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2011-11-23

エピローグ特別編「先輩、待望の長男ですよ!! 前編:私に隠し事ですか?」

僕と逢の長女である祈が小学校低学年になった頃の話。
そういえば以前から逢と引っ越しの相談をしていたが、結局そのままこの都会に住むことになった。
思えば僕と逢の大学進学以来、二人ともずっとこの都会に住んでいる。
都会は便利だけれども、犯罪が多い。逢も祈も何度か巻き込まれたことがある。
また、僕と逢の故郷である輝日東には二人の家族がいて、近所付き合いも多い。
だから輝日東に引っ越して、祈を僕と逢の母校である輝日南小学校に入れようかと考えた。
でも結局引っ越す必要がなくなった。
何故なら……


病院

祈「わぁ、人がいっぱい!」
逢「こら祈。病院では静かにして」
祈「はーい」
??「あら七咲。祈ちゃんも一緒なのね」
逢「え?あ……」
祈「つか原先生!」
塚原「こんにちは」
逢「こんにちは、塚原先輩」
祈「こんにちは!」
塚原「ふふっ、相変わらず元気ね」
逢「ええ、おかげ様で」

祈は以前インフルエンザにかかって小児科の塚原先輩のお世話になったことがある。
あの時は大変だった。
祈が高熱による悪夢にうなされて、逢が付きっきりで看病していた。
僕もすごく心配で、一緒に看病しようかと思ったが、案の定逢に止められた。
「祈を心配する気持ちも分かりますが、先輩は仕事を優先して下さい」
「もし先輩にまでインフルエンザが感染ったりしたらそれこそ祈の看病どころじゃありません」
「先輩が外で働いて、お金を稼ぐことこそ祈の看病なんですから。お金がないと病院にも行けませんからね」
「ですから、私に任せて下さい」
だから僕は祈のことを逢と塚原先輩に託したんだった。
また、それ以来、祈は塚原先輩のことを好きになって、色々相談に乗ってもらったこともある。
誰かさんに似て、塚原先輩のことを尊敬しているようだ。

祈「つか原先生!あそんで!」
逢「こら!先生は忙しいんだよ?……あ、忙しいところをすみません」
塚原「いいのよ。先に話しかけたのは私だから」
逢「以前、インフルエンザで塚原先輩のお世話になったり、他にも色々相談に乗ってもらって……」
逢「この子、塚原先輩のことをすごく尊敬しているみたいです」
逢「将来は塚原先生みたいになりたいって」
塚原「ふふっ、誰かさんみたいね」
逢「似た者親子……ですね」
塚原「ふふっ」
祈「先生!あそんで!」
塚原「うん。また今度ね」
祈「きっとだよ?」
塚原「分かった」
塚原「ところで、今日もどこか具合悪いの?」
七咲「いえ。この子は付き添いです。塚原先生に逢わせろって聞かなかったので連れて来ました」
塚原「じゃあ、七咲が?」
七咲「はい」

逢はさり気なくお腹に手を当てた。

塚原「ふふっ……おめでとう。それと、お大事にね」
逢「はい。行くよ、祈」
祈「もう行くの?」
逢「うん。また今度遊んでもらおう?」
祈「……分かった」
逢「それじゃ、塚原先輩。お仕事頑張って下さい」
塚原「七咲も頑張ってね。それと旦那さんにもよろしく伝えておいて。祈ちゃん、バイバイ」
逢「はい!」
祈「バイバイ、つかはら先生」

とまあ、こんな具合に祈は塚原先輩のことが大好きみたいだ。
保育園の友達や小学校の友達ともすっかり仲良くなった。
僕も大学時代からの付き合いの職場の同僚がいるし、逢も祈の友達の保護者と仲良くなった。
そんなわけで、三人ともこの環境にもう慣れている。
だから、輝日東に引っ越す必要がない。
ここで十分にやっていける。


そういえばさっき逢がお腹に手を当てていたけど……話は少し前に遡る。

七咲家

祈「ただいま」
逢「おかえり」
祈「クンクン……いい匂い!今日のご飯何?」
逢「今日は、牛肉!安かったからね。お野菜と炒めるの」
祈「わぁ、お肉!私も手伝う」
逢「祈が手伝ってくれるんだね。ありがとう。じゃあ、玉ねぎお願いしてもいい?」
祈「玉ねぎ……?う、うん」
逢「大丈夫。この前教えた通りにやれば早く切れるから泣かないよ」
祈「う、うん」

祈は玉ねぎにちょっと嫌な思い出があるみたいだ。
玉ねぎを切ったことのある人は分かる、あの涙腺を刺激する匂い。
祈は文字通り、泣きながら逢に玉ねぎの切り方を教わっていた。

祈「できた」
逢「うん、ばっちり。やればできるね」
祈「そ、そんな……」

逢にほめられて、祈は照れている。

逢「じゃあ次は人参を……」
祈「分かった」

祈は人参を切った。

祈「お母さん、できたよ……?」
逢「う……」
祈「お母さん?」
逢「……」

逢はその場に倒れた。

祈「お母さん?お母さん!」
逢「祈……電話取って」
祈「どれ?」
逢「そう。それ!」
祈「はい」

祈が逢の携帯電話を取って逢に渡した。
逢が119番通報した。

逢「住所は……」
祈「……」

119番通報している逢のすぐそばで、祈が心配そうな顔をして静かに立っていた。


(祈の回想)
担任「いいですか、みなさん。危ない人に逢ったりしたらすぐに110番。警察を呼ぶんですよ?」
同級生「は~い」
祈「警察?お父さん?」
同級生「祈のお父さんってケーサツだったよな。祈が110番したら来てくれんのかな?」
担任「それと、消防車や救急車を呼ぶ時は119番通報ですよ。慌てず、はっきり通報するんですよ?」
同級生「は~い」

逢「大丈夫よ、祈。すぐ救急車が来てくれるから。心配しないで」
祈「……!きゅうきゅう車?119番?」
逢「どうしたの?」
祈「この前学校で教わった。ぐあいわるい人を見つけたり、火じにまきこまれたら119番通ほうって」
逢「そう、今のは119番」
祈「110番はケーサツだって」
逢「うん。110番したらお父さん来てくれるかもしれないけど、いたずらしちゃダメよ」
祈「いたずら、しない」
逢「そうそう」
祈「……あ!」
逢「ん?」

うずくまったままの逢と、しゃがんだ祈がしばらく会話していたが……
火の消し忘れに気付いた祈が火を止めに行った。

逢「そっか。お味噌汁を作ってる最中だった……」

祈はしばらくテーブルに向かって何かをやってから再び逢の元に駆け寄った。

それから数分で救急車が到着。
祈も付き添いで病院に向かった。


総合病院

検査を終えた逢が出て来た。

祈「お母さん。だいじょーぶ?」
逢「うん。もう平気」
祈「よかった……」
逢「それより……聞いて!」
祈「なに?」
しゅう「見つけた!逢!祈!」
祈「お父さん!」
逢「どうしたんです?何故ここが分かったんです?」
しゅう「それはこっちのセリフだよ!何してたんだよ?」
逢「何って?」
しゅう「珍しく上がりが早かったんだ。だけど、帰宅したら誰もいなくて料理も作りかけで……」
しゅう「これを見て急いでやって来た」

僕は逢にメモを渡した。
小学校低学年にしてはうまい字で書かれている。

逢「お母さん、119番。いそいで来て。祈」
祈「あ、それ!よかった……」
逢「え?じゃあ祈が書いたの?いつの間に……」
祈「お母さん、いたずらだめって言ったから……」
逢「それでメモを?」
祈「うん」
逢「……」
しゅう「……ん?いたずらだめ?何のこと?」
逢「ともかく!こうして偶然3人揃ったので……改めて聞いて下さい」

逢が一呼吸置いてからゆっくりと衝撃的な事実を語り出した。

しゅう「な、なんだってええええええええええええええ!こ、こどもおおおおおおおおおおおおおおお!?」
祈「あたしに姉弟(きょうだい)ができる!?」
逢「ちょ、二人とも、静かに!」

病院内で、周りがこちらに注目している。

しゅう「静かにしろって言う方が無理だよ」
祈「そうだよ」
逢「ここで話したのは場違いでしたね……」
しゅう「とにかくおめでとう!祈もお姉ちゃんになれるな」
祈「うん。うれしい」
逢「え、えっと、帰りましょうか」
しゅう「もう大丈夫なのか?」
逢「ええ。痛みもおさまりました」
しゅう「よし。とりあえず今夜はパーティか?」
祈「今夜は牛肉だって。あたしもおてつだいするんだ」
しゅう「お、じゃあ、祈の手作り料理が食べられるのか!やった!ごちそうだ」
祈「そんな、おおげさだよー」
しゅう「……待てよ」
逢「どうしました?」
しゅう「夕飯ってどうなってるの?あと、戸締りとか」
逢「作りかけで出て来ました。火を消したり、戸締りしたのも全部祈です」
しゅう「そっか、祈が……。ありがとう」
祈「……早く帰ろう。お腹ペコペコ」

祈は照れ隠ししながら、少し先を歩いた。

しゅう「……しっかりしてるよなぁ」
逢「ええ。利口ですよ、祈は」
しゅう「本当に小学生か?って思うくらいしっかり者だよ。誰かさんの小さい頃みたいだな」
逢「似た物親子……」
しゅう「何か言った?」
逢「いえ、何も」
しゅう(その通り。似た物親子だよ、まったく)
しゅう「しっかり者の祈がいてくれれば、家族が増えても大丈夫だよな」
逢「……そうですね。でも、祈ばっかりに負担をかけてはいけませんよ」
しゅう「分かってる。僕も頑張らなきゃな」
逢「私もです。私も二人に負担をかけないように頑張ります」
しゅう「逢は無理するなって」
逢「無理なんかしませんよ。できる範囲です」
祈「ねぇ、早く!早く帰ろう」

逢とこっそり話をしていたら、祈に急かされてしまった。

しゅう「そうだな。お腹空いたから早くご飯にしようか」
逢「もう、二人とも。少しは気遣ってほしいな~」

その後、逢と祈が引き続き夕飯を作った。
僕も手伝おうとしたら……

逢「いいから座ってて下さい」
祈「それかおふろ先に入るとか」
しゅう「え?あ~、じゃあ座っておく。お風呂は祈が一番だよ」

……と、こんな具合に断られた。
まあ、たまにはいいよな。
逢と祈で楽しそうだから、邪魔しないでおこう。

祈の作った夕飯は美味しかった!
逢の監修が入ってるけど、それでも実の娘が作ってくれた料理はとても美味しかった!
頭がいいし、機転が利くし、料理もできる!
祈がいてくれて僕は幸せだ。

前に逢の実家に泊まって、七咲家の過去について聞いたことがあった。
第12話「先輩、私を知ってください」
逢の家庭は決して裕福ではなく、ご両親はものすごい努力家だ。
逢も、弟の郁夫も、養育費などの問題から、一時は諦められてしまうところだった。
もしかしたら生まれてこなかったかもしれない。
でも、ご近所の助けもあり、逢は無事に生まれた。
弟の郁夫も、逢が精一杯ご両親を助けることで何とか生まれることができた。
不意にそのことを思い出した。
祈を当時の逢とするならば、僕と逢は当時の逢のご両親だ。
逢が授かった第二子は当時の郁夫。
僕が頑張ってはいるけれど、そんなに裕福でもない。
だけど、せっかく授かった子供を諦めたくない!
祈に負担はかけたくないけれども、祈がここまで優秀な娘なら、祈に懸けてみようと思う。
祈ならきっとできる!
その名前に込められた意味の通り、僕と逢、それに七咲家全体を救ってくれるに違いない。
(祈の由来:エピソード「先輩、娘の名前……何にします?」(ノベル)

しゅう「祈。ちょっといいか」
祈「ん?どうしたの?」

逢がお風呂に行って、いないタイミングを見計らって祈を呼び止めた。

しゅう「祈は……その、弟や妹ができるのは嬉しいか?」
祈「うん!あそび相手ができるから!一人っ子ってつまんないんだって」
しゅう「そっか……」
祈「……?お父さん?」
しゅう「祈」
祈「うん」
しゅう「お母さんのお手伝い、してくれないか?これからも」
祈「え?そんなのあたりまえだよ!おうちの人のおてつだいをしなさいって先生がいつも言ってるし……」
祈「おてつだいするとお母さんがほめてくれるからうれしいよ」
しゅう「そっか。そうだよな」
祈「きゅうに……どうしてそんなこと聞くの?」
しゅう「うん。祈は弟や妹ができてうれしいけど、お母さんはこれから大変になるんだ」
しゅう「急に具合が悪くなることもあるかもしれない」
しゅう「お父さん、いっつもお勤めで、お母さんのそばにいてあげられないかもしれない」
しゅう「そんな時、祈がいてくれるとお父さんも安心なんだ」
祈「お父さん……」
しゅう「って、ごめんな。祈に言うようなことじゃなかったな」
祈「がんばる!」
しゅう「え?」
祈「あたしもがんばるから、お父さんもがんばって!」
しゅう「祈……いいのか?」
祈「うん」
しゅう「あ、でも」
祈「ん?」
しゅう「遊びたい時は遊んでいいからな。お母さんやお父さんだけじゃなくて、お友達も大切にな」
祈「分かってる」
しゅう「よし!じゃあ、姉弟(きょうだい)のために頑張ろう!」
祈「うん!」
しゅう「それと……このことはなるべくお母さんには内緒な」
祈「分かった」

僕は念のため、周囲を調べた。
逢に盗聴された形跡はない。

その後、祈はいつも通りに逢の手伝いを頑張った。
産婦人科の定期検診のために逢は祈を連れて病院に行き、塚原先輩と偶然逢った。

そんな感じで、逢の第二回目の妊娠生活が幕を開けた。
前回は僕がいて、ずっと逢を支えてあげていた。
というより、前回は僕と逢の二人っきりだったから僕しか支えてあげられる人間がいなかったんだけどな。
今回は違う。
僕も前回よりも仕事が忙しくなり、支えてあげるのもやっとだ。
だから、しっかり者の祈がいてくれて、僕も嬉しい。
僕と祈だけの約束……。
二人で頑張って逢を、お母さんを支えていこう!



後編へ続く

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