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2011-12-15

第2章「深まる謎!頭文字(イニシャル)K」

輝日東高校食堂

絢辻「案内状……ではなくこれは完全に主催者からの挑戦状ね」
棚町「主催者っていうかぶっちゃけ犯人じゃない?」
伊藤「事件は始まった。これから起こる数々の難事件を解決し我が正体を当ててみせよ……」
伊藤「有能な刑事、有能な弁護士、有能な小児科医、おまえたちにこの謎が解けるかな……」
伊藤「期待して待っているぞ。当同窓会の主催者Xより……だってさ」
田中「これだけで解けって言うの?解けるかなぁ」
しゅう「いや、事件は始まったって一文からすると、これからなんだろうな」
しゅう「これから主催者を特定するためのヒントとなる事件が起きるんだろう」
塚原「そしてまた桜井さんや伊藤さんのように私たちの知っている人が巻き込まれる」
絢辻「私たちと言うより、橘君と言った方が正確かもね」
桜井「確かに!みんなしゅうの知り合いだね!さすが有能な3人」
しゅう「だろ?」
逢「弁護士の絢辻先輩と小児科医の塚原先輩は確かに有能ですが、刑事さんはどうなんでしょうね?」
しゅう「……」

“それどういう意味だ”と訴えかけるような目で逢を睨んだ。
しかしそんな冗談を言いつつも、逢は僕に少し期待しているようにも思えた。

しゅう「それより、この事件も何かヒントになるかもしれない」
棚町「そうよ。桜井さんと伊藤さんから話を聞かないと」
絢辻「案内状を見せてくれる?」
伊藤「うん」
桜井「どうぞ」

全員でお互いの案内状を見せ合う。
梨穂子と香苗さんの案内状には……
1時間早い集合時間、食堂に集合でケーキバイキングがあると書かれていた。

桜井「え?何これ?」
伊藤「うちらと全然違う内容」

戸惑う二人。無理もない。

棚町「食堂にてケーキバイキングがあります?……何これ」
しゅう「疑うようで悪いけどこれ本物だよな?」
桜井「本物だもん!!」
しゅう「そうか。てっきり桜井のことだからわざとケーキと……」
桜井「ち~がうよ~」
伊藤「間違いないよ。でも、何か変な感じはした」
田中「変な感じ?」
伊藤「うん。来てみたらうちら以外誰もいなくてケーキと飲み物が置いてあった」

回想
伊藤「ねぇ、桜井。うちら以外誰もいないけど、これ食べても平気?」
桜井「だ~いじょうぶだよ~。香苗ちゃんものど渇いたでしょ?飲んだら?」
伊藤「う、うん」

伊藤「怪しいとは思いながらもケーキと飲み物を口にしたんだ」
逢「そのケーキと飲み物に睡眠薬が仕込まれていたってことですね」
伊藤「たぶん」
しゅう「まったく……ケーキに釣られるなんて桜井らしいな」
桜井「え、えへへ」
棚町「いや、褒めてないから……」
絢辻「ねぇ、二人とも」
伊藤「ん?」
桜井「何?」
絢辻「案内状の裏って最初から印刷されていた?」
桜井「えっ?わからない」
伊藤「私覚えてる。この案内状が自宅に届いた時一応裏も見てみたけど、こんなのなかった」
絢辻「そう……やっぱり」
塚原「犯人はあなたたちをここで眠らせた後、案内状をすり替えたのね」
しゅう「そうか、もし元からあった案内状に事前に印刷してあったら怪しまれる」
棚町「二人を眠らせた後その案内状の裏面を急いで印刷したか、案内状をすり替えたか」
逢「もし前者なら校内で印刷するには職員室にでも行かなきゃ印刷出来ません」
田中「うん、職員室に行ったら先生たちがいて怪しまれるね」
しゅう(もしくは先生が犯人か……ないな)
桜井「先生って言えばさぁ、しゅうの担任の先生は来てるかな?」
しゅう「高橋先生か。どうだろう?」
逢「きっと来ていると思いますよ。あの先生教育に熱心で夏休みもほぼ毎日学校に来ているそうです」
棚町「高橋先生ねぇ……あたしも逢いたいわ」
絢辻「そうねぇ……この裏のある案内状の出所を探るためにも行こうかしら」
伊藤「あ、ここ……片付けないとやばくない?」
塚原「……うん。棚町さんが現場写真を撮ってくれたし、ここをみんなで片付けようか」

みんなで現場を元通りに片付けた。

伊藤「あーあ。せっかくの制服がトマトジュースまみれに」
桜井「仕方ないよ。後でクリーニングだね」
逢「そういえばさっきしゅう先輩が事件はこれからだって言ってましたね」
しゅう「うん、言ったけど……そうか!」
塚原「もしかしたら校内を探し回れば他に被害者がいる可能性もあるってことね」
棚町「せっかく久しぶりに来たんだし、校内をざっと見て回りたい」
田中「私も賛成」
しゅう「おいおい、みんなのんきだなぁ」
塚原「でも悪くないんじゃない?本物の事件とは違うし」
しゅう「本物の事件?ああ、確かにそうですね」

全員で雑談しながら職員室へと向かった。

棚町「失礼しまーす。高橋先生いませんか?」
多野「あ?おまえ確か……誰だ?」
棚町「え?覚えていないの。卒業生の棚町薫ですけど」
多野「知らん」
絢辻「先生。高橋先生は今日出勤されていますか?」
多野「ああ、絢辻か。今日は来てないぞ」
棚町「ムカッ!絢辻さんは覚えてて私は忘れてるなんて!」
しゅう「まあまあ、絢辻さんは文化祭実行委員長だったから」

絢辻さんが職員室内に入っていく。

絢辻「えっと確かここに……あった」
棚町「何してるの?」
絢辻「出勤表。今日は……ほとんどの先生が来てないみたいね」
田中「そっかぁ。逢えないんだ。残念」
しゅう「あの……多野先生」
多野「おお、おまえは橘しゅう」
棚町「なんでこいつまで覚えてんのよ」
逢「きっと問題児だったからですよ」
しゅう「おい、さりげなくひどいことを!」
棚町「あ~あ。なるほど」
しゅう「そこ納得するな!」
多野「何だ、橘」
しゅう「えっと、1時間ほど前に印刷機を使っていた先生っていました?」
多野「さあな」
しゅう「そうですか」

逢が職員室内に入り、出勤表を確認する。

逢「……」
塚原「どうしたの?」
逢「おかしいです。高橋先生、昨日まで出勤されていたのに今日は休みです」
塚原「たまたまなんじゃない?」
伊藤「合コンとか?」
逢「えっ?」
桜井「あっ、そういえば高橋先生ってまだ若いのに未婚だったよね」
棚町「そうそう!あたしらが卒業した年にちょうど三十路だった!」
しゅう「まだ結婚出来てないのか」
棚町「おっと、勝ち組のセリフ?」
しゅう「か、勝ち組って……確かに勝ち組だけどさ……」
逢「ええ、22歳で結婚出来ました」
棚町「うっわ、羨ましい!でも、相手が相手だからね……気を付けなよ」
逢「大丈夫ですよ。私は負けませんから」
しゅう「おいおい、二人とも何の話をしてるんだ?」
塚原「ふふっ」

このメンバーで勝ち組なのは実は僕と逢だけではなかった。
祈が生まれた年に塚原先輩も結婚していた。
僕と逢と薫のやり取りがおかしかったから、というのもあるけど……
自分自身も勝ち組だということを意識して嬉しくなったから。
それがこの時の塚原先輩の笑みの理由だった。

絢辻「これ以上の情報はなさそうね。他の場所に行きましょう」
絢辻「多野先生、ありがとうございました」
多野「おう」
棚町「あ、それと、あたしは棚町薫です。覚えておいて下さいね~」
多野「おう、わかった」

全員で職員室を後にした。

塚原「さて、どこから行こうか?」
棚町「とりあえず片っ端から見て回りましょう」

全員で思い出がたっぷり詰まった校内を歩き回る。
その途中……

ピリリリリ……

棚町「あれ?携帯鳴ってる。誰の?」
田中「あ、私のだ……電話かかってきた」
棚町「誰から?」
田中「080?携帯だ。たぶん男の人から」
棚町「えっ、男?恵子に??」
田中「すぐ済むから先行ってて」
棚町「恵子にも男……か」

田中さんを残して再び校内を歩き回る。
各階を隅々まで歩き回った時……

桜井「あ、図書館だ」
しゅう「ここでよく絢辻さんに勉強教わってたなぁ」
絢辻「ええ、懐かしいわね」
逢「しゅう先輩、勉強中にボーっとしてて、絢辻先輩に教わっていなかったら今頃……」
しゅう「うわ、その先言うな!そうならなくてよかったよ」
塚原「まったく、受験期だっていうのに勉強に身が入らないなんて……困ったものね」
伊藤「さ、さすが、国立大学医学部様!恐れ入りました!」
桜井「ねぇ、図書館開いてるみたいだよ」
絢辻「え?あ、扉が半開きになっているわね」
塚原「変ねぇ。今日は閉館のはずなのに」
桜井「懐かしいなぁ。お邪魔しまーす」
しゅう「ちょ、桜井。勝手に入るなよ」
桜井「いいじゃん、私たち卒業生なんだよ」
しゅう「そういう問題か?」

梨穂子が図書館に入った。

桜井「うわあ、懐かしい。全然変わってないね~」
伊藤「本当だ~。あの時の本、まだあるかな?」
棚町「よくここでバカ騒ぎして注意されたことあったわね」
しゅう「誰が?」
棚町「あんたとあたしと梅原君に決まってんじゃない」
しゅう「僕はそんなこと……」
逢「してないと?」
しゅう「う……」
逢「先輩?私の目を見てそう言えますか?」
しゅう(そういえば逢に注意されたことあったな)
しゅう「……ごめんなさい」
逢「ふふっ」
棚町「尻に敷かれてるのね」
しゅう「うるさい」
棚町「ん?ね、あれ誰?」
塚原「ん?誰かいるの?」

薫が指差すその先……
本棚の陰になっているが図書館の入り口から少しだけ見える机……
そこに誰かいる!誰か椅子に腰掛けている!

絢辻「在校生かしら?」
逢「居眠りしているようにも見えますが」
しゅう「行ってみよう」

恐る恐る近付くと……

逢「あれ?中多さん?」
棚町「知ってるの?」
逢「はい、同じクラスでした。美也ちゃんの友達です」
しゅう「てことは……同窓会の参加者か?」
伊藤「でも様子が変よ」
桜井「え?別に普通だと思うよ。本読んで居眠りしてるだけだよ」
伊藤「それが変なんだよ」
桜井「私も本読んでると眠くなっちゃうんだ。いつの間にか寝てるの」
伊藤「だから!聞いて!」
伊藤「中多さんは七咲さんと同じクラスだったってことは卒業生でしょ」
伊藤「今日は図書館の閉館日。在校生なら職員室に頼みに行けば開館してもらえるけど……」
塚原「卒業生では無理ってことね」
伊藤「そう思います」
逢「中多さんが読書好きだって美也ちゃんから聞いていますが、だとしても……」
絢辻「そこまでしてこの学校の図書館に来ることはないわね」
棚町「そうねぇ。確かに変よね」
伊藤「それに……卒業生で制服を着て眠らされているこの状況……」
逢「まるで先ほどの先輩方のような……」
しゅう「ていうことは……?」
棚町「ちょっと待って」

パシャッ。パシャッ。

棚町「現場保存完了」
しゅう「てんきゅな」

中多さんは本を両手で見開いたまま、ページに顔をつけるようにして眠っていた。
その眠っている中多さんからそーっと本を取った。
左手で本を見開いたまま保持し、右手で軽く扇いで匂いを嗅いでみた。

しゅう「微量ながら睡眠薬の匂いがする」
桜井「え?じゃあ本を開いた時に漂ってきた睡眠薬の匂いを嗅いで眠っちゃったの?」
伊藤「そうみたいね」
桜井「ただの居眠りじゃなかったんだ」
逢「本が見るからに湿っていますね。学校の本に睡眠薬をかけるなんて許せません」
絢辻「その本のタイトルは?」
しゅう「えっと……頭文字K」
棚町「頭文字K?」
塚原「違うわ。こう読むのよ」

頭文字(イニシャル)K

しゅう「イニシャルK?」
塚原「その本ちょっと見せて」
しゅう「はい」

塚原先輩に本を渡すと、塚原先輩はしばらく本を調べて考え込む。

塚原「……」
逢「どうしたんですか?」
塚原「この本……本当に学校の本?」
逢「えっ?というと?」
塚原「見て。このラベル、新しいわ」
棚町「あ、本当だ」
伊藤「それを証拠に……持って来ましたよ。見比べて下さい」

香苗さんが本棚から頭文字(イニシャル)Kを持って来た。

桜井「香苗ちゃんすごーい」
伊藤「まあね。私、この本よく読んでたから場所覚えてるんだ」
絢辻「……どう見てもこれは犯人が最近買った本ね」
逢「学校の本ではなくて、私物ですか?」
棚町「でも、それにしたって本にこんなことするなんて」
しゅう「そうだ。中多さんが何か知ってないか聞いてみよう」
伊藤「そろそろ起こしてあげた方がいいね」
逢「中多さん、起きて」

逢が中多さんの身体を揺さぶる。

中多「ん……?ここは?」
逢「図書館だよ」
中多「あ、あれ?七咲……さん?それに……」

中多さんが意識朦朧としながら辺りを見回す。
塚原先輩を見て……

中多「ひぃ!え、えっと、あの、その……」
塚原「あ……」

中多さんが塚原先輩を見て怖がっている。
塚原先輩も困った顔をしている。

伊藤「どうしたんですか?」
塚原「あ……うん、ちょっとね」
塚原「前に中多さんと校舎裏ですれ違った時に、中多さんが私の顔を見て……」
逢「……なるほど。何となく想像はつきました」
伊藤「右に同じ」
絢辻「ふふ」
桜井「顔?ん、顔?」
しゅう「ちょっと、梨穂子、こっち来い」
桜井「ふえ?しゅう?」

僕は一応塚原先輩に配慮して本棚の陰でこっそり梨穂子に話す。

しゅう「塚原先輩の強面を見て中多さんが怖がったんだよ、きっと」
桜井「え……?な~んだ、そうだったんだ。塚原先輩、強面なんだ~」
しゅう「バカ!声が大きいよ」
桜井「あ!ご、ごめんなさい」
塚原「ふふ。気にしなくていいわよ。そういうの慣れてるから。配慮ありがとう」
しゅう「いえ、別に」
棚町「中多さん……って言ったっけ?」
中多「はい」
棚町「名前は?」
中多「紗江……です」
棚町「中多紗江ちゃんね。あたし、1つ上の学年のA組だった棚町薫。よろしく」
中多「こ、こちらこそ」
伊藤「私は伊藤香苗。中多さん、B組だったよね?」
中多「はい」
伊藤「私もB組だった。棚町さんと同じ学年。よろしく」
しゅう「なるほどな。この際だ。塚原先輩も自己紹介して、中多さんと仲良くなればいいんだ!」
逢「そうですね。そうすれば強面を気にしなくて済みますね」
塚原「えっ??あ、うん」
中多「……」

中多さんはやはりまだ警戒している。

塚原「えっと……」
桜井「私は香苗ちゃんと同じクラスだった桜井梨穂子。よろしく」
中多「え……あ、はい」
しゅう「空気読めよ……」
桜井「え……ふええ、ごめんなさい」
絢辻「クスッ。私は棚町さんと同じクラスだった絢辻詞。よろしく」
中多「創設祭の……」
絢辻「覚えててくれたんだ。ありがとう」
しゅう「絢辻さんまで……まあいいや。残るは田中さんと塚原先輩だけだな」
棚町「恵子、いつまで電話してるの?遅すぎる」
伊藤「あれ?橘君も自己紹介しないの?」
しゅう「実は知り合いだったりするんだ」
伊藤「へぇ……」
逢「田中先輩は後回しにして、残るは塚原先輩だけですよ」
塚原「あ、うん」
中多「……」
塚原「中多さんの二つ上の学年でA組だった塚原響よ」
中多「あ、はい」
塚原「今は都会の病院で小児科医をやってるの。よろしく」
中多「よ、よろしく、お、お願いします……」

自己紹介してもなお警戒心の解けない中多さんを見て……

棚町「七咲さん。いい?」
逢「任せて下さい」
しゅう「何を始める気だ?」
中多「えっ??」
塚原「何をするの?」

薫が中多さんのそばに移動して中多さんの手首を掴み……
逢が塚原先輩のそばに移動して塚原先輩の手首を掴み……

棚町・七咲「せいのっ!」

ぎゅっ。

中多「あ……」
塚原「えっ??」

棚町「握手成功!」
七咲「これを機に二人とも仲良くなって下さい」
中多「う……」
塚原「そこまでしなくても……」

握手した二人は少し照れているようだ。

絢辻「さて、二人が仲良くなったところで本題に戻りましょう」
しゅう「そうだったね。中多さん」
中多「はい」
しゅう「こういう紙を持ってない?」

僕は中多さんに同窓会の案内状を見せた。

中多「持ってます」

中多さんがカバンから同窓会の案内状を取り出した。

塚原「借りるね」

みんなで中多さんの案内状の詳しい内容を確かめた。

逢「私たちよりも1時間早い集合時間ですね」
棚町「で、ここか。中多さん、ここに入って来てからの状況を説明してくれる?」
中多「はい」
中多「案内状の通りにここに来ました」
中多「私は本が大好きで、在校生の時はここによく通っていました」
中多「まだ誰もいなかったので、懐かしさのあまり、図書館の中を見て回っていました」
中多「そしたら、この本がこのテーブルに置いてあって、暇潰しに読もうと思ったんです」
中多「それで、ページを開いたら急に眠くなって……」
塚原「なるほど。犯人は中多さんの本好きを利用したのね」
棚町「ページを開いただけで眠くなったってことは、睡眠薬は直前に仕込まれたってわけね」
中多「睡眠薬?」
逢「この本、ここの本じゃなくて犯人の持ってた本なの」
逢「中多さんを待ち伏せして、この本に睡眠薬……たぶんスプレー状のものを仕込んだ」
中多「そう、だったんだ……」
伊藤「ん?ねえ、中多さん」
中多「はい」
伊藤「この頭文字(イニシャル)Kって本、よく読んでた?」
中多「はい。その本、好きでした」
伊藤「なるほど」
桜井「香苗ちゃん?どうしたの?」
伊藤「つまり、中多さんを眠らせたのは、中多さんがこの本が好きだということを知っていた人物」
桜井「え?でも紗江ちゃん、どんな本でも好きなんじゃ?」
伊藤「確かにそう。でも、この同窓会にこの本を選んだということは……」
絢辻「頭文字(イニシャル)Kがヒントかもしれないわね」
伊藤「そうです」
しゅう「そして、中多さんが思わず手に取って読んでしまうような本だったから使われた」
しゅう「犯人、すなわちこの同窓会の主催者に繋がる手掛かりだ」
塚原「あったわ」

塚原先輩が中多さんの案内状を裏返しにした。

大切な仲間は預かった
返して欲しければ
校内をくまなく探せ
   当同窓会の主催者Xより


しゅう「た、大切な仲間!?」
棚町「まさか、恵子のこと!?」
伊藤「そういえば彼女、遅くない?」
逢「あの、塚原先輩」
塚原「ん?」
逢「ずっとお聞きしたかったのですが」
塚原「何?」
逢「今日って、森島先輩は一緒じゃないんですか?」
塚原「……忘れてた」
逢「えっ??」
塚原「はるかと集合時間よりも前に来てたんだけど、はるかが突然眠いとか言い出して……」
塚原「“同窓会始まるまで保健室で寝てる”って言ったから……」
逢「そのまま放置して来たんですか?」
塚原「始まったら起こしに行こうと思ってたらこの騒ぎになって……」
しゅう「まずいですよ!」
棚町「恵子と森島先輩が危ない!」
絢辻「手分けして探すわよ!塚原先輩は保健室に向かって下さい」
しゅう「中多さんは……寝起きだし、どうしよう?」
中多「行きます」
塚原「無理しないでね」
中多「大丈夫です」
しゅう「よし、中多さんは保健室チームに!」
中多「あ……」
逢「大丈夫だよ」
塚原「……」

全員、自然と二手に分かれた。
田中さん捜索チームは、絢辻さん、梨穂子、薫、香苗さん。
森島先輩捜索チームは、塚原先輩、逢、中多さん、僕。

絢辻「い~い?必ず団体行動をとってね」
塚原「見つけたらもう一方に連絡」
桜井「Yes,I gatcha!」

保健室

塚原「はるか!いる?」

塚原先輩がカーテンを開けた。

森島「こ~ら、ダメでしょ?むにゃむにゃ」
逢「……寝てる」
しゅう「どうやら平気みたいだ」
塚原「はるか!いつまで寝てるの?起きなさい!」
森島「ふあ~あ。あれ?ひびきちゃん。逢ちゃんにしゅう君に……」
中多「……」
森島「えっと、あなたは?」
中多「中多紗江……」
森島「紗江ちゃんね、よろしく。むにゃむにゃ」

森島先輩は寝ぼけている。

塚原「呆れた。ねぇ、カメラ持ってない?」
しゅう「一応携帯電話のカメラはありますが」

塚原先輩は保健室のカーテンを閉め切って、電気を消した。

逢「何をするんです?」
塚原「さあ、思いっきりフラッシュをたいて、はるかの寝顔を撮ってあげなさい」
逢「えっ??」
しゅう「了解です!!」
しゅう(森島先輩の寝顔を堂々と撮れる!!)

ピカッ、パシャッ!

森島「わわっ!びっくりした!」
塚原「おはよう」
森島「おはようじゃないわよ!もうちょっと寝かせてよ。意地悪」
塚原「……」

塚原先輩は保健室のカーテンを開け、電気を点けた。

森島「ところで、同窓会まだ~?」
塚原「もう始まってるわ」
森島「ひどい!どうして起こしてくれなかったの?」
しゅう(うわ、言ってることが真逆だ……)
逢「それどころじゃないんです」

4人で事情を説明した。

森島「そうだったんだ……」
塚原「はるか。案内状ある?」
森島「うん」

森島先輩が案内状を取り出すが……

しゅう「表は僕らと同じか……」

裏返すと……

事件はまだ終わってない
これからだ
   当同窓会の主催者Xより


しゅう「まだあるのか!」
中多「絢辻先輩の方はどうなったんでしょう……」


一方、その頃……

廊下

伊藤「いない。桜井!そっちは?」
桜井「いないよ」
棚町「あっちは見つけたかしら?」
絢辻「保健室にいればの話だけどね」
伊藤「考えてみればうちら、ヒントないよね」
棚町「くまなく探せってことね。まったく、恵子どこ行ったの?」
桜井「くんくんくん……」
伊藤「桜井?」
桜井「くんくんくん……」
伊藤「どうしたの?」
桜井「何かね、良い匂いがする。たぶん家庭科室」
絢辻「おかしいわね。誰か料理してるのかしら?」
桜井「行ってみよー!」
伊藤「ちょ!待ちなさい!」

家庭科室

桜井「わぁ!カップ麺だ~!お腹空いてたんだ~!いっただっきま……」
伊藤「ストップ!」
桜井「え~??」
伊藤「さっき睡眠薬入りのケーキ食べたばかりでしょ?」
棚町「きっとこれも睡眠薬入りに間違いな……ん?」
絢辻「どうしたの?」
棚町「……あ!恵子!!」

田中さんが倒れていた!

絢辻「……どうやら眠っているだけのようね」
棚町「……現場保存」

パシャッ。パシャッ。

棚町「恵子!しっかりしなさい!恵子!」
田中「ん……薫」
棚町「何があったの?」
田中「男の人と電話してたらいきなり眠くなって……」
絢辻「背後から睡眠薬を嗅がされたのね」
伊藤「案内状は?何か書いてない?」
田中「えっと……あ!」

田中さんの案内状の裏には……

そろそろ気付いたかな?
我が正体を当ててみせよ
   当同窓会の主催者Xより


絢辻「まずは塚原先輩たちと連絡を!」
棚町「オッケー!」

梨穂子と香苗さんに続き、立て続けに起きた3つの事件。
5人の被害者たち。
そしてヒントは「頭文字(イニシャル)K」
これでどう解けというのか。
犯人の狙いとは!?



第3章へ続く

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