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2011-12-25

目次をコンパクトにまとめました

ご覧の通り、目次をコンパクトにまとめました。
以前まではずら~っと縦に長ったらしい目次でしたが……
それでは読者さんが記事を探すのがめんどくさい(いっぱいスクロールする必要がある)し、
毎回更新のたびに目次を編集している僕自身も挿入部位を探すのがめんどくさいです。
従来の縦に長ったらしい目次からスクロールで目的の記事を探していくのか……
ほぼカテゴリーごとにまとめられた目次からクリックして目的の記事を探していくのか……
どっちもめんどくさい気がしますが、でも見た目から言ったら後者かな?と思い、変えてみました。
やっぱり前者の方がいい!
そう思う方はコメントを下さい。

なお、まとめたのは一番記事数の多い、「七咲アフターストーリー」と「本日の七咲しゅう」です。
また、新しくまとめ用に作った記事を最新記事として保存してしまうと……
最新記事一覧にそれが表示されてしまいます。
そうすると皆さんが最新記事を探すのに邪魔になってしまうので……
まとめ用の記事は時間をわざと過去に設定してあります。
ご了承下さい。

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2011-12-25

エピソード「先輩、メリークリスマス!」

僕と逢の長女である祈が小学校低学年になった頃の話。
同じく長男である幸伎が生まれて3ヶ月ほど経った12月。

祈のクラス

男子A「そういや、もうすぐクリスマスだな」
女子A「そうだね。サンタさんに何をおねがいしようかな?」
男子A「バーカ!サンタなんていねーんだよ!」
女子A「いるもん!!サンタさんはいるの!!」
男子A「へぇ~」
女子A「な、何よ?」
男子A「だったら、しょうこを見せろよ」
女子A「しょ、しょうこ?」
男子A「サンタの写真でもとってこいよ!クリスマスに見せろよ」
女子A「え、ええっ?」
男子A「かんたんだろ?クリスマスイヴの夜、ずっと起きてればいいんだ」
女子A「え?だ、だめだよ。いい子にしてないとサンタさん来ないんだって!」
男子A「だろうな。サンタなんかいない。本当はオレたちの親なんだ」
女子A「ち、ちがうって!」
男子A「本当のすがたを見られたくないから、いい子はねろってことなんだろ?」
女子A「……」
男子A「だったら、本当のすがたを見てやれ!どうせ本当は……」
女子A「やめて!」
男子A「しんじているなら、しょうこをもってこれるよな?ずっと起きてろよ」
女子A「……」

女子児童の席の斜め前に、通路を塞ぐような感じで男子児童が立っている。
祈は黙って聞いている。

男子B「もうやめろよ!」

一人の男子児童が割って入った。

男子A「あ?シンじゃないか。あんだよ?」
男子B「お前がサンタはいないって思うのはかってだ。だけど、人のゆめまでこわすなよ!」
女子A「シンくん……」
男子A「うるせーよ。お前にはかんけいねぇだろ!」
男子B「かんけいあるさ。そこ、オレのせきだ。どけ」
男子A「あ??どけだと?」
男子B「つうろをふさいでてじゃまだ」
男子A「てめ!」

シンくんは男子児童をどけて着席した。

男子A「このやろ!」

男子児童はシンくんの襟元を掴んで殴ろうとしたが……

男子B「あ、先生だ!」
男子A「う……」

男子児童は大人しく席に戻っていった。

担任「じゃあ、授業を始めるわよ~」
男子A「ちくしょー。あいつおぼえとけ」
女子A「シンくん、ありがとう」
男子B「ううん。気持ち、わかるよ。オレもサンタからほしいプレゼントがある」
女子A「ほしいプレゼント?」
男子B「ああ。みんなにはないしょだけどな!」
女子A「なんだろう……」
祈「……」

休み時間、クラスの女子たちが話している。

女子B「シンくん、かっこいいよねぇ」
女子C「うんうん!さっきの見た!すごかった!」
女子B「お父さん、大きなグループの会長さんなんでしょ?すごいよねぇ」
女子C「しょうらいはお父さんのあとをつぐらしいよ」
女子B「テストじゃいつも100点だし、すごいよねぇ」
男子B「……」

女子たちの会話をそばで聞いていたシンくん。
その表情は少し曇っている。

男子B「……」

シンくんは考え事をしながら廊下を歩いていた。

男子A「よう!さっきはよくも!」
男子B「……」
男子A「おい、聞いてんのか!」
男子B「……」
男子A「おい!」

男子児童が殴りかかろうとしたところに祈が通りかかった。

祈「!」
祈「シンくん!先生がよんでたよ!いこっ」
男子B「……え?あ、うん」
男子A「ちっ」

祈は強引にシンくんの手を引いた。
職員室に行くのかと思いきや、逆方向に向かっていた。

男子B「お、おい、そっちはぎゃく……」
祈「うそだよ、あれ」
男子B「は?」
祈「何か、なやんでるの?」
男子B「え?い、いや……」
祈「私、知ってる。さっき、クラスの女子がシンくんのお父さんのこと言ってた」
男子B「なんだ、聞いてたのか」
祈「何かをなやんでて、なぐられるのに気付かなかったシンくんを助けた」
男子B「あ、ありがとう」
祈「……」
男子B「でも、それだけでどうして分かったんだ?」
祈「何となくね」
男子B「女のかん?」
祈「……えっと、言いたくなかったらいいよ」
男子B「……」
祈「じゃ、じゃあ……」
男子B「昼休み」
祈「え?」
男子B「きゅう食食べたら話す」
祈「わかった」

そして昼休み。
誰にも聞かれたくないとのことで、体育館の裏に二人は来た。

男子B「ちょっと寒いな」
祈「う、うん」

12月なので、屋外である体育館の裏は寒いはずだ。

男子B「お前のオヤジ、ケーサツなんだろ?ちょうどいいや」
祈「え?ちょうどいい?」
男子B「ああ。じつは、ケーサツにとどけようかと思ってたんだ」
祈「ケーサツに?」
男子B「オレのオヤジ、知ってるだろ?天田詠一郎。天田グループの会長」
祈「うん。お父さんが新聞で読んでた」
男子B「じつは、きのうから家に帰ってないんだ」
祈「会社にはいないの?」
男子B「オレもそう思ったんだ。だけど、学校来る時に会社から電話がかかってきた」
祈「お父さんのことで?」
男子B「ああ。どこ行ったか知らないかって」
祈「……お母さん、いないんだっけ?」
男子B「ジコで死んだ」
祈「……」
男子B「だからさ。さっきあいつらがサンタの話をしてたとき、ちょっとうらやましかった」
男子B「オレはサンタがいるともいないとも思ってない」
男子B「いるならオヤジを家に帰してほしいし、いなくてもオヤジがサンタとして帰って来てほしい」
男子B「いや、帰って来てほしいのはオヤジだけじゃない。オフクロだってあの世から帰って来てほしい」
祈「そうだったんだ……」
男子B「みんな親がいるのにサンタが親だったらガッカリとかいう話をしててさ……」
男子B「おまけに人のゆめまで平気でぶちこわそうとするやつだっているし」
男子B「親がいないオレはどうすればいいんだよ……」
祈「あきらめないで!」
男子B「祈……」
祈「たしかに、シンくんの言う通りかもしれない」
祈「言い方は悪いけど、一日いなくなったくらいじゃケーサツは動いてくれないかもね」
男子B「……だよな」
祈「でも、お父さんには話してみる」
男子B「いいのか?」
祈「うん。だって、シンくんにとっては大切な家族なんでしょ?」
祈「わたし、この前弟が生まれたばっかりだから、家族の大切さが分かる。気持ち、分かるよ」
祈「だから、わたしがシンくんの力になる!」
男子B「ありがとう。やっぱり、お前でよかった」
祈「……そろそろお昼休み終わるね。いこっ」
男子B「まて。お前先に行け」
祈「どうして?」
男子B「ど、どうしてって……お、お前といっしょにいるところを見られると……」
祈「……そ、そう、だね。じゃあね」

祈は先に戻った。

男子B「オヤジ……」

ちなみに祈はシンくんのことが好きというわけではない。
4歳の時から、つまり保育園から一緒で同級生のむーくんが未だに好きだ。
祈のクラスでは男子と女子が二人っきりでいると「お前らつきあってんだろ?」などと冷やかされる。
それを知っていた二人は別行動をとった。


一方、その頃……
七咲家

逢「よしよし。幸伎も祈みたいに立派な子に育ってね」

逢が幸伎の頭を優しく撫でている。

逢「さて、ご飯の支度しなくちゃ」

ピリリリリ……

逢「はい。どうしたんですか?……え?これから事件の捜査ですか?分かりました」

ピッ。

逢「今夜は遅くなる……か」


天田グループ、会長の部屋……

しゅう「亡くなったのは天田詠一郎さん、53歳。天田グループの会長です。死因は持病の心臓発作」
しゅう「社員らの話によると、天田会長は昨日からこの部屋でずっと仕事をしていたとのこと」
華村「だったら変だよな。何で引き出しに心臓発作を止める薬があったのに飲まなかったんだ?」
上司「薬だと?」
華村「ええ。社員らの話によると、天田会長は典型的なA型。薬はいつも多めに持って来ていたそうです」
上司「薬を切らしたことない……か」
華村「今だって薬がこんなにたくさんあるのに飲まずに亡くなった……」
松原「他殺かも」
しゅう「だろうな。誰かが天田会長にストレスを与えて心臓発作を起こさせ、薬を飲ませないようにした」
華村「それに何故ロッカーの中に遺体があったのか……不自然だ」
上司「身内は?」
しゅう「天田会長の奥さんは事故で他界、息子が一人だけです」
華村「えっと、名前は天田真次郎……あ?」
上司「どうした?」
華村「なあ、これ、祈ちゃんの同級生じゃね?」
しゅう「え?……本当だ」
上司「七咲の娘の同級生だったのか」
しゅう「そうみたいです」
松原「かわいそうだよね。お母さんは事故死、お父さんは他殺。一人残された」
上司「とにかく、他殺と決まれば早く容疑者を洗い出すんだ!」
しゅう「はい」
華村「聞き込み行って来る」
松原「同じく」
しゅう(天田グループか。そういや最近新聞で読んだな。天田グループの横領疑惑)
しゅう(それに祈のクラスメートが会長の息子……)
しゅう(何かある。きっと何か)



七咲家

逢と祈が夕飯を食べている。

祈「お父さんは?」
逢「遅くなるって。またお仕事」
祈「そうなんだ……」
逢「どうしたの?」
祈「ううん」

しゅう「ただいま」
逢「おかえりなさい」
しゅう「祈は?」
逢「もう寝てます」
しゅう「そっか」
逢「どうしたんですか?」
しゅう「ちょっと聞きたいことがあったんだけど、遅かったな」
逢「明日の朝とかは?」
しゅう「そうするか」

翌朝

祈「おはよ……あ、お父さん」
しゅう「おはよう。どうした?」
祈「あ、えっと……」
しゅう「あ、そうだ。祈に聞きたいことがあった」
祈「う、うん」
しゅう「天田真次郎くんって、祈のクラスメートだろ?何か知ってるか?」
祈「えっ?あ、うん」
しゅう「ん?」
祈「シンくんにたのまれた。お父さんをさがしてほしいって。お父さん、おとといからいないんだって」
しゅう「え?お父さん!?天田会長か」
祈「知ってるの?」
しゅう「あ、新聞で。そうか、やっぱり祈のクラスメートのお父さんだったか」
祈「シンくん、まだケーサツにとどけてないけど、さがしてほしいって。大切な家族だから」
しゅう「分かった。探してみるよ」
祈「うん」
しゅう(まさか祈にそんなこと頼んでたなんてな……)
しゅう(実は死んでたなんて言えないな。どうしたものか)
逢「……」
祈「学校行って来る」
しゅう「いってらっしゃい」
逢「気を付けてね」

逢「先輩、もしかして」
しゅう「え?」
逢「先輩のその表情からして、天田会長は……」
しゅう「……逢には分かるのか。さすがだな」
逢「お気の毒ですね」
しゅう「まだ、公表されてないんだ。だから、祈に言うわけにはいかない」
しゅう「お父さんを探してって頼まれたなら、このまま黙っておこう」
逢「……そうですね。私も黙っておきます」


しかし、僕と逢の気遣いとは裏腹に……

天田「祈はどうしたかな?学校行くか」

ピリリリリ……

天田「はい、天田……」
男「お前、天田詠一郎の息子だな?」
天田「え?」

電話の男は声を変えて喋っている。

天田「オ、オヤジに、何の用だ?」
男「残念ながらお前のオヤジは死んだ」
天田「なん、だと?う、うそだ!」
男「うそじゃない。あいつはグループの金を盗んで、バレそうになったから自殺したんだ」
天田「そ、そんな……」
男「ひどいオヤジだったよな」
天田「だまれ!」
男「オヤジの罪はお前の罪だ。お前もオヤジの後を追え!」
天田「後を?」
男「一緒に死ぬのさ」
天田「や、やめろ!」
男「怖いか。そうだな、一人は怖いよな。だったら、七咲祈も一緒だ」
天田「な!?祈も?」
男「俺はすべて知っている。お前が警察の娘に頼んでたことも知っている」
天田「あ、あいつはかんけいない!」
男「一週間だけ考える時間をやる!祈を殺してお前も死ね」
天田「い、いやだ」
男「言っておくが、このことは誰にも喋るな。もしも喋ったら俺がお前を殺す」
天田「う……」
男「いい答えを待ってるぞ」

プープー。

天田「う、そ、だ……」

シンくんはその場に座り込んだ。


一方、その頃……
祈のクラス

女子B「今日シンくんいないね」
女子C「めずらしいね。どうしたんだろ?」
男子A「はらでもこわしたんじゃね?バチが当たったんだろ」
女子A「シンくん……」
祈「……」

天田グループ、会長の部屋……

華村「社員から話を聞いて、死亡推定時刻に現場付近にいた人を割り出しました」
上司「ご苦労。4名か」
華村「平社員3名に、副会長1名」
上司「怨恨の線は?」
華村「それはないとのことで。誰からも愛される会長だったと」
上司「そうか」
松原「もしかして、会長の座を乗っ取ろうと副会長が殺ったとか?」
上司「あるいはそうかもしれんが、証拠がな」
上司「ところで、七咲。さっきから何をやっている?」
しゅう「昨日からこれが気になってしょうがないんです」
華村「それは!?暗証番号式の引き出し?」
しゅう「確か天田グループには横領の疑惑があったはずです。その証拠とかがここに?」
上司「かもしれないな。だが、暗証番号が分からんことには……」

カチッカチッ。

松原「ないね」
上司「勝手にメールを開くな」
松原「横領の疑惑があるなら、それも調べないと。だけど、見当たらない」
華村「もし横領してたなら、証拠を残すわけがないだろ?」
松原「メールは削除……か」
しゅう「うーん……もしかしたらメールの中にこの暗証番号のヒントがあるかもしれない」
しゅう「裁判所に捜査令状を出すべきかと」
上司「そうだな」

結局、捜査に特に進展はなく、捜査令状を待つことになった。



七咲家

しゅう「シンくんが欠席?」
祈「うん。おうちかられんらくがなくて、先生も分からないって」
しゅう「……」
逢「……」
祈「ねぇ、シンくんのお父さん、見つかったの?」
しゅう「……」
逢「……」
祈「お父さん……」

僕と逢は顔を見合わせた。

しゅう「落ち着いて、よーく聞くんだ」
祈「うん」
しゅう「これはまだ、みんなには発表されてないニュースなんだ」
しゅう「シンくんのお父さんは……死んだ」
祈「え?」
しゅう「シンくんのお父さんは死んでいた。だから家に帰って来なかったんだ」
祈「そんな……」
しゅう「祈がシンくんにお父さんを探してって頼まれた、その前の日にすでに死んでいた」
しゅう「祈がシンくんに頼まれた時、彼のお父さんはまだ見えない場所に隠されていて……」
しゅう「たまたまお掃除のおばさんが見つけたらしい」
祈「じゃあ、あの日の朝はまだ見つかってなかった?」
しゅう「うん」
祈「どうしてだまってたの?」
逢「言えないよ。お母さんもお父さんからお話を聞いた時、何となく分かってたけど……」
逢「そんな悲しいこと、小学生の祈やシンくんには言えるわけがない」
しゅう「警察もまだシンくんには内緒にしてる」
祈「そんな……そんな……」
しゅう「隠してて悪かった。でも、言えなかった」
祈「じゃあ、どうしてシンくんは学校休んだの?知らないはずなのに」
しゅう「……そうか!そうだよな」
逢「もしかして!」
しゅう「ああ。シンくんのお父さんを殺した犯人がシンくんに何かしたんだ!」
祈「ころされた?」
しゅう「たぶん」
逢「……とにかく、祈はこのことを誰にも喋っちゃだめよ。いいね?」
祈「分かった」

祈が寝た後で……

しゅう「天田グループって言ったら横領疑惑だよな」
逢「その罪を会長になすりつけて、自殺に見せかけた?」
しゅう「かもしれない」
逢「私の想像ですが……」
逢「犯人はシンくんに“お父さんは悪い奴だ”“お前もお父さんの息子だから”とか言ったんでしょうか?」
しゅう「グループを乗っ取った上に、会長の息子まで殺す気なのか。ひどいな」
逢「横領って本当に会長がやったんですか?」
しゅう「残念ながら、まだ証拠が出てきてないんだ。捜査令状を出したばっかりで」
逢「先輩、早く犯人を突き止めて下さい。このままではシンくんが!」
しゅう「分かった。逢は祈に注意しててくれ」
逢「祈に?」
しゅう「祈は事情を知っている。シンくんと話しているところを見られていたとしたら……」
逢「祈も危ないですね」
しゅう「ああ。祈の4歳の七夕の時みたいな、あんな事件、二度とごめんだ」
しゅう「祈が無茶しないように注意しててほしい」
逢「分かりました」

参照:エピソード「先輩、今日は素晴らしい七夕です」
祈は4歳の七夕の時、大好きなむーくんが病気で休んでいたのを心配していた。
保育園から帰る際、夕方だったにも関わらず、暗い森の中に入っていった。
むーくんのために神社にお参りしに行ったのはいいが、凶悪犯と鉢合わせて……。


数日が経過した。

捜査令状が出て、メールなども調べ、色々な事実が分かった一方で……

女子B「シンくん、どうしちゃったんだろ?」
女子C「もうすぐクリスマスなのに」
祈(シンくん……)

男「よう!そろそろ一週間経つ。どうだ?その気になったか?」
天田「うう、くっ」
天田(オレは……オレは……どうすればいい?祈)
男「その気にならないか。だったら、そうだな……七咲祈を……」
天田「やめろ!!あいつはかんけいないんだ!」
男「……」
天田「分かったよ……オレが、オレが死ねばいいんだろ?」
男「そうさ。分かってるじゃないか」
天田「どうすればいい?」
男「今から場所を伝える。来い」
天田「……ああ」

放課後

祈(シンくん……)

祈はシンくんの心配をしながら歩いている。
すると……

祈「あれ?シンくん?」

私服で手ぶらのシンくんが祈に気付かずに祈の目の前を歩いて行く。
祈はシンくんを尾行した。

祈「こんな時間に、こんな森に?」

祈には覚えがある。
ここは4歳の七夕の時に、むーくんのために入っていった森だった。

祈「警察に電話しなきゃ。でも、そんなことしたら気付かれる……どうしよう?」
祈「そうだ!」

祈は携帯電話を取り出した。
幸伎の一件で、祈にも携帯電話を持たせた方がいいという僕と逢の判断で祈も携帯電話を持っている。

祈「話さなくてもいい。せめて、こっちの会話が聞こえれば!お父さんが来てくれる!」

祈が電話した先は警察ではなく、僕の携帯電話だった。


一方、その頃……

ピリリリリ……

しゅう「ん?祈?もしもし……出ない。変だな」
男「よく来たな、天田真次郎」
しゅう(これは!?天田グループの副会長の声!)
天田「……」
男「最も、約束を破ってるみたいだがな。どういうわけだ?」
天田「やぶった?」
男「お前の後ろ。七咲祈が一緒のようだが」
祈「見つかった!」
天田「あ?バカッ!何でお前がいるんだ?」
しゅう(え?副会長とシンくんと祈が一緒にいるのか!?まずいぞ!場所はどこだ!?)
祈「だって、シンくんが心配だったから。この神社まで後をつけてきた」
祈「ここ、わたしが4才の時に入ったことのある神社だったから」
しゅう(4歳!?そうか、あそこだ!!)

僕は祈の携帯電話から聞こえてきた会話から場所を割り出した。
そして犯人にこちらの音が聞こえないように、小声で同僚たちに伝えた。

しゅう「容疑者の副会長は今、天田真次郎くんを殺そうとしている。僕の娘も危険だ」
しゅう「場所は……」
華村「了解!やるじゃん、祈ちゃん」
松原「こっそり携帯電話使うなんて、頭いいよね」

男「ほぉ、入ったことあるのか」
祈「ところでおじさん、だれ?」
男「俺か?ふん、お前らみたいなガキに名乗る必要なんかねぇ!」
祈「私の名前は知ってるくせに、おじさんは名前教えてくれないなんてずるい」
男「そうさ。俺はずるい男さ。悪かったか」
天田「祈、下がってろ。あぶないぞ」
祈「でも、シンくんを助けなきゃ」
男「助ける?はは、笑わせんな!女のお前に何ができる?それに、女に守られる男なんてだらしねぇ」
祈「う、うるさい」
天田「よせっ!」
男「言っておくが、そいつのオヤジは悪い人だ」
祈「そんなの、うそ!」
男「本当さ。会社のお金を盗んで、それがバレそうになって死んだんだ」
男「死体が見つからないようにロッカーの中で息を引き取った」
天田「……」
祈「シンくんのお父さんはそんな人じゃない。おじさんの言うことはデタラメ!」
祈「だ、だいたい、しょうこはあるの?」
男「そんなものないさ。そいつのオヤジは盗みの証拠を全部捨てていた」
祈「しょ、しょうこがないのに、シンくんのお父さんを悪い人みたいに言って……」
男「もういいだろ?とにかく、俺はそいつと話がしたい」
祈「ダメ!近よらないで!」

祈が体を張ってシンくんを守っている。

男「お嬢ちゃん、邪魔すると死ぬぞ?」

男が拳銃を構えている。

祈「……」

それでも祈は抵抗する。

天田「祈!もうやめろ!お前はにげろ!お前にはかんけいないんだ!」
祈「できないよ!!」
天田「おねがいだ!言う通りにする!!だから、だから、祈だけは、にがしてやってくれ!!」
祈「シンくん!」
男「そういうわけだ。お嬢ちゃんはどいてな」
祈「いやだ……来ないで!」
天田「オレのオヤジはいつもしごとのことばっかで、家に帰ってもしごとしかしない」
天田「そしてついには会社のお金をぬすんだ……お金ばっかりじゃないか」
天田「オレなんて、オレなんて、お金より大切じゃないんだ」
祈「シンくん……そんなこと」
天田「だまってろ!お前に何が分かる?」
祈「……」
天田「もういいんだ。僕は十分に生きたよ」
祈「シンくん!」
男「よし、いい子だ。そのまま……」

拳銃を向ける犯人と、怯える二人。
そこへ!

しゅう「それは違うよ。君はまだ死んじゃだめだ」
男「何!?」
祈「お父さん……」
天田「祈の、オヤジ?」
しゅう「シンくん、君は騙されているんだ。そこの悪いおじさんにね」
男「なん、だと?」
天田「悪いおじさん?」
しゅう「そう。その人こそ会社のお金を盗んだ張本人……天田グループ副会長、白戸隆也!」
天田「えっ!?」
祈「盗んだ人?」
白戸「ふっ、いかにも、俺は白戸隆也だ。だが、会社の金を盗んだのは会長であって俺じゃない」
しゅう「嘘を吐いても無駄さ。捜査令状が出て、全部調べさせてもらった。メールから何から」
白戸「そ、捜査令状!?」
しゅう「さっき、この子が僕のこと、“お父さん”って言ってただろ?」
白戸「じゃあ、まさか!?」
しゅう「そう。警察だ。観念するんだな」
白戸「くっ……警察がどうしてここを?こいつは通報しなかったはず」
しゅう「僕の娘が携帯電話を持ってて、森に入る前からずっと僕の携帯電話と通話中にして会話を流していたんだ」
白戸「なん……だと!?」
しゅう「おかげで場所の特定が楽だったよ。さすがだな」
祈「……」

僕は祈を褒めた。祈は照れているようだ。

天田「警察……」
しゅう「事件の流れはこうだ」
しゅう「たまたま会長の部屋にいたあなたは……」
しゅう「会長が誰かに当ててあなたの罪状を書き記したメールを送るのを見ていた」
しゅう「送られる前に会長を殺して証拠を消そうとしたあなたは会長に襲いかかった」
しゅう「ハンカチか何かで声が出ないようにして、会長をロッカーまで追い詰めた」
しゅう「そこで会長は持病の心臓発作を起こし、薬が飲めずに亡くなった」
しゅう「あなたは会長の遺体をロッカーに入れて隠した後、メールを消し、何食わぬ顔で部屋を出た」
白戸「ぜ、全部推測じゃないか。証拠がない」
天田「え?オヤジはけっきょく、自分の病気で死んだ?さつ人じゃないんじゃ……」
しゅう「いや、これは殺人なんだ。自殺じゃないよ」
しゅう「君のお父さんは事件の直前、友達にメールを送っていた」
しゅう「いつも仕事ばっかりで息子に嫌われているんじゃないかって心配だったようだ」
しゅう「そこで、次のクリスマスにサンタに変装して何かプレゼントを贈ろうと考えていた」
天田「え……?オヤジが?」
しゅう「うん。こんなに息子思いな優しいお父さんが自殺するわけない」
天田「そう、だったんだ……」
しゅう「それに、削除されたメールの中に引き出しの暗証番号のメモがあった」
しゅう「その引き出しを開けたら、あなたの横領の証拠が入っていた。警察で押収させてもらった」
白戸「う……」
しゅう「会長は何かも知っていたんだ」
しゅう「持病のせいで自分はもう長くないと分かっていた。あなたを次期会長にするつもりだった」
しゅう「なのに、あなたは会長の期待を裏切るように会社の金を横領していた」
しゅう「あなたの横領の証拠を集めながら、会長は嘆いていたと思う」
しゅう「それがストレスになって会長の持病は悪化していった」
しゅう「たぶん、いつかあなたの横領が明るみに出て……」
しゅう「あなたが自分に罪を着せて自分を殺すんじゃないかと、会長は分かっていたんだと思う」
しゅう「だから、自分宛てにロッカーの暗証番号を書いたメールを送って削除したんだ」
しゅう「消えたメールは捜査令状が出ないと読むことができないからな」
しゅう「あなたが消したメールがどんなメールだったか分からないけど……」
しゅう「たぶんあの会長の性格からして、悩んでいたんだと思う」
白戸「悩んでいた?」
しゅう「あなたを次期会長にしたい。だけど、あなたは横領していた」
しゅう「どうすればいいかを誰かに相談するためにメールしていたんだと思う」
しゅう「あなたをきっとシンくんのように大切に思っていたはずだ」
しゅう「他にも色々と捜査で分かったけど……」
しゅう「あなた以外の容疑者の候補だった3人はいずれも会長のことを尊敬していたようだ」
しゅう「あなただって会長のことを尊敬していたはずなのに、どうしてこんなことをしたんだ?」
しゅう「焦らなくたって、いずれグループはあなたのものになっていたはずなんだ」
白戸「尊敬?違うな」
しゅう「な?」
白戸「俺はあいつに女を取られたんだよ。クリスマスにな」
しゅう「何だと?」
白戸「真次郎、お前の母親は……お前の母親は……俺の妻になっていたはずだったんだよ!」
天田「えっ?そんな……」
白戸「あの男に、取られた。俺が先にデートに誘っていたのに、あいつが奪った」
白戸「やがてあいつは結婚し、お前が生まれた。俺は悔しくて仕方がなかった」
白戸「いつか復讐してやろうと、このグループに入り、副会長にまで上り詰めた」
しゅう「じゃあ、会長を殺して、シンくんを殺して、終いにはグループを乗っ取るつもりでいたのか」
白戸「それが復讐だ!」
しゅう「ふざけるな!奪われたならどうして奪い返さなかった!?シンくんに罪はないだろ?」
白戸「うるせー!3人まとめて、ここで殺してやる!」
祈「ひ!お父さん……」
しゅう「祈、シンくん。僕の後ろに隠れてろ!絶対に守ってやる!シンくんのお父さんの分まで」
天田「けいじ、さん……」

僕は盾になって二人を庇った。

しゅう「落ち着け、落ち着くんだ!拳銃を下ろせ!」
白戸「ふっ、命乞いか。警察のくせに見苦しいな」

僕の後ろで祈とシンくんが不安そうに見守っている。

しゅう(頼んだぞ、新入り!)
白戸「死ね!」

犯人が拳銃を構えると、どこからともなく飛んできた弾丸で拳銃が弾け飛んだ。

白戸「何!?」
しゅう「今だ!食らえ、ナナサキック!」
白戸「ぐおっ!」

犯人はその場に倒れた。

しゅう「白戸隆也。殺人罪および横領罪で逮捕する」

犯人を無事に取り押さえた。

天田「す、すげぇ!祈のオヤジさんすげぇじゃねぇか」
祈「え?あ、うん」
しゅう「いや、すごいのは僕じゃない。新入りのスナイパーさんだよ」
天田「スナイパー?」
女性刑事「や、やめてください。たまたまですよ」
華村「いや、すごかったぜ。さすがだよ」
松原「でも、しゅうちゃんの奥さんだってあの時はすごかったもんな」
しゅう「あの時?ああ、確かにな」
祈「うん」

祈の4歳の七夕の時、犯人に追い詰められた僕と祈を助けたのは逢だった。
逢が初めて拳銃を使って犯人を狙い撃った。

しゅう「やれやれ。撃たれるかと思って防弾ジャケット着て来たけど、要らなかったな」
華村「さてと。犯人は連行した。シンくんと祈ちゃんからも一応事情聴取しとくか?」
しゅう「そうだな。シンくんにはぜひ見て欲しい証拠品があるから」
天田「オレに?」
松原「君のお父さんが残したもの」

僕と祈とシンくんは同じパトカーに乗って警察に向かった。
あ、その前に、祈の携帯電話を借りて逢に連絡しておいた。
僕の携帯電話は署に置きっぱなしだ。
念のために祈の携帯電話とずっと通話中にして犯人との会話の一部始終を署で録音していたんだ。

署に戻った。
僕は携帯電話を回収しに、シンくんは証拠品を見に行き、まず祈が事情聴取を受けた。

天田「これが……オヤジの?」

そこにあったのはシンくん宛の一通の手紙とプレゼントだった。

天田「……真次郎へ」

――お前がこの手紙を読んでいる時にはお父さんはもうこの世にはいないだろう。
知っての通り、お父さんはある人に命を狙われ、お前一人を残して死んでしまった。
この手紙はお父さんが死ぬ前に残したものだ。

天田「オヤジ……」

――いつもいつも仕事ばかりですまなかった。
お母さんを事故で亡くしてからは、お前が将来苦労しないように一生懸命仕事をしていたんだ。
お前が少しでも幸せになれるようにな。
だけど、そのせいでお前をいつも独りぼっちにしていた。
そのことでお父さんは悩んでいた。
そこで、知り合いに相談して、サンタに変装してお前にプレゼントしようと考えた。
結局お前に渡せなかったけどな。
でも、きっと警察の方が引き出しの暗証番号を調べて、引き出しを開けてくれると信じている。
お前がこの手紙を読めているということはきっとそれがうまくいったのだろう。
せめてもの、お前へのクリスマスプレゼントを用意した。
それをお父さんの形見だと思って受け取ってくれ。
お前が立派に成長することを信じている。
じゃあ、さようなら。いつでもお前を見守っている。
天田グループ会長 天田詠一郎

どうやら会長が残した遺書のようだ。
丁寧に漢字一つ一つにフリガナが振ってある。

天田「オヤジ……バカヤロウ!」

手紙がもう一枚あることに気付いたシンくんはもう一枚も読んでみた。

――追伸。
お父さんを殺した男を許してやってくれ。
あの人には本当にかわいそうなことをしたと思ってる。
でも、逆に言えば、あの人とお母さんがうまくいっていたらお前は生まれなかった。
今は分からないだろうけど、もしも将来そのことで悩んだら、お前はお前を責めちゃだめだ。
あの人を許しながら、お前は立派に生きてくれ。
ごめん、うまく言えない。
とにかく、許してやってくれ。

天田「……いみ、わかんね。なんであいつをゆるすんだ?バカヤロウ!」

シンくんはプレゼントを開封してみた。

天田「あ!」

ナント、シンくんの好きなおもちゃが入っていた。
会長が悩みに悩んだ末に買ったプレゼントだった。

天田「……」

シンくんは涙を流している。

天田「こんなの、いいのに。オヤジの命の方がよっぽど大事なプレゼントだったのに……」
祈「……シンくん」
天田「祈」

事情聴取を終えた祈が見ていた。

華村「さ、二人とももう帰っていいよ」
天田「え?でもオレ……」
しゅう「今日はもう遅いし、そんな気持ちのままじゃ無理だろ?明日でいいから」
祈「シンくん。今日うちに来ない?ひとりぼっちでしょ?」
天田「いいのか?」
祈「いいよね?」
しゅう「うん。喜んで」
天田「あ、ありがとう、ございます」
しゅう「二人とも、もう遅いからパトカーで帰ろう。あ、お母さんに連絡しとくわ」
祈「そうだね。今夜はごちそうだね」

それから三人で七咲家に帰宅した。
夕飯を作り置きしていた逢が僕らを出迎えた。
久々の家族揃っての食事に、シンくんは涙を流した。
祈がそんなシンくんにふざけて“泣いてるの?”と冷やかすと……
シンくんは“バーカ。泣いてねぇよ”と強がってみせた。

やがて就寝時間になって、シンくんは祈と一緒のベッドで寝た。

天田「祈、今日はありがとうな。世話になった」
祈「ううん。こっちこそ。シンくんのおかげで大事なことを勉強したよ」
天田「……ああ。家族ってやっぱりいいものだよな」
祈「うん。今までつらかったんだね。これからはわたしが友だちになるから。何でも聞いて」
天田「何でも……か。そうだな……祈のお母さんって……」
祈「お母さん?どうかしたの?」
天田「……」
祈「シンくん?」
天田「あ、やっぱ何でもねーや」
祈「何それ……」
天田「お前とはもっと前から友だちだよ。オレの助けになってくれた時から」
祈「シンくん……うん!そうだよね」
天田「オレ、お前を守れてよかった」
祈「それはわたしのセリフ」
天田「ふふふ」
祈「クスッ」

シンくんと祈の、二人だけの楽しい夜……。
一方。

しゅう「はぁ、疲れた」
逢「お疲れ様です」
しゅう「会長は優しい人だったけど、シンくんも負けないくらい優しい子だよ」
しゅう「祈のこと、命懸けで守ろうとしてた」
逢「もしかして……恋ですか?」
しゅう「さあ?どうだろ。祈はまだむーくんが好きみたいだしな」
逢「片想いですか……」
しゅう「それはそうと、祈はやっぱり頭がいい。携帯電話持たせて正解だったな」
逢「通話料はどうするんですか?」
しゅう「えっ??か、考えてなかった」
逢「じゃあ、先輩のお小遣いから引くというのはどうです?」
しゅう「ちょ、やだよ。逢が払ってくれ」
逢「私は関係ありません。祈と先輩の通話ですから」
しゅう「うう……ぼ、僕が頑張って稼ぎます」
逢「いえ、今まで通りでいいです。会長みたいなことにはならない方がいいかと」
しゅう「……だな。子供のためとはいえ、あまり仕事熱心なのもな……考えさせられた」
逢「というわけで、よろしくお願いします。クスッ」
しゅう「ちょ、ひどいよ!」
逢「ふふっ」
しゅう(くっそぅ、どうしてこうなる!?)

翌朝、シンくんは学校の準備をするために早めに朝飯を済ませ、一旦帰宅した。
その後、祈もいつも通りに起きて学校に行った。

女子B「シンくん!ひさしぶり!」
天田「やあ、みんな。ちょっとあってな」
男子A「てめぇ、この前のつづ……」
天田「あ、先生だ」
男子A「ちっ」
天田「ニヤッ」
祈「ふっ」

シンくんはまたいつも通りに学校生活を送った。
その後、天田グループの一件がニュースになったが、シンくんには特に影響なく、平穏な日常となった。

やがてクリスマスがやって来た。
祈は毎年恒例のサンタさんのプレゼントをもらった。
シンくんもナント、サンタさんのプレゼントをもらったのだ!
これでサンタさんが実在するということを照明できたのである。

祈「プレゼント、とどいた!」
しゅう「よかったな」
逢「よかったね、祈」
祈「でも、シンくんのおかげで分かった。わたしにとっていちばんうれしいプレゼントは……」
祈「お父さんとお母さんと幸伎がいることだよ」
しゅう「祈……」
逢「祈……」
祈「だって、プレゼントをもらっても家族がいなかったらさみしいだけだもん」
祈「お父さん、お母さん、私と幸伎をうんでくれてありがとう」
しゅう「……ああ、そうだな。僕も祈と幸伎が無事でいてくれることが嬉しいよ」

僕は祈の心からの感謝の気持ちに思わず涙を流してしまった。

逢「泣いてるんですか?」

そうやって僕を冷やかしている逢も涙を流している。

しゅう「お互い様だろ」
逢「ふふっ」


一方、学校で。

男子A「すみませんでした!サンタは本当にいました!」
天田「分かればいい」

今まで散々“サンタはいない”と人様の夢を壊していた男子児童が土下座で謝っていた……。


シンくんは確かに大切な家族を亡くした。
でも、そこから気付いた大事なことが山ほどある。
祈もシンくんのおかげでそれに気付いた。
本当の意味で、二人にとってのメリークリスマスとなった。
素晴らしい、素晴らしい……
メリークリスマス!!



七咲アフターストーリー
エピソード「先輩、メリークリスマス!」
END

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2011-12-19

泣きを見るクラスタ2nd ~ロシアンたこ焼きはメイド(冥土)の土産~

何のこっちゃ?っていうタイトルじゃな。

説明しよう!
泣きを見るクラスタとは!

昨年、僕と仲良くしているフォロワーさんが他の方々と神戸の三ノ宮でオフ会をしたと。
その際に滝を見に行ったそうな。
そこで、滝を見るクラスタというワードが生まれた。

そして約3ヶ月前。
僕とワルサ氏と、元祖・滝を見るクラスタに所属していた二人が清水寺で滝を見るクラスタを再現した。
その滝を見に行く前に清水の舞台で記念撮影をしようと思い立った僕。
しかし、普通のカメラで全員を写すにはちょっと無理があった。
そこでワルサ氏は動いた。
「すいませ~ん」と観光客に撮影を頼むが、華麗にスルーされてしまった。
まさに泣きを見たワルサ氏。
そこで、泣きを見るクラスタというワードが生まれた。
ちなみに命名したのは元祖・滝を見るクラスタに所属していた某イケメンである。

ということは?
今回もまたワルサ氏がやらかしたのである。
この漢、オフ会に参加するたびに期待通りに動いてくれる。


というわけで、本題に入る。


僕とワルサさんよりも年下だけど、一足先に社会人となったONEDAYさん。
窮屈な生活から抜け出し、息抜きがしたいとのことで、今回のオフ会が企画されました。

白鐘直斗「彼らは朝10時に秋葉原に集合してホビー館やアニメイトでグッズを買ったり……」
白鐘直斗「サイゼリヤで昼飯をとって、カラオケ館で3時間カラオケをしましたが……」
白鐘直斗「そこは重要じゃない。もっと重要な点がおかしいんですよ」
白鐘直斗「彼らは以前訪れた欧風ギルドレストラン ザ・グランヴァニアで新たな歴史を作ったんです」

ペルソナ4の白鐘直斗君、説明ありがとう。

白鐘直斗「いえ、先輩のお役に立てて光栄です」

彼のことを知らないという方は、こちらを参照↓
TVアニメ「ペルソナ4」公式サイト

どういうことかと言うと……
すべての原因を作ったのは他ならぬ、ONEDAYさんだったんです。
ワルサさんは生ビール、ONEDAYさんと僕はメイドさんオリジナルカクテルを選択。
三人の酒のつまみとして、フライドチキン&フライドポテト、フィッシュフライ&フライドポテトを選択。
ここまではよかった!!

しか~し!!
ONEDAY「ロシアンたこ焼き、やりたいです」

全員同意のもと、注文。
メイドさん「ロシアンたこ焼きは激辛だと思いますよ」
ONEDAY「たぶん平気です」


こうして惨劇は始まった!!!!

最初は普通にお酒を飲んでおつまみをつまみ、メイドさんと絡み、平和な時間が過ぎていきました。
やがて、ロシアンたこ焼きが届きました!!
席順とロシアンたこ焼きのアタリ◯とハズレ●の配置は以下の通りです。
8個中、2個がハズレです!!

泣きを見るクラスタ2nd

ジャンケンの結果、勝った人順というルールでONEDAYさんから反時計回りになりました。
持って来たメイドさんの予想では●の二つということでしたが……
それを疑ったONEDAYさんは一個目で左の●に手を出して自爆しました。
つい数秒前まで余裕ぶっこいていたONEDAYさんは咳き込んで大変な目に遭いました!!
ハズレのたこ焼きは中身がタコではなく、全部カラシです。
かじった瞬間に中身のカラシが溢れ出て、ONEDAYさんの上着に垂れました。
それを拭いた手拭きで誤って顔を拭いたために、ONEDAYさんは二重の自爆をしました。
あーあ。
次に僕のターン!
カラシが入っているのはメイドさんの予想+より膨らんでいるたこ焼きだと予想。
恐る恐る口に入れ……セーフ!!
次のワルサさん、ONEDAYさん、僕もセーフとなり……
2周目のワルサさんのターン!
残り3つのうち、1つがハズレの状況。
ワルサさんがメイドさんの予想を忘れていたらしく、残った●を箸でつまみました。
ちょうど僕の角度からだと、ワルサさんが箸でつまんだ時に、たこ焼きの中から黄色い物体Xが出てきました。
それを見て僕は勝利を確信しました!
「それきっとハズレだ」って言った時にはそのたこ焼きはすでにワルサさんのもの。
あーあ。と思いながら内心、勝ち誇っていました(笑)
案の定、ワルサさんは苦しみ悶えていました!
ワルサさんの苦しみ方は尋常ではなく、咳き込む程度で済んでいたONEDAYさんよりもすごかったです。
生ビールのジョッキにカラシがべっとりと。
ワルサさんは俯いて、手拭きで押さえた口は開けることすらできず、汗ダラダラでした。
ONEDAYさんは数分間咳き込み、ワルサさんは数分間無言で苦しんだ後にトイレで水をガブガブと。
※実はこの店、酒場タイムでの水のサービスは廃止になったんです。
二人が言うことにゃ「激辛で胃が痛い。食欲がなくなった。一気に酔いが覚めた。壁を乗り越えた」
二人にとっては教訓になりましたね。
この先どんなに辛い物を食べても、このたこ焼きよりはましだと思えば……。
このように、辛さの定義が変わったようです。
また、辛い物は極力食べたくないし、たこ焼きも恐怖なので食べたくないと。
そんな二人をよそに「まだ何か食いたい」
おいおい(笑)
んで結局、“人魚の胸当て”という変態心をくすぐる料理を注文しました。
人間の女性の胸の大きさくらいある2枚の貝殻の中に大きな帆立貝が入っていて……
帆立貝の上には人間の女性の乳首を暗示させる赤くて小さな実が乗っていました。
それが二つありました。
一つは食欲がなくなった二人で分け合って、もう一つは僕がいただきました。
美味しかったですね!

んでまとめると……
結論!
信じた者の勝ちだ!!
ONEDAYさんは責任を果たした!!
僕はなんて強運の持ち主なんだろう!!
ワルサさんはやっぱり泣きを見るクラスタだ!!


ONEDAYさんもワルサさんもメイドさんを信じなかったからコノザマなんです。
これぞまさしく“メイド(冥土)の土産”です。
まあでも、ONEDAYさんは仕方ない気もしますね。
だって、たぶん提案したONEDAYさんが自爆しなかったら非難轟々でしたよ(笑)
こうして結果的に責任を果たしてしまうところが彼らしいです。
また、辛さに耐性がない僕がハズレを引いたら間違いなく……。
時々感じる……僕は命の危機には強い!!
どんなに道に迷っても結局は運命的に辿り着けちゃう人ですからね。
そして、ここでも泣きを見るクラスタとなったワルサさん。
やりますね!!
行く先々で伝説を作ってしまうところが彼らしいです。

実は、ロシアンたこ焼きを食べる前にメイドさんに、僕がドSで他の二人はドMだという話をしました。
メイドさんには意外そうな反応をされましたが、こうして見事にその通りとなったわけです。
僕は苦しみ悶えた二人を見て心配そうに振る舞うも心の中は鬼でした(笑)
内心“ざまぁ”と思いつつも、それを敢えて外に出さないドS。

でも、やっぱり今回の泣きを見るクラスタ2ndから学びましたね。

良い子は絶対にマネをしないでね!
これは笑い事じゃない!!
笑えない!!
命の危機だ!!
ロシアンたこ焼き ダメ、ゼッタイ。



最後に……
お二人からの切実なお願いで、こうしてお二人の勇姿を当記事に記しました。
お二人とも、色んな意味でお疲れ様でした!!
またオフ会をしましょう。
次回は泣きを見るクラスタ3rd……ですかね??
いや、それはきっとないと信じたいです(笑)

2011-12-15

出演

メインキャスト

七咲しゅう
本作の主人公。旧姓:橘。職業:刑事

七咲逢
しゅうの1つ後輩。本編のスキBESTを経て、しゅうと結婚し、娘を出産。職業:競泳選手

棚町薫
しゅうの元クラスメート。本編のソエンルートを経て、世界的画家になった。

田中恵子
しゅうの元クラスメートで薫の親友。高校時代はしゅうに片想いしていた。イケメンには目がない。

塚原響
しゅうの1つ先輩。森島先輩の保護者。七咲夫婦の仲を取り持つ重要人物。
国立大学医学部卒で、総合病院の小児科長。

絢辻詞
しゅうの元クラスメート。本編のソエンルートを経て、国立大学の法学部を卒業し、優秀な弁護士になった。

桜井梨穂子
しゅうの幼馴染みで同期。本編のソエンルートを経て、アイドルグループKBT108の一員となった。

伊藤香苗
しゅうの同期で梨穂子の親友。メカが得意だと聞いているが、推理ものもよく読むらしい。

中多紗江
しゅうの1つ後輩。本編のソエンルートを経て、グラビアアイドルとなった。

森島はるか
しゅうの1つ先輩。本編のソエンルートを経て、今はどこかの会社の開発部長。
七咲夫婦の仲を取り持つ重要人物。七咲家によく遊びに来る。彼氏は別の話に登場

夕月瑠璃子
しゅうの1つ先輩。梨穂子の茶道部の先輩。明るく元気だけど、ちょっと乱暴かも……。

飛羽愛歌
しゅうの1つ先輩。梨穂子の茶道部の先輩。短い決め台詞を言わせると誰よりもかっこいい。

高橋麻耶
しゅうの元担任。三十路を過ぎているのに相手が見つからないらしい。恋人募集中。

橘美也
しゅうの妹。一応大卒?よく分からないが、とにかく頑張っているらしい。

(七咲祈)
しゅうと逢の娘。本作では声の出演はなかったが、一応出演はした。

(梅原正吉)
しゅうの小学校時代からの親友でクラスメート。名前だけ登場。

マサ、ケン、ユウジ
しゅうのクラスメート。高校時代はよく一緒につるんでいた。ユウジは本作から初出演。

多野先生
輝日東高校の職員で、本編でも謎多き人物。本作から初出演。

プー
輝日東高校に住んでいる野良猫。逢と仲良しで、逢が命名した。頭のいい野良猫らしい。



特別出演

夢幻探(むげんさぐる)
元ネタは作者のTwitterのフォロワー、夢幻探求くん(むーたん)
本作のキーワード、推理小説「頭文字(イニシャル)K」の名探偵役で初出演。

カズ
元ネタは作者のTwitterのフォロワー、カズさん
本作のキーワード、推理小説「頭文字(イニシャル)K」の怪盗役で初出演。

犬好忠生(いぬよしただお)
元ネタは作者のTwitterのフォロワー、onedayさん
エピソード特別編「oneday two love stories」に出演している。

斗部翠子(とべみどりこ)
元ネタは作者のTwitterのフォロワー、ワルサ(十部翠)さん
エピソード特別編「夢を諦めないで!七咲、決死の闘い」に出演している。

天殿麻衣(あめどのまい)
元ネタは作者のTwitterのフォロワー、e-maのど飴さん
エピソード特別編「夢を諦めないで!七咲、決死の闘い」に出演している。



ご覧の豪華キャストでお送りいたしました。
冒頭にも書きましたが、1年4ヶ月くらいかけて書いてきた作品です。
その間に当ブログに出演されたフォロワーさんもいます。
今回、スペシャル企画ということで、フォロワーさん感謝祭?をやってみました。
本編の登場人物のほとんどが出演し、フォロワーさんも多く出演しています。
楽しんでいただけたら幸いです。

2011-12-15

フィナーレ「みんな集まれ!華の同窓会」

2年A組の教室

高橋「……ええ。だいたい合ってるわ。さすが現職の刑事ね」
しゅう「ありがとうございます」
伊藤「しかし驚きました」
伊藤「案内状に書いてある優秀な3人。うち二人は共犯者だったなんて」
逢「ええ。まるでたった一人の人物に対する挑戦状ですね」
高橋「最初からそのつもりだったわ。現職の刑事の腕前を見たかった」
しゅう「え?僕は最初から試されていたんですか」
高橋「期待通りで嬉しかった」
しゅう「そうですか……」
高橋「私も鼻が高いわ。教え子がここまで優秀になってて」
棚町「高橋先生。だいたい合ってるってどういう意味?」
森島「そうよね。何か間違ってるのかな?」
高橋「間違ってても無理はないと思う」
棚町「というと?」
高橋「さっきあなたたちが言ってた共犯者」
高橋「このメンバーの中にいない人もいるし、ひょっとしたら知らない人かもしれない」
しゅう「誰なんですか?」
高橋「塚原さん、絢辻さん、お務めご苦労。もう話してもいいわ」
塚原「高橋先生もお疲れ様でした」
絢辻「お役に立てて何よりです」
塚原「今回の一連の事件。これは確かに高橋先生が最初に考えたことよ」
塚原「動機もさっきので合ってる」
絢辻「高橋先生が考えて、一人じゃうまくいかないということで……」
絢辻「私と塚原先輩が電話で相談を受けたの」
田中「だよね。二人とも学年トップだもんね」
塚原「高橋先生、絢辻さんと話し合って、今回の企画に必要な人材を集めた」
絢辻「桜井さんと中多さんを誘うためにマネージャーさんと打ち合わせをしたの」
桜井「私の?」
中多「マネージャーさんですか?」
絢辻「ええ。私は弁護士で、前に一度相談に乗ったことがあって、それでね」
桜井「そうだったんだ」
塚原「棚町さんの場合は、棚町さんと偶然知り合いになったって職員がいるの」
棚町「そうなんですか」
塚原「ええ。彼、海外での勤務経験があって、その時に棚町さんのケガの治療をしたらしいわ」
棚町「ああ!あの人ですか!」
塚原「悪いとは思ったんだけど、棚町さんの住所を聞いた」
棚町「あ、そっか。住所変更を知らせてなかった」
森島「わぉ!棚町さんって海外に住んでるの?」
棚町「ええ。画家をやってます」
森島「すごいねぇ」
しゅう「意外ですよね」
棚町「うっさいわね、あんた」
高橋「で、他の人たちは普通に誘ったの。一部の人は内緒で直接届けたわ」
塚原「このメンバーの中で唯一結婚しているしゅう君と七咲」
塚原「今回の在校生というヒントにうまく使わせてもらったわ」
逢「ええ、それが大きなヒントになりましたね」
田中「みんな未婚のままだったら分からなかったね」
夕月「高橋先生も早く結婚した方がいいんじゃないですか?」
飛羽「相手がいない」
高橋「こら!あなたたち、余計なお世話よ」
塚原「じゃ、話を戻して事件の真相を話すわ」
塚原「私の犯行ははるかを眠らせただけ」
塚原「来校の途中で買った自販機の飲み物に遅効性の睡眠薬を仕込んでおいたの」
森島「やっぱりひびきじゃない!ひどい!」
塚原「それと、しゅう君と七咲と棚町さんを物置に閉じ込めるよう指示しておいた」
逢「ひどいです。出るのに苦労したんですから」
塚原「でも結局出たじゃない。さすがね」
しゅう「僕の手柄ですけどね。ははは」
絢辻「それはどうでもいいとして……」
しゅう「ひどい……」
絢辻「私の犯行は桜井さん、伊藤さん、中多さん、棚町さんの事件」
絢辻「さっきの推理通りよ」
桜井「じゃあ残りの人は?」
しゅう「僕を眠らせたのはどうせ梅原だろう」
しゅう(後でお宝本を奪ってやる!)
逢「塚原先輩の犯行じゃないとしたら、私は誰に?」
田中「私は電話の男の人と高橋先生に?」
夕月「あたしらはどうなるんだよ?」
飛羽「早く知りたい」
高橋「待ってて。今呼ぶから」
高橋「もしもし。いいわよ」
中多「電話?」
伊藤「共犯者何人いるの?」
高橋「どうやら来たようね。さあ、入って」

共犯者たちが入って来る。
その中に……というよりも全員知っている!

男子生徒「やあ!」
女子生徒「元気だった?」
女子生徒「久しぶり!」

しゅう「……あ!な、何だと!?」
逢「犬好先輩、斗部先輩、天殿先輩じゃないですか!!」
高橋「知り合い?」
しゅう「犬好は絢辻さんと美也の件で、斗部さんと天殿さんは水泳部の件で」
絢辻「え?私と犬好君のこと知ってるの?」
しゅう「知ってるも何も、大変だったんですから」
しゅう「美也が犬好に恋をして、犬好が僕に絢辻さんと仲良くなりたいと相談を」
犬好「わあああああ、それ言うな!」
絢辻「相談?へぇ、そうだったんだぁ」

絢辻さんが犬好を睨んだ。

犬好「わ、ちょ、べ、別に怪しい相談なんか……」
絢辻「ま、いいわ。話は後で署で聞くから」
犬好「署って……やめてくれよぉ」
逢「斗部先輩、天殿先輩、お久しぶりです。元気そうで何よりです」
斗部「七咲こそ、元気そうで何よりだよ。あの時はごめんね」
逢「いいんですよ。先輩、水泳はどうなりました?」
斗部「七咲のおかげで立ち直って、現役のスイマーだよ。絶好調なんだから!」
逢「よかったです」
天殿「塚原先輩、翠子のことで七咲さんがお世話になったそうで……」
天殿「ありがとうございました」
塚原「ううん。私は何もしてない。七咲が頑張っただけ」
斗部「塚原先輩、すみませんでした!私何も分かっていませんでした!!」
塚原「斗部。七咲に感謝しなさい」
斗部「はい!!」
犬好「おお、よく見れば桜井さんに伊藤さんじゃないか!」
桜井「犬好君!」
伊藤「また、たくましくなったね」
犬好「転校早々友達になってくれてありがとう」
桜井「え~?お礼なんていいよ」
伊藤「そうそう。あたしらクラスメートなんだから」
犬好「そうかい?ありがとうな」
田中「わぁ、犬好君、イケメン……でも絢辻さんのもの。ぐぬぬ~」
棚町「諦めなって」
田中「どういう意味?」
犬好「あ、キミは美也の友達の!」
中多「えっと、あの、その……」
逢「中多紗江ちゃんです」
犬好「紗江ちゃんかぁ。かわいいね」
中多「え??」

中多さんは一気に赤面する。

絢辻「犬好。浮気?」
犬好「ち、違うよ。紗江ちゃんを褒めただけだ」
絢辻「……」
犬好「僕は絢辻さんのことが……」
絢辻「あっそ」
犬好「聞いてくれないのか……」

一方、他の人たちが感動の再会を喜んでいる最中、事情を知らず固まっている人たちがいた。

夕月「……」
飛羽「……」
森島「……」
しゅう「先輩たち、どうしたんですか?」
夕月「あのなぁ。感動の再会を喜ぶのは勝手だ」
森島「でも、私たち、知らないからどう反応していいか分からないの」
飛羽「これが当然の反応だ」
しゅう「そういえばそうだった」
高橋「じゃあみんな、自己紹介」
犬好「僕は桜井さん、伊藤さんと3ヶ月間だけ同じクラスだった、犬好忠生です」
犬好「うちの事情で4月から7月までしかこの学校にいかなったけど、一応OBかな?」
犬好「絢辻さんから今回の件を聞いて、みんなに逢いたくて参加しました」
夕月「りほっちと同じクラスだって?」
飛羽「知らなかった」
犬好「無理もないですよ。3年生の時に転校しましたから」
夕月「なるほどな」
飛羽「納得」
斗部「私は七咲君と同期で、C組だった斗部翠子です」
斗部「高校時代は水泳部でした。塚原先輩や七咲のお世話になりました」
桜井「えっと~?七咲君がしゅうで、七咲が逢ちゃんね」
伊藤「その解説、要らない。たぶん分かる」
桜井「香苗ちゃ~ん……」
天殿「同じく、天殿麻衣です。翠子の友達です」
天殿「高校時代は帰宅部で、よく部活が終わった翠子と帰宅していました」
夕月「なるほどな。そういう繋がりだったのか」
飛羽「いい話だ」
しゅう「で、この3人と事件の繋がりは?」
犬好「まず僕は田中さんを離脱させた役と、しゅう君を眠らせて運んだ役」
田中「え?あの電話の人?」
犬好「そうだよ。知らなかった?」
田中「え?あなただったの!?」
棚町「あれ?恵子、電話の相手は知ってる男の人って」
田中「か、勘違いだったみたい……」
棚町「じゃあ、あんたまさか知ってるつもりで知らない人と?うわっ」
田中「そう、なる、かな?」
棚町「あんた大丈夫?危ないよ」
田中「う~」
犬好「僕でよかったなぁ」
絢辻「ん?」
犬好「いえ、あの、何でもないです」
しゅう(ははは、尻に敷かれてらー)
しゅう「梅原じゃなかったのか」
高橋「残念ね。梅原君、今日は実家の寿司屋が忙しくて来れないの」
犬好「そこで僕がピンチヒッターだ」
しゅう「そうなのか……」
しゅう(くそ、お宝本を奪い損ねた)
斗部「次に私は夕月先輩と七咲を」
天殿「私は飛羽先輩と田中さんを眠らせて運んだ役」
しゅう「よく運べたな。特に夕月先輩と飛羽先輩」
夕月「ああ?てめぇ殺されてぇのか!?」
飛羽「発言には気をつけろ」
しゅう「そうじゃなくて、正門から屋上まで距離あるのにすごいなって」
斗部「ああ、私は現役のスイマーだし、麻衣も元々体力あるし」
天殿「こういうミッションは私たちに任せて!」
逢「なるほど。斗部先輩なら物置のことも分かりますね」
斗部「同じ元水泳部だもんね」
塚原「頼りになったわ」
高橋「はい、以上です。これがあなたたちの推理の間違ってた部分」
しゅう「納得しました」
棚町「謎はすべて解けた!」
森島「ばっちゃんの名にかけて!」
伊藤「……えっ?」
中多「あ……」
塚原「はるか。じっちゃんの名にかけて、でしょ?」
森島「そっか!」
伊藤「しかもそれ、事件解決前に言う台詞ですよ」
森島「あちゃー」
中多「ふふ」
高橋「さてと、もう夕方ね。みんな、そろそろ本当の会場に行くわよ」
田中「制服のままでですか?」
高橋「そう。制服のままでお酒飲むの。たまにはいいでしょ?」
しゅう「新鮮だなぁ。いいかも」
中多「私、お酒飲めない……」
高橋「もちろん、ジュースもOKよ」
中多「あ、はい」
高橋「塚原さん。会場は大丈夫?」
塚原「ええ。準備は整っているそうです」
夕月「会場って広いんですか?」
高橋「ええ。これだけの人数での同窓会だもの。広くなくっちゃ」
高橋「それに、本当の同窓会から参加する人もいるからね」
しゅう「まだいるんですか?」
飛羽「大所帯」
高橋「みんなには無理してこの企画に参加してもらったからね」
高橋「せめてものお詫び。私と共犯者たちの奢りよ」
犬好「うえ!?ぼ、僕も出すんですか?聞いてないです!!」
絢辻「出せるわね?まさかそんなことも知らなくて参加したわけ?」
犬好「は、はい、承知しました」
斗部「塚原先輩ひどい!」
天殿「何で私まで?」
逢「これだけの人数分をたったの6人で割り勘ですか?それはできません」
高橋「七咲さん」
逢「先輩、出せますよね?」
しゅう「もちろんだ」
棚町「さすがにお金はかわいそうね。他のことでお詫びしてもらいたい」
高橋「棚町さん」
伊藤「そうだ!!一発芸とかどう?」
森島「ぬるいわ!普段はできない恥ずかしい芸とかは?」
塚原「はるか……」
田中「それいい!!」
塚原「田中さんまで……」
しゅう「そうです。塚原先輩がまったく違う一面を見せれば中多さんともっと仲良くなれます!」
逢「これを機に強面を克服してみてはいかがですか?」
塚原「七咲……余計なことを」
夕月「いやぁ、楽しくなってきたね!お、あんたら二人は夫婦漫才とかどうだい?」
絢辻「はい!?」
犬好「ぜひやらせぐぼ……」
絢辻「い、嫌です」
飛羽「すでにやっている」
夕月「そうそう!そんな調子でいいからさ!今みたいな感じで頼むよ」
飛羽「似合ってるぞ」
絢辻「なんだ……。これでいいのなら喜んで」
犬好「もうやめたげて!犬好のHPは0よ!!」
絢辻「ぜひやらせてくださいってさっき言わなかった?」
犬好「誰かさんに遮られました。断じて言っておりません」
絢辻「旦那が喜んでやりたいと言っているので、やります」
犬好「違う……」
夕月「おお、そうか。期待しとくよ」
飛羽「計画通り」
犬好「うぉのれぇ!」
斗部「恥ずかしい芸かぁ。ないなぁ、ネタ」
天殿「うそぉ?ほら、あれやってあげたら?あの時の」
斗部「ええっ??い、嫌だよ。ていうか何で覚えてるの?」
天殿「へへ~ん、親友だからね!」
逢「え?何ですか?気になります」
斗部「聞かなかったことにしなさい!」
逢「え……」
塚原「斗部!部長命令よ。やりなさい!じゃないと退部扱いよ」
斗部「つ、塚原先輩!はい、やります!」
逢「頼もしい部長ですね」
塚原「ええ。私もこれから火傷するんだから、お互い様よ」
逢「ふふっ」
天殿「じゃあ、私は水泳部じゃないから関係ないね。やらなくてよし」
しゅう「誰がやらなくていいと言った!?」
天殿「だって、私帰宅部だから」
しゅう「そうか。ならば、帰宅部の部長であるこの僕が命ずる!!やれ!!」
天殿「はい??帰宅部に部長なんていないわ」
高橋「そう?じゃあ、嫌なら天殿さんがしゅう君の分を全額……」
天殿「わぁ、やりたいなぁ!私恥ずかしい芸大好き!」
しゅう「ナイスアシストです」
高橋「こちらこそありがとう」
しゅう「礼なら妻に言って下さい」
高橋「そうね」

こうして、事前の約束が成立し、一行は同窓会の会場に向かった。


会場

会場はすごく豪華だった!

しゅう「す、すごい……」

みんなが会場の豪華さに見とれていると……

美也「お兄ちゃん!逢ちゃん!みんな!」
しゅう「美也!それに祈」
美也「退屈だったから来ちゃったのだ」

美也がベビーカーを押して会場入りしていた。

桜井「美也ちゃん!久しぶり!」
美也「りほちゃん!久しぶり!」
森島「わぉ!祈ちゃんかわいい!ね、抱っこしていい?」
逢「どうぞ」
森島「わぁ、ふわふわしててかわいい」
田中「森島先輩。次私に」
棚町「何言ってんの?あたしが先!」
夕月「あたしらもいいだろ?」
飛羽「私はパス」

祈を見るなり、みんな祈をかわいがってくれた。
みんな順番に抱っこしていた。

犬好「いいなぁ。ねぇ、僕たちも……」
絢辻「こうでもない!ああでもない!」
犬好「なぁ、詞?」
絢辻「うるさい!今ネタ考えてるの!」
犬好「シュン……」
しゅう「それはそうと、美也!お前もグルだったか!」
美也「ふえ?何のこと?」
中多「美也ちゃん、ひどい」
逢「中多さんが読書好きだってことを高橋先生たちに密告したでしょ?」
しゅう「それが中多さんを陥れるトリックに使われた」
美也「ち、違うよ、美也じゃない。美也犯人じゃない」
逢「あ、ボロ出た」
しゅう「お?美也、お前、かかったな」
美也「う!」
しゅう「トリックって言っただけで事件とは言っていない」
逢「なのにどうして犯人じゃないと?事件のことを知っているの?」
中多「美也ちゃん……」
美也「バレちゃった……」
しゅう「美也!」
美也「うう……紗江ちゃん、ごめん!!」
中多「美也ちゃん……いいよ」
美也「許してくれる?」
中多「うん」
美也「やった!」
中多「その代わり……」
しゅう「恥ずかしい芸をやるんだ!」
美也「何それ?」
逢「共犯者全員に課せられた義務。お詫びに恥ずかしい芸をやるの」
しゅう「ちなみに違反しようものなら罰金あるからな」
美也「う……」
塚原「橘さん。お願いだから、従って」
犬好「ぼ、僕からも頼むよ。一緒に火傷しよう?」
美也「塚原先輩……それに犬好先輩も」
美也「分かりました」
しゅう「やったね、中多さん!」
中多「はい!」

中多さん、満面の笑み!
計画通り(キリッ

こうして美也も加わって、主催者と共犯者の恥ずかしい芸大会が行われた。
みんな火傷し、心に傷を負った。
だが中には火傷し、心に傷を負うどころか、逆に元気になった強者もいた!

犬好「もっと僕を蹴って、マイハニー!」
絢辻「しつこい!」

ドガッ!

犬好「ああ、何という幸福感!さすがだよ、マイハニー!」
しゅう(相変わらずドMだなぁ。いや、以前よりもドMか)
美也「はぁ。一緒に火傷しよう?って言ったのは誰なの……」
しゅう「美也……言ってやるなよ。あいつはああいう性格なんだ、きっと」

主催者と共犯者の恥ずかしい芸大会の後はパーティとなった。

マサ「いよぉ、しゅう!久しぶり」
ケン「元気だったか?体も、ア・ソ・コも」
ユウジ「おいおい、まだ早いぞ」
ケン「な~に、まだ慌てる時間じゃないぜ」
しゅう「マサ、ケン、ユウジ!懐かしいなぁ」

僕は僕で懐かしい友人と酒を飲み……

逢「え?こ、これ?」
美也「そうなのら~!逢ちゃん、一気一気!ひっく」
中多「美也ちゃん、酔ってる酔ってる」
美也「酔っれらいよ~うい~」
逢「の、飲めない」
美也「な~にぃ。お主わしの酒が飲めんと申すか?」
中多「誰?」
逢「の、飲みます!」

逢は瞬時に酒とノンアルコールドリンクを入れ換えた。

逢「んぐ、んぐ、んぐ、はぁ。飲めましら?ひっく」
中多「七咲さん?これノんん……」
逢「言っちゃダメ。酔ったフリをするの」
中多「あ、うん」
美也「よう飲んら。ささ、お主も飲め飲め」
中多「んぐ、んぐ、んぐ、はぁ」
中多「うい~」

逢と中多さんもそれなりに頑張り……

夕月「りほっち~酒持って来~い!」
桜井「先輩。人使い荒いですぅ」
飛羽「私のテンションTHE有頂天!」
伊藤「うぅわ、飛羽先輩、人が変わった……」
塚原「はぁるか。そぉれしか飲んでないのぉ?ちっ、もっと飲みなさいいいい」
森島「ひぃびきちゃんこそ。飲んれ飲んれ」
絢辻「ほら!もっときびきび動きなさい!あんたあたしの飼い犬でしょ?」
犬好「ご主人様すまないワン……」
犬好「でも、すごく快感!酔ったご主人様にコキ使われて、僕って何て幸せな犬!」
絢辻「う~~るさい!」
犬好「痛い!でも、快感だぁ!ビクンビクン」
棚町「うっわ、みんな盛り上がってるわね」
田中「そうられ~」
高橋「みんなあたしのおかげでしょ?あたしえらいえらい」
高橋「なのにどうして誰もあたしを嫁にもらってくれないのぉ?」
田中「分かります!!その気持ち、痛いほどよく分かります!!」
高橋「れしょう?」
田中「ふぁい~」
棚町「ちょっと、二人とも!」
高橋「ああん。あたしってみじめな女。ねえ、棚町さぁん。結婚してぇ」
棚町「え?」
田中「かおるぅ~結婚しれよ~おれがいいいいいいいい」
棚町「うっわ、ないわー」
斗部「さて、みんなが酔ってる最中、あたしたちはジュースで乾杯」
天殿「そうだね」
斗部「麻衣」
天殿「ん?」
斗部「参加してよかったね」
天殿「うん」
斗部「あたしたち、この先もずっと友達だよね?」
天殿「ううん」
斗部「え?」
天殿「親友、の間違いでしょ?」
斗部「あ……う、うん!親友だね」
天殿「そうよ!そうこなくっちゃ」

他の人たちもそれぞれで盛り上がり……
無事に同窓会は幕を閉じた。
久々に逢った共犯者の3人がみんな元気そうで何よりだった。
特に犬好がな。
犬好は絢辻さんと結ばれている。
赤い糸で結ばれた恋人?
違う。
赤くて極太のリードで結ばれた主従関係!!
今後もこういう楽しい同窓会をぜひ企画してほしいな。


そして同窓会もいい感じでお開きになった。
みんな帰って行った。

美也「それじゃあ、みゃーは今晩、紗江ちゃんの家に泊まるのだ」
美也「久しぶりだなぁ、紗江ちゃんの家」
中多「そうだね」
しゅう「悪いな中多さん」
中多「いえ、いいんです」
しゅう「ありがとう」
美也「祈ちゃんはお兄ちゃんたちが連れて帰るんだよ?」
しゅう「当たり前だ!誰が置いて行くものか」
美也「じゃあね~」
中多「先輩、七咲さん、また今度」
しゅう「うん」
逢「中多さん、また逢おうね」

こうして僕と逢は祈を連れ、歩いて帰ることになった。

しゅう「すっかり暗くなったな」
逢「ええ。物置に閉じ込められた時よりも暗いですね」
しゅう「脱出できてよかった」
逢「そうですか?」
しゅう「え?逢は脱出したくなかった?」
逢「私は、しゅう先輩と一緒なら別にあのままでもよかったですよ」
しゅう「でも、薫がいたからな」
逢「そうですね。棚町先輩には悪いですが、そう思います」
しゅう「……」
逢「ずっとあのままならもっと触っていられた」
しゅう「えっ?」
逢「先輩の気持ちを代弁しました」
しゅう「ま、まだ、許してくれないのか」
逢「はい」
しゅう「うう……」
逢「クスッ」
しゅう「い、祈はやっぱりみんなの人気者だったな」
逢「そうですね。みんな祈を抱っこして笑顔でした」
しゅう「微笑ましい光景だったよな」

逢と他愛ない会話をしているうちに僕の実家に着いた。

しゅう「ただいま」
逢「お邪魔します」

両親も美也もいない。
僕と逢と祈だけの空間。
ここから3人だけの、いや、正確には2人だけの大人の三次会が始まるのだが……
それはご想像にお任せしよう。
おうちに帰るまでが同窓会。
おうちに帰ってからも同窓会。
僕と逢の、2人だけのあま~い、あま~い夜が過ぎていったとさ。



七咲アフターストーリー スペシャル
「輝日東高校同窓会ミステリー」

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