--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2011-12-15

第4章「脱出!力を合わせて」

暗く狭い場所

しゅう「……ん?ここは?」
逢「……」
棚町「……」
しゅう「逢?……それに薫?やはり、一緒に捕まったか」
しゅう「僕の推理通り、犯人はおそらく……」
しゅう「逢!薫!起きろ!!こんな所で寝てる場合じゃない!!起きろ!!」

僕は二人の身体を揺さぶる。

逢「ん……?先輩?」
棚町「ちょっと……どこ触ってんの?変態……むにゃむにゃ……あれ??しゅう??」
しゅう「おはよう」
逢「あ……おはようございます。……って!ええっ!?ここどこですか??」
しゅう「知ってたら苦労しないよ……」
棚町「とりあえず……この暗さと狭さから言って……どこかの倉庫?」
しゅう「ここ、電気あるかな?ちょっと点けてみよう」

僕は暗い中、手探りで壁のスイッチを捜した。

しゅう「あった、これだ」

カチッ。

しゅう「あれ?変だな、点かないみたいだ」

カチッ。カチッ。

しゅう「おかしいなぁ」
逢「あ……先輩。あれを見てください」

逢が天井の電気を指差す。

逢「うっすらとですが……電球が抜き取られているのがわかります」
しゅう「えっ!?」
棚町「あ、本当だ。道理で点かないわけね」
しゅう「あれ?でもここ、わずかに明るいよ」
逢「それはたぶん、この壁の穴のせいかと。ここから外の光が射してます」
しゅう「外に何が見える?」
逢「ここからだと……プールです」
棚町「プール……って、うちの学校の?」
逢「はい」
しゅう「そっか。じゃあ、一応ここは校内なんだな」
逢「あれ?ということは……ここは……」

逢が考え込む。

棚町「どうしたの?七咲さん」
逢「外にプールが見える。壁に猫一匹通れそうな穴が空いている」
逢「そしてこの部屋の雰囲気から察すると……ここは間違いなく物置です」
逢「ここには水泳に必要な道具が置いてあります。しかも水泳部の部員しか知らない場所」
しゅう「何だって!?そ、それじゃあ犯人は!?」
逢「ええ、間違いありません。塚原先輩以外には考えられません」
しゅう「そうだよな。参加者の中で水泳部に所属していたのは逢と塚原先輩だけだ」
しゅう「逢を誘拐してここに連れて来たのは消去法で塚原先輩だけになるからな」
棚町「だとしたら変ね。どうしてわざわざ自分の犯行を証明するような真似をしたのかしら?」
棚町「しかもあの頭のいい塚原先輩が……でしょ?考えられない」
逢「……私もそう思います。どうして……」
しゅう「わざと……だとしたら?」
逢「え?」
しゅう「僕らにヒントを与えるために逢をここに連れて来たとしたら?」
棚町「なるほどね。あの人の性格から言って考えられるわね」
逢「でも、どうしてわざとそんなことをするんです?せっかくの犯行が台無しじゃないですか」
しゅう「……この犯行が同窓会の企画だとしたら?」
逢「あ……」
棚町「ふむふむ……やっぱりそうだったのね」
しゅう「やっぱりって?」
棚町「おかしいと思ったのよ」
棚町「同じ場所に3人も、しかも手足が自由な状態で監禁したことがどうも引っ掛かっていたのよ」
棚町「だって、普通そんなことしたら3人で協力して逃げられちゃうじゃない」
逢「確かに……棚町先輩の言う通りです」
しゅう「まあな」
棚町「あと、私を誘拐した犯人、間違いなく絢辻さんよ」
逢「え?」
しゅう「本当か?」
棚町「だって、背後から襲われた時、人の気配を感じてこっそり手鏡で顔を確認したから」
棚町「それに後で言い逃れが出来ないように、どさくさに紛れて香水スプレーをかけてやった」
しゅう「ほ、本当か!?」
棚町「うん。あたしをどこぞの間抜けな刑事さんと一緒にしてくれちゃあ困る」
棚町「念のため事前に用意してたの。この通り、2つとも没収されたけどね」
逢「棚町先輩、さすがです!」
棚町「まあねぇ」
しゅう「となると……塚原先輩だけでなく、絢辻さんもか」
逢「ところで、しゅう先輩はどうしてここに?」
棚町「そうよ。あんたを連れて来たのは誰なの?」
しゅう「う~んと……それが……よく覚えてないんだ」
逢「え?」
棚町「は?」
しゅう「推理に夢中になっててな。あははは……」
逢「もう!先輩!笑い事じゃないです!!しっかりしてください」
しゅう「ごめん」
棚町「あ~あ。さっきの芝居通りね。こんな抜けた旦那を持った奥さんは大変よね~」
しゅう「おい、かお……」
逢「はい。まったくです!」
しゅう「逢まで……」
棚町「ふふっ」
逢「クスッ」
しゅう「う……」
しゅう(二人して僕のことを……)
しゅう「でも、こうしてわざと捕まったおかげで推理に確証が持てたよ」
棚町「本当に?」
しゅう「うん。すべて分かった!!」
しゅう「なぜあのメンバーが集められたか。犯人の使ったトリック……」
しゅう「そして塚原先輩、絢辻さん以外の犯人がいるってこともな!」
棚町「うそ?マジ?他にも犯人いるの!?」
しゅう「ああ。正確に言うと……塚原先輩と絢辻さんは主催者の指令で動いているだけなんだ」
逢「つまり、二人は共犯者……」
しゅう「そう。そして彼女たちみたいな共犯者が他にも数人いるんだ」
逢「数人……厄介ですね」
棚町「で、主催者は誰なの?もったいぶらずにさっさと言っちゃいなさいよ」
しゅう「まあ、そう焦るなって。後でみんなの前で話すから!」
しゅう「それよりも……早くここから出よう!!日没の影響でさっきよりも暗くなっている」
棚町「あ、本当だ!……会話に夢中で気付かなかった」
逢「じゃあ、まず手探りで扉を捜しましょう。確かこっちだったはずです!」
しゅう「そっちか」
棚町「了解!」
逢「……ありました!」
しゅう「どうだ?開きそうか?」

物置の扉は、“ケースハンドル錠”が付いていて、左側にスライドするタイプだ。

逢「……だめですね。鍵は開いてますが扉はびくともしません」
棚町「ちょっと代わって」
逢「はい」
しゅう「おっ!?出るか!?薫のバカ力!!」
棚町「うっさい!!バカは余計よ……んしょ……んしょ……」
棚町「はぁ~ダメね。きっと外からつっかえ棒で固定されてるんだわ」
しゅう「じゃあ、3人で力を合わせようか!」
しゅう「3人縦に並んで先頭の人は取っ手を、残りの人は前の人を引っ張るんだ」
棚町「じゃあ、しゅうが先頭で決まりね!!」
しゅう「どうして?」
棚町「だって、あんた絶対あたしや七咲さんを引っ張るふりをして……変なとこ触りそうだし」
しゅう「はっ!?そ、そんなことしないよ」
棚町「どうかな?脇腹を触って引っ張るはずが胸とか触りそうだし」
しゅう「だ、断じてしない!!そんなこと」
逢「私もそう思います!」
しゅう「逢……そうだよな、僕はそんなことする男じゃ……」
逢「しゅう先輩は変態ですので、棚町先輩の言う通りかもしれません」
しゅう「な、何!?逢までそんなことを言うか」
棚町「奥さんにも信用されてない旦那……ああ、本当にしゅうは哀れね」
しゅう「おい……」
棚町「ひょっとしてさ……毎日……されてるの?」

薫が逢に耳打ちする。

逢「えっ!?あ……毎日ってわけでは……」
棚町「へぇ~、一応されてるんだ……」
逢「あ……いえ……そういうわけでは……」
棚町「七咲さ~ん、顔赤いよ~」
逢「う……」
しゅう「おい、二人して何をヒソヒソと?」
棚町「近寄らないで、この変態!!」

バシッ。

しゅう「いてっ!な、殴ることないだろ!?それに変態って」
棚町「あきれた……あんたには本当にあきれた」
しゅう「おーい。だんだん話が横道に逸れてるぞ。戻そう!」
しゅう「要するに……僕が先頭ならいいんだな?」
棚町「うん」
しゅう「う……やっぱり先頭は嫌だな」
棚町「どうして?」
しゅう「だって考えてみろ?先頭ってことは薫のバカ力に引っ張られるんだろ?」
しゅう「肋骨を骨折しそうだから却下!!」
棚町「な~によ。この意気地なし!」
しゅう「意気地なしで結構!薫に殺されるくらいならずっとここにいた方が……」

バシッ。

しゅう「いてっ!また殴ったな」
棚町「つべこべ言わずにさっさと出るわよ!!」
しゅう「うう……」
逢「……ロープ」
棚町「え?」
逢「確かこの物置にロープがあったはずです!」
逢「それを取っ手に結びつけて、3人でロープを引っ張れば!」
しゅう「なるほど。それは名案だ」
しゅう(それなら僕も変態扱いされたり、薫に殺されずに済むぞ!!)
逢「ですが……この暗さじゃどこにあるのか見当もつきません」
棚町「せめて光があればね。日没のせいで辺りは真っ暗」
棚町「おまけに携帯電話は犯人に没収されてるしね」
しゅう「どうすればいいんだ!?このまま朝まで待つのか!?」
逢「……」

物置内は次第に暗さを増していく。
さっきまでははっきりと見えていたお互いの顔も次第に見えなくなっていく。
しばらく3人とも沈黙し、考え込んでいたその時だった。

逢「きゃっ!」
しゅう「ん?どうした?逢」
プー「みや~お」
逢「あ……プーか。びっくりした~」
棚町「ん?プーって?」
逢「うちの学校に昔からいた野良猫です。私がプーと名付けました」
棚町「野良猫?そこに猫がいるの?」
逢「はい。黒猫なので見えづらいですが」
しゅう「それにさっき鳴き声がしただろ?」
棚町「ああ。あれ、猫の鳴き声だったの?てっきり、しゅうかと思った」
しゅう「何で僕が!?」
棚町「場を盛り上げるため?」
しゅう「盛り上げてどうする!?」
棚町「やーね!冗談よ」
しゅう「う……」
逢「もう、プーったら。暗い中いきなり頬ずりしてきたらびっくりするでしょ?」
プー「みや~お?」
しゅう(頬ずり!?逢に頬ずり!?僕もプーになりたい……)
逢「でも、よく私が分かったね。もう卒業してから5年経つのに」
しゅう「きっと、それだけプーに愛されていたんだよ」
しゅう「逢がこの学校の中で誰よりもプーと仲良かったから」
逢「……だといいですけど」
プー「……」

逢に抱っこされて嬉しそうなプー。
その瞳はきらきらと輝いて……

しゅう(ん?輝いて??そうか!!分かったぞ)
棚町「それよりもどうするのよ?プーと遊んでる場合じゃないんじゃない?」
逢「そうですね。一刻も早くここを出なくては」
逢「じゃあね、プー」
プー「みや~お?」
逢がプーを下ろそうとするが……
しゅう「待った!!そのままプーを抱いてて!!」
逢「え?あ、はい」

再び逢がプーを抱き上げる。

棚町「どうしたのよ?今は猫と……」
しゅう「分かったんだよ。ロープの在処を見つける方法がね」
棚町「え?そなの?」
逢「本当ですか?」
しゅう「うん。ずばり……プーを使えばいいんだ!!」
逢「プーを!?」
棚町「え?は?」
しゅう「猫の特性、暗い中でもはっきりと周囲を見渡せる……」
しゅう「暗い中できらきらと輝く瞳……それらを利用するんだ!!」
逢「あ……その手がありましたね」
棚町「なるほどね。でも、どうやって利用するの?」
しゅう「簡単さ。プーをロープの在処まで行かせ、プーの瞳を目印に手探りで捜す」
しゅう「それが出来るのはプーと一番仲がいい逢だけ。出来るか?」
逢「自信はありませんが、たぶん出来ると思います」
逢「プーとここで遊んだこともあるので、プーも物の配置を覚えていると思います」
棚町「とにかくやってみて。七咲さん」
逢「はい!」
逢「プー。ロープの在処分かる?行ってみて」
プー「みや~ん?」

逢がプーを下ろすと、プーはまっすぐにロープの在処まで向かった。
途中で何度か段差を登り、辿り着いた。
そしてまっすぐと逢の方を見つめた。

しゅう「そこか!!」

ちょっと高い場所にあったので、僕が手探りで捜した。

しゅう「この箱か?」

僕はロープが入っていると思われる箱を下ろした。
箱を開けてみると……

しゅう「あった!!ロープがあったぞ!!これで脱出出来る!!」
逢「先輩……やりましたね!!プー、ありがとう」
プー「みや~お」

プーは自分で段差を降りて、入って来た穴から外へ出てそのまま姿を消した。

棚町「にしても、頭のいい猫ね!まるで七咲さんと心が繋がっているみたい」
逢「プーは昔から頭がいいんです」
棚町「どっかの誰かさんとは大違いね」
しゅう「はあ?僕のことか?失礼な!」
しゅう「僕だって頭が良くて逢と心が繋がってるぞ!!なあ、逢?」

逢はすでに取っ手にロープを通しに行っていた。

しゅう「……あれ!?いない!?さては逃げたな……」
棚町「別にあんたのことを言ったつもりじゃなかったけど?」
しゅう「いいや、さっきのは僕のことだったに決まって……」
逢「ダメみたいです。ロープが太くて取っ手に通りません」
しゅう「そんな……あ!ロープのこの太さなら、これを使ったらどうだ!?」

僕は胸ポケットから手錠を取り出す。手錠は無事だったみたいだ。

逢「手錠……なるほど。やってみます」
棚町「あ、ロープは私が結ぶ」

手錠の片方を取っ手に通し、もう片方にロープを結んだ。

棚町「これでよし……と。準備できたわよ」
しゅう「じゃあ、綱引きの順番はどうする?」
逢「一番力がありそうな棚町先輩が一番前の方がいいんじゃないでしょうか?」
しゅう「僕もそれがいいと思う」
しゅう「テコの原理から言って、中心部分に近ければ近いほど力が要るだろうし」
棚町「え?まあ、綱引きなら触られないか……」
しゅう「触らないって!じゃあ、僕が真ん中かな」
棚町「オッケー!思いっきり引くわよ!!」
棚町「コケないでよ。特にそこの頼りなさそうな男!」
しゅう「は?何で?」
棚町「私と七咲さんは平気だけど、あんたは危なっかしいから」
しゅう「おいおい、何でだよ……」
逢「クスッ。確かに危なっかしいですね」
しゅう「逢、そこは否定してくれよ……」
逢「すみません……」
しゅう(もう、二人して僕をバカにして……見てろよ!!)
棚町「行くわよ!!せいのっ!!……んしょ!!んしょ!!」
逢「んしょ!!んしょ!!」
しゅう(僕が頑張らなきゃ!!男らしいところ見せるぞ)

こうして3人で綱引きをすることに。
しかし、3人が力を合わせても扉はビクともしなかった。

逢「う……」
しゅう(僕はそろそろ限界だ……逢は大丈夫だろうか)
棚町「どうしてなのよ……どうして……ちっとも……」

3人が諦めかけ、引くのを辞めようとした瞬間……

カラン。

外のつっかえ棒が外れる音がした。
さらにそのまま勢い良くロープを引っ張ると……

ビシャン!!

棚町「うわっ」
逢「きゃっ」
しゅう「うお」

扉は勢い良く全開し、3人は勢い良く尻餅をついた。

棚町「あ、開いた……」
逢「よかった……」
しゅう「一時はどうなるかと思った……」

薫が立ち上がり、外の様子を見に行く。

棚町「どうやらつっかえ棒が外れたみたいね」

僕が立ち上がろうと思って床に手を付こうとした時……

むにゅ。

逢「ひゃう!」

しゅう(あれ?何だ……この右手に触れる柔らかい感触は……しかも今の声!)

僕は右手を少し動かした。

むにゅむにゅ。

逢「や、やめ……!」
しゅう(そ、そうか!これは逢の胸だったんだ!)
しゅう(薫なら即座にパンチが飛んで来そうだけど逢なら!この順番にして正解だった)
しゅう(もう少し触っていたい。この暗さじゃバレ……)
逢「もう!先輩の変態!」
しゅう「え?」
逢「バレないとでも思ったんですか?バレバレですっ!」
しゅう「い、いや、これは不可抗力……」
逢「……」
しゅう(う……逢の冷たい視線を感じる)

その時、周囲の暗さで僕と逢の状況が見えていない薫が間に割って入った。

棚町「はい、これあんたの手錠」
しゅう「ああ、ありがとう」
棚町「で?この後どうするの?」
しゅう「僕と逢は教室に戻ろう。薫には行ってほしい場所がある」
棚町「どこ?」

僕は薫に耳打ちした。

しゅう「……って、……だ。……だ。……か?」
棚町「な~るほどね」
しゅう「そう」
棚町「ねぇ、あんたもしかしてさ……」

薫が僕に耳打ちした。

棚町「……、……、……の?」
しゅう「ええっ!?そ、そんなこと断じてないよ」
棚町「本当?」
しゅう「う、うん」
逢「あの……二人してさっきから何を?」
しゅう「い、いや、ちょっとした作戦会議」
棚町「わかった!行って来る!」

薫が勢い良く物置から飛び出して行った。

しゅう「さあ、行こう。この事件にケリを着けに行くんだ!」
逢「はい!」

いよいよクライマックス!!
次章、事件解決!!



第5章へ続く

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://ilovenanasakiai.blog24.fc2.com/tb.php/149-fa88f03c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Copyright (C) アマガミ・七咲逢をこよなく逢する七咲逢依存症患者の家. All rights reserved. Template by Underground
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。