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2011-08-28

もしヒロインと焼肉屋に行ったら

※主人公:橘しゅう

●絢辻詞の場合
絢辻「今日は橘君の奢りでいいのかしら?」
橘「え?絢辻さんも払ってくれるんじゃ?」
絢辻「えーっと、メニューメニュー……あった」
橘「あ、絢辻さん?」
絢辻「あ、よく聞こえなかったわ。もう一度言って」
橘「え?だから、絢辻さんも……」
絢辻「へぇ、美味しそうじゃない!」
橘「……」
絢辻「で、何?」
橘「……僕の奢りです」
絢辻「え?いいの?」
橘「だって、僕に拒否権はないんでしょ」
絢辻「ありがとう。橘君って優しいのね」
橘「絢辻さん……」
橘(絢辻さんが笑ってる……まるで悪魔の微笑み)
絢辻「ねぇ、橘君」
橘「何?」
絢辻「手、出して」
橘「手?こうかな?」

僕は絢辻さんに向かってまっすぐ右手を差し出す。
金網のところまで手を伸ばすと……

ぎゅっ

橘「え?」

絢辻さんが僕の手首を両手で掴んだ。

絢辻「えいっ」

絢辻さんがいたずらに僕の右手を燃え盛る炎に近付けた。

橘「うわあ!あ、熱い!」

僕は素早く絢辻さんの手を振り払って右手を引っ込めた。

橘「な、何するの!?ひどいよ」
絢辻「えっ?焼肉って肉を焼くんでしょ?」
橘「僕の肉じゃないよ!」
絢辻「あ……間違えたわ。こっちだったのね」

絢辻さんはメニューを見る。

橘「絢辻さん……わざとでしょ?」
絢辻「さあ?どうかしら?」
橘「う……」
絢辻「クスッ。あはははは……」
橘「笑い事じゃないよ。熱かったんだから」
絢辻「だって、橘君ったら。あはははは」
橘「……」
橘(さすが絢辻さん……ド◯だ)

気を取り直して二人で肉を注文する。
しばらくして肉を焼き始める。

橘「これ、そろそろ食べ頃じゃないかな?」
絢辻「そう?じゃあ、いただこうかしら」
橘「どうぞ」
絢辻「……」
橘「……絢辻さん?取らないの?」
絢辻「橘君。さっきはごめんなさいね」
橘「さっき?」
絢辻「一歩間違えばやけどしているところだった。なのに私、面白がって……」

絢辻さんが俯いて、今にも泣き出しそうなほどひ弱な声で言った。

橘「平気だよ」
絢辻「え?」
橘「それに、絢辻さんが笑ってて僕も嬉しかった」
絢辻「橘君……ありがとう。優しいのね」

絢辻さんが再び僕を笑顔で見つめた。

橘「いやいや」
絢辻「じゃあ、お詫びに……あーんして」
橘「え?」
絢辻「いいから」
橘「うん。あーん」
絢辻「……クスッ。えいっ」
橘「ほえ?……ほへえええええええええええええええええええええ」

絢辻さんにしてやられた!!
完全に油断してしまった!!
絢辻さんは僕の口に焼きたての肉を冷まさずに無理やり押し込んだ!!

橘「あふい!あふい!」
絢辻「あはははは……出さないでね。そのまま噛んで飲みなさい」
橘「ひほいほ~(ひどいよ~)」
絢辻「あはははは」

その後も絢辻さんに延々といじられ続けた。
熱いはずなのに……嫌なはずなのに……何故か僕の身体は拒絶しない!
拒絶しないどころか、むしろ喜んでいるみたいだ!
絢辻さんにいじられているという快感を僕の身体は欲しているみたいだ!
あの屈託の無い幸せそうな笑顔を見ているとすべてを許したくなる!
絢辻さんが幸せになれるなら僕は喜んでいじられよう!
恐るべし絢辻さんのド◯と僕のド◎!!


●桜井梨穂子の場合
桜井「しゅうと焼肉屋さん来るの久しぶりだね~」
橘「中学ん時以来だな」
桜井「あたし今お腹ペコペコなんだ~頼んでもいい?」
橘「いいよ。僕の奢りだ」
桜井「やったぁ!」
橘(梨穂子はかわいいなあ!梨穂子はかわいいなあ!!梨穂子はかわいいなあ!!!)
桜井「すみませ~ん。上カルビ3人前と上豚トロ3人前と……」
橘「梨穂子はかわいいなあ……頼んだ?」
桜井「うん。いっぱい注文したよ~」
橘「そっか。梨穂子はかわいいなあ」

しばらくして運ばれて来た肉の質と量に僕は驚愕した!

橘「なんじゃこりゃあああああああああああああああ」
桜井「えへへ……まずかった?おいしいお肉のはずなんだけど」
橘「今のうまいな……って、そうじゃなくって!」
桜井「えへへへ」
橘「どうして3人前なんだよ?しかもどれも高い肉だし!!」
桜井「え?ああ、あたし2人前食べたいんだ~お腹ペコペコ」
橘「僕の財布の事情も考えてくれ~」
桜井「もぐもぐ……おいしい!」
橘「聞いてないし」

思えばあの時……
梨穂子が注文していた時……
ずっと“梨穂子はかわいいなあ”と唱え続けて、注文の内容をまったく聞いていなかった。
それが仇となった。

桜井「しゅう。食べないの?」
橘「え?あ、食べ……えええええええええええええ!?」
桜井「わ!い、いきなり大きな声出さないでよ~。もうびっくりしたじゃ~ん」
橘「びっくりしたのは僕の方だよ!何で肉が全部なくなってるの?」
桜井「えへへへへ」
橘「そういうことかぁ……くそぉ」
桜井「ご、ごめんね。注文しよっか?」
橘「いいよ……梨穂子が満足できたなら」
桜井「ホルモン食べたいな。あ、あとデザートも」
橘「まだ食べるのか!?梨穂子はかわいいな……でも、そんなに食べたらまた太るんじゃないか?」
桜井「失敬な~!」
橘「でも事実じゃないか」
桜井「うう……運動するから大丈夫だもん」
橘「そ、そっか。で、でも僕の財布がちょっと厳しいんだ。このくらいで我慢してくれるか?」
桜井「え?そうなの?うう……し、仕方ないなぁ」
橘「頼む!」
桜井「わかった。でも、しゅうは食べてないけど平気?」
橘「うん。かわいい梨穂子を見ていたら満腹になったよ」
桜井「か、かわいくないよぉ」
橘「梨穂子はかわいいなあ!!!」
桜井「た、食べちゃうぞ。がお~」
橘「じゃ、お会計しようか」
桜井「うん」

そこで僕はとんでもない金額を言い渡された!

橘「うわあああああああああああ足りないいいいいいいいいいいいいいいい」
橘「梨穂子、梨穂子!」
桜井「な~に?」
橘「お金足りない」
桜井「え?た、大変」
橘「あ、後で返すからお金くれ」
桜井「返さなくていいよぉ。いくら?」

梨穂子はカバンの中から財布を取り出そうとするが……

橘「は、早く!梨穂子!」
桜井「ない……お財布がない!」
橘「な……なんだってええええええええええええええええええええええええ」
桜井「朝家に忘れて来ちゃったみたい。ごめ~ん」

結局、梨穂子のせいで僕は肉を食いっぱぐれ、おまけに予想外の高額を払わされるハメになった。
そして二人ともお金を持っていなかったため、やむなく二人の保護者を呼ぶハメになった。
しばらくして保護者が来てお金を払ってくれて、事なきを得た。
くそぉ……保護者がお金を払ってくれるって分かってたら遠慮せず肉を食べておけばよかった。
おおおおおおおのれ、梨穂子おおおおおおお!!


●棚町薫の場合
棚町「今日はもちろんしゅうの奢りよね?」
橘「やだよ!薫も払え」
棚町「へぇ、そういう事言っちゃうんだ?」
橘「な、何だよ?」
棚町「絢辻さんには奢って、あたしには奢らない気?」
橘「なっ!?絢辻さんは関係ないだろ」
棚町「あたし知ってんだから。しゅうが絢辻さんに焼肉奢った事」
橘「あ、あれは奢ったと言うより奢らされ……いや、奢ったか」

絢辻さんのド◯に負けて焼肉を奢らされたことがあったな。
でも何で薫はそれを知ってるんだ?

棚町「あ、図星だったんだ」
橘「え?」
棚町「ひっかかったわね!」
橘「まさか!?」
棚町「女の勘だったんだけど」
橘「やられた……」
棚町「へぇ、やっぱりあんた絢辻さんと仲いいのね」
橘「く……薫」
棚町「ん?」
橘「餅焼いていいぞ」
棚町「餅?そんなのメニューにないじゃない?」
橘「餅を焼く……ヤキモチを焼くってことだ」
棚町「ヤキモチ……ああ、なるほどね。座布団没収」
橘「何でだよ!?今うまいこと言ったのに」
棚町「あ?床も剥がす?」
橘「……」
棚町「あはははは。その反応」
橘「薫」
棚町「ん?」
橘「焼きそばとかワカメとか焼こうか」
棚町「あはははは」

グシャッ!

橘「いてぇ!!足踏むなよ」
棚町「あんたの顔面焼いたげようか?」
橘「ひぃ!か、勘弁してくだせぇお代官様」
棚町「しゅう。そなたには死罪を申し渡す」
橘「なんでやねん!」
棚町「ちょーっと。せっかくの漫才が台無しでしょ」
橘「そんなことより早く肉を焼くぞ」
棚町「そうね」

薫と肉を焼いて食べた。
終始ふざけ合いながら笑い合いながら楽しい時を過ごした。
そして別れ際。

橘「薫。今日は楽しかった」
棚町「いいっての」
橘「確かに絢辻さんとも焼肉しに来たりするけど、薫と一緒の焼肉も楽しいよ」
棚町「しゅう……」
橘「薫。今日は忙しかったはずなのに来てくれてありがとな」
棚町「……」

薫はしばらく照れて黙っていたが、そっと僕に歩み寄った。
そして僕の右手を掴むと何かを握らせた。

橘「ん?」
棚町「……てんきゅね」

ちゅっ

僕の頬にそっと優しくキスをした。

橘「いいのか薫?だって僕の奢りじゃ?」
棚町「いいってことよ。しゅうには感謝してるし、それに……」
橘「それに?」
棚町「絢辻さんと同じじゃ何か悔しいじゃない。“あたしらしさ”がないから」
橘「……そっか。ありがとな。じゃまた明日」
棚町「てんきゅね、しゅう」

僕の右手には薫からのお礼の気持ち……千円札が握られていた。
絢辻さんのド◯も好きだけど、薫のこういう優しさも好きだ。
てんきゅな、薫。


●中多紗江の場合
中多「……」
橘「……」
橘(弱ったなぁ。会話が続かない)
橘「紗江ちゃん」
中多「……え?はい」
橘「焼肉屋は初めて?」
中多「い、いえ。パ……お父さんがよく連れて来てくれました」
橘「そっか。じゃあ、何か食べたいものある?」
中多「えっと……」
橘「何でもいいよ。今日は僕の奢りだから」
中多「え?そ、それは……」
橘「いいって。紗江ちゃんと一緒に食べたいんだ」
中多「先輩……」

紗江ちゃんがうるうるした目で僕をまっすぐ見つめてくる。
何だか照れくさくて視線をずらしたくなる。

中多「えっと……その……いいですか?」
橘「うん」
中多「……」
橘「どうしたの?特訓の成果をここで発揮するために店員さんを呼んでみて」
中多「はい」
橘「……」
中多「すみませ~ん
橘「紗江ちゃん。それじゃ聞こえないよ。もっとおっきく!」
中多「はい」
橘「……」
中多「すみませ~ん」
橘「もうちょっと!」
中多「すみませ~~ん」

ようやく店員さんが気付いてくれた。
入店からここまで約30分。
お腹がますます減ってきた。
僕は敢えて何も言わず、紗江ちゃんに自力で注文してもらった。
そういえば前に紗江ちゃんの焼肉の好みを聞いたことがあったなぁ。
牛カルビと鶏モモが好きとか言ってたっけ。

橘「紗江ちゃん、レバーは苦手だっけ?」
中多「あ、はい」
橘「そっか」

しばらく沈黙が続いた。
やがて注文した肉が届き、僕は紗江ちゃんの好きな牛カルビと鶏モモを焼いてあげた。

橘「これ、食べられそうだよ」

そう言って紗江ちゃんの皿に移した。

中多「いいんですか?」
橘「どうぞ」
中多「……」
橘「……」

僕は黙って紗江ちゃんを見つめた。
紗江ちゃんが喜んで肉を頬張る姿がかわいくて、ついつい見つめてしまった。

中多「先輩?」
橘「……」
中多「先輩」
橘「……」
中多「先輩!」
橘「え?な、何?」
中多「お肉……」
橘「お肉?……ああっ!焦げてる」

紗江ちゃんに夢中で、肉を焦がしてしまった!

橘「これは僕がもらうね」

紗江ちゃんに焦げた肉を食べさせられない!
肉を焦がした僕の責任だから、これは僕が責任をもって食べる!

その後も紗江ちゃんに肉を焼いてあげて、肉を食べる紗江ちゃんをずっと見つめていた。
もちろん、時折金網の上の肉を焦がさないように注意しながら。

別れ際……

橘「紗江ちゃん」
中多「はい」
橘「かわいいよ」
中多「え?」
橘「紗江ちゃんが喜んでお肉を頬張ってるところがすごくかわいい」
中多「え、あの、その……」
橘「またいつか一緒に焼肉しようね」
中多「……」
橘「紗江ちゃん?」
中多「しぇ、先輩!」
橘「ん?」
中多「し、失礼します!おやすみなさい!」
橘「あ……」

紗江ちゃんは恥ずかしかったからか、赤面して逃げ出してしまった。
そんな紗江ちゃんがまたかわいいんだよな。
またいつか紗江ちゃんを焼肉屋に誘おう。


●七咲逢の場合
七咲「先輩。今日はどうして焼肉なんですか?」
橘「七咲がいつも部活頑張ってるからご褒美だよ。僕が奢るからどんどん食べて」
七咲「そんな……悪いです」
橘「いいから。肉を食べてスタミナつけてよ」
七咲「はい」

僕と七咲の間で燃えている炎のせいか、七咲の顔が少し赤くなっている。

七咲「頼んでもいいですか?」
橘「うん」
七咲「すみませーん」
七咲「牛タン塩と砂肝と……」
橘「そっか。七咲、タン塩好きだって言ってたもんな」
七咲「はい。それと……」

七咲は肉を何種類か注文した後で……

七咲「野菜盛りとライス並盛り」
橘「や、野菜!?」
七咲「先輩も注文して下さい」
橘「あ、うん。それじゃあレバーと……以上です」
七咲「レバー?」
橘「うん。苦手?」
七咲「いえ、そうではないのですが……」
橘「スポーツやってる人って貧血になりやすいって聞くから」
七咲「あ、それで注文したんですね」
橘「七咲こそどうして野菜盛りを?」
七咲「お肉と一緒にお野菜も食べた方がおいしいですよ」
橘「そ、そりゃそうだけど……」
七咲「何か不満ですか?」
橘「……」
七咲「……先輩、普段お野菜食べてないんじゃないですか?」
橘「う……」
七咲「先輩、私に奢る約束でしたよね?」
橘「うう……」
七咲「だったら、私のためにお野菜を一緒に食べて下さい。いいですね?」
橘「……はい」
七咲「クスッ。いいお返事です」
橘(くそぅ、七咲のやつ、まるでお母さんみたいだ……)

しばらくして注文が届く。

橘「タン塩うまい!!」
七咲「これも焼けましたよ。どうぞ」
橘「ありがとう」

僕が食べるの専門で、七咲が焼くの専門となっている。
まるで息子にご飯を食べさせている母親という図だ。
僕が食べて、七咲は焼くことに手一杯でほとんど食べていない。
気付くと七咲の好きなタン塩が残りわずかだ。

七咲「このタン塩もどうぞ」
橘「いや、それは七咲が食べて」
七咲「え?」
橘「さっきから僕ばっかり食べて七咲は全然食べてないから」
七咲「いいんですか?先輩、タン塩を喜んで食べていましたが……」
橘「七咲だって好きだろ、タン塩。残りは全部七咲にあげる。足りなかったらまた注文すればいいし」
橘「それに、七咲のために一緒に焼肉屋に来たんだから。七咲が食べなきゃ意味ないよ」
七咲「……先輩」
橘「僕が代わるから、ほら、食べて」
七咲「ありがとうございます」

たぶん、七咲は僕が喜んでタン塩を食べるのを見て、嬉しくなったんだと思う。
大好きなタン塩を大好きな人にもっともっと食べさせてあげたい。
自分は我慢して、その代わり、大好きな人の笑顔をずっと見続けていたい。
でも、それじゃあ七咲を焼肉屋に連れて来た意味がない。
たくさん食べてスタミナをつけて、また部活を頑張ってもらいたいんだ。

七咲「……」
橘「……」

タン塩を食べる七咲をしばらく見つめた。

七咲「ん?私の顔に何かついていますか?」
橘「ん?い、いや……ただ見とれてただけだよ」
七咲「え?」
橘「七咲って猫舌なんだな。猫みたいに、熱いからってちょっとずつ食べる仕草がかわいくて……」
七咲「……」

七咲は照れているようだ。

橘「よし!そろそろ野菜を焼こうか!たくさん食べるぞ」

僕は正直、野菜が苦手だ。
だけど、せっかく七咲が僕のためを思って注文してくれた野菜盛り。
逢(愛)情盛りをおいしく食べよう!

七咲「先輩。私が代わります」
橘「うん。お願い」

七咲にひと通り肉を食べてもらったところで、野菜を焼く係を代わってもらった。

七咲「先輩。このナス、もう食べられます」
橘「ナスが食べられナス??」
七咲「……はい??」
橘「い、いや、何でもない」

七咲はナスを拾い上げると、ふーふーと息を吹きかけて冷ました。

七咲「先輩。あーんして下さい」
橘「あーん?」

七咲が僕の口にナスを入れた。
七咲の息で少し冷めていて、それほど熱くはなかったが……

橘「あ!あふい!あふい!はははひ!あふい!あふい!」
七咲「せ、先輩!?大丈夫ですか!?」

七咲が心配して僕に顔を近付ける。

橘(今だ!)

僕は“待ってました!”と言わんばかりに七咲の唇にキスをした。

七咲「ん……」

幸い他の客は見ていなかった。
僕と七咲はしばらくキスをしていた。
しかし、金網の上だったので、さすがに熱くなってお互い顔を離した。

橘「……ごめん。嘘吐いた」
七咲「……いえ。本当に熱かったです」
橘「……だな」

僕にナスを食べさせてくれた七咲へのボーナスとしてキスをあげた。
別れ際……

七咲「先輩。今日はありがとうございました」
橘「ううん。僕は何もしてないよ」
七咲「そんなこと……ないと思います」
橘「七咲こそありがとう。また明日から部活頑張れよ」
七咲「はい!」
橘「そうだ。二人っきりで焼肉っていうのもいいけど……」
七咲「はい」
橘「今度は郁夫君も連れて来れば?」
七咲「郁夫も……ですか?」
橘「うん。きっと喜ぶと思う。それに、七咲の弟なら僕も大歓迎だから」
七咲「はい。そうします」
橘「じゃあ、また」
七咲「はい。先輩、おやすみなさい」
橘「おやすみ、逢」

焼肉屋で焼くのは肉や野菜だけじゃない。
僕と逢の逢(愛)情もこんがり、いい色に焼けたと思う。
生の逢(愛)情をいかに焦がさずにこんがり、いい色に焼き上げるかが恋逢(愛)の醍醐味だと思う。


●森島はるかの場合
森島「わぉ!本格的だねぇ」
橘「気に入りました?」
森島「むむむ……そうでさぁねぇ。食べてみないと分からないわ」
橘「何食べます?」

僕は森島先輩にメニューを見せた。

森島「そうでさぁねぇ……」
橘「……」
森島「そうでさぁねぇ……」
橘「……」
森島「そうでさぁねぇ……」
橘「……」

森島先輩は30分くらいメニューと睨めっこしていた。

橘「あの……森島先輩?」

グ~~~。

橘「あ」
森島「お腹空いてるの?」
橘「ええ、まあ」
森島「そっか。ごめんね」
橘「い、いえ」
森島「私どれにしようか迷っちゃう。橘君が選んで」
橘「僕が……ですか?いいんですか?」
森島「うん。期待してるよ~」
橘「うう……」
橘(森島先輩に期待されてる!こ、これは、おいしい肉を選ばないとな)

僕はとりあえず自分の好きな肉を選んでみた。
森島先輩が気に入ってくれたらいいな。

ジュ~。

森島「わぉ!油たっぷりでおいしそう!」
橘「ええ。いい肉を使ってると思いますよ」
森島「ねぇ、もうこれ食べられるんじゃない?」
橘「いいえ。まだ生ですよ。しっかり焼いてから食べないと」
森島「むむむ」
橘「……」
森島「もういいんじゃない?」
橘「生ですよ」
森島「う……」
橘「……」
森島「ね、食べよう」
橘「だから生ですってば!!」
森島「もう~意地悪なんだから」
橘(意地悪って……。30分メニューと睨めっこしてた人がよく言うよ……)
橘「ぼ、僕は森島先輩のためを思って言ってるんです」
森島「私の?」
橘「はい。この時期の生肉は食中毒の危険があるんです。だからしっかり焼いてから食べないと危険です」
森島「……そっか。そうだよね。急かしてごめんね」
橘「いえ……あ、そろそろいいですよ」
森島「本当!?」
橘「はい。森島先輩、どうぞ」
森島「わぉ!ありがとう」

森島先輩が喜んで肉を口に入れた!
か、かわいい……。

森島「……むむむ」
橘「ど、どうですか?」
森島「おいしい!おいしいよ!」
橘「よ、よかったです」
森島「ありがとう」
橘「い、いえ。僕はただ選んだだけですから」

森島先輩に感謝されてる!
これはいい雰囲気だ!

森島「こっちももらっていい?」
橘「どうぞ」

その後も森島先輩といい雰囲気のまま焼肉を楽しんだ。

森島「そろそろ帰ろっか」
橘「じゃあ、会計しましょう。僕が払いますよ」

僕が財布を取り出すと森島先輩が僕の手を掴んだ。

森島「待って」
橘「え?」
森島「会計は私がする」
橘「え?ぼ、僕の奢りでいいですよ」
森島「だーめ。一応私の方が年上だから私が払わないと」
橘「森島先輩……」
森島「じゃないとひびきちゃんに怒られちゃう。はるか、年下の男の子に奢らせちゃダメでしょ……ってね」
橘「はは……確かに言いそうですね」
森島「でしょ?だから私に払わせて」
橘「はい」

数分後……

森島「今日は色々とごめんね」
橘「いいえ。森島先輩のおかげで楽しい焼肉になりました」
森島「ありゃ?私何かしたかな?」
橘「はい。そうでさぁねぇって言いながら真剣な表情でメニューと睨めっこしている森島先輩も……」
橘「早く食べたいからって僕を急かした森島先輩も……」
橘「塚原先輩のマネをしている時の森島先輩もかわいかったです」
森島「えっ?」
橘「僕、森島先輩と焼肉屋に来れて幸せです」
森島「……も、もう!また急にそんなこと言うんだから……」

森島先輩……いや、はるかは照れてしまった。

森島「もう!これでも食らえ!」
橘「森島先ぱ……ん……」
森島「ん……」

照れて困ったはるかはいきなり僕の唇にキスをした。

橘「……」
森島「……大好きよ、しゅう」
橘「僕もだ、はるか」
森島「じゃ、また明日ね」
橘「うん」

こうしてはるかとのあま~い一日が終わった。


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