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2010-05-04

第4話「先輩、ごめんなさい」

翌朝
2-B教室
七咲「みんな、おはよう」
女子「あ、逢ちゃん、おはよう」
いつも通り席についてほっとする七咲。
すると、そこへ……
美也「た、大変だぁ!大変なのだぁ!!」
ダダダダダダダダダダダダ……
中多「美也ちゃん、そんなに慌ててどうしたの?」
美也「それが……聞いてよ、紗江ちゃん!!」
美也「うちのお兄ちゃんが……」
七咲「……?」
中多「橘先輩が……?」
美也「風邪で寝込んだんだよ!!」
中多「え?」
七咲「……ええっ!?」
七咲の表情が一瞬凍りつく……
美也「びーくりしちゃうよね!!」
美也「変態でも風邪を引くとはこのことなのだ、にししし」
七咲「ねぇ、美也ちゃん、それ本当なの!?」
美也に駆け寄る七咲……
美也「え?うん。昨日逢ちゃんが帰った直後、お兄ちゃんが突然玄関で倒れたんだ」
美也「ひどい熱だったよ」
七咲「……!!」
七咲「そんな……そんなことって!私のせいで……」
七咲はその場にうつむき、両拳を強く握り締める
そして今にも泣きそうな表情をしている。
中多「七咲……さん……」
美也「逢ちゃんのせいじゃないよ!しっかりして」
七咲「……」
教室を出て行こうとする七咲。
美也「逢ちゃん……どこ行くの?」
七咲「ちょっと……屋上に。すぐ戻る」
美也「逢ちゃん……」

屋上
七咲「……」
橘先輩、ごめんなさい。私のせいで風邪を……
私がデートに誘わなければ風邪なんて……
先輩、私のためを想って無理なんかして……

回想
橘「こんなピクニックシート……じゃないよ。これは僕と七咲の大切な思い出の品じゃないか」
橘「僕は、こんな大切な物をそう安々と失いたくなかったんだ」
あの時の橘先輩はすごくカッコよかった……
夜の小学校で犬を追い払ったときみたいに……カッコよかった……
橘先輩、本当にごめんなさい……

梅原「おおっと、こんな所にいたのか」
七咲「え?梅原……先輩?」
梅原「美也ちゃんから話は聞いたぜ。七咲、お前、橘に風邪引かせちゃったんだってな」
七咲「え……はい」
梅原「本当にそう思うのか?」
七咲「と、言うと?」
梅原「実はあいつ、お前とデートの約束をする前から喉が痛かったみたいだぜ」
七咲「え?本当ですか?だったら、どうして、正直に言ってくれなかったんですか?」
梅原「お前が目を輝かせながらデートの誘いをしてきたから断れなかったみたいだな」
梅原「大好きな女の子を悲しませたくないという男の意地だ」
梅原「ふっ、本当、あいつは無茶するぜ」
七咲「……」
梅原「……で、どうするんだ?今日はあいつのご両親も美也ちゃんも出掛けるって話だぜ」
梅原「家にはあいつ一人ってわけだ」
七咲「……私、橘先輩のお見舞いに行きます!」
そう言うと、涙を拭いて元気に階段を降りて行く七咲。
梅原「やれやれだぜ」

回想
3年生廊下
美也「ど、どうしよう、ウメちゃん!!」
梅原「ん、どうした?何があったんだ?」
美也「実はうちのお兄ちゃんが逢ちゃんとデート中に風邪引いちゃって……」
美也「逢ちゃんが自分のせいだって落ち込んでいるの」
梅原「デート中に風邪引いた?いや、あいつもっと前から風邪引いてたみたいだぜ」
美也「へ?そなの??」
梅原「ああ。でも、七咲を悲しませたくなくて隠し通してたみたいだ」
美也「でも、結局逢ちゃん悲しんでる!」
美也「とにかく、ウメちゃんの方から逢ちゃんに説明してあげて」
美也「それから、美也たちは気を遣って出掛けるから今夜はお兄ちゃん一人なのだ」
梅原「わかった。そう伝えておくよ。……あと、ウメちゃんはやめろよ」
美也「ありがとう、ウメちゃん!」
梅原「はっはは……聞いてないよ……」

梅原「まったく、俺は縁結びの神様かって!」


2-B教室
七咲「美也ちゃん!」
美也「あ、逢ちゃん!戻って来たんだね!」
七咲「美也ちゃん、今夜、美也ちゃんの家に行ってもいいかな?」
美也「え?今夜、みゃーも両親もいないよ」
七咲「橘先輩のお見舞いがしたい!お願い!」
美也「うう……わかったのだ!お兄ちゃんが心配なんだね」
七咲「ありがとう!美也ちゃん」
美也「いいのだー逢ちゃんの頼みだもん」
美也(作戦通りなのだ。にししし……)

放課後
橘家
ピンポーン
美也「はーい。……あ、逢ちゃん!」
七咲「美也ちゃん、今晩は」
美也「うっわ、その袋、すーごい量だね」
七咲「うん。橘先輩に栄養を付けなくちゃ。たくさん買っちゃった」
七咲「橘先輩は?」
美也「部屋で寝てるよ。こっそり行って脅かしてやるのだ。にししし……」
七咲「それもいいかも」

橘家・しゅうの部屋
橘「ゲホッ、ゲホッ」
橘「やっぱり無理してデートに行ったことで罰が当たったか」
橘「これじゃ七咲に逢えないし、受験勉強だってできないよ」
橘「僕はバカだ」
七咲「本当だよ、バカ」
橘「美也に言われたよ、くそう。……あれ?でも声がなんか違うような……」
七咲「本当にバカな先輩です……」
橘「え?な、七咲!?どうしてここに?」
七咲「梅原先輩から聞きました。先輩、何も無理しなくてもよかったのに」
橘「え?あ、ああ……」
七咲「本当に、世話の焼ける先輩です」
美也「逢ちゃんに怒られてる。にししし……」
橘「美也……」
美也「お兄ちゃん、ごめんなさいは?」
橘「何で美也に謝らなきゃいけないんだよ……」
美也「みゃーじゃない!逢ちゃんにだよ!まったく」
橘「バカって言うなよ」
美也「お兄ちゃんが余計な気を遣ったせいで逢ちゃんを悲しませたんだよ」
七咲「私、てっきりデートに行ったことで先輩が風邪を引いたのかと思い……」
七咲「すごく責任を感じました。でも、その後、梅原先輩から聞きました」
七咲「先輩は風邪を引いていたにも関わらず、私のためにデートを……」
橘「……七咲、黙っていて悪かった。でも、楽しそうな七咲を見ていたらどうしても……」
美也「あ、じゃあ、みゃーは出かけて来るのだー後は二人でね」
七咲「美也ちゃん、ありがとう。行ってらっしゃい!」
美也「逢ちゃん、そのスケベ星人に襲われないようにくれぐれも注意するのだー」
橘「誰がスケベ星人だ!」
七咲「わかった。気をつける」
橘「七咲まで……」
七咲「冗談ですよ、クスッ」
美也「では、さらばなのだーにししし」
美也が部屋を出て行く。
橘「……」
七咲「……」
橘「え、ええっと……二人っきり……だね」
七咲「……はい」
橘「まさかあの美也が気を遣ってくれるなんてなー」
七咲「先輩、その発言はどうかと思いますよ」
橘「ああ、美也に失礼だったな」
橘「……わざわざ来てくれてありがとうな、七咲」
七咲「い、いえ。彼女なのだから当たり前です」
橘「でも、風邪移しちゃうぞ?いいのか?」
七咲「こう見えて、私、風邪引きにくいんです。大丈夫ですよ」
橘「そっか」
七咲「……」
橘「ごめんな、心配かけて。でも、僕なりに気を遣ったつもりだったんだ」
七咲「はい、先輩の優しさは私が一番よくわかっています」
橘「でもさ、結局ずぶ濡れになって風邪をこじらせて、七咲に悪いことしちゃったよ」
橘「こんなことになるんだったら、正直に話してデートに行かなければよかったのかもな」
七咲「……」
橘「七咲?」
七咲「そんなこと、ないと思います」
橘「え?」
七咲「デートに行ったおかげで作れた思い出もあります」
七咲「それに……今こうして二人でいられるのもデートに行ったおかげです」
橘「七咲……」
七咲「先輩、もう済んだことをあれこれ言うのは辞めましょう」
七咲「後悔ではなく、むしろ、前向きに考えましょう」
橘「うん、そうだね」
七咲「それよりも……先輩、お腹空いていませんか?」
橘「ああ、言われてみれば」
七咲「先輩のために、お野菜たっぷりのシチューを作りますね」
橘「う……野菜か。ちょ、ちょっと野菜はな……」
七咲「風邪引いた時には野菜をたくさん食べた方がいいんですよ」
橘「そ……そりゃそうだけど……うう」
七咲「安心してください。ちゃんと食べてもらいますから!」
七咲「じゃあ、ちょっと台所をお借りしますね」
七咲が部屋を出て行く。
橘「ちゃんと食べてもらいますから……か。いったい何をする気なんだろう……」
橘「ま・さ・か!」

妄想1
七咲「ふーふー。せんぱーい、あーんしてください」
橘「あーん、おいしいよ、七咲」
橘(『ふーふー』って七咲の甘い息がかかったシチュー!!)

橘「とか!!」

妄想2
七咲「先輩、今から食べさせてあげますね。ちょっと口開けててください」
橘「あーん」
七咲はシチューを掬って自分の口に入れる。そして……
七咲「ん……んん……」
橘(まさかの七咲の口移し!!これなら何だって食えるぞ!!)

橘「とか!!!」

妄想3
橘「う……野菜だらけ……」
七咲「先輩のために一生懸命作りました……お口に合いませんか?」
橘「い、いや、そんなことは!!ははは……」
七咲「ぐすっ」
橘「え?な、七咲……」
七咲「ぐすっ。ぐすっ」
橘「泣かないでよ、七咲」
七咲「もういいです!先輩のバカ!」
橘「ま、待ってよ、待ってよ、七咲……」
七咲「もう近寄らないでください、変態!」
橘「ち、違うんだ、七咲……ななさきいいいいいいいいいいいい!!!!!!」
美也「よくも、逢ちゃんを泣かしたな、この変態バカにぃに!!」
美也に思いっきりひっかかれる

橘「うわあああああああああああああああ!こんな展開嫌だあああああああああああああ!!」
橘「違うんだよ、七咲!」
七咲「何が違うんです?」
橘「え?」
七咲「先輩、汗がすごいですよ」
橘「あ、七咲」
七咲「シチュー作ってたら先輩の悲鳴が聞こえたので、びっくりして来ちゃいました」
七咲「熱でうなされていたんですね」
橘「あれ?僕はいつの間に寝てたんだ?」
七咲「それはこっちが聞きたいです。シチュー、もう少しなので待っててください」
橘「あ、ああ」
七咲は再び台所へ戻る。
橘(なんだ……夢か。よかった。でも、僕としてはもっと甘い展開がよかったんだけどな)
橘「うん、いいにおいがする!下へ行こう」

橘家・台所
七咲「うん、味付けはこれでよしっと。後は先輩の部屋に……」
橘「おいしそうなにおいだね」
七咲「あ、先輩。起きてきて大丈夫なんですか?」
橘「うん。少しフラフラするけどね」
七咲「だったら私が部屋に届けるので、先輩は寝ていてください」
橘「いや。部屋は狭いからここで食べようと思ってね」
橘(それに、七咲には見せられないお宝もあるしな……ははは)
七咲「もう……しかたない先輩ですね。じゃ、居間で食べましょう」
橘「うん」

橘家・居間
橘「うわあ、おいしそうだね」
七咲「先輩の嫌いな野菜をふんだんに使ったシチューです」
七咲「これなら先輩も郁夫も野菜を食べられます」
橘「郁夫って……七咲の弟か」
七咲「はい、小学生です」
橘「はははは……小学生と一緒か」
橘「じゃ、いただきます」
七咲「いただきます」
橘「……」
七咲「……どうです?お味の方は?」
橘「うまい!うまいよ、七咲!!なんだか、身体だけじゃなくて心まで暖まってきたよ」
七咲「それはよかったです」
橘「七咲が心を込めて作ってくれたシチューは暖かいな」
七咲「……え?あ、ありがとうございます」
橘(はぁ、さっきの甘い展開はなしか。ま、でもいっか)
橘「もぐもぐもぐ……ごっく……ゲホッ、ゲホッ。う、むせた……」
橘「……ゲホッ、ゲホッ」
七咲「先輩、大丈夫ですか?」
七咲が僕の背後に回り、背中を摩る。
橘「ああ、七咲……ゲホッ、ゲホッ。大丈夫……ん?」
ドックン!ドックン!
橘「ぶぶっ!」
橘(ぼ、僕の背中に……やわらかい感触が!こ、これは……胸か!?)
橘(それに七咲からほのかに漂ってくる塩素のにおい……)
橘(ま、まずい、まずいぞ……僕の体温がどんどん上がっていくみたいだ……)
バタッ。
七咲「先輩?先輩!しっかりしてください!!先輩!」
橘(な、七咲……ぼ、僕は……萌え尽きた。ぐふっ)

橘家・しゅうの部屋
七咲「もう……また無茶しましたね。先輩」
橘「無茶させたのは七咲の方じゃないか……」
七咲「ん?先輩、今何か言いました?」
橘「い、いや、ありがとうって」
七咲「……本当ですか?ま、いいです。私は夕飯の片付けをしてきます」
七咲「あ、先輩、食べかけのシチュー、持って来ますか?」
橘「ああ、頼むよ」
七咲「はい、わかりました」
七咲は台所に戻る。
橘(まったく、僕って奴は。七咲の胸で興奮するなんてな……まだまだだな)

七咲「先輩、シチュー持って来ましたよ」
橘「……」
七咲「先輩?寝てるんですか?」
橘「……」
七咲「ちゃんと布団かけないと、風邪がひどくなりますよ」
七咲は丁寧に布団をかけ直す。
橘「ん?」
七咲「あ……ごめんなさい。起こしてしまいました」
橘「あ、僕、また寝てたのか」
七咲「かわいい寝顔でしたよ。クスッ」
橘「うっ……恥ずかしいな」
七咲「はい、先輩、シチューです」
橘「ああ、ありがとう」
七咲「具合は……どうですか?」
橘「ちょっとはよくなってきたみたいだ」
七咲「そうですか。それはよかったです。でも、先輩、無理はなさらないでくださいね」
橘「ああ。ありがとう。……なぁ、七咲」
七咲「はい、何ですか?」
橘「今日は本当にありがとうな。おかげで元気が出て来たよ。感謝してるよ、七咲」
七咲「……先輩。そういう時は名前で呼んで下さい」
橘「ああ、ごめん。好きだよ、逢」
七咲「先輩……。私もです」
そして、僕はそのまま七咲にキスをした。
七咲の唇はとても柔らかくて、気持ちがよかった。
そして、とても暖かい。なんだかとろけそうだ。
風邪移らないとか言ってたけど、大丈夫なんだろうか?
ま、気にするまい。
できれば、ずっとこのまま……キスしたままでいたい。

美也「ただいま!」

橘「!!」
七咲「ええっ!?」
ドンッ!
橘「おわっ!」
七咲は驚いて僕をベッドに突き飛ばす。
橘「な、何す……」
七咲「先輩、いいから早く寝たふり!!」
橘「あ、ああ……」
七咲は急いで布団を直す。
美也「あ、お兄ちゃん!大人しくしてたんだね。逢ちゃんもありがとう」
橘「は、早かったんだな、美也」
七咲「み、美也ちゃん、お帰り」
美也「早かった?何言ってるの、もう9時だよ?」
橘「はっ?」
七咲「え?」
二人して時計を見上げる……なんと、時刻はすでに9時を回っていた!!
橘「もうそんな時間だったのか!」
橘(七咲といると時間が経つのが早い……)
七咲「もうこんな時間……早く帰らないと!」
美也「あれ?二人とも何か怪しいぞ。……まさか、このスケベ星人がぁ!!」
七咲「せ、先輩、お大事に……また明日」
七咲は足早に逃げる。
橘「あ、七咲、行くな!!」
美也「逢ちゃん、バイバーイ。……うううううう」
橘「あ、ははは……べ、別にやましいことなんか……」

にぃにのバカァァァァァァァァァァァァァァァ!!
ギアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

何はともあれ、僕は七咲のおかげで元気になった。
でも、2、3日は大事をとって休むことにした。
それにしてもひどいや。僕は変態じゃないのに!!
美也め、覚えておけ!!この恨みは忘れないぞ!!

第5話に続く。

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