて来るんだ」
塚原「つまり、母音を足せと?」
しゅう「はい」
伊藤「でも、どの母音を足すか……」
しゅう「簡単だよ。答えは僕たちのよーく知っているあの人だよ」
しゅう「僕と薫と田中さんと絢辻さんはほぼ毎日お世話になっていたな」
しゅう「逢だって学校帰りに商店街でよく逢っていたはずだ」
棚町「ほぼ毎日?……ああ、な~るほどね」
逢「商店街って言ったら……まさか!」
しゅう「そう。この文字列にこうやって母音を付け加えるんだ」

T K H S M Y
   ↓
Ta Ka Ha Si Ma Ya

さらに板書した。

田中「た、たかはしまや??」
しゅう「この同窓会の主催者は……高橋麻耶先生だ」
桜井「ええっ!?そんな、びっくりだよ~」
絢辻「確かにその推理は素晴らしいわ。だけど証拠がないわ」
伊藤「うん。高橋先生、今日欠勤のはずだよ」
しゅう「いいや。主催者本人がいなくても犯行は可能なはずだよ」
森島「共犯者がいるからね」
伊藤「そっかぁ。主催者が共犯者と予め打ち合わせしておけば本人がいなくても実行出来るんだ」
棚町「でもちょっと待って!恵子の時はどうなるのよ?」
棚町「恵子はおそらく一人で電話している時に狙われたはず」
棚町「その時、塚原先輩も絢辻さんもあたしたちと一緒に行動していて犯行は不可能よ」
しゅう「たぶん、田中さんは高橋先生本人もしくは他の共犯者に狙われた」
棚町「えっ?」
しゅう「あんなにタイミングよく男の人から電話が来ておかしいと思わないか?」
田中「う、うん。知ってる人だったけど……おかしい」
しゅう「たぶん、田中さんを狙った人物は少なくても二人はいるはず」
田中「だよね」
しゅう「それに考えてみろよ。そもそもこの同窓会、実行するには校内の至る場所が必要になる」
しゅう「もし、被害者を眠らせて運ぶところを他の先生や生徒に見られでもしたら……」
桜井「う!」
中多「大問題ですね」
しゅう「そう。だから、予め他の先生や生徒の協力を得ておく必要がある」
田中「じゃあ、まさかあの欠勤というのは嘘だったの?」
棚町「多野先生もグルだったか……」
しゅう「そうなるね」
逢「つまり、予めこの同窓会を企画することを他の先生や生徒に伝えておいた……」
逢「主催者の候補から外れようと思ってわざと不在を装い、今も校内に潜伏……」
逢「犯行は本人が直接手を下さなくても予め打ち合わせしておいた共犯者が実行してくれる……」
逢「また、私たち被害者が眠らされて運ばれても誰も不審に思わない……」
逢「ということですね」
しゅう「うん。ただ、田中さんの場合は塚原先輩、絢辻さんという共犯者が動けないため……」
しゅう「校内に潜伏している高橋先生本人もしくは他の共犯者が実行した」
絢辻「他の共犯者って誰なの?ここには私たち以外誰もいないはずよ」
絢辻「まったく被害者になっていないのは私と塚原先輩だけど……」
塚原「すでに被害者になった人の中に共犯者がいるの?」
しゅう「たぶんそれはないでしょう」
しゅう「他の共犯者……例えば……中多さん」
中多「は、はい!」
森島「えっ?紗江ちゃん??」
しゅう「いや、そうじゃなくて」
しゅう「中多さんが読書好きで、頭文字(イニシャル)Kという本が好きだということ……」
しゅう「それを知っている人物に心当たりはある?」
中多「心当たり……ですか?」
中多「……」

中多さんは黙ってしまった。

田中「図書委員さんとかは?」
田中「ほら、中多さんが読書好きでよく図書館に通っていたなら……」
伊藤「そっか、顔と名前を覚えているはず。好きな本も知っているはず」
逢「確かに可能性は高いですね」
しゅう「いや。もっと身近な人だよ」
中多「身近な?」
しゅう「そう。例えば……同じクラスとか」
中多「同じ……」
森島「逢ちゃん?」
逢「え?私じゃないですよ」
中多「先輩……まさか」
逢「私よりも可能性が高いのは……」

中多さんも逢も僕を見る。

しゅう「……美也以外には考えられないだろう」
田中「でも、妹さんは今日欠席じゃ……」
しゅう「うん。僕らの代わりに子守をしてくれているよ」
田中「じゃあ無理なんじゃ……」
逢「知恵を授けるだけなら……。美也ちゃんの考えそうな事」
塚原「共犯者の中の実行犯ではないってことね」
しゅう「だいたいあの美也がすんなりと子守を引き受けたんだ。おかしいと思ったよ」
塚原「あら?あんなにいい妹さんなのに疑うの?」
しゅう「まあ、都合のいい奴ですから」
中多「そんな……美也ちゃん」
桜井「紗江ちゃん。落ち込まないで。お菓子食べる?」
中多「はい」
森島「私を眠らせたのは間違いなくひびきね!許さないんだから!」
塚原「もうちょっと寝かせてとか言っていたのは誰だっけ?」
森島「う……」
棚町「あたしを眠らせたのは絢辻さん、七咲さんを眠らせたのは分からないけど……」
棚町「しゅうを眠らせたのはたぶん梅原君ね!彼もきっと潜伏してるわ」
しゅう「だろうな」
夕月「あたしちょっと頭こんがらがって来た。まとめてくれよ」
飛羽「簡潔に、頼む」


つまり一連の事件の流れはこうだ。

本来の集合時間の1時間前。
案内状通りに制服姿の梨穂子と香苗さん、中多さんが来校した。
梨穂子と香苗さんは食堂に向かい、テーブルに置いてあった睡眠薬入りのケーキと飲み物を口にした。
中多さんはテーブルに置いてあった好きな本「頭文字(イニシャル)K」を読もうと本を開いた瞬間……
睡眠薬を嗅いでしまった。
3人が眠ったタイミングを見計らい、共犯者の絢辻さんが案内状をすり替えた。

本来の集合時間の30分前。
案内状通りに制服姿の塚原先輩と森島先輩が来校した。
共犯者の塚原先輩は来校の途中で買った自販機の飲み物に遅効性の睡眠薬を仕込んでおいた。
それを飲んだ森島先輩は学校に着くやいなや眠ってしまった。
塚原先輩は森島先輩を保健室に運び、何食わぬ顔で本来の集合場所に向かった。

また、田中さんは想定通り、薫と一緒に来校した。

僕、逢、薫、田中さん、絢辻さん、塚原先輩という予定通りのメンバーが揃う。
ここで、メンバーに、食堂にいる被害者二人を発見させるために塚原先輩が仕掛ける。
お土産に持って来た煎餅は少し濃い味で、メンバーの喉を渇かせて食堂に行く理由をごく自然に作った。
計画通り、食堂で被害者二人が発見され、案内状すり替えの疑いが浮上した。
案内状すり替えの謎を解くため職員室に向かうことになるが、実は職員室に向かった理由は他にもあった。
職員室に入り、高橋先生が欠勤していることを分からせ、彼女が主催者の候補から外れるように仕向けた。
田中さんの携帯電話によく男性から電話がかかってくることを知っていた高橋先生もしくは他の共犯者は……
それを利用して自分の携帯電話から田中さんの携帯電話に電話をかけ、田中さんをメンバーから離した。
田中さんの隙を見て背後から襲い、眠らせて家庭科室に運んだ。
やがて、中多さんが発見され、案内状の裏に残したメッセージで他の二人も発見させた。

しゅう「そして僕と逢と薫に関しては先ほどの推理通りってわけ」
逢「ちなみに先輩方はどうやって屋根裏部屋に?」
夕月「それがよく覚えてないんだよ」
飛羽「来校したのは覚えてる」
桜井「案内状は?」
夕月「ああ、これか」

二人の案内状を見た。

桜井「集合時間の30分後、場所は輝日東高校正門」
田中「うまく鉢合わせしないようにできてる……」
伊藤「共犯者が他に二人以上いるね」
夕月「くっそ!あたしらを監禁した奴誰なんだよ?」
飛羽「許さない」
桜井「まぁまぁ、先輩方落ち着いて。お茶でもしましょうよ~」
夕月「りほっち、のんきだね~」
飛羽「マイペース」
伊藤「でも、その推理を聞いてもまだ解せないなぁ」
伊藤「絢辻さんと塚原先輩が共犯者だと仮定した場合、第四の犯行までは完璧だった」
伊藤「なのにどうして物置での犯行はそんなに証拠を残したの?」
田中「確かに。二人なら完璧な犯行を行えたはず」
森島「ひびきったら、わざと分かりやすい場所を選ぶなんて、逢ちゃんに優しいよね」
塚原「それは……」
しゅう「当然ですよ」
塚原「えっ?」
森島「むむ?」
しゅう「だって犯人は……早く解いてほしかったから。時間がなくて焦っていたんだ」
森島「焦った?どういうこと?」
しゅう「たぶんこの後、別の会場で本当の同窓会が始まるんですよ」
中多「本当の同窓会?」
しゅう「普通同窓会は母校ではやらずに、飲食店などでやるはず」
しゅう「つまり、これら一連の事件は本当の同窓会を盛り上げるための企画だったんだ」
逢「そうなんですか?」
しゅう「うん。だって、普通に同窓会をやったんじゃ、気の合う仲間としか話さないじゃないか」
しゅう「久々に逢っても交流しないで別れちゃう人が出て来る」
棚町「なるほど。高橋先生も考えたわね」
しゅう「確かにやり方は少々荒療治だったけど……」
しゅう「この企画がなかったら久々に逢った僕らがこうして再び交流することもなかった」
桜井「うん!塚原先輩と紗江ちゃんもすっかり仲良くなったもんね!」
塚原「あ……うん」
中多「……は、い」

塚原先輩も中多さんも照れている。

田中「みんなを交流させるための企画か……高橋先生すご~い!見直しちゃった」
伊藤「あたしも」
逢「……では、これから始まる本当の同窓会に私たちが間に合わなくなるのを防ぐために……」
森島「わざとポカをやらかしたわけね」
しゅう「逢を物置に閉じ込めるというのは塚原先輩が最初から考えていた手段」
しゅう「本来は4つの事件と頭文字(イニシャル)Kがあれば残りの2つの事件がなくても解けていた」
しゅう「でも、万が一ってこともある」
しゅう「その時のために、物置の事件を用意し、僕と逢と薫が単独行動をするのを狙っていたんだ」
夕月「ちょっと待て。もし、単独行動をしなかったら?」
しゅう「たぶん、時間になったら塚原先輩と絢辻さんが真相を語っていたと思う」
中多「そう言えば塚原先輩、すでに事件が解けていたようです」
森島「そうそう!ひびきったら教えてくれなくて」
桜井「あそっか!物置の事件があってもなくても謎が解けていたってことは……」
夕月「……ったく、それならうちらが被害者になった意味がないじゃないか!」
飛羽「とんだ無駄足」
桜井「まぁまぁ、私は逢えて嬉しいですよ」
夕月「りほっち、泣かせるぜ」
飛羽「りほっち最高」
棚町「しゅう」
しゅう「ん?」
棚町「……」
しゅう「……分かった」

薫が僕に耳打ちした。

しゅう「さて、すべての謎が解けたところで、本人にご登場願うとするか」
伊藤「いるの?」
棚町「さっきから廊下で聞き耳立ててる。偶然見えちゃった」
逢「高橋先生。ほら、入って下さい」

高橋先生がゆっくりと教室に入って来る。

高橋「あははは、参ったわ。あなたたち、意外とやるわね」
しゅう「さっきの推理、どこか間違ってますか?高橋先生」
高橋「ふふっ」
しゅう「……」

次章、同窓会の主催者、高橋先生によってさらに驚きの真相が明かされる!
そして同窓会もフィナーレへ!!



フィナーレへ続く

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