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2010-08-27

更新をお休みします

目次にも書きましたが……
筆者の学校の都合により……
8月28日~9月18日頃まで(自称:地獄の3週間)更新をお休みします。
予めご了承ください。
作者にとってこの、地獄の3週間は大学進級か中退かを左右する大事な期間なので……
更新を休まざるを得ません。
どうかご了承ください。
無事、何事もなく地獄の3週間を終え……
また皆様によりよい作品を提供出来るように頑張りたいと思います!!
なので、どうか陰ながら応援よろしくお願いします。


七咲しゅう

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2010-08-27

エピソード「先輩、一緒にゲームしましょう」

七咲逢(23)、妊娠7ヶ月を過ぎた頃のエピソード。
季節は春。例年になく暖かい1日だった。
僕、七咲しゅう(24)はこの日も朝から仕事だった。
競泳の選手である妻、逢は妊娠が発覚してからも……
軽く、筋力を維持するための筋力トレーニングを行っていたが……
妊娠5ヶ月を過ぎた頃……ついにドクターストップがかかり……
筋力トレーニングすら行えなくなった。
そこから本格的に産休が始まった。
だから、僕がその分頑張って働くしかない!!
僕が外で、産休の逢の分まで頑張って汗水垂らして働き……
逢は四六時中、家で安静にしている。
そんな毎日を送っていたある日のことだった。


七咲家
しゅう「ただいま」
逢「お帰りなさい。今日は早かったですね」
しゅう「うん。逢がお腹空かせてるといけないから、早めに切り上げて来た」
逢「そうですか……」
しゅう「あ、そうだ。お昼の肉野菜炒め……どうだった?」
しゅう「ちょっといつもとは違う隠し味を使ってみたんだけど」
逢「あ……道理で。いつもより美味しかったです」
しゅう「ならよかった」
逢「いつも、ありがとうございます」
逢「私のためにお昼ごはんまで作り置きしてくださって」
しゅう「ん?いいんだよ。あれは僕のお弁当でもあるんだから」
しゅう「逢こそ、毎日僕のために3食作ってくれてたじゃないか」
しゅう「逢に出来て僕に出来ないことなんてないんだから」
逢「先輩……」
しゅう「さあさあ、僕もお腹減った。早く作ろうか」
逢「……今日は肉じゃがですか?」
しゅう「当たり!買い物袋の中身を見ただけで当てるなんて……」
逢「いえ、別に普通ですよ。それに、私だてに主婦やってませんから……」
しゅう「それもそっか」



しゅう「いただきます」
逢「いただきます」
しゅう「……」
逢「……」
しゅう「うん、おいしい……」
逢「ええ……先輩にしては上出来ですね」
しゅう「うう……何だ、その褒め方。素直に喜べない」
逢「いえ、喜んでいいですよ。本当に……上出来なので」
逢「味が染みてなくてあまり美味しくなかった最初の頃に比べ……」
逢「今ではちゃんと味の染みたおいしい肉じゃがを作れるようになったので……」
逢「本当に、先輩は成長しました」
しゅう「う……そう言われると……今度は照れるな」
逢「クスッ」
しゅう(確かに料理の腕は半年前よりも格段に上がった気がする!)
しゅう(でも、それを逢に言われると……何だかすごく照れるんだよな)
逢「はぁ……おいしい」
しゅう(逢、あんなに喜んでいる……頑張ってよかった)
逢「ん?どうしたんですか?私の顔をジロジロと……」
しゅう「あ、いや、別に。何でもない……」
逢「……?」
しゅう「あ、それよりも!」
逢「はい」
しゅう「僕が仕事に行ってる間、具合悪くならなかった?」
逢「いえ、平気でした」
しゅう「そっか。ならいいんだ」
逢「ただ……」
しゅう「ただ?」
逢「暇です」
しゅう「暇?」
逢「何もすることなくて、すごく暇でした」
しゅう「はぁ……んで?」
逢「んで?って何ですか?」
しゅう「いや、他には?って意味だけど」
逢「それだけです」
しゅう「……ふーん」
逢「何ですか、その薄いリアクションは?」
しゅう「え?だって暇って言われても……なぁ?」
逢「……」
しゅう「仕方ないよ」
しゅう「僕は日曜以外は仕事だから、一緒に家にいられるのは平日の夜か日曜だけ」
しゅう「それに逢はそんな身体じゃ出歩けないし。僕が一緒でもね」
しゅう「となると、平日は逢一人でしかもこの家の中で暇潰しするしかないね」
逢「……」
しゅう「逢?どうした?」
逢「……本当に……暇なんです……」
逢「今までずっと忙しかった私にとってはあり得ないほど暇なんです……」
逢「だから困っているんです」
しゅう「そ、そうだったな……ごめん。僕が悪かった」
逢「別に先輩が謝らなくても……」
しゅう「いや、配慮が足りなかったんだ」
しゅう「よく考えてみれば逢の言う通りだよ」
しゅう「子供の頃からずっと家事に勉強に部活に弟の世話に……って何かと忙しくて……」
しゅう「結婚してからも家事に仕事に僕の世話に……って何かと忙しかった逢……」
しゅう「今、やっとそれらから初めて解放された」
しゅう「今まで味わったことのないすごく暇な時間……」
しゅう「だから何したらいいか分からないっていうのも無理はない」
逢「はい……」
しゅう「そうだな……こういう時って……本当に何したらいいんだろう?」
逢「……」
しゅう(考えるんだ……逢のために全力で!!)
逢「じゃあ、逆に聞きます」
しゅう「うん」
逢「先輩は今まで暇な時って何してたんですか?」
しゅう「え?そ、そうだな……」
しゅう(対外、お宝本の山を読んで暇潰ししてたけど……そんな事、口が裂けても言えない)
しゅう(えっと、他には……あ、そうだ!!)
しゅう「ゲーム!」
逢「ゲーム?」
しゅう「うん、今流行っているRPGがあるんだ」
逢「RPG?何ですか、それ?」
しゅう「やりながら説明するか。ちょっと待ってて」
逢「はい」

しゅう「これ!正月に実家に帰った時に、久々にやりたくなって持って来たんだ」
しゅう「きっと逢もハマると思う」
逢「はぁ……」
僕はゲームを始める準備をした。
しゅう「まず、この電源を押して始める」
逢「あ、画面にゲームのタイトルが!」
しゅう「オープニングは飛ばすね」
しゅう「主人公の性別と名前は……そうだな」
『女 アイ』
しゅう「これでいい?」
逢「はい。それで?」
しゅう「まずは女勇者のアイが誕生した」
しゅう「RPGって言うのはRole Playing Gameの略……」
しゅう「登場人物それぞれに役割があるんだ」
しゅう「アイには女勇者としてこの世界を平和にする役割がある」
逢「な、何だか……すごい役割ですね」
しゅう「まあ、これが現実ならね。所詮ゲームだからそれほどでもないよ」
逢「なるほど。確かに」
しゅう「まず最初にすることは隣町に行けって」
逢「行ってみてください」
しゅう「了解」

逢「あ、町から出たらこんな風になってるんですね」
しゅう「うん。町の外をフィールドって言って、ここにはモンスターも登場する」
逢「あ、そういえば思い出しました」
逢「前にも郁夫がこんな感じのゲームをやっていた覚えがあります」
逢「私は横から見ていただけですが」
しゅう「なら話は早い。ほら、早速モンスターとの戦闘だ」
しゅう「やってみる?」
逢「はい」
僕は逢にコントローラーを渡す。
逢「えっと、確か……ここを選んで……こうですね」
しゅう「そうそう。すごいな。郁夫のを見ただけでやり方を覚えるなんて」
逢「いえ、それほどでも」


それから約2時間ほど逢と一緒にゲームをプレーした。
逢「……面白いですね!意外とハマりますね」
しゅう「だろ?僕なんか1日5時間くらいやってたよ」
逢「そんなに?」
しゅう「だって、やり始めたら止まらないし」
逢「そうですね……その気持ち、分かります」
しゅう「でも、今日はここまでだ。あまり無理はしちゃいけない」
しゅう「僕はまた明日も仕事だし、逢も身体を休めないといけないしな」
逢「ええ。名残り惜しいけど、我慢します。また明日やります」
しゅう「じゃ、おやすみ。ちゅっ」
僕は逢におやすみのキスをした。
逢「クスッ。おやすみなさい」

それからというもの……
逢は一人で家にいても退屈しなくなった。
僕が持って来たゲームを毎日堪能しているようだ。
仕事から帰った僕を出迎える逢の表情も日に日に明るくなっていった。
夕飯の会話もゲームの話で盛り上がることが多くなった。
どうやら大成功だったようだ。ゲームってすごいんだなぁ。

しゅう「もしかして今日はいよいよ?」
逢「はい、ラストダンジョンです」
しゅう「そっか。じゃあ、一緒にやるか」
逢「ええ。なかなか攻略出来なくて苦戦しました」
しゅう「まあね」
しゅう「あのダンジョン、僕でも攻略に1日かかったしなぁ……無理もない!」
しゅう「でも、今なら1時間なくても攻略出来るよ」
逢「本当ですか?それは心強いです」
しゅう「まあ、それだけやり込んだってことだよ」
逢「じゃあ、早速お願いします」
しゅう「うん。任せろ!」

逢「あ……これが?」
しゅう「どうやらラスボスのようだね」
逢「見るからに強そうですが……勝てますか?」
しゅう「えっと……うん!レベルは大丈夫。勝てる」
しゅう「今から僕が言うように動かしてみて!」
逢「はい!」
しゅう「ここは……攻撃!」
逢「はい!」
しゅう「ここは……回復かな」
逢「いえ、攻撃だと思います」
しゅう「え?だって体力が……」
逢「回復なら……間に合いますよ……ほら!」
しゅう「あ……本当だ。相手は攻撃して来ない」
逢「ふふっ!私だってやれば出来ますよ」
逢「先輩に出来て私に出来ないことなんてありませんので」
しゅう「そ、そうだな……」
逢「おそらくこの一撃で……」
しゅう「うわ……ラスボスを倒した……当時の僕よりも早く!」
逢「ふふふっ。どうですか?私の腕前は」
しゅう「恐れ入りました!まさかこの短時間でここまでいけるとは……」
逢「そんなに驚くことでもないですよ?」
逢「何となく相手の行動パターンが読めたので、倒しやすかったです」
しゅう「すごいなぁ。逢って実は天才なんじゃないの?」
しゅう「つい最近ゲームを始めて……最初はRPGって何?とか言ってた人が……」
しゅう「どんどんコツを掴んで、しまいにはいとも簡単にラスボスを撃破した……」
逢「でも、ダンジョンは私一人では攻略出来ませんでした」
逢「先輩がそばにいて助けてくださったからです」
しゅう「うん。まあ、ダンジョンは助けたけどさ……」
しゅう「ラスボスはほとんど逢の自力で倒したようなもんだ」
しゅう「逢は最初ラスボスを見て、『見るからに強そう』とか言ってたのにな」
逢「実を言うと……それも先輩がそばにいてくださったからですよ」
しゅう「えっ?」
逢「安心出来ました。ちょっとくらい無理する勇気も湧きました」
しゅう「どういうこと?」
逢「さっき、私は相手の行動パターンが読めたと言いましたが……」
逢「実はあれ、かなり適当でした」
しゅう「うん……」
逢「体力が残り少なくて本当は回復すべきだったのに攻撃を仕掛けたのも……」
逢「ちょっとくらい無理しても平気だと思ったからです」
逢「私は一人じゃない。先輩がそばにいる。だから安心出来たんです」
しゅう「逢……そっか。安心出来たならよかった」
しゅう(逢は僕がそばにいれば安心して何でも出来るんだな)
しゅう(どんなに辛いことだって一緒に乗り越えていける)
しゅう(まあ、僕らは夫婦だから、当然のことかもしれないけどね……)
しゅう(でも……だとしたら……あれだって同じ事が言えるんじゃ……)
しゅう「なぁ、逢」
逢「はい。何ですか?」
僕は逢の両手を自分の両手で包み込むようにして持った。
逢「え……?先輩?」
しゅう「約束する!どんな時でも必ず逢のそばにいるって!」
しゅう「そう、例えば……出産とか」
しゅう「今7ヶ月だからたぶんもうじきだと思う」
しゅう「これからが逢にとって一番辛い時期になると思う!」
しゅう「そんな時は遠慮せずに僕を頼ってほしい!!」
しゅう「僕は今みたいに必ず逢のそばにいて、逢をサポートするから!!」
しゅう「僕も逢と痛みを分け合って、逢だけが辛い思いをする事がないようにする!!」
逢「しゅう……さん……」
しゅう「まあ、逢はこの通り天才だし、所詮僕なんか皮の盾くらいにしかならないと思うけど」
逢「いいえ、そんなことないです!先輩は鉄の盾です!」
しゅう「そ、そっかな?」
逢「ええ。心強い味方です!」
しゅう「ありがと……あ……」
逢「ん……」
逢が僕の唇にキスをしてきた。
しゅう(逢……好きだ。必ず守ってみせるからな)
しゅう「んん……」
逢「んん……」
しゅう「はぁ……」
逢「クスッ。これからも、頼りにしてますからね、あ・な・た♪」
しゅう「あ……うん!任せろ!」

こうして、僕はどんな時も逢と共に闘うことを誓った。このゲームのようにね!
ただゲームを一緒にクリアしただけなのに、何故かこんな甘い展開に発展した。
まあ、仕方ないか。だって、僕と逢だもんな。



七咲アフターストーリー
エピソード「先輩、一緒にゲームしましょう」
END

2010-08-27

第3話「変態でも風邪は引く!?」

七咲アフターストーリー第4話準拠

橘家
美也「にぃに、しっかりして!!」
美也「と、とりあえず服着替えて!!今持って来るから」
橘「う……そ、そのくらい僕が自分で……」
美也「無茶しないで!!」

美也「はい。着替えとタオル。玄関じゃまずいから風呂に行くよ」
橘「あ、ああ」
美也「せいのっ!!……重い」
橘「僕を引きずるなって!!」
美也「でも立てないでしょ?」
橘「が、頑張るから……」
美也「無理だよー」
それでもにぃには頑張って立ち上がった。
ふらふらしてて危ないからみゃーがにぃにの両手を持って支えた。
美也「じゃあ、行くよ」
橘「ああ、頼む」

美也「とーちゃーく!まずは服を脱いで……」
橘「ちょっと待て!!何でお前が脱がすんだ!?」
美也「だってにぃに、ふらふらで危ないし」
橘「だ、大丈夫だ!この通り……うわっ」
美也「ほらー!」
橘「で、でもな……お前には見られたくないんだよ」
美也「遠慮しなくていいって!だってみゃーたち兄妹でしょ?」
美也「にぃにの裸なんて見ても全然平気だし」
橘「そういう問題じゃない!!」
美也「じゃあ、どういう……あ、分かった」
橘「あん?」
美也「ひょっとして……逢ちゃんに脱がせてもらいたい……とか?」
橘「ぶーーーーーーっ」
橘「今ので3度くらい熱上がったぞ……」
美也「図星ね。この変態!!」
橘「僕は変態じゃないし、図星でもない!!」
美也「嘘吐いてもみゃーには丸分かりだよ」
美也「今こんな妄想してたでしょ?」

妄想
七咲「それじゃあ、先輩。ズボン、下ろしますね」
橘「あ、ああ」
橘(な、何だか緊張する……興奮してきた)
橘(だ、駄目だ……反応するんじゃない!!)
七咲「おや?先輩、何かここ、すごく盛り上がっています」
橘「え?」
七咲「そんなに興奮しなくてもいいのに……かわいいですね」
橘「あ……」
橘(な、七咲が、僕の大事なとこをじっと見つめている……)
橘(やめろ、やめるんだ……)
七咲「よいしょっと……次は……」
橘「パ、パンツは自分でやるから!!」
橘「お願いだからもうやめて!!」
七咲「いいえ。このくらい私が」
七咲「だって、いつか先輩と私は夫婦になるので……」
橘「ふ、夫婦だとぉ!?僕と……七咲が……夫婦!?」
七咲「はい」
そう言って七咲が僕のパンツに手をかけた!!!!!
橘「あ……やめろ、やめてくれーーーーー」
橘「こ、これ以上興奮したら……僕は……僕は……」
七咲「クスッ」
橘「僕はもう我慢の限界だあああああああああ!!!!!!!!!」

プシューーーーーーーー!!!!!!!!
美也「あ、に、にぃにの身体からすっごい湯気が!!」
橘「あ~」
バタッ。
美也「にぃに!?うわ、さっきよりもすっごい熱が!!」
橘「美也……僕はもう……駄目かもしれない」
美也「にぃに!!」
橘「頼むから……出ていってくれないか?」
橘「僕は……一人で着替えるから」
美也「みゃーが手伝うってば!」
橘「いいから出てけ!!邪魔なんだよ!!」
美也「あ、にぃに……」
ビシャン。
にぃには何とか立ち上がってみゃーを風呂場から追い出した。
美也「もう……何よ!?人がせっかく親切に着替させてあげようとしたのに」
美也「もう知らない、バカにぃに」
美也「そんなに逢ちゃんが好きなら、ずっとイチャイチャしてればいいでしょ!!」
橘「な、七咲が……僕の奥さんに……。いい!!すっごくいい!!最高じゃないか」
美也「……」
にぃには妄想の余韻に浸りながら、服を着替えた。

美也「もういい?」
橘「ああ」
美也「それじゃ、立って。部屋に行くよ」
橘「う、うん。もう立ってるけどね、ある意味」
美也「変態」


しゅうの部屋
みゃーはにぃにをベッドに寝かせた。
美也「これ、風邪薬。これ飲んでずっと寝てなよ」
橘「ありがとう」
美也「食事は持って来るから、トイレ以外では起きて来ないでね」
橘「ああ……お前……何か態度が冷たいな」
美也「気のせいだよ!じゃあね」
バタン。
橘「美也の奴……どうしてあんなに怒ってるんだ?」

美也の部屋
美也「ああ、もう!!悔しい!!」
美也「みゃーが脱がせようとしたら嫌そうな顔するのに……」
美也「何で逢ちゃんならいいの??」
美也「みゃーは……こんなにもにぃにの事を大切に思っているのに」
美也「第一、にぃにが風邪引いた原因はデートに行ったからでしょ?」
美也「逢ちゃんのピクニックシートを拾おうとして海に落ちたから……」
美也「逢ちゃん、さっきそう言ってた」
美也「つまり、にぃにが風邪引いたのは逢ちゃんのせいなんでしょ?」
美也「なのに……どうして?」
美也「……」
美也「はぁ、もういい。考えるだけ虚しい。寝よう」


翌朝
2-B教室
七咲「みんな、おはよう」
女子「あ、逢ちゃん、おはよう」
いつも通り席についてほっとする逢ちゃん。
すると、そこへ……
美也「た、大変だぁ!大変なのだぁ!!」
ダダダダダダダダダダダダ……
中多「美也ちゃん、そんなに慌ててどうしたの?」
美也「それが……聞いてよ、紗江ちゃん!!」
美也「うちのお兄ちゃんが……」
七咲「……?」
中多「橘先輩が……?」
美也「風邪で寝込んだんだよ!!」
みゃーは昨日の事が悔しかったので、わざと逢ちゃんにも聞こえるように大きな声で言った。
中多「え?」
七咲「……ええっ!?」
逢ちゃんの表情が一瞬凍りつく……
美也「びーくりしちゃうよね!!」
美也「変態でも風邪を引くとはこのことなのだ、にししし」
七咲「ねぇ、美也ちゃん、それ本当なの!?」
みゃーに駆け寄る逢ちゃん……作戦通り(キリッ
美也「え?うん。昨日逢ちゃんが帰った直後、お兄ちゃんが突然玄関で倒れたんだ」
美也「ひどい熱だったよ」
七咲「……!!」
七咲「そんな……そんなことって!私のせいで……」
逢ちゃんはその場にうつむき、両拳を強く握り締める。
そして今にも泣きそうな表情をしている。
中多「七咲……さん……」
美也(まずい……さすがにやり過ぎたかも!!)
美也「逢ちゃんのせいじゃないよ!しっかりして」
七咲「……」
教室を出て行こうとする逢ちゃん……
美也「逢ちゃん……どこ行くの?」
七咲「ちょっと……屋上に。すぐ戻る」
美也「逢ちゃん……」

どうしよう!?こんなに悲しそうな逢ちゃん、初めて見たかもしれない。
何だか、昨日にぃにをデートに誘った事を後悔しているみたい。
今にも泣き出して自分自身を責めようとしている。
みゃーのせいで……大変な事になった……
どうしよう!?どうすればいいの!?
あ、そうだ!!こんな時のウメちゃんだ!!行こう。

美也「紗江ちゃん、ちょっと行って来る!」
中多「あ……美也ちゃんまで……」


3年生廊下
美也「ど、どうしよう、ウメちゃん!!」
梅原「ん、どうした?何があったんだ?」
美也「実はうちのお兄ちゃんが逢ちゃんとデート中に風邪引いちゃって……」
美也「逢ちゃんが自分のせいだって落ち込んでいるの」
梅原「デート中に風邪引いた?いや、あいつもっと前から風邪引いてたみたいだぜ」
美也「へ?そなの??」
梅原「ああ。でも、七咲を悲しませたくなくて隠し通してたみたいだ」
美也「でも、結局逢ちゃん悲しんでる!」
美也「とにかく、ウメちゃんの方から逢ちゃんに説明してあげて」
美也「それから、美也たちは気を遣って出掛けるから今夜はお兄ちゃん一人なのだ」
梅原「わかった。そう伝えておくよ。……あと、ウメちゃんはやめろよ」
美也「ありがとう、ウメちゃん!」
梅原「はっはは……聞いてないよ……」

梅原「まったく、俺は縁結びの神様かって!」


2-B教室
七咲「美也ちゃん!」
美也「あ、逢ちゃん!戻って来たんだね!」
七咲「美也ちゃん、今夜、美也ちゃんの家に行ってもいいかな?」
美也「え?今夜、みゃーも両親もいないよ」
七咲「橘先輩のお見舞いがしたい!お願い!」
美也「うう……わかったのだ!お兄ちゃんが心配なんだね」
七咲「ありがとう!美也ちゃん」
美也「いいのだー逢ちゃんの頼みだもん」
美也(作戦通りなのだ。にししし……)

放課後
橘家
ピンポーン
美也「はーい。……あ、逢ちゃん!」
七咲「美也ちゃん、今晩は」
美也「うっわ、その袋、すーごい量だね」
七咲「うん。橘先輩に栄養を付けなくちゃ。たくさん買っちゃった」
七咲「橘先輩は?」
美也「部屋で寝てるよ。こっそり行って脅かしてやるのだ。にししし……」
七咲「それもいいかも」

橘家・しゅうの部屋
橘「ゲホッ、ゲホッ」
橘「やっぱり無理してデートに行ったことで罰が当たったか」
橘「これじゃ七咲に逢えないし、受験勉強だってできないよ」
橘「僕はバカだ」
七咲「本当だよ、バカ」
橘「美也に言われたよ、くそう。……あれ?でも声がなんか違うような……」
七咲「本当にバカな先輩です……」
橘「え?な、七咲!?どうしてここに?」
七咲「梅原先輩から聞きました。先輩、何も無理しなくてもよかったのに」
橘「え?あ、ああ……」
七咲「本当に、世話の焼ける先輩です」
美也「逢ちゃんに怒られてる。にししし……」
橘「美也……」
美也「お兄ちゃん、ごめんなさいは?」
橘「何で美也に謝らなきゃいけないんだよ……」
美也「みゃーじゃない!逢ちゃんにだよ!まったく」
橘「バカって言うなよ」
美也「お兄ちゃんが余計な気を遣ったせいで逢ちゃんを悲しませたんだよ」
七咲「私、てっきりデートに行ったことで先輩が風邪を引いたのかと思い……」
七咲「すごく責任を感じました。でも、その後、梅原先輩から聞きました」
七咲「先輩は風邪を引いていたにも関わらず、私のためにデートを……」
橘「……七咲、黙っていて悪かった。でも、楽しそうな七咲を見ていたらどうしても……」
美也「あ、じゃあ、みゃーは出かけて来るのだー後は二人でね」
七咲「美也ちゃん、ありがとう。行ってらっしゃい!」
美也「逢ちゃん、そのスケベ星人に襲われないようにくれぐれも注意するのだー」
橘「誰がスケベ星人だ!」
七咲「わかった。気をつける」
橘「七咲まで……」
七咲「冗談ですよ、クスッ」
美也「では、さらばなのだーにししし」
みゃーは部屋を出て行く。

そしてしばらく考え事をしながら、外をぶらぶらする。
美也(それにしても悔しい。にぃに……何で逢ちゃんが来た途端に表情が変わるの?)
美也(あんなに嬉しそうな顔しちゃって……デレデレしちゃって……)
美也(みゃーと二人っきりの時には見せた事もないような顔しちゃって)
美也(打倒・逢ちゃん、にぃに・奪還……か)
美也(もう、早くも挫折しそう。敵いっこないよ、逢ちゃんには)
美也(予想以上の相手を敵に回して後悔してる)
美也(どうすれば逢ちゃんに敵うのかな?)
美也(うーん……とりあえず……お腹減ったのだ!!ご飯食べて行こう)

美也(はぁ。食べた食べた……食後のまんま肉まん、おいしい!)
美也(あ……もうそろそろ9時になる。早く帰らないと!)
結局、何の対策も考えず、お腹だけ満たしたみゃーは……
そのまま帰宅することにした。

美也「ただいま!」

美也「あ、お兄ちゃん!大人しくしてたんだね。逢ちゃんもありがとう」
橘「は、早かったんだな、美也」
七咲「み、美也ちゃん、お帰り」
美也「早かった?何言ってるの、もう9時だよ?」
橘「はっ?」
七咲「え?」
二人して時計を見上げる……なんと、時刻はすでに9時を回っていた!!
橘「もうそんな時間だったのか!」
七咲「もうこんな時間……早く帰らないと!」
美也「あれ?二人とも何か怪しいぞ。……まさか、このスケベ星人がぁ!!」
七咲「せ、先輩、お大事に……また明日」
逢ちゃんは足早に逃げる。
橘「あ、七咲、行くな!!」
美也「逢ちゃん、バイバーイ。……うううううう」
橘「あ、ははは……べ、別にやましいことなんか……」

にぃにのバカァァァァァァァァァァァァァァァ!!
ギアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

橘「あう……ぐあ……」
美也「もう!知らない!!」

はぁ……どうせこんなことだろうと思った。油断した。
どうせにぃにと逢ちゃんは二人っきりなのをいいことに……
イチャイチャしてたんでしょ?バレバレだよ……。
こんなことになるなら気を遣うんじゃなかったよ。
これでまた、にぃにの心はみゃーからさらに離れ……
逢ちゃんの方へと着々と近付いていくのであった。
今回もまたみゃーの完敗だよ。
どうすれば逢ちゃんに勝てるのやら……
みんなも次回に期待してね。バイバイなのだ。

第4話に続く。

2010-08-22

第2話「デートを邪魔するのだ!!」

七咲アフターストーリー第3話準拠

翌日
昼休み
キーンコーンカーンコーン
美也「やったあ!!お昼だね!!」
中多「そだね」
美也「みゃーお腹空いたのだ」
七咲「美也ちゃんのお腹、すごい勢いで鳴ってたよ。クスッ」
美也「う……そ、そう?」
七咲「ふふっ、冗談」
美也「なーんだ、びっくりしたー」
中多「ふふふっ」
美也「紗江ちゃん、一緒にお昼食べようか!」
中多「え?い、いいけど……七咲さんは?」
七咲「あ、私はちょっとね」
美也(逢ちゃん、またバカにぃにの所に行くんだな)
美也(いっつも校舎裏でにぃにとイチャイチャしている!!)
美也(でも、今日という今日は絶対に許さないのだ!!)
七咲「美也ちゃん?どうかしたの?」
美也「ふぇ?」
七咲「私の顔に何かついてる?」
美也「う、ううん。何でもない」
七咲「……なら、いいけど」
美也「さ、紗江ちゃん。一緒に食べよう」
中多「うん」
七咲「じゃあ、私は行くね!」
逢ちゃんが教室を出て行った。
美也「……」
中多「美也ちゃん??」
美也「ごめん、紗江ちゃん。ちょっとトイレ。先食べてて」
中多「う、うん」

みゃーは教室を出てまっすぐ校舎裏に向かった。
そして茂みに隠れ、にぃにと逢ちゃんの会話を盗聴する。

橘「お待たせ」
七咲「いえ。私も今来たところです」
橘「じゃあ食べようか」
七咲「はい。召し上がれっ♪」
橘「…」
七咲「どう…ですか?」
橘「うまい!このチャーハン、最高にうまいよ」
七咲「そうですか?それならよかったです」
橘「七咲はいいお嫁さんになるよ!」
美也(なぬ!?バカにぃに!!何て事を言うんだ!?)
七咲「えっ?」
橘「料理が上手だからさ、きっと喜んでもらえるよ」
七咲「あ、ありがとうございます…」
照れる逢ちゃん…だけど、どこかがっかりした表情。
美也(そうじゃないでしょ!鈍いなぁ)
美也(って!違う違う。みゃーが応援してどうするの??)
美也(何か邪魔する手立ては……)
橘「うん、おいしい!」
七咲「…」
七咲「あ、あの、先輩?」
橘「うん?」
七咲「そういえば最近勉強ばかりでまったくデートしていませんね」
橘「ああ、そういえばそうだったな」
美也(デート??)
橘「でも…僕はあんな低い成績だから、浮かれていられないよ」
七咲「でも、勉強には息抜きだって必要ですよ」
美也(ダメダメ!!にぃにに息抜きさせちゃダメ!!)
橘「そりゃあそうだけどさ、七咲は部活で忙しいんだろ?」
美也(よく言った、にぃに!!)
七咲「いえ…そうでもないんです」
美也(えっ?)
橘「え?」
七咲「今週日曜日は空いてます」
橘「本当に?」
美也(嘘……)
七咲「はい。それで先輩とデートでもしようかなと考えていました」
美也(あ……)
橘「やったー。それで…場所と時間は?」
七咲「それが…まだ決めていません」
橘「じゃあ、僕に任せて」
七咲「はい。わかりました。楽しみにしていますね」
美也(終わった……いや、デートを邪魔すればいいのだ!!)
美也(その手があったか!にししし)
キーンコーンカーンコーン
橘「まずい!予鈴が鳴ってる!早く食べ終わらないと!」
七咲「はい!」
美也(あ!いっけない!!ご飯食べ忘れた)

一方、その頃
中多「美也ちゃん遅いな。もう1時間もトイレにこもってる」
中多「もしかしてお腹でも壊したのかな?うふふ」

こうしてみゃーは今週日曜日のにぃにと逢ちゃんのデートを邪魔することにした!
二人とも、覚悟するのだ!!にししし。

そしてデート当日
美也「……」
みゃーは物陰に隠れてこっそり二人の様子を伺う。
美也(バカにぃにめ!)
美也(昨日みゃーがどんなに聞いてもとうとう待ち合わせの場所と時間を白状しなかった!)
美也(意外と強情なんだから、まったく……)
美也(でも、みゃーは頭がいいのだ!!そんなことで諦めたりしないもんね!)
美也(デートに出掛けるにぃにをこっそり尾行したのだ!にししし)
橘「……」
七咲「先輩、お待たせしました」
橘「おぅ、七咲か」
美也(よし、逢ちゃんが来た。デート尾行、スタート!!)
七咲「それで…今日はどこに行くんです?」
橘「今までのデートコースを一通り回ってみる…なんてどうだ?」
七咲「今までの?」
橘「そう。去年のクリスマス前に行った水族館・砂浜・ファミレス…」
橘「それからクリスマスに行った温泉」
美也(そんなに行ったのか!?お~の~れ~逢ちゃんめ!!)
七咲「あ、それでこんな早い集合時間なんですか?」
橘「そう。全部回りきれるか不安だったからね」
七咲「では、ここでこうしているのも時間の無駄ですし、行きましょうか」
橘「うん」
美也(絶対に邪魔してやる!!)

まず、にぃにと逢ちゃんは水族館に入る。
みゃーも二人が先に入ったのを確認し、後から入り……
ギリギリ気付かれない場所から二人の会話を盗聴する。
しかし……
橘「……」
七咲「……」
美也(うー……周りがうるさくて会話が聞こえない!!)
美也(どうして今日はこんなに混んで……日曜日だからか)
美也(もうちょっと近付きたいけど、さすがにバレる)
美也(ペンギンの水槽の前でもう1時間……)
美也(何してるの?早く場所移動して!)
七咲「……?」
美也「!?」
みゃーは逢ちゃんの視線を感じたから近くの水槽の陰に隠れた。
美也(えっ?今逢ちゃん一瞬こっち見た??)
美也(あはは……まさか……気のせい……だよね?にししし)
美也(バレるわけがないよ)

ペンギンの水槽から離れ、水族館内を一通り見回したにぃにと逢ちゃん。
次の目的地・砂浜へと向かう途中、水族館を出た辺りで……

橘「ああ、楽しかったなぁ」
七咲「……」
逢ちゃんは何か考え事をしているみたい。
橘「ん?七咲、どうかしたの?」
七咲「あ、いえ……別に。楽しかったですよ」
橘「そ、そっか。ならいいんだけど」
七咲「……」
橘「……やっぱり、つまらなかった?」
七咲「いえ、そういうわけではなく……先輩?」
橘「あ、うん。何?」
七咲「ちょっと……もう少し近付いてください」
橘「えっ?近付くって!?」
にぃには照れている。
七咲「ほら、もう少し」
橘「あ……うん」
七咲「……」
逢ちゃんが周囲を見渡しながら、にぃにの耳元で何か話している。
橘「え!?」
七咲「……」
橘「うん、分かった。行くぞ!!」
七咲「はい!!」
にぃにと逢ちゃんが二手に別れて走りだす!!
美也(ま、待て!!まさか……やっぱり逢ちゃんにバレた!?)
美也(さっきの水族館でのあの視線……勘づかれたんだ……)
みゃーはすかさず逢ちゃんの跡を追う!
美也(コンビニの裏手に入って行った!!)
美也(でも、あそこは確か行き止まりだったはず!!)
七咲「はぁはぁ」
行き止まりで逢ちゃんが止まる。みゃーに背中を向けたまま。
七咲「やっぱり跡をつけて来てたんだね?美也ちゃん!」
美也「うっ……」
橘「はぁはぁ……って!お前か、美也!!」
美也「あ、お兄ちゃん」
にぃにもみゃーの背後からやって来た。
七咲「おかしいと思ったんだよ」
七咲「中多さんから聞いたよ。お昼休みになるといつも一人でどっかに行っちゃうってね」
美也「……」
七咲「そのせいで中多さんはお昼ごはんをいつも一人で食べてるんだって」
七咲「美也ちゃんとせっかく一緒に食べる約束したのに、いつも破られるって言ってた」
七咲「かわいそうだよね、中多さん」
美也「……」
橘「お前、最低じゃないか!それでよく紗江ちゃん紗江ちゃんって……」
美也「う、うるさい……」
七咲「でも、たまには約束通り、一緒に食べるらしいですよ?」
橘「え?そうなの?」
七咲「はい。私がお昼部活に行く時だけです!」
橘「え?七咲が部活の時だけ……つまり言い換えると僕が一人の時だけ?」
橘「待てよ……てことは!」
橘「美也!お前、もしかして……ずっと僕らを尾行してたのか!?」
美也「!!」
橘「七咲は、お昼に部活がない時は校舎裏で僕と一緒にお昼を食べている」
橘「お前はその様子を物陰から伺っていた……?」
七咲「ええ。それに間違いはありません。時々視線を感じていたので」
美也「……」
橘「どうなんだ、美也!答えろ」
美也「……そうだよ。すべてその通りだよ」
美也「美也は悔しかったの!!お兄ちゃんとイチャイチャする逢ちゃんを見てて」
七咲「えっ?」
美也「お兄ちゃんは……美也だけのお兄ちゃんなの!!誰にも渡したくないの!!」
橘「……は?」
美也「……は?じゃない!!」
橘「もう冗談はいいからさ、本当の理由を……」
美也「冗談なんか言ってない!!本当なの!!」
橘「……はぁ。何言ってんだか、さっぱり」
七咲「……なるほど。つまり、うちの郁夫と同じっていう事か……」
美也「郁夫?誰?」
七咲「ああ、美也ちゃんにはまだ話していなかったね」
七咲「私には小学1年生の弟がいるの。郁夫っていう」
七咲「すごく甘えん坊でよく私に甘えて来るの」
七咲「私が他の子と話していると今の美也ちゃんみたいに悔しそうな顔をするんだ」
美也「え……?あ、そう?」
美也(みゃーは小学1年生と一緒か!?)
橘「なるほど。美也は僕に甘えたいわけね。気持ち悪い……」
美也「き、気持ち悪い言うな!!」
七咲「もういいよ。今日だけは許してあげる」
七咲「美也ちゃんの、お兄ちゃんを愛する気持ちに免じてね」
美也「逢ちゃん……」
橘「え?いいのか?」
七咲「仕方ありませんよ。私も一応姉なので気持ちはよく分かります」
七咲「先輩もお兄さんなので、そのくらい分かってあげてください」
橘「おいおい、無理言うな……ま、いっか。そうするよ」
美也「ありがとう……」
七咲「その代わり、二度目は許さないからね」
七咲「今日はもう家に帰って、今後一切尾行なんてしないこと!」
七咲「ちゃんと、中多さんとも仲良くしてあげるんだよ?」
七咲「いいね?」
美也「うん」
橘「しょうがないなぁ。まんま肉まんでもお土産に買ってってやるか」
美也「え?いいの?」
橘「かわいい妹のためだ。しょうがないじゃないか!」
美也「やったあ!!!お兄ちゃん、大好き!!!」
七咲「クスッ」
美也「今日はせっかくのデートをごめんね。」
美也「じゃあ、逢ちゃん!また明日なのだ!」
七咲「うん。また明日」
美也「お兄ちゃんも、暗くなる前にちゃんと帰って来るんだよ?」
橘「ああ、分かった」

結局みゃーはその後大人しく帰宅した。
逢ちゃんは予想以上の強敵で、今日はみゃーの完全敗北だった……しかたがない。
でも、にぃにの中でみゃーの存在は少し大きくなったに違いない。
にぃにの、みゃーに対する好感度が上がり続け……
いつか逢ちゃんをも上回る日が来る事を信じている。
はたしてみゃーが逢ちゃんに勝てる日は来るのだろうか……


数時間後、にぃには逢ちゃんに連れられて、ずぶ濡れで帰って来た。

七咲「それじゃ、美也ちゃん、先輩を頼んだよ」
美也「逢ちゃん、任せてよ。にししし……」
橘「だから、その笑い方は辞めろって!」
美也「いいんだもーん」
七咲「クスッ。仲の良い兄妹ですね。それじゃ、先輩、また明日」
橘「ああ。七咲も気をつけて帰れよ」
七咲「はい。では失礼します」
美也「逢ちゃん、また明日ねー!バイバーイ」
七咲「美也ちゃん、また明日!」
パッタン
橘「……さあ、美也、僕は風呂……」
逢ちゃんがドアを締めて帰ったことで安心したのか、にぃにはそのまま玄関で倒れた!
バタッ。
美也「にぃに?どうしたの?」
橘「……」
美也「そんなところで寝たら風邪引くよ?……にぃにってば!」
美也が僕の額にそっと手を当てる。
美也「うわわ……にぃに、すっごい熱あるじゃん!!」
美也「しっかりしてよ、にぃに!!にぃに!!」

にぃにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい



第3話に続く。

2010-08-19

エピソード「死闘を終えて……」

あの死闘から、はや1週間経った……。

死闘とは無論、僕の刑事としての死闘と、逢の母としての死闘のことだ。
逢の出産予定日に、僕は同僚で大学の同期の華村政治に呼び出され……
指名手配犯を逮捕すべく奴らのアジトに向かった。
華村政治と、同じく同僚で大学の同期の松原正義の二人とともに……
犯人とその2人の仲間と闘い、一時は犯人に殺されそうになるが……
間一髪相手の隙をつき、無事逮捕に至った。
一方その頃、逢もついに二度目の陣痛に襲われ、出産という名の死闘を始める。
ちょうどその頃、僕は犯人と死闘を繰り広げていて……
出産の瞬間に間に合わないかと思われたが……
ちょうど僕が仕事から戻ったら逢の出産が本格的に始まり……
見事二人で力を合わせて出産という名の死闘を乗り切った!
二人とも今までの人生でこれほどに疲れた日はなかった。
その日の夜は家族3人で病室でぐっすり休んだ。
これほどに幸せな一時はたぶん今までなかったと思う。


その日からついに1週間経った……。
今日は僕と逢の二人が高校時代からお世話になっている塚原響先輩の結婚式がある。
お相手は職場の同僚だそうだ。
僕が山からの転落事故で、逢が出産でお世話になった総合病院があって……
そこの小児科科長を塚原先輩、外科科長をお相手の男性が務めている。
どちらも20代の若さで病院のトップクラスの医師だ。
そんなお偉いお二方の結婚式の仲人を……事もあろうか、僕と逢が務める事になった。
よく見れば、お相手の男性は、僕と逢の結婚式の参列者の中にいた気がする。
この二人、本当にいつの間に付き合っていたんだ!?
ま、それはいいとして……

逢「よくないですよ!」
しゅう「え?何が?」
逢「だから、さっきから言ってるように……どうしてこの子を連れて来ちゃったんです?」
逢「せっかく美也ちゃんがこっちに来て世話をしてあげるって言ってくれたのに」
逢は生後1週間の娘を抱いている。
しゅう「だって……わざわざ輝日東から呼ぶのは悪いだろ?」
しゅう「あいつ一応働いてるみたいだし」
しゅう「仕事サボって、タダで子供の世話をして、あいつに一体何のメリットが……?」
しゅう(それに美也じゃ信用出来ないんだよな……)
しゅう(何か頼み事をしようとすると必ず依頼料を請求されるし……)
しゅう(それに、大事な娘を落とされたらと思うと……)
逢「でも……」
しゅう「大丈夫。ここ一時的に子供預かってくれる所あるし」
しゅう「それよりも僕はこっちの方が心配だよ……」
僕は結婚式のスピーチの原稿を何度も何度も読み返す。暗記する。
しゅう(うん。今日の逢の衣装ならバッチリだ!何度も目に焼き付けたからな)
しゅう(もう二度と逢の衣装に惑わされて緊張する……なんて事はないようにしたい!)
逢「あなたも絢辻先輩みたいになれたらいいですね」
しゅう「え?」
逢「創設祭の挨拶、すごかったじゃないですか!」
逢「あの長い文章を一字一句正確に暗記して、一度も間違える事なくすらすら読んだ……」
逢「正直、すごすぎますよ」
しゅう「ああ……美也にも同じ事言われたなぁ」
しゅう「あいつの理想も絢辻さんらしい」
しゅう「義理の姉妹とはいえ、似たもの同士だねぇ……逢と美也は」
逢「そうですか。ならよかったです。クスッ」
しゅう「いいのか……?」
しゅう(正直、美也が逢に似るのは大歓迎だが、逆はちょっとな……)
しゅう(想像しただけでも恐ろしい)
逢「それはそうと、もうじき始まります。子供預かり所はどこですか?」
しゅう「ああ、こっち。付いて来て」
逢「はい」

その後、結婚式は無事に進行していく。
僕は少し緊張していたが、セリフを間違える事はなかった。
そして……指輪交換後

しゅう「では続きまして……誓いの……キス」
逢「……えっ?」
森島「わぉ!」
梅原「よっ!!待ってましたー」
塚原「……はぁ」
男性「う……」
逢「ちょっと!あなた!そんなのどこにも……」
しゅう「うん。勝手に付け加えた!いけなかった?」
逢「……」
しゅう「い、痛い痛い痛い……」
逢が僕の二の腕を力強くつねる!
逢「……」
しゅう「うう……その顔……怖い」
塚原「はぁ……やってくれたわね、あの子」
男性「ふふふっ、キミの後輩は面白い子ばっかだね」
塚原「そ……そうかな?単なる悪ふざけだと思うけど」
しゅう「さあ、お二人とも。遠慮は要りません。どうぞ!」
僕は睨みつけてくる逢を放っておいて……
にっこりと笑顔でしかもウィンクしながら言った。
逢「……」
塚原「……」
男性「ひびき……」
塚原「え?」
お相手の男性の方から塚原先輩に誓いのキスをした。
しゅう「ふっ」
逢「あ……」
森島「わぉ!オーキードーキー!!」
梅原「ひゅーひゅー!お熱いこと~」
会場は盛り上がる。
男性「ひびき……好きだ」
塚原「わ、私も……好き……です」
しゅう「お二人とも、お疲れ様でした」
しゅう「では……」

披露宴で……
しゅう「よっしゃあ!!大成功だった!!」
梅原「大将、ありがとうな」
しゅう「いいって。お前が素晴らしいものくれたからそのご褒美だよ」

回想
数日前
電話で……
梅原「なぁ、お前……塚原先輩の結婚式で仲人やるんだろ?」
しゅう「ああ」
梅原「だったらちょいと頼みがあるんだ」
しゅう「頼み?」
梅原「その……誓いのキスを……勝手に付け加えてくれないか?」
しゅう「……は?お前……頭大丈夫か?」
梅原「俺の一生のお願いだ!!塚原先輩のキスシーンを間近で見てみたいんだ!!頼む!!」
しゅう「あのなぁ……そりゃ確かに僕も見てみたいけど……」
梅原「だろ??」
しゅう「塚原先輩には今までうんとお世話になってんだ。あまりにも失礼だぞ」
梅原「分かってらい!だけど……そこを何とか!!秘蔵のお宝本1冊でどうだ?」
しゅう「おいおい……塚原先輩とお宝本1冊じゃ月とすっぽんの差だぞ?」
しゅう「失礼過ぎるなぁ……」
梅原「分かった!じゃ、じゃあ、秘蔵のお宝本5冊でどうだ!?」
梅原「どれも……たまらん!!はぁ~~~いいねぇ~~~」
しゅう「何ぃ??そんなにか!?」
梅原「ああ!これが欲しくないのかぁ」
しゅう「ほ、欲しい!!」
しゅう「塚原先輩、ごめんなさい。僕は自分の欲望に負けました……」
梅原「お?てことは?」
しゅう「分かった!考えてやるよ」
梅原「おおお!サンクス!!」
しゅう「その代わり……前払いな!」
梅原「合点承知でぃ!」

しゅう(結局塚原先輩は梅原の秘蔵のお宝本5冊の犠牲になったのだ……)
しゅう(まあ、僕としては塚原先輩のキスシーンとお宝本の両方を見れて一石二鳥なわけだが)
梅原「ああ!今日は本当にいい日だ!!」
しゅう「最高の1日だね!!」
塚原「何が……」
逢「最高なんですか?」
梅原「あ、塚原先輩……この度は……」
塚原「梅原くんは黙ってて!」
梅原「はい……」
しゅう「え、えっと……も、申し訳ございませんでした!!」
塚原「何が?別に怒ってないけど?」
しゅう「怒ってなくても謝ります!」
逢「もういいですよ」
しゅう「よくないって!」
塚原「本当にいいから!うちの……旦那が許したし」
しゅう「え?」
塚原「その……しゅう君って面白い子だねってクスクス笑ってた」
しゅう「はぁ……」
逢「さっきはつねったりして……私の方こそすみませんでした」
しゅう「い、いや、悪いのは僕だし」
しゅう(何だよ……最初から怒られないと分かっていたら、お宝本の条件要らなかったな)
しゅう(悪いな梅原。お前は大損したよ)
梅原「ちくしょー。大将め」
塚原「それじゃ、ちょっと呼ばれたから行って来るね」
しゅう「はい」
逢「……さて、私たちも娘の様子を見に行きます?」
しゅう「うん。そうしよう」
梅原「俺も!」
逢「いえ、私が誘ったのはしゅうさんだけですよ」
しゅう「うん。僕しか誘われてない。じゃあな!」
梅原「ちくしょー!!二人して冷てぇ……覚えとけ!!」

その後披露宴も無事に終了し、僕と逢は一仕事やり終え、そのまま帰宅した。


七咲家
しゅう「うん、ぐっすり寝てるみたいだ」
逢「さっきまであんなに泣いていたのに、一気に静かになりましたね」
しゅう「子供って不思議だな……さて、それじゃあ始めるか!」
子供を寝かせ、静かになったのを確認し、ここからは大人の時間を始める。
テーブルには甘いカクテルを用意し、僕と逢だけのささやかな打ち上げを行う。
今日の結婚・披露宴は本当によく頑張ったからなぁ。
ちなみに僕も逢も酒はあまり強くないので、甘いカクテルを選んだ。
逢「はい!あなた……今日は一日お疲れ様でした!乾杯!」
しゅう「逢も……今日は一日お疲れ様でした!乾杯!」
カチャーン。
逢「んぐ……んぐ……はぁ。おいしいです」
しゅう「ごく……ごく……は~!うまい」
逢「思えば……あの時も同じ事がありましたね」
しゅう「うん。僕らの結婚式の時に梅原が勝手に誓いのキスをプログラムに加えたんだっけか」
逢「本当に焦りました。どうしていいか分からず困ったものです」
しゅう「結局仕方ないから僕からキスしたな」
逢「今回もお相手の男性から……クスッ。似たもの同士です」
しゅう「本当だよ!どこまでそっくりなんだ、僕らと塚原先輩夫婦」
逢「前回の梅原先輩が今回はしゅうさんに変わりましたね」
しゅう「まあね」
逢「んぐ……んぐ……はぁ」
しゅう「それにしても新鮮だったなぁ、塚原先輩のキスシーン」
しゅう「ごく……ごく……は~!」
しゅう「初めて見てちょっと感動しちゃった」
しゅう「思わずその場で、お疲れ様でした……なーんて言っちまった」
逢「私も思わず見とれてしまいました……あんな風になれたらいいなぁって」
しゅう「塚原先輩は……本当に絵になる人だよなぁ」
逢「私は?」
しゅう「はい?」
逢「私は……その……絵になりますか?」
しゅう「えっ……ど、どうかなぁ……」
逢「ああ!!……自分の奥さんに対してそういう事言うんだ……?」
逢「さてはあなた……私よりも……塚原先輩の方が……?」
しゅう「ないない!!それは断じてないから!!」
しゅう「僕は逢の事が大好きだよ!浮気なんて決して……」
逢「だったら……私の事……もっと褒めてくださいよ」
しゅう「う、うん……」
逢「はぁ」
しゅう(どうして落ち込んでいるんだ!?)
しゅう「その……逢は……」
逢「はい」
しゅう「いつもいつも家族のために頑張っていてくれて……」
しゅう「そういうところが好きなんだ」
しゅう「確かに塚原先輩に及ばないところもあるよ」
しゅう「だけど、そんなのあって当然だよ!!」
しゅう「塚原先輩は塚原先輩、逢は逢だから!!」
しゅう「僕は……今のままの逢が一番好き!」
しゅう「むしろ、今のままの逢しか愛せない!」
逢「……」
しゅう「逢?」
逢「……」
しゅう「寝てるのか!?今せっかく大事な事言ったのに聞いてないのか!!」
しゅう「自分から聞いておいて寝るのか!!失礼だなぁ」
しゅう「あれ?……顔赤い。まさか酔ってる!?」
しゅう「まだグラス半分しか飲んでないのに!?」
逢「あ~な~た~」
しゅう「えっ?」
逢「好き……でふ」
しゅう「おい!!大丈夫か!?完全に酔ってるぞ」
逢「酔って……ない……でふお……」
しゅう「もういいから、早く休むんだ!立てるか?」
逢「あなた……立ってる」
逢は僕の脚の付け根辺りを見て言った。エッチ!
しゅう「いや、むしろ座って……って!何変な事言ってんだよ!!」
しゅう「いいから早く……」
僕はしゃがんで逢を抱っこしようとする。
逢「隙あり……んん……」
しゅう(え!?いきなりキスするのか!?)
逢「んん……」
しゅう(しかもだんだん勢いが強くなって……)
しゅう「うわ!」
僕は逢に押し倒された。逢が僕の上に乗ってキスしてくる。
逢「んん……んん……」
しゅう(まずい……逢が完全に狂っている!?)
逢「あん……ちゅっちゅ……ちゅっちゅ」
しゅう(舌まで出してきた!!おい誰か、止めてくれ!!)
逢「あん……ちゅっちゅ……ちゅっちゅ」
しゅう(逢!頼むから正気に戻ってくれ!!)
逢「あん……ちゅっちゅ……ちゅっちゅ」
しゅう(お、やっと離してくれるみたいだ)
逢「はぁ……参ったか!」
しゅう「参りました」
逢「ふふふっ、よろしい」
しゅう「……」
逢「私は……塚原先輩には絶対に負けませんから!!」
しゅう「はい??」
逢「あなたは……私だけを見ていてください」
しゅう「逢……」
逢「はぁ……」
逢はそれを言い終えるとまた眠り出す。
しゅう「そっか。そうだったのか」
お酒に酔って理性を失うと、動物的本能のまま行動する。
さっきの言動もきっと逢の動物的本能だったんだろう。
塚原先輩に見とれる僕を見て、きっと悔しかったんだ。
この世界で一番好きな人が自分以外の人にも好意を持っている。
許せない……だから強行手段に出た。それがキスだ。
私だけを見ていてほしい……それが逢の本心なんだ。
しゅう「ごめんな。もう余所見しないから」
逢「……」
僕は逢をお姫様抱っこして寝室に運び……
しゅう「おやすみ。ちゅっ」


翌朝
逢「はぁ……おはようございます……」
しゅう「おはよう!ご飯出来てるよ」
逢「ありがとうございます」
しゅう「大丈夫?まだ酔ってない?」
逢「いえ、平気です。ただちょっと眠いだけで」
しゅう「え?昨夜はあれだけぐっすり寝てたのにまだ眠いのか」
逢「あれだけって?」
しゅう「3時頃だったか?」
しゅう「あの子が突然泣き出して、様子を見たらオムツがぐっしょりでさ」
しゅう「逢が起きないから僕が替えてやるしかなかったんだ……」
逢「あ……すみません」
しゅう「いいよ。でも、まだオムツだから良かったけどさぁ……」
しゅう「腹減った!だったら僕どうしようも出来ないよ」
僕は逢の上半身辺りを見て言った。
逢「……エッチ。変態。こんな朝っぱらからどこを見て何を言ってるんです?」
しゅう「そっか。逢じゃ無理か」
逢「……ん?それ、どういう意味です?」
しゅう「え?僕……今何か言いましたか?」
逢「この際です……離婚しましょうか?」
しゅう「するかぁ。僕は別に構いませんよ!」
しゅう「その代わり、どうなっても知りませんからね!ふふふっ」
逢「……最低」
逢はふくれっ面をして勢いよく座る。
しゅう「ああ、でも惜しいなぁ。離婚しちゃうのかぁ」
逢「……はい」
しゅう「せーっかく半年間頑張って水泳を我慢してきた誰かさんのために……」
しゅう「今日は有給使って市民プールにでも連れて行ってあげようと思っていたのになぁ」
逢「え?」
しゅう「そっかそっか。じゃあ、今日はいつも通り仕事に行くか」
逢「……」
しゅう「……」
逢「……ずるい」
しゅう「ん?」
逢「……そんなのずるいです!」
逢「悔しいです。何だかしてやられた気分です」
逢「わざと私を怒らせて……それから喜ぶようなことを言うなんて……」
逢「私……怒れないじゃないですか!!すごく悔しい……」
しゅう「……あはは」
逢「何ですか?」
しゅう「逢はかわいいなぁ!!!」
逢「……」
複雑な顔をする逢。
しゅう「ごめん。僕が悪かった」
逢「……許しません。今日は私の言う事、何でも聞いてもらいます」
しゅう「分かりました。キスをすればいいんですね?」
逢「えっ?誰もそんな事……んん……」
逢が言い終わる前にその口をキスで塞いだ。
しゅう「んん……」
逢「んん……」
しゅう「んん……」
逢「はぁ……」
しゅう「あはは」
パーン!
逢を離した瞬間、僕の左の頬に逢のビンタがとんで来た。
しゅう「いててて……何すんの?」
逢「命令違反。もう許しませんっ!」
逢は笑顔で自室に戻る。
しゅう「あははは……」
しゅう(機嫌が直ってよかった)
しゅう(あ、そうだ。市民プール行く前に梅原にもらったお宝本を再びチェックしよう)

しかし、どこにもない!!

しゅう「あれ?おかしいなぁ。まさかまた逢が……?」
逢「どうしたんです?」
しゅう「あ、ちょうどいいところへ!ここにあった本知らない?」
逢「ああ、それなら片付けました!」
しゅう「おい!!あれ捜査に必要な資料だったのに!!どうしてくれるんだ!!」
しゅう(もちろん嘘だがな)
逢「え?あの水着写真集が捜査に必要だったんですか?どういう風に?」
しゅう「ぶっ……」
しゅう(中身バレてるじゃないか!)
逢「あなた~?もしかして今の嘘なんじゃ?本当は私に言えないような……」
しゅう「ち、違うんだ!!えっと……だからな……」
しゅう(何かうまい言い訳を……そうだ!!)
しゅう「もしもプールでの犯行予告が出された場合に……」
逢「場合に?」
しゅう「どうやって一般客に混じって、女性捜査官に水着を着せて……」
しゅう「潜入させるかという作戦に必要な資料だったんだぞ!!」
逢「それ、本当なんですね?」
しゅう「うん。もちろんだ」
逢「じゃあ、信じます」
しゅう「よかった。だから、早く返してよ」
逢「え?何であなたが持ってる必要があるんです?おかしいじゃないですか」
しゅう「何が?」
逢「対象は女性捜査官……なんですよね?」
しゅう「うん」
逢「『女性』捜査官……なんですよね?」
しゅう「う、うん」
逢「だったらあなたが持ってるのは不自然です」
しゅう「う……」
逢「警察のお偉いさんが男性捜査官にそんなものを渡すはずがありません」
逢「あなた……私に嘘吐きましたね?」
しゅう「ご、ごめんなさい」
逢「はぁ……がっかりしました」
逢「私がいるのにまだあんなもの読むなんて……」
逢「やっぱり離婚した方が……」
しゅう「う……」
しゅう(まずい!!さっきせっかく機嫌直したのに……)
しゅう(こうなったら……)
しゅう「ごめん、逢。嘘を吐いたことは謝る!」
しゅう「だけどな、今回逢を市民プールに連れて行くきっかけになったのはあの本なんだ」
逢「え?」
しゅう「あの本を読んでいたら、ふいに逢の黒ビキニ姿を思い出してな」
しゅう「そういえばこの半年間、逢は出産で泳ぐ事が出来なかったなぁって……」
しゅう「そう思った途端、逢を久しぶりに泳ぎに連れて行ってやろうかって思い付いたんだ」
逢「……」
しゅう「それじゃ駄目……かな?」
逢「……」
しゅう「……」
逢「もう、仕方ありませんね」
しゅう「え?それじゃあ?」
逢「あの本は……もう捨てちゃったので返せませんが……」
しゅう(えっ……そんな……)
逢「恩なら……返したいと思います」
しゅう「え?」
逢「私のためを思って市民プールに連れて行ってくださるあなたに……」
逢「恩返しなら……してもいいです」
しゅう(逢……)
逢「あなたの言ってたあの水着……一体どこにしまったかな~?」
逢は再び笑顔で自室に戻って行く。
しゅう「やったあ!!!」

こうして逢と市民プールに遊びに行く事になった。
もちろん娘も一緒に連れて行き、子供預かり所に預けるつもりだ。
塚原先輩の誓いのキスとの交換条件で梅原からもらったお宝本は……
結局逢に捨てちゃったけど……
最終的に逢の機嫌を損ねることもなく……
ついでに、久々に逢の黒ビキニ姿を見られるから……まあいいか。

あの思い出の死闘から1週間……
僕と逢、それに娘は相変わらず幸せな毎日を送っている。
家族3人、いつまでも末永く仲良く暮らしていく。
いや、3人だけじゃなく、今後まだまだ家族は増えるかもしれない。
例え何人になろうと七咲家は僕と逢が頑張って安泰させていく。
僕と逢ならきっと出来るさ!そう信じている!!

逢「あなた、早く行きましょう!早くしないと置いて行きますよ!」
しゅう「ああ、待って!そんなに急がなくても大丈夫だよ」

そう……幸せな時間はそんなに永くは続かないかもしれない。
だから、今幸せな時を噛み締めながら、ゆっくりと生きていかないとね!




七咲アフターストーリー
エピソード「死闘を終えて……」
END

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