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2010-12-09

エピソード「先輩、娘の名前……何にします?」(ノベル)

昨日、僕と逢の間に娘が生まれた。
昨日は本当に大変な1日だった。僕と逢は昨日、死闘を繰り広げた。
死闘とは無論、僕の刑事としての死闘と、逢の母としての死闘のことだ。
僕は同僚で大学の同期の華村政治に呼び出され……
指名手配犯を逮捕すべく奴らのアジトに向かった。
華村政治と、同じく同僚で大学の同期の松原正義の二人とともに……
犯人とその2人の仲間と闘い、一時は犯人に殺されそうになるが……
間一髪相手の隙をつき、無事逮捕に至った。
一方その頃、逢もついに二度目の陣痛に襲われ、出産という名の死闘を始める。
ちょうどその頃、僕は犯人と死闘を繰り広げていて……
出産の瞬間に間に合わないかと思われたが……
ちょうど僕が仕事から戻ったら逢の出産が本格的に始まり……
見事二人で力を合わせて出産という名の死闘を乗り切った!
二人とも今までの人生でこれほどに疲れた日はなかった。
昨日は家族3人で病室に泊まり、ぐっすり休むことにした。
これほどに幸せな一時はたぶん今までなかったと思う。

一夜明け、午前7時。
静かな病室。この部屋は4人まで入院できる病室だが、今は逢しか入院していない。
家族3人とも疲れ果てて熟睡している。もうじき朝の回診が来るということも忘れて……。

シャー。
病室内を隔てるカーテンの開く音がする。

「あら……」

誰か分からないけど、聞き覚えのある女の人の声がする。

「お疲れのようね。でも、そろそろ起きなきゃだめよ」

「う……」

僕は眩しくて目を開けた。

「何だ?……あ」
「ふふっ、おはよう」

何か聞き覚えのある声だと思ったらやっぱりな!

「逢、起きろ!」
「うう……」
「早く起きろって!ふ~」
「ひゃう!」

僕は寝ている逢の耳元に息を吹きかけた。
逢はびっくりして飛び起きる!

「おはよう」
「おは……あ!」

逢も気付いたようだ。

「つ、塚原先輩!おはようございます」
「おはよう、七咲」
「塚原先輩、おはようございます」
「おはよう、しゅう君」
「ご、ごめんなさい。私塚原先輩が目の前にいらっしゃるのに」
「ううん。いいの。相当お疲れのようだったから、こっちこそ起こしちゃってごめんね」
「いいんですよ。そろそろ回診の時間ですから」
「それにしても先輩。寝ている私の耳元に息を吹きかけるなんて……ひどいです」
「あはは……だって普通に起こしたんじゃつまらないから」
「笑い事じゃないです!それにつまらないって……」
「ま、起きたらからいいよ」
「よくないです!」

ガシッ。
逢の肘鉄を食らう。

「いてっ。家庭内暴力だ……ひどい」
「仕返しです」
「ふふっ、相変わらず尻に敷かれてるようね」
「いや、尻に敷いてるのは僕の方で……」
「それで?塚原先輩、昨日に引き続き今日もこんな朝早くからどうなさったんです?」
「スルーかよ……」
「二人の顔が見たくなってね。それと……出産おめでとう」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」

僕も逢も塚原先輩に一礼する。

「助産師たちから聞いたわよ。何やら血まみれで分娩室に入って行ったとか」
「あ……聞いちゃったんですか……」
「……」

僕は唖然とした。逢も黙った。

「最初は不審者かと思ってびっくりしたけど、奥さんの元に駆け寄って必死で応援してる姿を見て感動したって」
「……そう……ですか……」
「何かもう一晩で病院中の噂になってるそうよ。伝説の勇者……なんて呼ぶ人もいるわ」
「ぼ、僕が……伝説の……勇者。そっか、僕がこの病院の伝説を作ったんだ……やった!」
「別に……嬉しくないです。先輩は恥ずかしくないんですか?」
「恥ずかしい?え?逢は恥ずかしいのか?」
「当たり前です」
「う……」
「それにしても不思議な運命ね。数年前はしゅう君の方が患者さんだったのに」
「ああ、例の記憶喪失の一件ですか。あの時は精神科に大変お世話になりました。逢にも塚原先輩にも」
「……」
「その患者さんが今や伝説の勇者とはね……」
「や、やめて下さい。さすがに何回もそう呼ばれると逢じゃありませんが、恥ずかしくなります」
「ふふっ。もう傷の方は大丈夫なの?」
「はい。逢の出産が終わった直後に手当てしてもらいました。まだ少し痛みますが」
「大変ね。命懸けの仕事だもの」
「はい、大変です。でも僕が望んだ仕事ですから、弱音を吐かずに頑張ってます」
「偉いわね」
「いえ、そんなことないです。刑事に成り立ての頃、弱音ばっかり吐いてたら逢に叱られました」
「ええ。あの頃の先輩は本当にだらしなかったです。思いっきり頬を平手打ちしてあげました」
「逢の鞭……か」
「はい」
「え?逢の鞭?」
「いえ、何でもないわ」

もしかして塚原先輩、何か知ってるのか?
(参照:エピソード「先輩、しっかりして下さい」(ノベル)

「それじゃ、そろそろ回診が来るから私はこれで失礼するわ」
「塚原先輩、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「今度はその子を連れて小児科に遊びにいらっしゃい。いつでも大歓迎よ」
「遊びに……って。塚原先輩、お忙しいのにそれは……」
「別にいいわよ。数分だけなら。顔を見るだけでもね」
「わかりました」
「あ、そうだ。昨日はおもちゃ、ありがとうございました。非常に役に立ちました」
「え?おもちゃですか?何の役に?」
「おもちゃに生命を救われた」
「はい??」
「ふふっ。何が何だかよく分からないけど、どういたしまして。それじゃあね」
「はい!ありがとうございました」

塚原先輩が病室を去って行く。

「あの……先輩?」
「ん?」
「おもちゃに生命を救われたってどういうことです?」
「……さあね。じゃ、ちょっと朝飯買いに行って来よう」
「もう……先輩!」

逢と娘を残し、僕は一人売店へと向かった。
どういうことか気になる方はこれの前の話を読んで下さい(笑)
(参照:エピローグ特別編「先輩、私最高に嬉しいです!! 後編:二人の死闘、そして……」

その後、逢は僕と一緒に朝食を食べ、今日の午前中に退院となった。
一昨日の夜に入院し、昨日の午後に出産し、今日の午前中に退院……長いようで短い3日間だった。
思えば色々なことがあった。
逢と深夜の病室でふざけあって、あんなことやこんなことをした。
それから一緒に寝て、翌朝塚原先輩に痛い方法で強制的に起こされた。
刑事として、それから父親としての死闘を繰り広げた。
すべてが終わって清々しい朝を迎えた。
この病院には逢や塚原先輩、それに他の仲間たちとのたくさんの思い出が詰まっている。
そしてこれからはこの子との思い出もまたここで作っていく。
僕は色々なことを思いながら、この病院を後にした。

その帰り道、逢がふと呟く。

「名前……何にします?」
「え?」
「もしかしてまだ決めてないんですか?この子の名前」
「え?……あ……うん。ごめん」
「私に謝らないで下さい」
「あ……ごめん」

僕は娘に謝った。

「まったく……仕方ないお父さんですね」
「そう言う逢は決めたのか?」
「はい。いくつか候補を考えました」
「へぇ、偉いなぁ」
「おかげで寝不足ですが」
「……何だ、昨夜からずっと考えてたのか!全然偉くない」
「考えない人よりはましです!」
「……そりゃそうだ」

しばらくして家に着く。

「ただいま」
「ただいま」
「はぁ……2日ぶりの我が家です」
「そっか。僕は昨日一旦帰って来たけど、逢は病院に2泊3日してたからなぁ」
「はい、そうです」
「お疲れ様。どうする?寝る?」
「いえ、先にこの子の名前を決めましょう」
「うん、そうだな」

逢がいくつか候補を挙げる。
逢が挙げた名前は一文字の漢字だった。
何故かと言うと、これが七咲家の女の伝統だそうだ。
逢のお母さん、つまりこの子のおばあちゃんの名前は希(のぞみ)さん。
で、この子のお母さんの名前は逢。
……はぁ。なるほど。そういうことか。だからこの子も一文字なのか。納得。
ちなみに、この七咲家の伝統はこの七咲アフターストーリーだけの設定です。
(参照:第12話「先輩、私を知ってください」

「うーん……」
「だめ……ですか?」
「いや、だめじゃないんだけど……何かなぁ」
「何か……何です?」
「ありふれてない?僕と逢だけの独自性みたいなものがほしい」
「独自性……ですか?」
「そう。共通点みたいな」
「共通点?」


ここでこれまでの逢との思い出を振り返ってみる。
思い出の中の僕と逢の共通点といえば……

「輝」:同じ出身高校である輝日東高校から一文字もらう。
七咲輝……ななさきてる?男の名前じゃないか?ななさ、きてる?うーん……。それともななさきかぐや?
変な名前だなぁ。それに逢のご両親も同じ輝日東高校出身だからな……独自性の欠片もない。

「水」:逢が水泳部であることから。
七咲水……七咲、水。ないな。うん。

「数」:逢に数学を教えたことがあった。
七咲数……ありえない。

「桜」:逢と一緒に輝日東神社の二期桜を見に行ったことがあった。逢は二期桜に似てる……僕は逢にそう言った。
七咲桜……逢も一応候補に入れてたけど……何かありふれてるなぁ。
(どうでもいい話。テレビアニメアマガミSSのスポンサーの一つに黄桜っていう会社があるようです。
よく黄桜のCMが流れていました。ななさ黄桜……微妙過ぎる!だから却下)

「猫」:そういえば輝日東高校の校舎裏によく黒い野良猫がいたなぁ。逢はプーって呼んでたっけ。
七咲猫……バカか、真面目に考えろ!

「花」:逢と一緒に花火を見たことがあった。恥ずかしいからって、エアコンのない部屋を閉め切って。
七咲花……逢も一応候補に入れてたけど……やっぱり何かありふれてるなぁ。

うーん……他には……
僕は七咲アフターストーリーの方からも何かないか考えてみるが……

「……」
「先輩?さっきから何を黙っているんです?」
「……だめだ」
「え?」
「いい名前が思い浮かばない」

僕は両手で頭を抱えてそのまま横になる。

「やっぱり難しいですよね。一文字の名前って」
「絢辻詞、棚町薫、塚原響……うーん。人の名前じゃだめだな」
「そうですよ」
「うーん……」
「先輩の名前の由来って何ですか?」
「え?僕?」
「はい。ひらがな3つでしゅう……」
「ああ、僕か……かっこいいから……らしい」
「え?かっこいい?」
「ほら、しゅうって最後が伸びる音だから何か駆け抜けてく感じがするよね?」
「しゅう……しゅう……しゅう……そうですか?」
「え?違う??」
「駆け抜けてく……というよりは消えてく……ですよね?」
「なっ!?消えてく……だと!?」
「はい。すごく弱々しいです」
「弱々しい!?ひどい!!よくも言ったな!?」

僕は起き上がって逢にちょっかいを出す。

「きゃ!やめて下さい」
「おらおら!」
「くすぐったいでしゅう……」
「まだ言うか!」

まあ、本当の「しゅう」の名前の由来はそれじゃないんですけどね……(笑)
(参照:このブログを開設した経緯について

「ほ、本当にやめて下さい……じょ、冗談ですから」
「ひどいよ。人の名前を勝手に……あ!」
「え?」

逢にちょっかいを出した時に逢の上着の胸ポケットに入っている安全祈願のお守りが見えた。

「これも持ってったのか」
「はい」
「普通安全祈願じゃなくて安産祈願のお守りだよな。しかもこの安全祈願のお守り、すでに効力が切れているはずだ」
「もちろん安産祈願のお守りも持って行きましたよ。先輩に買ってもらった日から肌身離さず持ってます」

安産祈願のお守りは今年の2月、逢の誕生日の前に買ってあげた。
(参照:エピローグ特別編「先輩、私最高に嬉しいです!! 前編:一緒に過ごした半年間」
それはいいんだ。
だけど、安全祈願のお守りは4年前、僕が記憶喪失になった年の4月上旬に逢と一緒に買ったものだ。
(参照:第17話「先輩、これからもよろしくお願いします」
お守りの効力は1年くらいなので、このお守りも切れているはずだ。

「この安全祈願のお守りは4年前に先輩の生命を救ってくれました。だからもしかしたらと思って」
「逢の生命も救ってくれると?」
「はい」
「なるほど」

安全祈願のお守り……か。
これが僕と逢を強く結びつけてくれた。
これがなかったら僕は今頃この世にはいなかった。
娘も生まれなかった。
安全祈願のお守りが僕の生命を救ってくれたおかげで、僕は今最高に幸せなんだ。
あの時、生命は救われたものの記憶喪失になったおかげで、逢との婚約に至った。
本当に僕と逢にとって大切な思い出の品なんだ。
だから二人とも手放さずにずっと大事に持っている。
これからもずっと二人を守ってくれると信じて……。

「あ、そうか!」
「先輩……どうしました?」
「たった今いい名前が思い付いた!」
「え?本当ですか?」

僕と逢の娘の名前は……祈(いのり)
安全祈願から一文字とって
4年前の4月上旬……
逢と同棲し始めたアパートの近くの神社で買った安全祈願のお守り。
同年の10月中旬に僕は登山中に誤って山から転落した。
20mの高さから落ちても軽い打撲で済んだのはこのお守りのおかげ。
落下中に僕の中から飛び出したこのお守りを僕は懸命に握った……
お守りが残り3m地点で木の小枝に引っ掛かって落下を止めてくれた。
そのおかげで僕は生命を救われたんだ。
生命は救われたものの、結局高所恐怖症で記憶喪失になった……。
それでも生命を救ってくれたおかげで僕もこの子もここにいる。
そしてお守りをヒントに逢が懸命に助けてくれた。
記憶喪失から抜け出せたのはお守りと逢のおかげなんだ。
思えば、逢と同棲し始めた時、つまり仮の夫婦だった時から……
ずっと、このお守りが僕らを守ってくれていた。
はずっと僕らのそばにいてくれた。
これは僕らの大切な思い出なんだ。
このお守りのおかげで僕らは結ばれ……この子がこの世に生まれてきた。
安全祈願のお守りによって結ばれた僕らの子……
だからなんだ。


……ですか?」

うん。この安全祈願のお守り同様、絶対に手放さない、大切な娘だ。
しかもこのお守りはすでに効力が切れているはずなのに……
実はまだ効力が続いている!
このお守りの効力は絶対に切れない!
この子もきっとこのお守り同様、ずっと僕らを守ってくれる!
だから!


「……」
「だめ……か?」
「七咲祈……でも、二人目以降はどうするんです?」
「え?二人目??まだ産むの??」
「い、いけませんか?もしもの時の話ですが……」
「い、いや、いけなくはないけど……むしろ嬉しいけど……考えてなかった」
「……」
「でもさ」
「はい」
「これからいっぱい思い出が増えていくんだ。僕と逢とその子の思い出が」
「ええ」
「そしたらさ、また何か大切なものが見つかるかもしれない。それを名前に使っていけばいいと思う」
「二人……いえ、三人だけの大切な思い出ですか」
「うん。それにさ」
「はい」
「記憶喪失から抜け出せたのはお守りと逢だけのおかげじゃない、みんなの支えがあったからなんだ」
「ええ、そうですね」

だから、その時のみんなの必死の思い、早く治ってほしいという祈り……
僕と逢がいつまでも健康で、いい夫婦であってほしいという祈り……
それに、これからこの子がいい子に育ってほしいという祈り……
色んな祈りを込めてのだ。


「……なるほど」
「僕が担ぎ込まれたあの病院で、今度はこの子が生まれた……それは偶然じゃないと思う」
「しゅう先輩に私にこの子……。ふふっ、三人揃ってあの病院ですか」
「うん。あの病院はもう七咲家の思い出の場所なんだよ」
「分かりました。この子の名前はです。いい名前、ありがとうございます」
「いやいや、偶然思い付いただけだから」
「やっぱり……しゅう先輩の子でよかったです」
「え?」
「本当にいいお父さんですよ」
「そ、そんな……そんなわけないだろ」
「はい、お父さん」
「え?」
「ほら、あなたの子ですよ。抱いてあげて下さい」
「え?ど、どう抱けばいいの?」
「知らないんですか?赤ちゃんの抱き方」
「し、知らないよ。抱いたことないし。そう言う逢こそどこで?」
「私は小学生の時、しょっちゅう郁夫を抱いてましたよ」
「あ、そっか」
「私はお母さんじゃないのに、おっぱいねだられて大変でした」
「は??な、何ぃ!?おっぱいだとぉ!?」

い、郁夫の奴……う、うらやましい!!

「冗談です」
「え?」
「ふふっ、本気にしちゃいましたか。お父さんになっても相変わらずエッチなんですね」
「くそ!してやられた……」

冗談かよおおおおお(笑)

あれ?てことは祈は逢のおっぱいを……?

う、うらやましい!!
おっぱいの時間だけ僕が代わりたい!!


「どこを見ているんです?」
「あ……いや、その胸ポケットの安全祈願のお守りを……」
「嘘ですね。本当はエッチなことを考えていたんじゃないですか?」
「ち、違う……」
「ふふっ」

逢の胸を見つめていたことが逢にバレバレだった。
日頃の行いが悪いからだ。

「ほら、つべこべ言わずに抱いてあげて下さい」
「う、うん」

逢に指導されながら祈を抱いた。
温かい。何だかふわふわした抱き心地だ。

「はぁ……」

僕は祈にすっかり癒された。
思わず深いため息が出た。

「温かいですよね」
「うん」

逢は僕の隣に座って祈の頭をなでた。

「はぁ……赤ちゃんっていいよな」
「はい」
「思わず、こう……すりすりしたく……う……ん?」
「ふふっ」
「え?どうして?」

逢に額を押さえられている!
すりすりしたくてもできない!
悔しい!!

「これは犯罪です!見逃しません」
「え?どうしてだよ?僕の子なのに……」
「確かに先輩の子ですが、私の子でもあるんです!ですから私が許可しないとだめです」
「許可して下さい!」
「だめです」
「どうして?」
「いい歳した男が幼女に手を出すなんて児童ポルノ法で訴えますよ」
「そんな……ひどい」
「それに、この子のファーストキスを奪うつもりですか?」
「え?」
「ファーストキスの相手が父親だなんて知ったらこの子、ショックを受けますよ」
「そこは……逢が黙っておけば」
「私は嘘を吐きたくありません。祈にすべて話して場合によっては離婚です」
「う……」

僕は言葉を失う。
あまりにもひどい現実をつきつけられた!

僕が唖然としている間に逢は祈を僕から離し、自分のベッドに寝かせて来た。

「そんな……」
「先輩?そんなに落ち込まないで下さい」
「だって……」
「私はただ……これまでみたいに先輩に私だけを見続けてもらいたいだけなんです」
「え?」
「ふふっ、祈にちょっとだけ嫉妬してしまいました」
「逢」
「祈の将来のためにもすりすりしたりキスしたりするのはやめてあげて下さい」
「……」
「もし、そうしたくなったら……私でよければ……代わりますので」
「え?」
「私ならいくらでも受けてあげます。しゅう先輩のことをちゃんと受け止めてあげます」
「あ、逢」
「ですから……」
「……分かった」
「……」
「今まで通りにやってみるよ。祈がいるのも逢がいてくれたおかげだし」
「先輩」
「やっぱり、僕は逢のことが一番好きなんだ!」
「先輩!」

逢、ありがとう。
祈を産んでくれてありがとう。
これから祈を二人で大切に育てていこう。
そして僕はこれからもずっと愛し続けるよ。
逢のことをずっと、ずーーっとね。

……はい!しゅう先輩!
私はどこまでもあなたに付いて行きます!




七咲アフターストーリー
エピソード「先輩、娘の名前……何にします?」(ノベル)
END

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2010-12-06

祝!!アマガミCS2回目採用!!

ついさっきの出来事。
あるインターネットラジオ番組を聴いていた時のこと。
インターネットラジオステーション音泉!!「良子と佳奈のアマガミ カミングスウィート」(略称:アマガミCS)
このラジオ番組では各コーナーにおいて毎回視聴者からの投稿が読まれる仕組みになっている。
前にも同じような内容を書きましたよね?思い出して下さい。
祝!!アマガミCS初採用!!
今回、第88回ではゲストにテレビアニメ「アマガミSS」から……
夕月琉璃子役の佐藤泉美さんと飛羽愛歌役の原田ひとみさんが先週から2週にわたって登場した。

16分24秒地点
おしゃべりヒット&ラン!」のコーナー
会話は3ターン目に突入!!
ジャンルカードは「娯楽
16分49秒地点!!
ラジオネーム:しゅうという名の生意気な黒猫さん

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
まさかここで来るとは思いも寄らなかった!!
しかも七咲しゅうではなくそっちかあああああ(笑)

何か、名前を読み上げられた瞬間に周りから笑い声が!!!ゲストのお二人が笑ってる!?
ま、いっか。

水族館にいる生き物のなかで何が一番好き?

さあ、ゲストのお二人はどう答えるんだろうか?
ちなみにテンションカードは「Up」!!
ハイテンションで答えてもらえました!!
前回はazusaさんがハイテンション過ぎて帰ってしまい、答えてもらえませんでした。
非常に残念だったわけですが、今回は違います!!
ちゃんと答えてもらえました!!しかもハイテンション!!嬉しいですね!!

答える前に大はしゃぎなお二人(笑)
ちょっと……ハイテンションってそういうことじゃないですよ~(笑)
ま、いっか。

原田さんはイルカかペンギンだそうです!!
「やっぱりかわいいよねぇ!!見たらすっごいテンション上がる!!」
「ペンギンの脚の短さがたまらない!!」

……だそうです(笑)
佐藤さんも同感だそうで、お二人ともすっごいハイテンションではしゃいでいました!!
この、二人とも壊れちゃった感がもうたまらないね(笑)
ラジオを通して、パソコンのスピーカーを通して、そのかわいさが伝わって来るよ!!
イルカかペンギンよりもはしゃいでるあなた方の方がよっぽどかわいいよ!!!
……ちょっと何言ってるか分かりませんね(^ω^)
いやあ、とにかく最高でした。
ポストカードは見事に外れたものの、かわいものを聞かせてもらったという充実感だけで僕はもう十分です(笑)

ちなみに前回書いた通り、僕は2通りの名前で投稿しています。
最初は「七咲しゅう」、次に「しゅうという名の生意気な黒猫」です。
なぜ2通りかというと、「七咲しゅう」で何回投稿しても採用されず、その原因を考察してみたところ……
「七咲」って付けてるのがいけないのではないか?
という結論に至りました。
そう思った根拠はTwitterのとあるフォロワーさん(アマガミCS常連投稿者の方)によると……
どこかの番組で「キャラ名を使った投稿は数が多くて判別するのが大変だから採用しない!」と言ってたらしいです。
なので、僕は「七咲しゅう」から「しゅうという名の生意気な黒猫」に改名して投稿しました。
そしたら奇跡的に両方採用されちゃったわけです(笑)
前回第82回は「七咲しゅう」、今回第88回は「しゅうという名の生意気な黒猫」で採用されました。
どうやらアマガミCSには上記のキャラ名云々というのはないようです。
なので、今では再び「七咲しゅう」で投稿しています。
まあ、同じ人が2回採用されただけって考えると全然すごいことじゃないです。奇跡のカケラもない。
でも、両方の名前で大量投稿してたので、今後も両方読まれるかもしれません。
ですから皆さん、今後の「七咲しゅう」と「しゅうという名の生意気な黒猫」の両方の活躍にご期待下さい!!

2010-12-06

エピソード「先輩、しっかりして下さい」(ノベル)

「その女のこと……殺してやりたいほど憎かったんだよ」
「どうして?あなたと被害者は夫婦じゃないですか。しかも中学の時から熱愛していた仲なのに」
「ふん。女なんて所詮そんなもんなんだ。あの時は大好きだったけど、最近性格変わっちまってな」
「性格が?」
「最近、無性に俺から金をせびりやがって!どうやら奴は不倫してるらしい!!!」
「不倫相手に貢ぐお金をあなたから?」
「そうさ。奴を問い質したら、俺と離婚してそいつと結婚するとかほざきやがった」
「それでついカッとなって?」
「ああ、そういうことだ。わかったか、刑事さんよぉ?悪いのは俺じゃない、その女さ。天罰だよ、これは」
「う……」


――ち、違う!!そんなの人を殺していい理由なんかじゃない!!
それに……どうして奥さんとよく話し合おうとしなかったの?
熱愛していた仲だったなら……どうして?
……それにしても先輩遅い。もう仕事終わってるはずなのに。
……
まさか!?
……
いや、あの先輩に限ってそんなことは!!

しゅう先輩と結婚してから数日経ったある日のこと。
現在、午後7時頃。
早く仕事から帰った私は夕飯の支度を終えて先輩が帰って来るのを待っていた。
二人で一緒に食べようと思い、何も食べずに待っていた。
暇だったので、今先輩がハマっているという刑事ドラマの録画を見ていた。
今回の話は中学時代から熱愛していた妻が不倫したため、カッとなった夫が妻を刺殺するという痛ましい事件。
先輩と私も高校時代から熱愛し、ついに、ついこの前夫婦になったばかり。
夫婦になる前に同棲していた時期があったけど、やっぱり先輩の帰りが遅いと不安になってしまう。

「先輩遅いなぁ。早く帰って来て下さい。じゃないとせっかくのご飯が冷めちゃいます」

――って……妻ってこんな感じでいいのかな?
私のお母さんも結婚したての頃ってこんな感じだったのかな?
同棲していた時期があったとしても、結婚の前後じゃ状況が違って、色々不安になる。
私は七咲しゅうの妻としてこの先ずっとやっていけるのだろうか。

そんなことを考えていたら玄関のドアが開く音がした。

「先輩、帰って来たのかな?」

私は先輩を出迎えるため、玄関に行った。

「先輩、お帰りなさい」
「あ、逢……た、ただいま」

ドサッ。

「えっ?」
「……」

先輩はいきなり玄関で倒れた。

「せ、先輩!どうしたんですか?しっかりして下さい!!」

私は先輩に駆け寄って先輩の前にしゃがみ込んで、先輩の両肩を両手で支えた。

「逢」
「はい」
「僕はもう……駄目かもしれない」
「えっ?はい??今何て?」
「今まで……本当に……ありがとう」
「せ、先輩!!何を……」
「……」
「と、とにかく中に入りましょう。着替えてご飯食べて下さい」
「わ、悪いな、いつも」
「いいから、早く」
「ああ」

先輩はこの世の終わりを見たようなすごく切ない顔をしていた。
全身疲れ切って弱々しい感じだった。
いったい先輩に何があったの?

……

「いただきます」
「いただきます」
「もぐもぐもぐもぐ……ごっくん。はぁ」
「もぐもぐもぐ……それで?」
「え?」
「そんなに疲れ切った顔をして……いったい今日は何があったんです?」
「あ、ああ。もぐもぐもぐ……ごっくん」
「……」
「じ、実は」
「はい」
「殺人事件の捜査に行ってたんだ」
「殺人事件ですか?」
「うん。中学時代から熱愛していた妻が不倫したため、カッとなった夫が妻を刺殺するという痛ましい事件」
「……」
「……」
「……ああ、何だ。ドラマの話ですか」
「ち、違うよ!現実現実!僕が行ったの!」
「……で?それのどこが辛かったんです?」
「事件現場で状況証拠を直接見てきたんだけど……夫の殺し方が残虐で!見てられなかったんだ」
「本物の死体を見て精神的に辛くなったってことですか?」
「うん」
「あれ?でも、先輩は刑事になってからもう1年経ってますよね?今更ですか?」
「いや、今までは警察署内の仕事が多かったんだ。殺人事件の捜査に行ったのは今回が初めてなんだ」
「そうなんですか」
「だから、初めて刺殺体を見て辛くなったんだ。しかも僕たちみたいに熱愛していた夫婦だったから尚更ね」
「同じ立場だから余計そう思ったってことですか?」
「うん」
「……」
「……」
「とりあえず」
「ん?」
「とりあえず安心して下さい」
「え?何を?」
「私は絶対に不倫しませんから!」
「は?」
「先輩の手を私の血で染めさせたりはしませんから」
「あ、逢」
「はい。何です?」
「み、見かけによらず、恐ろしいこと言うんだな?」
「……はい」
「は、ははは」
「私も信じてますから。しゅう先輩のことを」
「大丈夫さ!僕には逢しかいない。絶対に不倫なんてしないよ」
「先輩」
「ん?」

私は突然立ち上がって先輩の背後に移動した。
そして背後から先輩を包み込むように抱きしめた。

「お仕事頑張って下さい。私はここにいます。いつでも先輩の味方ですから」
「うん。分かった。どんな辛いことがあっても家に帰って来れば逢がいてくれる。それだけで僕は頑張れそうだ」
「ふふっ。応援してますよ、先輩」

毎日の仕事で疲れて帰って来る先輩を癒してあげることが妻である私の仕事。
少なくともこの時の私はそう思っていた。
でも、この考え方はちょっと甘かったのかもしれない。

先輩は次の日も同じように疲れ切った顔をして帰って来て、突然私に抱きついた。

「逢」
「せ、先輩?」
「ごめん、しばらくこうしていたい。逢の温もりを感じていたい」
「……」
「……」
「……もう、本当に甘えん坊なんですから」
「ごめん」
「別にいいですよ。また昨日の事件の捜査ですか?」
「うん」

先輩は昨日のことをまだ引きずっていた。
何だか精神的に辛そう。
こうして私が包み込んであげても先輩は次の日にはまた疲れ切ってまた私に抱きついてくる。
さすがの私も心配になった。

そして次の日。

ジュージュージュー。

「先輩今日も遅くなるのかなぁ。今日は先輩の大好物であるハンバーグを作ってるけど……」

……
先輩……またあの事件の捜査なのかな?今日もまた辛い目に遭って……。
……
私は……妻として先輩に何がしてあげられるんだろう?今日一日考えてたけど、やっぱり答えは出ない。
……
こういう時……やっぱり誰かに相談すべきなんじゃ?一人で抱え込むのが一番よくないことは分かってる。
……
でも、こういう時、誰に相談したらいいんだろう?
……
一番身近なのは私の両親。それに郁夫や美也ちゃん。
……
いや、それは駄目!結婚したんだから、やっぱりこういう問題は私と先輩の二人で解決しないと。
じゃなきゃ、この先ずっと家族に頼ってたんじゃ何のために結婚したのやら……。
夫婦の問題は夫婦で解決しないと意味がない!家族には迷惑をかけられない!
うん、大丈夫!あの記憶喪失を何とか乗り越えられた私と先輩ならきっと!
……
でも、あれだってみんなの力を借りたから何とか乗り越えられた。
先輩の大学のお友達、美也ちゃん、梅原先輩、森島先輩、そして……。
あ!そうだ!塚原先輩だ!塚原先輩ならきっといい知恵を貸して下さるはず!
塚原先輩ならこういう時、どうするんだろう?
……
いや、やっぱり塚原先輩にも相談できない!あの時、散々迷惑をかけた。
夫婦になってまで迷惑をかけたくない!
やっぱり私と先輩だけで解決しないと!!

そんなことを考えていたら、気持ちを察してくれたのか電話がかかってきた。

「はい、もしもし。七咲です」
「あ、七咲。私よ。塚原響」
「えっ?塚原先輩!?」
「どう?最近うまくいってる?」
「えっ?あ、はい」
「そ。ならよかった」
「あの、どうしてお電話を?」
「ん?ちょっと久しぶりに七咲の声が聞きたくなってね。迷惑だった?」
「い、いえ!そんなことは!!」
「ふふっ、冗談」
「あ、あ、はい」
「今七咲一人だけ?」
「はい。先輩はまだ仕事から帰っていません」
「そう。彼も大変なのね」
「はい……そうみたいです」
「七咲?」
「あ、はい」
「もしかして……また何か悩んでるの?」
「えっ?」
「声のトーンがいつもより低めだから。何だか元気なさそう」
「……」

やっぱり塚原先輩はすごい!
私の声を聞いただけで私が何かに悩んでることを突き止めた!
塚原先輩には敵わない。

「……」
「やっぱり……分かっちゃいますか?塚原先輩にはすべて」
「当然よ。何年七咲と一緒にいたと思ってる?」
「そう……ですね」
「その様子じゃ、誰かに相談したいけど相談できなくて困ってるといった感じかしら?」
「当たりです」
「まったく……。毎度のことながら世話が焼ける夫婦ね」
「すみません」
「いいわ。私でよければ相談に乗る。支障がなければ話してくれる?」
「はい。実は……」

私は今悩んでることを塚原先輩にすべて話した。

「なるほどね」
「どうしたらいいですか?」
「甘すぎる」
「えっ?」
「七咲は甘すぎるのよ!彼にはもっときつくすべきだわ」
「えっ?そんな……」
「かわいそう……って言いたいの?」
「はい」
「その考えが甘すぎるわ」
「えっ?でも……」
「七咲」
「はい」
「『飴と鞭』って言葉知ってるわよね?」
「はい」
「七咲は彼に飴しか与えてない。だから彼は成長しない。時には鞭も必要なのよ」
「そんな……」
「いい?」
「はい」

――彼は毎日の仕事が辛いと言って帰宅するなり七咲に抱きつく。すぐ甘えたがる。
彼の期待に応えるべく、七咲は彼を甘やかす。
そして次の日もまた次の日も彼は同じように七咲に甘える。その繰り返しよ。
やがては彼は七咲に依存し、七咲なしじゃ生きていけなくなる。
不謹慎な言い方かもしれないけど、七咲を失ったら彼は生きていけなくなる。
これが飴ばっかりを与えた結果よ。

「う……じゃ、じゃあ鞭も与えろと言いたいんですか?」
「ええ。そういうことよ」
「私がですか?」
「当然。だってあなたにしかできないから」
「う……そ、そんなの……私が辛いです」
「でも、辛いからと言ってこのままにしておいたら彼はどんどん駄目になるわよ」
「う……でも私には先輩に鞭を与える勇気なんて……」
「勇気?」
「はい」
「違うわ」
「えっ?」
「これは勇気なんかじゃない!彼に鞭を与えることは彼自身のためなんだから!むしろ、愛情だと思う」
「愛情?」

――そう。愛情よ。
彼は刑事になる前、少なからず辛い目に遭う覚悟があったはず。だから刑事を目指した。
そんな彼を七咲は全力でバックアップした。
そして彼は念願の刑事になった。勤務開始から1年経ってやっと殺人事件の捜査に参加することができた。
しかし彼は事件現場を見て辛い気持ちになった。その気持ちを癒すため七咲に甘えた。
殺人事件の捜査に参加し始めてからまだ間もないっていうのにもう弱音を吐き始めている。
ひどい言い方だけど……私に言わせれば、彼はだらしないわ。
刑事になる前の、辛い目に遭う覚悟はいったいどこに消えたの?
刑事になりたいという夢を全力でバックアップした七咲に申し訳ないと思わないのかしら?

「塚原先輩……」

――そこで、七咲……あなたの出番よ。
今度彼があなたに甘えてきたら、思いっきり突き放してやりなさい!

「えっ?」

――さっきも言ったけど、これは勇気なんかじゃない!愛情なのよ!
あなたが「甘えてんじゃない!覚悟はどうした!?」って思いっきり厳しく叱ってやるのよ!
そうすれば彼は目が覚めるはず!
これはあなたにしかできない。

「で、でも……そんなことをしても平気なんですか?」
「……というと?」
「その……離婚とか?」
「ふふっ」
「えっ?塚原先輩」
「大丈夫。それはないから。彼はあなたの言うことだったら大人しく聞くと思う。むしろ感謝するんじゃないかしら」
「感謝?」
「私は今まで彼と七咲のことを散々見て来たから分かる。自信を持って言える」
「で、でも……先輩を信じないわけじゃないですが……万が一、離婚なんてことになったら?」
「そしたらすぐに別れなさい」
「えっ?」
「彼が所詮それだけのだらしない男だったってことですぐに別れるべきだわ」
「……はい」
「七咲」
「はい」
「何度も言うけど、飴を与えるだけが愛情じゃないわ。時には鞭を与えて間違いを正してあげる、それも愛情だわ」
「はい」
「彼に、見せてあげなさい!あなたの『愛の鞭』って奴を。七咲逢だけに『逢の鞭』って奴をね!」
「『愛の鞭』……『逢の鞭』……分かりました!」
「やるなら、思いっきりね!ぶっ倒れるくらい激しくやってもいいわ!中途半端は絶対に駄目!」
「はい!頑張ります!」
「彼に覚悟を持たせるなら、あなたも覚悟しなさいよ。七咲」
「はい!ありがとうございます」
「ううん。礼はいいから。とにかく頑張ってね。私はあなたたち夫婦をいつまでも応援してるから」
「はい!塚原先輩、どうもありがとうございました」
「じゃ、そろそろ彼も帰って来ると思うし、私も忙しいから。それじゃあね」
「お疲れ様です。おやすみなさい」
「おやすみ、七咲」

『飴と鞭』……
私は今まで先輩に飴しか与えてこなかった。
だから今度は鞭を与えてあげなきゃ!
これは先輩のためなんだから、頑張らないと!
先輩が一人前の刑事さんになるために、私が全力でバックアップする!!
そのためにも頑張って先輩に鞭を与える!!

「逢、ただいま」

来た!先輩が帰って来た!やるなら今しかない!

「先輩、お帰りなさい。今日も遅かったですね」
「逢……」
「今夜は先輩の大好物のハンバーグですよ。早く着替えて……」
「逢!」

予想通り、先輩は私に抱きついた。

「もう……またですか?本当に甘えん坊ですね」
「ごめん。でも、しばらくこうしていたい」
「だったら、まずは着替えてご飯を食べて下さい。冷めちゃいます」

私はわざと先輩を離し、居間に向かった。

「う、うん」

――ま、ご飯食べてからでいっか。逢はどこへも行かない。

「いただきます」
「いただきます」
「もぐもぐもぐもぐ……ごっくん。はぁ」
「もぐもぐもぐ……それで?また同じ事件ですか?」
「うん」
「……」
「本当に……嫌になっちゃうよ」
「……」
「毎日精神的に辛いんだ。逢がいてくれるから毎日何とか頑張れるけど……」
「……私がいるから?」
「うん」
「そうですか」

やっぱり塚原先輩が言った通りだ。
先輩は私に依存しつつある。

その後、ご飯を食べ終わって後片付けも済んだ。
二人ともお風呂に入り終えた。
就寝前になって……

「はぁ。明日も仕事か。またあの事件の捜査ね」
「大変ですが、頑張って下さい」
「もう……毎日辛くて仕方がないんだ、逢」
「先輩」
「逢……」

先輩は泣きそうな表情で私に抱きついてきた。
やるなら今しかない!
中途半端は駄目!思いっきりやる!!
先輩に『逢の鞭』を打ち込む!!

「先輩」
「逢」

先輩が私を放した、そのタイミングを見計らって!

「ふふっ。せーんぱいっ」
「逢?」

パーーーーーーーーーン!

「うぐっ!」

私は右手で先輩の左の頬を思いっきり平手打ちした!容赦なく!!
先輩はあまりにも痛かったのか、両手で左の頬を押さえた。

「逢……」
「しっかりして下さい!!」
「う……」

――それでもあなたは七咲しゅうなんですか!?
私の愛してる七咲しゅうはこんな人じゃない!!
七咲家に婿養子となって七咲家のすべてをその背中に背負う覚悟があったはず!
刑事になってどんな辛い目に遭っても乗り越えられる覚悟があったはずです!
あの時、記憶喪失を乗り越えられたあなたにならそれができたはずなんです!
なのに……どうしてそんなに弱気になるんです?
覚悟はどうしたんですか?
あなたの夢を全力でバックアップした私に恥をかかせないで下さい。
お願いですから……もっと強くなって下さい。
う……う……

「逢……」

どうしよう?先輩を思いっきり、引っ叩いてしまった!
強気なことを言ってしまった!
その罪悪感から来る恐怖で全身が震える!
両手の握りこぶしに力が入る!
顔は俯いて、歯を食いしばって、今にも涙が出そう。

――ごめんなさい。痛かったですよね。
でも、私は先輩に強くなってもらいたいんです。
弱気になって私にどんどん依存していく先輩を見ていて辛くなりました。
このままじゃ私がいなくなったら先輩は生きていけなくなる……そう思ったので。

「逢……」

――確かに私は先輩に頼りにされて嬉しいですよ。
でも、頼りにされすぎると私まで駄目になってしまいそうです。
先輩のことが心配で、大好きな水泳にまで影響が出てしまいそうで怖いんです。
またあの記憶喪失の時と同じようなことが繰り返されるって思うと……私……。

「……」
「……」

先輩はさっきからずっと固まったままだ……。
私のこと……嫌いになっちゃったのかな?
私は今まで先輩にこんなに厳しいお説教をしたことがない。
私のこと、ひどい妻だとか思ってるのかな?
それならそれでいい!私は先輩のためにやれるだけのことはやった!
もう……後はどうなっても……。

「逢!」
「えっ?はい」
「……」
「……」
「ありがとう」
「えっ?あ……」

先輩は私のことを強く抱きしめた!

「ありがとう。う……う……迷惑かけてごめんな」
「先輩……」

先輩は涙を我慢していた。

――本当は自分でも気付いていたんだ。強くならなきゃいけないって。
でもな……逢を見ているとどうしても甘えたくなる。僕の意志が弱いからなんだ。
そんな僕を逢はいつも包み込んでくれた。
だから、このままでいいんだって余計甘えてしまった。
でも、今逢に思いっきり引っ叩かれて、厳しく叱られて、やっと目が覚めたよ。
僕の刑事になりたいって夢は僕だけの夢じゃなかった。
それを全力でバックアップしてくれた逢の夢でもあるんだ。
なのに、僕はそのことを忘れて自己中心的になっていた。
逢のことまで考えてやれてなかった。
本当に駄目だよな、僕って奴は。

「先輩……。先輩は駄目なんかじゃないです!」
「えっ?」

――確かに今までの先輩は駄目でした。
でも、今こうして今までの間違いに気付けました。
だったら、ここから変わればいいんです!
人は、どれだけ時間がかかろうと、努力すれば……変わろうと思えば変われるんです!

「逢……」

――先輩が私の夢を全力でバックアップしてくれたように、私も先輩の夢を全力でバックアップします!!
ですから、精一杯変わる努力をして下さい!!
私は先輩のことを信じています!
私の愛してる七咲しゅうはここから再び立ち上がるんです!

「逢……分かった!僕、頑張るから!!」
「はい!」

――僕は必ず変わってみせる!
また何度も同じ間違いをするかもしれない!
逢にも迷惑をかけるかもしれない!
でも、必ず変わってみせるから!!
ずっと、僕のことをそばで見続けていてほしい。
逢にはずっとそばにいてほしい。

「先輩!」
「逢!」

私も先輩も我慢していた涙を流した。
私は先輩に抱きしめられたまま、先輩の胸を借りて号泣した。
もうホッとして全身の震えは止まった。

「な、泣くなよ」
「だ、だって……怖かったんですから」
「怖い?何が?」
「先輩に嫌われてしまうんじゃないかと思って」
「僕に?」
「はい……」
「ふっ」
「えっ?」
「馬鹿だなぁ。逢は馬鹿だよ。僕がそんな人間だと思ったか?」
「う……」
「僕は殴られようが引っ叩かれようが蹴り飛ばされようが踏み潰されようが逢のことが好きだよ」
「先輩」
「それが僕を想っての行動なら絶対に逢のことを嫌いになんかならないよ」
「先輩」
「むしろ、もっともっと逢のことが大好きになる!」
「先輩!」
「ほらほら、泣くなって!」

先輩は右手で私の頭を撫でた。

「う……う……そ、そういう先輩こそ目から涙が出てますよ」
「う……こ、これは……涙なんかじゃない!!そう、心の汗だ!!」
「……」
「ん?どうした?」
「う」
「う?」
「うまいことを言ったつもりですか?」
「う、うん」
「全然うまくありません……よ!」
「あ……んん」

私は突然顔を上げて先輩にキスをした。
お互い涙を流してるから口の中がしょっぱくなった。
今日のキスは……涙の味。
先輩が新たな決意をしたその証!

「逢……」
「先輩」
「逢……う……」
「先輩?先輩?」

先輩が私を抱きしめる力がどんどん弱くなっていく。
まるで先輩から力が抜けていくみたいに。
どんどん力が抜けていく先輩を今度は私が支えた。
そのまま二人ともその場にしゃがみ込んだ。

「……」
「先輩?だ、大丈夫ですか?」
「……」
「……寝て……る?」
「……」

どうやらちょっと強く叩きすぎたらしい。
先輩は気絶してそのまま寝てしまった。

「先輩……やっぱり痛かったんですね。本当にごめんなさい」
「……」
「いつまでも、愛してますからね!先輩」

私は先輩の左の頬を労るようにそっとキスをした。
ちょっと『逢の鞭』は強すぎたのかな?
鞭を与えた後はご褒美に飴を与えてあげてもいいよね?

「おやすみなさい、先輩」

先輩を寝室に運び、ベッドに寝かしつけ、私も寝ることにした。

最初は不安で怖かったけど……どうやら『逢の鞭』は痛いくらいよく効いたらしい。
先輩は次の日から変わった!
強くなって、もう私に甘えすぎなくなった。
先輩曰く……

――僕は逢のことが好きになったその日から逢を一生守るって決めたんだ!!
逢を守るためには僕自身も強くなきゃいけない!!
僕自身が強くならなきゃ逢を守れっこない!!
だから僕は強くなる!!もっともっと強くなってみせるさ!!
すべては僕自身と逢のためにな!!


先輩は本当にたくましくなった。
それでも先輩はたまに私に甘えてくるけどね。
そんな時は私が全力で先輩のことを包み込んであげる。
頑張ってるご褒美に食べる飴は格段においしいはず!
だから、たまには先輩においしい思いをさせてあげたい。
大好きな先輩だからこそ、余計に。

こうして私と先輩の愛情はさらに深まった。
刑事ドラマや先輩が捜査している殺人事件みたいに、なかには分かり合えない夫婦もいる。
長年熱愛しててもその関係がほつれてしまう夫婦もいる。
でも、私と先輩は違う!!絶対に違う!!胸を張って自信を持って言える!!
私と先輩の絆はこの先何十年経っても絶対に切れることはない!!
二人がお互いを愛し合ってる限り、絶対に!!
そう思えたのもすべて塚原先輩のおかげなんです。
塚原先輩のアドバイスがあったからこそなんです!
もちろんしゅう先輩には塚原先輩のことは内緒にしてある。
後でこっそり塚原先輩にお礼を言おうと思う。

本当にありがとうございました!!



七咲アフターストーリー
エピソード「先輩、しっかりして下さい」(ノベル)
END

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2010-12-05

祝!!ブログ拍手100拍手!!

皆さんに嬉しいお知らせです!!
当ブログが本日、合計100拍手頂きました!!
わーい、おめでとう!!パチパチパチ……。と、自分で言ってみる。うん、虚しいな(笑)
本当にいつもいつもありがとうございます!!
4月に当ブログを開設して以来、ここまでやって来れたのは本当に皆さんのおかげなんです。
開設当初は不安で仕方がなかったです。
まさかここまで続くとは思ってもみませんでした。
僕の代表作である七咲アフターストーリーもネタ切れで危うく第5話辺りで打ち切りになるところでした(笑)
それが今では全43話まで書き切ることができました!!
アクセス数も1ヶ月で10,000超で、予想外の人気にちょっと困ってしまいました(笑)
あ、別にちょっと驚いただけなんで気にしないで下さい。
じゃんじゃん読んじゃって下さって結構ですよ(笑)
ちなみに100拍手の内訳はこんな感じです。
ちょくちょくまとめていたものを公開します。


目次(4)
○はじめに
このブログを開設した経緯について(3)
○七咲アフターストーリー
・高校生活編
第1話「先輩、一緒に勉強しましょう」(2)
第2話「先輩、デートしましょう」(3)
第3話「先輩、また明日から頑張りましょう」(3)
第4話「先輩、ごめんなさい」(3)
第5話「先輩、よく頑張りました」(1)
第6話「先輩、夏休みですね」(4)
第7話「先輩、兄弟っていいですね」(2)
第8話「先輩、今日は創設祭ですね」(2)
第9話「先輩、卒業おめでとうございます」(5)
・橘しゅう大学生活編
第10話「先輩、私水泳部の部長になりました」(2)
第11話「先輩、お帰りなさい」(1)
第12話「先輩、私を知ってください」(0)
第13話「先輩、夢に向けて頑張りましょう」(1)
第14話「先輩、私2度目のインターハイ頑張ります」(1)
第15話「先輩、私受験頑張ります」(1)
第16話「先輩、私卒業します」(2)
エピソード「先輩、今日は塚原先輩の誕生日です」(0)
エピソード記念作「先輩との出逢い~恋はみずいろ~」(ノベル)(1)
・同棲編
第17話「先輩、これからもよろしくお願いします」(0)
第18話「先輩、ちゃんと自力で起きてください」(0)
第19話「先輩、海に行きましょう」(1)
第20話「先輩、私を忘れたんですか」(1)
第21話「先輩、これから一緒に頑張りましょう」(2)
第22話「先輩、一緒に輝日東に帰りましょう」(1)
第23話「先輩、輝日東って温かいですね」(0)
第24話「先輩、大学に戻りましょう」(1)
第25話「先輩、私を思い出してください」(1)
第26話(完結)「先輩、私はずっと先輩のそばにいますから」(10)
エピローグ「先輩、私とみんなのその後」(0)
エピソード「先輩、お誕生日おめでとうございます」(ノベル)(1)
エピソード「先輩、今日は試験前夜です」(ノベル)(1)
・夫婦編
エピローグ「先輩、結婚しましょう」(0)
エピローグ「先輩、私を助けてください」(4)
エピソード「先輩、私を好きにして下さい」(ノベル)(※18禁注意)(2)
エピローグ「先輩、子供……ほしいですね」(0)
エピローグ「先輩、花婿修行は厳しいですよ」(0)
エピローグ特別編「先輩、私最高に嬉しいです!! 前編:一緒に過ごした半年間」(1)
エピソード「先輩、私を溶かしてください~初雪の思い出~」(ノベル)(2)
エピソード「先輩、私を溶かしてください~初雪の思い出~続編」(ノベル)(0)
エピソード「先輩、一緒にゲームしましょう」(0)
エピローグ特別編「先輩、私最高に嬉しいです!! 中編:前夜に……」(0)
エピローグ特別編「先輩、私最高に嬉しいです!! 後編:二人の死闘、そして……」(1)
エピソード「死闘を終えて……」(3)
○橘美也の「打倒逢ちゃん!にぃに奪還大作戦!!」
第1話「逢ちゃん許すまじ!!」(1)
第2話「デートを邪魔するのだ!!」(1)
第3話「変態でも風邪は引く!?」(4)
○CLAGAMI~クラガミ~
・CLAGAMI~クラガミ~とは(0)
・七咲逢編
~彼女の生まれた意味~(0)
・塚原響編
~初恋さよなら~(0)
~10年ぶりの涙~(0)
○こんなアマガミってどうよ?
10年後のソエンルート(1)
○アマガミSS第13~16話 七咲逢編の感想
第13話(第1章)「サイアク」(2)
七咲逢編エンディング(1)
第14話(第2章)「トキメキ」(0)
第15話(第3章)「ヘンシン」(3)
第16話(最終章)「コクハク」(6)
○アマガミ談議
・全員
コーヒー恋愛論(アマガミver.)(1)
・中多紗江
紗江ちゃん、今までごめんなさい(1)
・七咲逢
あの名シーンについての考察(2)
○本日の七咲しゅう
桜(0)
逢コン作ったよー!(0)
逢色に染まる夕日と海(0)
猫耳メイド逢(0)
お仕置き逢(0)
笑う?あくび?逢コンできたーーーーーー(1)
更新をお休みします(1)
更新を再開します!!(0)
ついにこの日が来た!!祝アマガミSS七咲逢編!!(1)
祝!!アマガミCS初採用!!(0)
祝!!ブログ、リニューアル!!(1)
「おお、美也」(0)
歳をとりたくないよぉ(0)

一番人気なのは10拍手の七咲アフターストーリー第26話で……
次いで6拍手のアマガミSS第13~16話 七咲逢編の感想第16話(最終章)と……
5拍手の七咲アフターストーリー第9話ですね。

最近一部の購読者の方から「七咲逢18禁SSを書いて下さい」という要望や……
「七咲アフターストーリー夫婦編の続編を書いて下さい」という要望が寄せられました。
出来る限り要望には応えていこうと思いますが、いかんせんネタ切れなもので……。
そこで、ブログ拍手100拍手を記念して、右のプロフィールにメールアドレスを追加することにしました。
「こんな話を書いて下さい」とか「ただ個人的にやり取りしたいだけなんです」
……などなど、理由は何でも構いません。
僕と個人的にメールのやり取りをしたい方はご自由にどうぞ。
ただし、メールを初めて送る場合には件名か本文に簡単な自己紹介を書いていただけると助かります。
「ブログ購読者です」と一言添えていただけるだけでもいいです。
たぶん分かると思います。

まあ、そんなわけで、これからも僕、七咲しゅうと当ブログをよろしくお願いします。

2010-12-03

エピソード「先輩、私を好きにして下さい」(ノベル)(※18禁注意)

結婚から2ヶ月ほど経った8月中旬。
逢が誘拐された事件から3日経ったある日の出来事。
僕も逢も朝から仕事に行っていた。

「おはようございます」
「お!七咲選手、おはよう」

そうそう、逢がやっている仕事は競泳の選手なんだ。
この前の大会で日本新記録をマークした凄腕の選手なんだ。
高校時代、進路を悩んでいた逢に僕がアドバイスしてあげた。
一流の体育大学に行って競泳の選手になったらどうかと。
そしたら逢は見事に才能を開花させた。
やっぱり僕が見込んだだけのことはある!
逢は僕の最高の奥さんだ。

この日は朝9時から練習があるらしい。
早速練習するため、逢は更衣室へと向かった。

「今日はクロールの練習かな」

逢がボソッと呟きながら着替えていると……

「あら、七咲さん。早いのね」
「あ、先輩。おはようございます」

まあ、誰も勘違いしないと思うけど、一応説明しておこう。
『先輩』というのはここでは僕のことではなく、逢の競泳の先輩らしい。

「……」
「……どうしたの?ボーッとして?」
「えっ?いえ、別に」
「ははーん。さては私の胸に見惚れていたのね」
「なっ!?何を……そんなわけないじゃないですか!」
「今うらやましそうな顔してたわよ」
「……」
「はぁ……先輩はいいですね。そんなに胸が大きくて。私も分けてもらいたいですぅ」
「ち、違います!!」
「いいこと教えてあげる!」
「な、何ですか?」
「胸ってね……愛情込めて優しく揉んであげると大きくなるんだってよー」
「う……」
「あ、そうだ!七咲さんって確か旦那さんいたわよね?」
「……はい。一応います」
「うらやましいわね!私より胸小さいのに旦那さんがいるなんて」
「う……一言余計です」
「七咲さんの方が人生の勝ち組よね~」
「そ、そんな訳……」
「そこでね!」
「先輩、人の話聞いて下さい」
「いいから!七咲さん、ちょっと耳貸して。大きな声じゃ言えないのよ」
「もう先輩!」
「あのね……」
「はい」
「旦那さんに揉んでもらったら?」
「えっ??今何て??」
「だーかーらー旦那さんに胸を揉んでもらったら?大きくなるわよ」
「……はい??い、嫌ですよ、そんなの」

――しゅう先輩に胸を揉んでもらうなんて……絶対に嫌!!
あのエッチな先輩のことだからきっと喜ぶに決まってる!!
冗談じゃない。

「あ、そ。ならいいわ。そのままでいなさい」
「そうさせてもらいます」
「……」
「……」
「それにしても七咲刑事って、かっこいいわよね~」
「はい??いきなり何の話ですか?」
「だって、あなたのために拳銃一つ持って単身で犯人のアジトに乗り込んだんでしょ?」
「それが何か?」
「奥さんのために生命を張れるかっこいい旦那!彼ならきっとあなたの相談に乗ってくれるわよ」
「い、嫌ですよ……あんな人」
「あらあら、愛する旦那をそんなひどい言い方するなんて、あなたってひどいわね」
「ひどくて結構です。それでは、私は着替え終わったので失礼します」

逢が更衣室を出て行く。

「ふふふ。あんなに照れちゃって。七咲さんったらかわいいんだから」
「七咲刑事、頑張りなさいよ。あなたの腕にかかってるんだから」


一方その頃、警察署では……

「七咲、次は商店街のパトロールだぞ」
「わ、わかりま……はっくしょん」
「どうした?風邪か?」
「い、いえ、別に。はっくしょん。はっくしょん」
「き、気を付けろよ」
(誰かが僕の噂をしているな。さっきから妙な悪寒がする……)


バシャバシャバシャ……ピッ。

「うん、前回よりもいいタイムだ。この調子でいけば次の大会は勝てるな」
「はい。コーチ、ありがとうございます」
「よし、ちょっと休憩だ。5分したらまた練習だ」
「はい」

クロールのタイムを測り終えた逢はタオルで身体を拭いている。

「う……」

逢は胸を拭こうとして手を止めた。
どうやらさっきの先輩の言ったことを気にかけているようだ。

――別に、このままでもいい気がする。
だって、先輩は本当は胸の大きい子が好きなはずなのに、私を選んでくれた。
先輩は胸ではなく、中身を見て私を選んでくれた。
だから、ちょっとくらい小さくたって別に問題はないはず。

逢は胸を拭いてベンチに腰掛けた。

――でも、先輩は胸が大きい方が嬉しいのかな?
いや、違う!だって先輩はあの時!

『……決して大きいとは言えなくても、毎日の部活で鍛えられた胸筋に内側から押し上げられ……外側からは抵抗をなくす為に開発された競泳水着によって圧迫されている胸』
『僕は、その火薬の様に爆発しそうな程のエネルギーを蓄えた感じが見たくて、ついつい覗きに来てしまったんです!本当にすみませんでした!!』


そう言ってくれた。正直、嬉しかった。
でも、あれが私を気遣って言ったセリフで、本心は違っていたら……。
……
駄目、そんなこと考えちゃ!もっと先輩のことを信じてあげないと。
でも、でも……。

「七咲、そろそろ休憩終わりだ」
「あ、はい。分かりました」

――先輩……私はどうしたらいいんですか?


一方その頃、商店街では……

「うーん、どうしたらいいんだろうねぇ?」
「しゅうちゃん、どうかしたの?」
「ああ、まっちゃんか。何かさっきから妙な悪寒がしてくしゃみが止まらないんだ」

まっちゃんとは、大学の同期で同僚でもある松原正義のことだ。
以前、僕が記憶喪失になった時にも大変世話になった。
今の逢との関係を築いてくれた恩人のうちの一人でもある。

「ひょっとして……あいつが噂してんじゃねぇの?」
「は?あいつって?」
「とぼけんなよ~このリア充が!!」
「いてっ!リ、リア充ってあのなぁ……」
「ああ、ちなみに今のセリフはな、この話を読んでる人たちの気持ちを俺が代弁してやったんだ」
「誰だよ?それ」
「愛する旦那の噂をしちゃうなんて……は……ははは」
「愛する旦那って……僕のことか?ってことは逢しかいないよなぁ」
「そうに決まってるだろ?」
「逢は今日必死で練習してるはずだぞ?余計なこと考えてる暇なんてないはずだ」
「またまた~」
「う……何だよ?」
「聞いてみれば?何か悩みがあるのかもよ?」
「ないだろ、そんなもん。うちの逢に限って」
「みんな、聞いた?うちの逢だって!は……うらやましくなんかないやい!」
「だから誰に話してんだよ?」


そして夕方

「ただいま」
「あ、逢。おかえり」
「う……」

逢は僕を見るなり恥ずかしがってそっぽを向いた。

「ん?どうした?僕の顔に何か付いてる?」
「い、いえ、何も」
「そっか。ならいいんだ」
「……」

逢は無言で部屋に向かう。

――やっぱり嫌だ。私には絶対に無理。
先輩に胸を揉まれるだなんて……触られるのも嫌なのに。
それに私は今まで何度か先輩に胸を触られたり揉まれたりして……その度に先輩に対して本気で怒ってきた。
今更、やっぱり触っていいだなんて言えるはずがない。
一度言ったことをそう簡単には否定できない。
でも……どうすれば?私はいったいどうすればいいの?

――うーん……何か、逢の様子がさっきからおかしいな。
どうして僕を見るなり照れたんだ。
別に僕は何もしてないのに。どうしてなんだ?
やっぱり、まっちゃんが言ってた通り、何か悩みがあるんじゃ?
僕で解決できるような悩みなら協力してあげたい気もするけど……。
よし、こうなったら後で逢から直接聞こう。

僕と逢はお互いに何も会話せず夕飯を食べた。
お互いに何も会話せず……というよりはお互いに何を話したらいいか分からないといった感じだ。
もし逢から聞き出すなら……寝る前にしよう。

……

「……先輩、おやすみなさい」
「あ、ああ……おやすみ、逢」
「……」

部屋に戻ろうとする逢。

「待って」
「え?」
「逢……もしかして何か僕に隠し事してる?」
「えっ??いえ、別に、何も」
「本当?」
「はい、本当です」
「じゃあ、何で帰って来てからあんなに様子がおかしかったの?」
「そ、それは……」
「それは?」
「ちょっと……疲れていたからです。今日は全力でタイムを測ったので」
「でも、それじゃあ僕を見ても照れたりはしないはずだ」
「……」
「照れるってことは……きっと僕には言えないことでもあるんじゃないのか?」
「……」
「もしかして……何か悩み事?」
「い、いえ……」
「もし何か悩んでいるのなら僕が力になる!だから一緒に解決しよう。一人で抱え込まずに」
「いえ、何も悩んでないです」
「逢……悩み事でも何でもいいから僕に相談してくれ!逢が苦しんでいるのを僕は見たくない」
「……」
「……」
「や……やっぱり……先輩には言えません。言いたくないんです」
「逢」
「お願いします」
「う……わ、分かったよ。逢がそこまで言うのなら大丈夫だな」
「おやすみなさい」
「うん。おやすみ」

――ごめんなさい、先輩。せっかくアドバイスいただいたのに、結局言えませんでした。
言いたくないんです。恥ずかしくて。

――逢……いったいどうしてしまったんだ?
僕に言えないこと?まさか……エッチなこととか?胸のことだったりして?
いや、あはは……まさかな。あの逢に限ってそんなことはない。
だって今まで僕は逢の胸を触ったり揉んだりして何度も本気で怒られてきた。
危うく結婚できないところだった。
だから逢が胸の相談をするなんてまずないな。
それに、僕はそんなこと気にしないし。
逢は逢だ。例え胸が小さくたって、逢のことが世界一好きだってことはこの先ずっと変わらないからな。
だとしたら……逢はいったい何に悩んでいるんだろう?

僕は気になって寝付けなかったので、悪いとは思ったが逢の部屋をこっそり覗いてみた。
逢はすでに寝ている……と思いきや、まだ部屋の電気はついていて、しかも……着替え中だった!!

――うっ!やばい……逢はまだ着替え中だったのか!!
下着を見てしまった。み、見なかったことにしよう。
しかし……何か様子が変だ。どうして胸を見つめたまま固まっているんだ?
まさか……僕の予感が本当に当たったんじゃ……?

もっとドアを開けて部屋の中の様子を見ようとしたその時だった。

ギィ……

「あ……!」
「ん……?」
「あ、逢……ごめん、もう寝てると思ってた」
「先輩……」
「えっ??逢?」

逢はあの時と同じ、涙ぐんだ顔をして、弱々しい声で僕を呼んだ。
あの時っていうのは例の僕と逢が付き合い出す前の放課後でのプールのことだ。
逢が僕を見るなり涙ぐんでプールに落ちたあの時と今の逢がそっくりだ。

「逢……どうしたんだ?泣いてるじゃないか」
「はっ!な、泣いてなんかいません」

逢は必死に涙を隠そうとするが、僕にはもうバレバレだ。
逢は急いでパジャマを着た。

「先輩……いったい何のつもりですか?私の部屋を覗いたりして」
「何のって……逢が心配だからに決まってるだろ!」
「ですが、私はさっき先輩には言いたくないと言ったはずです!なのに、どうして詮索するんです?」
「そんなの……逢を放っておけないからに決まってるだろ!」
「……」
「どうしたんだ?まさか……いじめられたのか?」
「違います」
「胸が小さいとか馬鹿にされたのか?」
「う……そ、そんなこと……」
「そうなのか!?」
「ち、違います……」
「逢!」
「えっ??あ……」

僕は逢の両肩に両手を載せて、逢を勢い良く後退させてそのままベッドに押し倒した。

「逢」
「先輩」
「そんなこと気にしなくていいんだよ!!誰に何と言われようと僕は今の逢が好きなんだ!大好きなんだ!」
「……」
「胸のことなんて……気にする必要ないんだよ。僕は……好きだから。逢も逢の胸も」
「ち、違います!!そんなんじゃありません。まったく、先輩はどうしていつもエッチな方向でしか物事を……」
「じゃあ、さっき何で胸を見つめたまま固まっていたの?」
「えっ??それは……」
「逢……僕たちは夫婦だろ?なのに隠し事なんて……嫌だよ」
「……」
「気になるじゃないか!気になって仕方ないよ!だって、逢のことが心配だから!!」
「先輩……」
「お願い……言いたくないって気持ちは分かる。だけど、どうか僕に話してほしい」
「……」
「僕が力になれるようなことだったら、僕は何でもする!逢のためなら何だってできるよ!だから!」
「う……」
「……」
「……じゃ、じゃあ……笑わないで聞いてくれますか?」
「うん」
「実は今日……」

……

「何だ、そんなことか。やっぱりな」
「そ、そんなことって何ですか?恥ずかしいんですよ」

僕に胸を揉んでほしい……それは逢らしからぬ発言だった。
だから言いたくなかったんだな。聞かなきゃよかった。
でも、これはチャンスなんじゃないか?
今まで胸を触られるのを本気で嫌がっていた逢がとうとう胸を触らせてくれるんだ!!
僕は一歩前進した気がする。
いや、一歩どころじゃないよ!!もっとだ!!
夫として、男としてこの上ない目覚しい前進をした!!
……でも、ここで調子に乗っちゃいけない。
ここは丁重に断るべきだな。

「せっかくの嬉しいお誘いだけど……僕には無理だ」
「……そうですよね」
「うん。だって、逢は今のままで十分だと思う」
「先輩……」
「その先輩が言ったことは気にしなくていいよ。だって僕が気にしてないから」
「先輩……ありがとうございます」
「逢……本当は言いたくなかったはずなのに、無理に言わせたりしてごめんな」
「いえ……」
「でも、相談してくれてありがとう。おかげで僕も安心した」
「私こそ、すみませんでした。先輩に心配をかけてしまいました」
「いいんだよ、これくらい」
「はい」
「……」
「ん……んん……」

僕は逢にキスをした。色々な意味を込めて。

「はぁ……あはは」
「クスッ」
「じゃ、邪魔して悪かったな。おやすみ、逢」
「おやすみなさい、先輩」

僕が部屋を出ようとすると……

「あ、やっぱり待って下さい」
「えっ??ど、どうした?まだ何か?」
「私……安心しました。ですから……そのお礼に……いいですよ」
「えっ??」

逢はパジャマを脱ぎ始めた。

「えっ??あ、逢……いったい何を?」
「ふふっ」

逢はさらに下着も脱いで上半身裸になった。
こ、これはまさか!!
僕の望んだ展開が来るのか!?来ちゃうのか!?

「えっ??み、見ちゃ駄目だ……見ちゃ駄目なんだ」

僕は両手で一生懸命目を塞いだ。

「別に……見てもいいですよ」
「えっ??」
「私、もう何とも思いません」
「で、でも……」
「今決心がついたんです。先輩のおかげで」
「ぼ、僕の?何が?」
「先輩になら……別に構いませんよ。私を……好きにして下さい」
「ええっ??あ、逢!?」
「あの……寒いので早くして下さい」
「さ、寒いって……そ、そんな格好をすれば当たり前だろ。早く服を着た方が……」
「先輩。何を躊躇っているんですか?見てもいいんですよ?」
「う……うう……」

み、見てもいいのか?本当にいいのか?
こ、これは予想通りの結果だけど……僕が望んでいた展開だけど……はたしていいのかな?

「ほーら、先輩。こっち来て下さい」

逢が僕の手首を掴んでベッドへと僕を引っ張った。
その途中で目を覆っていた手が外れて逢の裸が見えてしまった!

「う、うわ……」
「クスッ」

そのままベッドへと引きずり込まれた。
僕の手首を掴んだまま後退し、ベッドに仰向けで倒れる逢。
逢に引っ張られ、ベッド上で逢の上にうつ伏せで乗っかる僕。

「え?あ、逢?こ、これは……?」
「お願いします」
「は??」
「ほら、早く……その……胸を……」
「え??揉めと?」
「はい」
「ちょ、ちょっと待て……こ、こ、こ、心の準備が……まだ……」

僕は緊張してその場から一生懸命逃げようとする。

「逃がしません!」

逢が僕の首の後ろに両手を回し、さらに僕の両脚を両脚で固定した。

「う……」
「署長!容疑者1名、確保しました!これより取り調べを行います」
「え?よ、容疑者って??」
「そうか。煮るなり焼くなりエッチなことをするなり好きにしたまえ、七咲刑事」
「エ、エッチなこと??そ、そんなの駄目だぞ?」
「わかりました。じゃあ、まずはエッチなことから始めます」
「お、おい……逢!」
「ほら、大人しくするんだ!七咲しゅう容疑者!!」
「え??ぼ、僕が!?」
「おまえしかいないだろう?」

逢は刑事ごっこをしてすっかり楽しんでいる。

「う……」
「バカだねぇ君も。私から逃げられると思っているのかい?」
「逢……う……」
「じゃあ、まずはこうして……」
「え??」

逢は右手を僕の首の後ろから離して僕の左手を掴み、胸の上に乗せた。

「あ……」
「ええっ」

僕の左手が……今……逢の右胸を触っている!?
しかも服の上からではなく……生乳だ!!


「うわああああ!!」
「はう!!」

僕はびっくりしていきなり左手を引っ込めた。
その際に強く逢の右胸を擦ったのか逢も喘ぎ声を上げた。

「もう……い、いきなり何するんですか?」
「何って……そう言う逢こそいきなり何するんだよ!!びっくりしたじゃないか」
「そ、それは……」
「さっきまであんなに嫌がっていたのに、どうして急に?」
「だから……さっきも言ったじゃないですか。先輩のおかげで決心がついたって」
「そ、それにしてもいきなり過ぎるよ。し、心臓がバコバコ言ってる」
「……すみません」
「い、いや別に謝らなくても……」
「迷惑でしたよね。先輩は……別に……」
「ち、違う!!そういうことじゃなくて!!」
「取り調べは以上です。容疑者を釈放しました。おやすみなさい」

逢は僕を釈放した。

まずい!せっかくの雰囲気が僕のせいで台なしだ!!
僕に勇気がないせいで……僕がヘタレだから……逢が……。
いや、何を言ってるんだ!?まだ間に合うじゃないか!!
ここはいくしかない!!
男として、この誘い、ありがたく乗ってやるんだ!!
据え膳食わぬは男の恥!!
七咲しゅう容疑者、行きます!!
取り調べの最中に暴れて取り調べの刑事さんを襲います!!
そんな筋書きで。

「おやすみ……と言うとでも思ったか?」
「……」
「逢……覚悟するんだな。僕を本気にさせたな?」
「……ん?」
「僕の全身に流れているド変態の血が一気に騒ぎ出した。もう止まらない!!誰にもこの暴走は止められない」
「……」
「僕が……このド変態の僕が……今夜はおまえを寝かせないぞ」
「ええっ??」
「えいっ!」
「きゃあ!」

僕は一気に覚醒した。
僕は勢い良く逢に飛びついた。

「さーて、どこをどう治療してやろうか。要するにだ、胸を大きくしてやればいいんだろ?」
「えっ?は、はい」
「ふふふふ、まずはこうかな」

僕は両手で逢の両乳首をいじる。

「あ……ああん……あああ……」
「おやおや刑事さん……ずいぶんかわいい声で鳴くんだなぁ。ゾクゾクしてきたよ」
「しぇ、しぇん……ああん……ぱい……ああ……こ、怖い……はあん……でしゅ」
「ん?どうした?聞こえないよ」

僕が逢の乳首をいじると逢がものすごくかわいい声で喘ぐ。
そういえば、今まであんまり聞いたことなかったなぁ。逢の喘ぎ声。
いったい、どんなかわいい声を出せるのか、気になった。
よし、もっといじってみよう。

僕は両手で逢の両胸を強く鷲掴みした。

「はあああああああん。しぇ、しぇん……ああん……強すぎましゅ」
「……」
「も、もっと……ああ……優しく……」
「甘い!」
「えっ?」
「優しくとか言ってるからいつまで経っても大きくなれないんだよ」
「……」
「水泳でも常に自分に厳しくしてきたんだろ?だから今頭角を現している」
「はい」
「その逢が自分の胸を甘やかしてどうする!?もっと大きくして胸でも頭角を現すんだ!!」
「はい」
「返事が弱い!返事はどうした!?」
「はい!」
「僕は別にこのままでもいいんだよ。僕は逢の胸のことは一切気にしてないから」
「……」
「でも!その先輩に馬鹿にされて悔しかったから勇気を出して僕に頼んだんだろ?」
「そうです」
「だったら!僕は厳しくやる!!これは僕のためじゃない。逢のためなんだから」
「先輩……」
「違う!」
「えっ?」
「僕は先輩じゃない。コーチだ!!鬼コーチなんだ!!水泳ではなく、胸のトレーニングの鬼コーチなんだ!!」
「……はい!コーチ!!」
「よし、いい返事だ。いい結果を出したかったら、僕の言うことにすべて従うんだな」
「はい!もちろんです!」

ふふふ、我ながらうまいことを言ったもんだ。
自然な流れで逢を丸め込んだ。
僕の言うことにすべて従う……か。
つまり、何をしても逢は抵抗しないってことだ。
そう、何をしても……だ!!

「じゃあ、早速行くぞ。まずは基本を教えておく。息を止めるな!常に呼吸するために声を出すんだ」
「はい!」

そう、逢の喘ぎ声を聴くためにはまずはこれだ!

「よし、次にどこを鍛えればいいかチェックする」
「はい!よろしくお願いします」

僕は両手で逢の両胸を押してみる。

ぷにぷに。

「ああん……」
「おお!」

……や、柔らかい!!しかも弾力がある!!
それだけじゃない。奥の方は水泳で鍛えた胸筋が張っててちょっと硬い。
それに逢の胸は熱を帯びていて温もりがある。

すりすり。

「あ、ああん。コ、コーチ、な、何を?」
「温かい」
「え?」

僕は逢の胸に頬ずりしてみた。やはり温もりを感じられる。

ちゅっ。ちゅっ。

「ああん……だめ……」

僕は逢の乳首にキスをした。
逢の乳首はすでに硬くなって、ピーンと勃っていた。

「まったく。ちょっといじっただけなのに、すぐ硬くなって勃っちゃうなんて……」
「えっ?」
「感じやすいんだな」
「ち、ちが……ひゃうん……」
「これはお仕置きが必要だな。この駄目な乳首め!!」
「きゃああああああああああ」

カプッ。ヂュー。

「ああ、ああん」

僕は逢の左の乳首をアマガミして、噛みながら上へ引き上げた。

カプッ。ヂュー。

「ああ、ああん……だめ……」

右でも同じことをする。
それを数回繰り返した。

「はぁはぁ」
「うう……」
「い、今のは胸を上に引き上げて胸を大きくするためのトレーニングだ」
「う……」
「よし、次は……」
「はい」

ペロペロ。カプッ。ヂュー。
ペロペロ。カプッ。ヂュー。

「はあん!ああああん」

さっきの動作に舐めるを加えた。
逢の胸を舐めて乳首をアマガミして、噛みながら上へ引き上げた。
左右繰り返す。

「はぁはぁはぁ」
「あ、あの、コーチ」
「ど、どうした?」
「さっきから……何か当たってます」
「何がだ?」
「よく……分かりませんが、何か硬いものが私の脚の付け根辺りに」

逢に言われて気付いた。
……勃ってる!
僕の肉棒がさっきからいきり立っている!!

「ああ、これか」

そう言って僕は逢の股間にソレを押し付けた!!

「ああああ……い、痛い」
「ん?痛いのか?」
「はい」

そっか。逢はこっちも初めてだもんな。痛いって思うのも無理はない。
逢がちょっと泣きそうな顔をしていたので、遠慮した。
僕はふと時計を見上げる。
……もう2時だ。
さっき逢に今夜は寝かせないと言ったものの、明日は僕も逢も朝早いってことを今思い出した。
今寝ておかないと死んでしまう!

「よし、もう2時だから、今日はここまでにしよう」
「え?で、でも、私まだ頑張れます!」
「いや、駄目だ。……確かにやる気は大事だ。でもな、頑張り過ぎは禁物だ」

そう言って僕は逢に手拭きを渡す。

「毎日いいトレーニングをするためには休息も大事だよ。ほら、これで拭いて」
「ありがとうございます」

逢は僕が舐めたところを手拭きで拭いた。
僕は逢から手拭きを受け取ってゴミ箱に捨て、下着とパジャマを逢に渡した。
逢がパジャマを着終えたところで……

「今日の胸のトレーニングは以上だ。また明日やろう。必ずな」
「はい!コーチ、ありがとうございました」
「お疲れ様。本当によく頑張ったな」
「い、いえ、そんなに……あ……」

僕は逢にキスをした。ちょっと深めに。

「んん……」

「頑張ったご褒美だ」
「ありがとうございます、コーチ」
「いや、もうトレーニングは終了してるから普通でいいよ」
「え?あ、はい」
「自分で言っておいて難だけど……やっぱりちょっとだけ恥ずかしい」
「クスッ」
「な、何がおかしい?」
「いえ、何でもありません。元の先輩に戻って、ちょっとホッとしました」
「え?」
「だって、さっきの先輩ちょっと怖かったです」
「あ、ごめん。やり過ぎたかな?」
「いえ。私は別に厳しくても構いませんよ。明日ちゃーんと先輩に報告しておきますから」
「え?報告って何を?」
「今日しゅう先輩にされたことを漏らすことなく全部」
「えっ?や、やめてくれ!!そんなことしたら僕は……」
「私に厳しくした罰です。覚悟して下さい」
「あ、逢ぃぃぃ……」
「冗談ですっ!クスッ」
「え?じょ、冗談だったのか。よかった」
「あ、やっぱり報告します」
「どっちだよ!?」
「クスッ。それじゃ、今度こそおやすみなさい」
「お、おやすみ」

くそう!逢の奴……謀ったな!
これじゃあ今夜は気になって眠れないじゃないか!!
ど、どうしよう!?大変なことになったよ。
あ、明日……明日逢が言い触らさないことを祈るしかないな。


翌朝
女子更衣室
「せーんぱいっ。おはようございます。今日もいい天気ですね」
「あれ?七咲さん今日はずいぶんとご機嫌じゃない。どうしたの??」
「ふふっ。何でもありませんよ。それじゃ」
「あ、ああ」

逢は弾んでプールへと向かう。

「もしかして……実践しちゃった?あーあ。あれ冗談のつもりで言ったのに」

「おはようございます、おはようございます」

「でもま、いっか。これで七咲さんも大人の階段を一歩昇ったってことで!いいよね?」


一方その頃、警察署では……

「七咲、行くぞ」
「はい!」

あれ?変だな。今日はまったく悪寒がしない。
もしかして逢が黙っててくれてる?
だといいんだけどな。


プールでは……

「位置について!」

逢と先輩が二人一緒に飛び込み台の上に立ち、位置についている。
先輩が逢の横顔をちらっと見ている。

――ふふっ。七咲夫婦って本当に仲がいい夫婦ね。うらやましいわ。

「よーい……」

――二人とも、幸せになるの……

「どん!」

――よっ!

ドッボーーン。



七咲アフターストーリー
エピソード「先輩、私を好きにして下さい」(ノベル)(※18禁注意)
END?

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