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2013-01-08

エピソード正月版’13「初夢のお話」

皆さん、初めまして。
私は、七咲しゅうと逢の娘、祈です。
小学校低学年で、私には1歳の弟・幸伎(こうき)がいます。
しっかり者のお姉ちゃんなんだっ!えへへ。

(はぁ、初めての説明だから緊張しちゃって……)

うっ、うんっ!
皆さん、「初夢」って知ってますか?
先生とかお友達は「初夢は大みそかから元旦にかけて見る夢で、新しい年をうらなうものだ」と言っています。
元旦の夜に見るとか、その次の日の夜とか、考え方は人それぞれみたいですね。
私は今のところよく分からないので、先生とかお友達のお話を信じています。

あ、もう9時!
早く寝ないとお母さんに怒られちゃう。
そういうわけで、今夜はいい初夢を見られるといいな。



……
……
場所は七咲家、時は夕飯の後。
そこには僕の他に、逢、祈と知らない少年がいる。

少年「な、なあ、父さん、ちょっといい?」
しゅう「何だ?」

ん?父さん?
今少年は僕を父さんと呼んだな。
てことは、この少年は大きくなった幸伎なのか?

僕は幸伎の部屋に連れて行かれた。

しゅう「どうしたんだ、一体?」
幸伎「大事な話があるんだ。母さんや姉ちゃんには内緒にしてほしい」
しゅう「……分かった。男と男の約束な」
幸伎「さすが父さん!話が早いな」
しゅう「まあな。お前もそういうお年頃だしな。それで?」
幸伎「……母さんって、おっぱい小っちゃいよな」
しゅう「……は?」
幸伎「だから!その……母さんって胸、小さいよな」
しゅう「お、おう……いきなりどうした?」
幸伎「放課後、カズたちと一緒に帰ったんだ。そん時言われたんだよ」
幸伎「この前の授業参観日にお前の母ちゃん見たけど、なんかおっぱいがさみしいな……って」
しゅう「何だと!?そんなこと言われたのか!!」
幸伎「しーっ。声が大きい」
しゅう「悪い」
幸伎「確かにカズの母さんはボインボインだし、クラスの女子もそれなりにボインだし」
幸伎「なのに、母さんや姉ちゃんは親子揃ってまな板じゃないか。ねーよなぁ」
しゅう「うーん……確かにな。悔しいよな」
幸伎「どうしたらおっぱいって大きくなるんだろうな」
しゅう「それが分かりゃ苦労しないよ」

とは言ったものの、僕は以前逢に頼まれて胸を大きくするための胸マッサージをしたことがあった。
思えばあれから逢は変わってしまった。
あれ以来逢の胸マッサージがエスカレートしていって、最終的には妊娠出産へ……。
あ、何のことか分からない人はこの記事を参照。
しかし胸マッサージからの性○為をやっても逢の胸は大きくならなかった。
当然だ。それで本当に大きくなったら苦労しない。
元々期待してなかったけど、最終的には逢も喜んでいたから、まあいいか。
もちろんこのことは例え息子相手でも話せない。これも息子の性教育のためだ、うん。

その時、ドアがガラッと開いた!!

幸伎「えっ?」
しゅう「うわ……」

洗濯物を脇に抱えた逢が鬼の形相で睨んでいる!!
まずいことに、どうしたの、という様子で祈まで駆けつけた!!

幸伎「か、母さん……あ、洗濯物届けてくれたんだな、ありがとう」
逢「幸伎。お父さんと一体何をそんなに楽しそうにお話してたの?」
幸伎「あ~えっと……」
逢「楽しいお話を二人だけでするなんてズルいじゃない。ねぇ、お母さんにも聞かせてくれない?」
祈「えっ?何、楽しいお話??聞きた~い!」
しゅう(頼む、祈は聞かずに帰ってくれ!!)
しゅう「あ~ほらもう10時だし。そろそろ寝た方がいいんじゃないか?楽しいお話はまた明日……」
逢「祈。お父さんと幸伎が、お母さんと祈の胸がまな板だって文句言ってたそうよ」
祈「えっ!?何??最低!!」
しゅう「うわあああああ!!恐れていたことが!!」
祈「お父さんと幸伎の変態!バカ!クズ!最低!」
幸伎「おい、姉ちゃん!!母さんの言ってることはな……」
祈「近寄らないで、包丁!!」
しゅう「……包丁?ああ、まな板とセットで、まな板の心を切り刻んだから。うまいな~……って、おい!!」
逢「グスッ、グスッ。胸が小さくても好きだって言ってくれたのに。あれは嘘だったんですね!!」
しゅう「えっ??」
祈「何?お父さんそんなこと言ったの?」
逢「グスッ、うん」
祈「お母さんを泣かせるなんて!!裏切り者!!変態!!もうお父さんなんか大っ嫌い!!幸伎も!!」
幸伎「そ、そんな……」
しゅう「ちょ、誤解だって!!ちゃんと話せば分か」
逢「出てって!!今すぐこの家を出てって!!家族の縁を切る!!もう金輪際顔も見たくない!!」
しゅう「そ、そんな……」

逢いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
祈いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい



ガバッ!!

しゅう「ハァハァハァハァハァハァ……ああ、はあ、夢かっ!!夢でよかった、いや、よくない」

1月1日、午前5時。
僕は悪夢を見てしまって勢い良く目覚めた。
大量の寝汗でびしょびしょだ。
まったく、初夢がこんな悪夢とは……僕はツイてないな。
……二度寝しよう。


一方、その頃


……
……
ここは先輩の勤めている警察署。
いつも作ってあげているお弁当。
普段は出勤時に持たせてあげているのに、今日は先輩が慌てていて家に忘れてしまって。
たまたま暇だった私が届けに来たというわけです。
もう、しっかりして下さい先輩。

この角を曲がれば先輩の勤めている部署。
あ、先輩が廊下に!
でも、誰かと話している。終わるまで待たなきゃ。

しゅう「やあ、菊川さん。今日も綺麗だね」
菊川「あらあら、褒めても何も出ないわよ。そういうセリフは奥さんに言ってあげなさい」
しゅう「耳にタコができるほど言いましたよ」

あの人は……確か交通課の菊川さんだったかな。

しゅう「それより、今度の土曜日食事に行きませんか?」

えっ?今度の土曜日は親子揃って食事に行く予定じゃ?

菊川「あら、奥さんやお子さんはいいの?」
しゅう「いいんですよ、たまには。僕だって息抜きがしたいし」

息抜き!?
家にいたんじゃ気が休まらない?

菊川「あら、家族と一緒じゃ気が休まらないの?」
しゅう「ええ。そうなんですよ。休日は休みたいのにどこか連れてけってうるさくて」
しゅう「僕はこう見えて毎日真面目に働いているんです!!休日くらい休ませてほしいです」
菊川「なるほど」

そ、そんな……先輩……。

ゴトッ。
あまりのショックにお弁当を床に落としてしまった。
そして泣きながらその場を逃げ去った。

しゅう「ん?逢??来てたのか。あ!まずい!!今の会話聞かれた!!」
しゅう「逢!待ってくれ!!」
菊川「あら、奥さんなんかいいじゃない。今度お食事しましょう」
婦警さんたち「あ!七咲刑事だ!!一緒にお食事しませんか?」
しゅう「あ、ちょ……」

婦警さんたちにモテモテで嬉しそうな先輩が憎たらしい!!
私は一目散に走った……

ドンッ!

逢「きゃっ!」
刑事「うわっ!だ、大丈夫ですか?」

角で男の刑事さんとぶつかった。

逢「あ……」
刑事「お怪我はありませんか?」
逢「は……い」

私は刑事さんの顔を見つめたまま動けなくなった。

刑事「あの……」
逢「……」

刑事さんは……カッコ良かった。私はあろうことか一目惚れ。
たった今先輩のあの光景を目の当たりにしたばかりだというのに。

刑事「立てますか?せいのっ」
逢「ああっ」

私は刑事さんに抱きしめられた。
先輩よりもしっかりした体つきの人なので、抱かれた瞬間嬉し過ぎて放心状態に。

刑事「かわいそうに。旦那さんに捨てられたんですね。僕で良ければあなたを一生幸せに……」
逢「え?え?」

刑事さんの唇が迫る!!

だ、だめ。
そんなの絶対だめ。
だって私には先輩が。祈が。幸伎が。
でも、でも、もっとこの人に抱かれていたい。
離れたくない。
どうしよう。

ピピピピピピピピピ……。

ガバッ!!

逢「……夢」

カチッ。

1月1日午前7時。
私は目覚まし時計のアラームで目が覚めた。
目覚まし時計が助けてくれなかったらもう少しで不倫に発展するところだった。
何だったんだろう、あの夢は。
先輩がモテモテ?
失礼だけど、そんなはずはない!
私が一目惚れするなんて……そんなはず……たぶん、ない。
先輩が菊川さんに浮気……?
でも確かあの人って私よりも2世代上で子持ちだったような。
うーーーーーん。もうどうでもいい!
とにかく、朝飯の支度をしないと。


……
……
そして、七咲家のリビング

祈「お母さん、おはよう!」
逢「祈、おはよう」
祈「お父さん、おはよう!」
しゅう「あ、うん、おはよう……」
祈「ん?」
逢「おはようございます」
しゅう「……おはよう」
逢「ん?」

お父さんはお母さんと私の顔を見てすぐに目をそらした。変なお父さん。
あれ、何かお母さんもお父さんの顔が見れないみたい。変なお母さん。

しゅう「新年」
3人「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
しゅう「いただきます」
逢・祈「いただきます」

あいさつをしてみんなで食べる朝飯。
いつもなら盛り上がるのに、今日はお父さんもお母さんも黙っちゃって何か変。

祈「あ、そういえば!」
しゅう「どうした?」
祈「ねえ、お父さんとお母さんは見たの?」
逢「何を?」
祈「初夢!」
逢「ぶっ!」
しゅう「ぐごっ!!も、もひが、のおに……」

私が初夢って言葉を口にした途端に、お母さんはお雑煮を吹いて、お父さんはお餅を喉に詰まらせたみたい。

祈「お父さん!?大丈夫??」
しゅう「おえっ!!はあ、ああ、死ぬかと思った」
祈「もう!気を付けてよ。お餅を喉に詰まらせて亡くなる人、毎年いるらしいから」
しゅう「ありがとう、気を付ける」
逢「えっと、初夢の話だったね」
祈「うん」
逢「祈が成長してカッコいい彼氏を連れて来る夢を見た」
祈「本当に?私なんてモテないよー」
しゅう「お母さんに似ればきっとモテるんじゃないか?」
逢「えっ?」
祈「そう?お父さんみたいな彼氏ができるってこと?」
しゅう「うん、間違いないよ」
逢「……そ、そういうお父さんこそ、どんな初夢を見たの?」
しゅう「えっ?ああ、大きくなった幸伎と広い野原でキャッチボールしてる夢」
祈「キャッチボール?」
しゅう「そう。息子とキャッチボールするのはお父さんの夢なんだぞ」
祈「ふ~ん」
逢「祈は?」
祈「綺麗なお花畑で、お父さんとお母さんと幸伎とで楽しく遊んでいる夢」
しゅう「女の子らしい楽しそうな夢じゃないか。いいなあ」
祈「今度お花畑連れてってくれる?」
しゅう「いいよ。今度の土曜日に行こうか」
逢「えっ?」
しゅう「ん?」
逢「ああ~~、うん、美味しいお弁当作ってあげるね!!」
祈「やったあ!!!!」


……
……
その夜

しゅう「祈が寝たからそろそろいいか」
逢「そろそろ?」
しゅう「逢、嘘ついてるだろ?」
逢「何のことです?」
しゅう「初夢」
逢「……バレてましたか」
しゅう「分かりやすい」
逢「そういう先輩こそ死にかけたじゃないですか」
しゅう「ま、まあな」
逢「で?」
しゅう「お互いに、その、何て言うか怒らないってことで……」
逢「怒らない?」
しゅう「このまま新年早々嘘ついて黙っているのは健康に良くないからさ」
逢「そう、ですね。私はいいですよ。覚悟はできてます」
しゅう「ぼ、僕もさ」
逢「先輩からどうぞ」
しゅう「逢からどうぞ」
逢「先いいですよ」
しゅう「そっちこそ!」
逢「ああ、もうじれったいですね。健康に悪いですよ」
しゅう「あ、それもそうだ。じゃあ、僕から言う」
逢「……」
しゅう「は~~~~~~~~」

大きく息を吐いた後、僕は逢に正直に打ち明けた。

逢「……最低。変態。クズ。正月早々何でそんなエッチな夢を見てるんですか?しかも女心を傷付けて」
しゅう「ご、ごめん!!僕のせいじゃ……」
逢「先輩はやっぱり胸の大きな人が好み……」
しゅう「な、泣くな!」
逢「泣いていません!怒っているんです!」
しゅう「怒らないって約束じゃ……」
逢「怒りたくなりますよ。私の夢の中でも私を傷付けたんですから」
しゅう「逢の夢の中?」
逢「はい」

今度は私が先輩に正直に打ち明けた。

しゅう「そ、そうかぁ。僕はそんなにモテモテなのかぁ!」
逢「残念ながら、それはありません」
しゅう「がっ!否定するなよ。それを言うなら逢が一目惚れすることも……」
逢「あるかもしれませんよ」
しゅう「何で?」
逢「胸の大きな女性と不倫している旦那さんが嫌になって……」
しゅう「すみませんでしたっ!!」
逢「どうして土下座するんです?」
しゅう「だって、僕の夢の中の幸伎が僕みたいな男になってしまったのも……」
しゅう「逢の夢の中の僕が不倫していたのも……」
しゅう「全部僕のせいだから!!!」
しゅう「本当にすみませんでしたっ!!」
逢「……先輩。もういいですよ。顔を上げ」
しゅう「しかし悔しいな」
逢「悔しい?」
しゅう「その誰だか知らない刑事、僕よりもしっかりした体つきの人で、抱かれて気持ち良かったんだろ?」
逢「……はい」
しゅう「……よしっ!」
逢「あ……」

ぎゅーっ。

逢「先輩……何を」
しゅう「僕、もっともっと逢のことを大切にする。胸なんて気にしない!」
しゅう「もっともっと強くなって逢をもっともっと気持ち良く抱いてみせる!」
しゅう「幸伎だって、ちゃんとまっすぐ育てるさ!約束する!」
逢「……ふふ。楽しみです。大好きな旦那さん。大好きなお父さん」

ちゅっ。

祈「眠れない……あ」

お父さんとお母さん、すごく仲いいみたい。よかった。
今朝のあれはたぶん夢だったんだね。

七咲家は今年もきっと平和です。



七咲アフターストーリー
エピソード正月版’13「初夢のお話」
END

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2012-03-03

エピソード「先輩、今日は楽しいひなまつりです」

今日は3月3日、ひなまつりだ。
女の子の健やかな成長を祈る毎年恒例の行事だ。
妹の美也がいる僕の橘家にとっても、逢がいる七咲家にとっても昔からの馴染みのある行事で、
さらに僕と逢が結婚して娘の祈が生まれたことで、これからも毎年恒例の行事となっていくだろう。
ただ、都会の借家に住んでいるため、祈のためのひな人形を置く場所がなく、
ひなまつりのたびに休日を見つけて一家揃って輝日東の七咲家に帰省している。
生まれたのは都会だけど、祈の故郷は輝日東、実家は七咲家で間違いない。
理由は簡単。父親である僕が母親である逢の婿養子となったからだ。

そんなわけで、僕と逢は幼い祈を連れて輝日東の七咲家に帰省していた。
逢は玄関先でベビーカーを畳んで祈をおんぶし、僕が逢からその場で渡された鍵を使ってドアを開けた。
で、何故か逢を先に家に入れて僕は逢の後ろに隠れるような形で一緒に家に入った。

逢「ただいま」
逢の母「おかえりなさい」
逢の父「おかえり」
しゅう「えっと……」
逢「何してるんですか?」
しゅう「え?あ、いや……」
しゅう(いくら婿養子だからと言っても、ここは一応人様のお宅だからなぁ……)
母「しゅう君もおかえりなさい」
しゅう「え?あ、お邪魔します……」
逢「照れてるんですか?」
しゅう「ち、違うよ!なんか、何回来ても慣れなくて……」
父「確かに。人様のお宅にお邪魔する感覚かもしれないね」
しゅう「まあ、そんな感じです」
逢「お母さん、ひな人形は?」
母「用意してあるわ。まだ飾ってないから一緒にやりましょ」
逢「うん」

逢は靴を脱ぐと僕の袖を掴んだ。

しゅう「え?」
逢「早く行きますよ」
しゅう「わ、ちょ、待て!まだ靴脱いでないから!それに心の準備が!」
逢「早くして下さい」
しゅう「わ、分かったからちょっと待て」
母「ふふっ。逢ったら早くひな人形を飾りたくて仕方がないようね」
父「さ、早く上がって」
しゅう「もう……お父さんお母さんまで急かさないで下さいよ……」
母「ふふふ」
父「ははは」

しぶしぶ靴を脱ぐと、すぐさま逢に引っ張られるようにしてひな人形のところに向かった。

しゅう「へぇ広いなぁ。あっちとは大違いだ」
逢「ここは私の実家ですから、あっちより広いですよ」
しゅう「祈も幸せだろうね。あ、でもさ」
逢「はい?」
しゅう「このひな人形は逢の健やかな成長を祈るためのひな人形なんだろ?祈はそのお下がりでいいのかな?」
逢「確かにお下がりですが……」
母「大丈夫よ。祈ちゃんは七咲家の女の子だから。このひな人形は七咲家の女の子のためのひな人形だから」
しゅう「そうか。逢のためだけじゃないんですね」
父「誰かさんが婿養子になったおかげでこのひな人形たちは祈ちゃんのために働けるんだよ」
しゅう「なるほど」
母「同様に男の子が生まれたら郁夫の兜はその子のために働けるってこと」
しゅう「男の子かぁ……」

僕は何故か逢を見つめた。

逢「ん?」
しゅう「男の子ね……」
逢「な、何を期待してるんですか?」
しゅう「何でもない」

この時はまだ知らなかった。後に男の子が生まれるってことを。

逢「そ、そんなことより、早くひな人形を飾りますよ」

照れている逢は何とか話を逸らそうとしている。

しゅう「飾りますよ……って!僕もやれってことか!!」
逢「はい。手伝ってもらいます」
しゅう「ああ、だからさっきあんなに僕を急かしたんだな」
しゅう「でもちょっと待て!僕ひな人形飾ったことないから、人形の配置が分からないんだけど?」
しゅう(ちなみに美也もひな人形を飾ったことがない。うちは全部母親任せだった)
母「せっかくの機会だし、教えてあげる」
しゅう「お願いします」

こうして僕は逢と逢のお母さんから人形の名前と配置を教わりながら、七咲家のひな人形を飾るのを手伝った。
ちなみに逢のお母さんは僕にコーチングしながら祈をあやしていた。
一方で逢のお父さんは、僕の初めてのひな人形飾りってことで気を利かせてビデオ撮影してくれていた。

しゅう「最後にお内裏様がここで……」
逢「おひな様がここですね」

最後に僕がお内裏様を、逢がおひな様をほぼ同時に配置して完成!

しゅう「できたぁ。生まれて初めてひな人形を飾った」
逢「お疲れ様です」
しゅう「こうして見るとひな人形ってすごいなぁ。これを僕が半分飾ったんだな……」
母「どう?初めて飾ってみての感想は?」
しゅう「感動です!今夜ここで一晩明かしたいくらいです!」
逢「えっ?」
しゅう「ん?なんか問題でも?」
逢「い、いえ……」

何故か逢が照れている。

母「ふふっ。本当に似た者同士ね」
しゅう「え?」
母「逢もね……」
逢「ちょ、お母さん!」
母「ふふっ」
しゅう「ああ、なるほど」

逢のお母さんが言いかけたことが何となく分かった。
たぶん初めてひな人形を飾るのを手伝った逢は、お母さんから同じ質問をされて僕と同じように答えたんだろう。

父「えっと確か逢が初めてひな人形を飾った時も今みたいにビデオ撮影してたっけな~」
しゅう「本当ですか!?」
父「うん。見せてあげるよ」
しゅう「やった……」
逢「ん!!」
しゅう「いでっ!」

逢に足を踏まれた!

父「はは……そう照れるなって。かわいかったんだから」
逢「……」
母「失礼ねぇ。逢は今でもかわいいよね?」

逢のお母さんが僕に微笑みかけた。

しゅう「えっ??ぼ、僕に振るんですか?」
逢「う……」

逢が一段と照れている。
照れている逢を見てたら何だか僕まで照れてきた。

しゅう「え、ええっとですね……せ、せっかく頑張って飾ったから、せめて集合写真でも撮りましょうか?」
父「そうだね。今スタンド持って来る」
しゅう(いよっし、うまくごまかせたぞ)
母「あ、そうだ。お供え物の桜餅を忘れてたわ。持って来る」

逢のご両親が一時的にその場を離れて、三人だけになった。

しゅう「……」
逢「……」
しゅう「でも、見てみたかったな」
逢「そう、ですか……」
しゅう「うん。僕は出逢ってからの逢しか知らない。小さい頃の逢も知りたい」
逢「……」
しゅう「やっぱり……恥ずかしいか」
逢「……はい」
しゅう「ごめん。僕が悪かった」
逢「え?」

お詫びと言っては難だけど、逢にキスをした。
いつ逢のご両親が戻って来るか分からなかったので、
部屋の出入口からは見えないように、そして短めに、キスをした。

父「お待たせ」
母「これがお供え用で、これがおやつ」
しゅう「ありがとうございます」
逢「……」
母「どうしたの逢?まだ照れてるの?」
逢「ち、違う!」
しゅう「えっとじゃあ配置は……」
父「君と逢でお内裏様とおひな様をやったらどうだ?」
逢「え?祈が主役なのに……」
しゅう「じゃあこうしようか。最初はそれで撮る。次に祈がおひな様、未来の旦那さんがお内裏様ってことで!」
母「なるほどね。お内裏様の場所は空けておくのね」
しゅう「はい」
しゅう(だが実際は空かないんだけどな……ふふふ)

最初の写真。
僕がお内裏様、逢はおひな様。その後ろに逢のご両親。逢のご両親の間に、二人に支えられる形で祈。
とてもいい写真が撮れた。

次の写真。
未来の祈の旦那さんがお内裏様、祈がおひな様。その後ろに僕と逢。その後ろに逢のご両親。
……のはずが?

しゅう「よしっ。僕はここだ」

最初の写真を撮った位置から僕は微動だにしない!

逢「ちょっと先輩。そこは未来の祈の旦那さんの位置ですよ。さっき自分で言ってたじゃないですか」
しゅう「だから僕はここなんだよ」
逢「えっ?」
しゅう「ほら、幼い女の子ならよく言うじゃないか。将来はパパと結婚するんだ~!って」
父「あ~!僕も言われた記憶あるぞ」
しゅう「ですよね!!」
逢「い、言ってない!!」
母「あら?顔赤いわよ」
しゅう「ふ~ん、やっぱりか」
逢「う……と、とにかく、そこをどいて下さい。じゃないと不倫と見なして即刻……」

逢が鬼の形相で睨んできた。

しゅう「おお、怖い……どきますよ。仕方のない先輩ですね……」

後ろから逢に肩をガシッと掴まれた!

しゅう「痛いぃぃぃぃぃごめんなさい」
母「ふふっ」

こうして何とか写真を撮り終えた。
いくつか幼少時代の逢のエピソードを聞くことが出来て、すごく楽しかった。

その後、帰って来た郁夫とともに七咲家の食卓を囲んだ。
逢のお母さんのひなまつり特製料理がとてもおいしかった!!
あ、そうそう、幼少時代の郁夫のエピソードも聞いた。
お供え物のお菓子を内緒で食べちゃったこととか……な。
美也もよくやってた。似た者同士だ。


その夜、七咲家にお泊りすることになり、逢と添い寝した。

逢「……」
しゅう「……まだ怒ってるのか?」
逢「怒ってないです」
しゅう「悪かったって。色んな意味で」
逢「……」
しゅう「……しょうがないな。じゃあ、美也の話でもしてあげようか」
逢「美也ちゃんの?」
しゅう「こんなこともあろうかと、事前にアルバムを持って来た」

しばらく逢と、幼少時代の美也の話で盛り上がった。

逢「ふふふ、美也ちゃんったら」
しゅう「だろ?」
逢「あ!これ、先輩ですか?」

美也の写真の中に何故か僕の写真が紛れ込んでいた!しかも恥ずかしい写真!!

しゅう「え?うわあああああ」
逢「しーっ。大声出さないで下さい」
しゅう「ごめん」
しゅう「……あ~あ。何でこの写真が入ってたんだろう。事故だ……」

僕はそっと写真を隠そうとしたが、逢に手を掴まれた。

逢「ダメです。見せて下さい」
しゅう「い、嫌だよ。恥ずかしい」
逢「私も出逢う前の先輩が知りたいです!」
しゅう「よ、よく言うよ。自分は教えてくれなかったくせに」
逢「早く見せて下さい」
しゅう「じゃあ約束だ。僕が見せたら逢にも恥ずかしいエピソードを語ってもらう!それで公平だ」
逢「う……」
しゅう「嫌なのか?じゃあ、見せ……」
逢「分かりました。仕方のない先輩ですね」
しゅう「よし。はい、ご褒美だ」
逢「私は犬ですか??」
しゅう「逢、お手!」

パーン。

しゅう「ご、ご主人様を平手打ちするなんてひどい!」
逢「ふふっ。ふふふっ」
しゅう「しかも無視して写真見てるし」
逢「ふふふ」
しゅう「そ、そんなにおかしいか??」
逢「だ、だって、ふふふ」
しゅう「失礼だなぁ」
逢「ありがとうございます」
しゅう「じゃあ次……」
逢「おやすみなさい」
しゅう「おい!!」

逢は僕に背を向けて寝始めた!

しゅう「約束が違うだろ!」
逢「……」
しゅう「逢!聞いてるのか?」
逢「……」
しゅう「よ、よーし、こうなったら、背後から襲って身ぐるみ剥いで……」

僕が構えると、突然逢が起き上がって僕に抱き付いて、そのまま僕を引き込んだ!

バサッ

しゅう「あ、逢!?何を……」
逢「ん……」

僕は逢の布団の中に入れられて掛け布団をかけられて、暗い布団の中で逢にキスされた。
さっきよりもなが~い、なが~い、ふか~い、ふか~いキスだ。

逢「ちゅ……ん……」
しゅう(逢……)
逢「はぁはぁ……不倫なんて、させませんからね」
しゅう「え??」
逢「先輩は私だけの先輩です。例え相手が祈であろうと渡しませんからね。そのつもりで」
しゅう「え??ふっ。そんなこと気にしてたのか。バカだな、冗談に決まってるだろ?」
逢「バカってなんですか!許しません!」
しゅう「許してくれないのかぁ。うん、それでいいよ。僕のことをずっと愛してくれていたらそれでいい」
逢「先輩も……」
しゅう「もちろん。逢のことが大好きだよ」
逢「……ふふっ」
しゅう「ははは」
逢「では、約束なので話しますね」
しゅう「話してくれるのか!やった!!」
逢「わ、笑わないで聞いてくれますか?」
しゅう「え?あ、うん」

その後、逢から解放されて、逢の幼少時代の恥ずかしいエピソードを聞いた。

しゅう「はははははは。それは恥ずかしいなぁ」
逢「ひどい!笑わないって言ってたじゃないですか!」
しゅう「ごめんごめん。だってさ、小さい時からそのまんまだもんな」
しゅう「逢は逢のままだよ。昔からかわいいんだな」
逢「か、かわいい?」
しゅう「そう。かわいい」
逢「……」
しゅう「こう言っちゃ難だが、美也よりもかなりかわいいよ」
逢「美也ちゃん?」

またしても美也の話をした。

逢「へぇ。そうだったんですか」
しゅう「うん。だから逢が恥ずかしがることないと思う。美也だってそうだったんだから」
逢「……」
しゅう「逢?」
逢「先輩、ありがとうございます」
しゅう「え?べ、別に感謝されるようなことは……」
逢「いえ。私は今勇気を振り絞って私自身の恥ずかしいエピソードを先輩に話しました」
逢「先輩は私をバカにしたりせずに、むしろ恥ずかしくないってフォローしてくれた」
しゅう「バカにするわけないさ。だって、大好きな逢だから」
逢「先輩……」

今度は僕が逢を引き込んで、暗い布団の中で長くて深いキスをした。


こうして、楽しいひなまつりは終わった。
七咲家のひな人形はちゃんと逢を健やかに成長させてくれた。
だからこそ今逢の隣に僕がいるし、僕が七咲家のひな人形に出逢うことが出来たんだ。
七咲家のひな人形はとても立派な働きをしてくれた。
感謝するとともに、もうひと働きお願いしたいところだ。
今度は、新しい七咲家の長女、祈のために。
“祈”の健やかな成長を“祈”っている……。
なんちゃってな。

                  ↓七咲祈
ひな人形
       ↑七咲しゅう七咲祈の未来の旦那さん
イラスト:http://www.para-gallery.com/hinakazari.html



七咲アフターストーリー
エピソード「先輩、今日は楽しいひなまつりです」
END

2012-02-29

エピソード閏年特別版「先輩、今日は2012年2月29日ですよ」

4年に一度の「閏年」と呼ばれる年がやって来た。
今日は4年に一度しかない2月29日だ。
この日に誕生した人は4年に一度しか歳をとらないとか言われてるけどデタラメだろう。
それはいいとして。
僕と逢、長女の祈、長男の幸伎、それにアマガミの面々+αが登場するこの七咲アフターストーリー。
それが載っているとかいう妙なブログが開設されてから初めての閏年を迎える。
閏年の記念に管理人が閏年特別版の話を作ったんだ。
まあ、突然思い付いたとかで、皆さんが読む頃には3月になっていると思うけど……。
というわけで、本編に移ります。



七咲家

逢「先輩も祈も大丈夫かなぁ。今日は一日中寒くて雪が降ってるし」

刑事である僕と、小学生の祈はそれぞれ職場と小学校に行っている。
逢は冷蔵庫を開けてみた。ほとんど何もない。

逢「どうしよう。今日お買い物に行くつもりだったのに雪が……」
逢「今夜どうしたらいいと思う?」

逢は眠っている幸伎に話しかけた。当然返答なし。気持ち良く眠っている。

逢「……だよね。はぁ」

逢は微笑みながら落胆した。

ガタッ。

逢「ん?」

はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。

逢「な、何の音?」
しゅう「た、だ、い、ま……」
逢「せ、先輩!?」

バタッ。

逢「ちょ、先輩!?だ、大丈夫ですか?」
しゅう「あ、逢が……幻か?」
逢「えっと、今温かいお茶を出します」
しゅう「頼む」

数分後

しゅう「はぁ。死ぬかと思った。生き返った。もうちょっとで氷のオブジェになるところだった」
逢「外で仕事してたんですか?」
しゅう「うん。張り込みやってた。容疑者は無事確保できたからいいんだけど、寒くて」
逢「でも早く上がれてよかったですね」
しゅう「今日の仕事は主にそれくらいだったから」

気付けばまだ午後5時過ぎだった。

しゅう「あれ?」
逢「どうしました?」
しゅう「夕飯の支度はまだなんだ……」
逢「それがですね……」

逢が冷蔵庫を開けた。

しゅう「……買い物に行かなきゃな。寒いけど行って来るか」
逢「い、いいです!私が行きます!!先輩は休んでいて下さい」
しゅう「ほら、この通りもう大丈夫だから僕が行って来るよ」
逢「いいえ。私が……」

その時、玄関の呼び鈴が鳴った。

しゅう「はーい」

ドアを開けた。

森島「逢ちゃんお久しぶり~!」

開口一番、森島先輩がそう言った。

しゅう「え?えっと……森島先輩、お久しぶりです」
森島「ありゃ?キミもいたんだ」
しゅう「はい、ここ僕の家でもありますから」
森島「え、えっと、そうじゃなくって……」
しゅう「ん?」
塚原「ふふ、いつもしゅう君が出勤中で七咲しかいないから、ついいつもの癖が出ちゃったのね」
しゅう「塚原先輩……。なるほど、そういうことでしたか。とりあえずお二人とも上がって下さい」
森島「ありがとう」
塚原「お邪魔します」

森島先輩と塚原先輩を家に入れるなり、すぐに二人とも逢と対面した。
逢が温かいお茶を出した。

逢「どうぞ」
森島「ありがとう」
塚原「ありがとう、七咲」
しゅう「お二人とも早上がりだったんですか?」
塚原「私はもともと休診で、はるかは早上がり」
森島「今日寒かったでしょ?早く帰りたくて社長に駄々をこねちゃった」
しゅう「え?」
逢「ズル休み……みたいな感じですか?」
森島「ち、違うわよ!」
塚原「違うの?」
森島「私はただ早く帰りたくて、仕事をパパーっと終わらせたから、社長に帰っていいですかってお願いしたの」
塚原「なるほど。パパーっとね」
しゅう「お願いした?さっき駄々をこねたって言ってませんでした?」
森島「え?ああ、気のせい気のせい」
逢「それで、何をしにウチに?」
森島「えっと……なんだっけ?」

ズサーッ。

塚原「出たよ、はるかの物忘れ」
しゅう「えっと……一つは僕たちに逢いに来たんですよね?」
森島「そうそう!祈ちゃんと幸伎君の顔を見たくて」
逢「生憎ですが、祈はまだ学校です」
森島「そろそろ帰って来る頃ね。よーし、幸伎君を今のうちに抱っこしておこうっと。いいよね?」
逢「はい」

幸伎と戯れ始めた森島先輩。
これでは一向に話が進まない。

塚原「はぁ。はるかにも困ったものね」
しゅう「でも逆に森島先輩は森島先輩のままでちょっと安心しました」
塚原「うん。確かにはるかは全然変わってない。結婚の予定がないってところまで」
逢「まだ独身なんですか?」
塚原「付き合っては別れ、を繰り返してる」
しゅう「相変わらずだ……」
森島「幸伎君よしよし。う~ん、かわいい!」
塚原「……」
しゅう「……」
逢「……」
塚原「は、はるかが、あんなんだから、話が進まないね」
しゅう「……ですね」
逢「……はい」
塚原「仕方ない。代わりに用件を話すわ」
しゅう「お願いします」
塚原「はるかがね、どうしても行きたい店があるんだって」
逢「それで私たちを誘いに?」
塚原「そういうこと」
しゅう「えっと、夕飯ってことでいいんですよね?」
塚原「もちろん」
しゅう「助かったぁ」
塚原「助かった?」
逢「実はですね、食材がなくて夕飯をどうしようか考えていたんです」
塚原「なるほどね。それで夕飯の支度をしている姿がなかったわけだ」
しゅう「気付いてたんですか?」
塚原「何となくね」
逢「その店ってここから近いんですか?」
塚原「ごめん。店の情報ははるかしか知らないんだ」
しゅう「……そう、なんですか」
逢「……」
塚原「……」

3人で温かいお茶をすすりながら森島先輩に視線を送った。

森島「幸伎君かわいい!!……あ!ごめん」

視線に気付いたのか森島先輩は幸伎を再びベッドに寝かせて戻って来た。

森島「えっと、そう、その店の情報だよね?」
塚原「話聞いてたんだ」
森島「う、うるさい。ひびきちゃんは黙ってて」
塚原「……」
森島「早速、その店の情報だけど……どんな店か予想してみて」
しゅう「予想!?」
逢「ヒントはないんですか?飲食店って言ってもいっぱいありますよ」
塚原「そうね」
森島「ヒントはねぇ……今日!さあ、分かるかな?」
しゅう「今日?」
逢「今日ですか」
森島「あ、ちなみに正解した人だけ招待するから教え合いはなしよ」
しゅう(今日……閏年だから、2月29日……なるほどな。簡単じゃないか)
逢「あれ?先輩、今日って何月何日でしたっけ?」
しゅう「え?」

逢が珍しくアホな質問をしたので顔を見てみたら……笑ってる?ドヤ顔??

しゅう(そうか、逢も分かっててわざとボケてるんだ。よーし)
しゅう「逢、忘れちゃったのか?今日は3月1日じゃないか!!」
逢「えっ??もう3月なんですか??早いですね」
塚原「七咲、疲れてるのね」
逢「いえ、毎日幸伎とずっと家にいるので、曜日の感覚が鈍ってて」
しゅう「やだなぁ。たまには遊びに行かなきゃダメだな」
塚原「それならいい場所知ってるわよ」
逢「本当ですか?」
塚原「うん。小児科に来る親御さんが前に話してた。リラックスできる場所だって」
しゅう「暖かくなったらそこに行こうか」
逢「あ、でも、暖かくなると花粉が……」
塚原「そうね。花粉症対策はしっかり行わないと。二人は大丈夫?」
しゅう「今のところ」
森島「ちょ、ちょっと!!何でみんなして話をずらしてるの?」
しゅう「え?あ、すみません」
逢「えっと、今日が3月1日だから……雛祭り??」
森島「違うでしょ!!今日は2月28日よ!!」
しゅう「え??」
逢「はい??」
塚原「はぁ。またか」

出題者本人がヒントを忘れていたとは……恐れ入った。
ヒント以前に今日の日付を忘れるとは!!
さすが物忘れの森島先輩。

しゅう「それならもう解けてますよ」
逢「私もです」
塚原「私もよ」
森島「へ、へぇ……答えは?」
祈「ニンニク」
しゅう「あれ??」
逢「今祈の声が」
祈「ただいま。塚原先生、森島さん、こんばんは」
しゅう「おかえり。寒くなかったか?」
祈「大丈夫」
塚原「祈ちゃん、こんばんは」
森島「そ、それより、どうしてニンニクなの?」
祈「今日は2月29日。ゴロがニンニクだからです」
森島「せ、正解……」
しゅう「すごい!ていうか、いつからそこにいたんだ?」
祈「うちに帰って来たら話し声が聞こえて、森島さんがクイズ出したところから聞いてた」
しゅう(つまり盗み聞きか)
森島「むむむ。難しいクイズだと思ったんだけどな」
祈「え?」
森島「ん?どうしたの?」
祈「実はクラスメートにクイズ好きの男子がいて、同じクイズを出していたのを聞いていたんです」
森島「そう、だったんだ」
祈「他の子は分からなかったようですが、私はすぐに分かったので答えました」
しゅう「祈は頭がいいからなぁ」
塚原「ふふ、親ばかね」
塚原「それにしても、はるかのクイズは小学生レベルだったってことね」
森島「ひど~い!一生懸命考えたのに~」
逢「私もヒント聞いた瞬間に分かっちゃいました」
しゅう「簡単だからなぁ」
森島「で、でも、答えたのは飛び入り参加の祈ちゃんだから……」
しゅう「知ってるか、祈?ニンニクを食べると寒くなるんだよ」
祈「どうして?」

僕はペンとメモ帳を持って来て書き出した。

しゅう「ニンニクだろ?2、2、9だ。2×2×9は?」
祈「36!さむっ!」
しゅう「そういうこと」
森島「え……」
逢「あ!今日は2012年2月29日ですね」
逢「ニンニク(229)の、に・お・い・に(2012)……嫌(18)気がさす……とか?」
しゅう「そうか。2012年もゴロに当てはめられるし、2×9は18だ!なるほど」
森島「……」
塚原「はるか。どうやらはるかの負けのようね」
森島「……うん。そうね!みんなで行きましょう、焼肉屋!!」
祈「やった!!焼肉!!」
しゅう「えっと……」
森島「割り勘ね」
しゅう「う……奢りじゃないのか……ま、仕方ない」
逢「幸伎も連れて行きますが、遠くないですよね?」
森島「すぐ近くよ。行きましょう」

こうしてみんなで2012年の2月29日に焼肉屋に行った。
その店は“ニンニク”を使った料理が絶品らしい!!
なるほど、だから“今日”あんな簡単なクイズを出して僕らを誘ってくれたのか。
森島先輩、ありがとうございます。

ちなみに、行った店の店主は前にひったくり事件で僕が救った人だった。
おかげでちょっと安く提供してくれた。
いいことはするもんだな。



七咲アフターストーリー
エピソード閏年特別版「先輩、今日は2012年2月29日ですよ」
END

2012-01-01

エピソード正月版「先輩、祈、幸伎、七咲家の旅行に行きましょう」

息子の幸伎が生まれた翌年の1月4日。
頑張ってくれた逢と祈へのサプライズとして、温泉旅行を用意した。
行き先は稲羽市、泊まるのは天城屋旅館という老舗旅館。
この稲羽市という地は数年前に何やら怪奇な連続殺人事件が起きたと噂になっている。
僕もその噂が少し気になってこの地を選んだ。
もう事件は解決したらしいが、3人を連れて行くには少し度胸が要った。
でも、せっかくの家族旅行だ。いわくありげな土地の方が楽しいと思う。
そんなわけで、僕が考えたペルソナ4のアフターストーリーも交えつつ、この話を進めていこうと思う。

輝日東駅から八十稲羽駅まではひたすら電車に乗って行った。
最初は見慣れぬ景色に胸踊らせていた祈も次第に疲れて眠ってしまった。
時々泣き出す幸伎の相手をするために逢は何度かトイレに立った。
そんな忙しい3人を見守りながら僕はずっと起きて考え事などをして時間を潰した。

逢「ずいぶん田舎まで来ましたね」
しゅう「うん。輝日東の方が都会だな」
逢「この地に何があるんですか?」
しゅう「有名なデパートとか有名な老舗旅館があるらしい」
逢「デパート?それならどこにでも……」
しゅう「ま、行ってみてのお楽しみ」

やがて、八十稲羽駅に到着した。
眠ったままの祈を起こし、電車を降りた。

逢「先に宿に寄りましょうか?荷物を置いてから回りたいです」
しゅう「よし、じゃあ、バスだな」

天城屋旅館まで行くには商店街からバスに乗る。
やがて到着した。

逢「なるほど、確かに老舗旅館ですね」
祈「わぁ、すごい旅館」
しゅう「入るぞ。すみませ~ん!」

奥から「はーい」という返事が聞こえ、足音とともに女将さんが出て来た。

女将「いらっしゃいませ」
しゅう「4人で予約している七咲です」
女将「少々お待ちを……はい、七咲さんですね」

するとそこへ従業員と思われる若い和服の女の子がやって来た。

女将「あ、こちらは娘の雪子です」
雪子「初めまして。女将の娘の天城雪子と申します。どうぞごひいきに」
しゅう「よろしくお願いします」
しゅう(可愛い!)
逢「女将さんの娘さんということはもしかして?」
雪子「はい。次期女将となります」
逢「お若いのに立派ですね」
雪子「そんなこと、ないです」
祈「かわいい!雪子さんもこの和服も!どっちも!」
雪子「え!?」

雪子さんは照れてしまった。

しゅう(祈、代わりに言ってくれてありがとう)
女将「あらあら、みなさん。雪子をいじめるのもその辺にしておいて下さいな」
逢「すみません。ふふっ」
女将「じゃ、お部屋のご案内をお願いね」
雪子「はい。こちらです」

雪子さんにお部屋を案内してもらった。
隅から隅まで立派な老舗旅館だ。

雪子「こちらです。どうぞ」

雪子さんが案内してくれた部屋に入った。
広い!素晴らしい!

祈「わぁ、すごいお部屋!わたし気に入った!」
雪子「ありがとう」
しゅう「ところで雪子さん。つかぬ事をお聞きしますが」
雪子「はい」
しゅう「雪子さんって旅館の跡取り娘なんですね」
しゅう「小さい時からもう運命が決まってて、その、つらいとか思ったことってありますか?」
しゅう「いや、あの、あんまりにも立派な接待をされているので、つい気になったんです」
雪子「……」
逢「先輩。聞いていいことと悪いことがあると思いますよ?」
しゅう「……そう、だよな。すみません。やっぱり忘れ……」
雪子「いえ。確かにそう思ったこともありました」
しゅう「やっぱり」
雪子「高校2年生の時、そのことでずっと悩んでて、本当につらかったんです」
雪子「でも、ある人のおかげでこうして立ち直ることができたんです」
雪子「相談してよかったって思いました」
雪子「一人でずっと悩んでいてもダメ。つらい時は誰かに相談することも大事なんだって知りました」
しゅう「……なるほど。頑張ったんですね」

僕が雪子さんに投げかけた疑問によって少し重くなった空気を一変するかのように……

逢「……あの、ところで」
雪子「はい」
逢「私たちここに初めて来たので、少し周辺を見て回りたいです。荷物はこのままで……」
雪子「はい、大丈夫です。もしよろしければ貴重品はフロントでお預かりします」
逢「ありがとうございます。では、これをお願いします」
雪子「かしこまりました。では、こちらへどうぞ」

来た道を戻り、フロントへ。
すると……

女性「おっす、雪子!」
雪子「あら、千枝」
しゅう「お知り合い?」
里中「あ、えっと、高校の同級生だった里中千枝です。高校はすぐそこの八十神高校です」
逢「初めまして」
里中「えっと……業務中?」
雪子「うん」
里中「じゃあ、とりあえず伝言だけ。鳴上君、今度の連休来るって」
雪子「鳴上君が!?分かった、ありがとう」
里中「じゃあね。あ、失礼しました」

里中さんは去って行った。

しゅう(鳴上……?珍しい苗字だ)
雪子「では、お気をつけて行ってらっしゃいませ」

天城屋旅館を後にし、バスに乗って商店街に向かった。

しゅう(さっきの話と雪子さんの様子からすると……鳴上って人、もしかして?)
しゅう(いや、待て。それはないだろう?でもな……)
逢「で?どこに行くんです?」
しゅう(僕の刑事の勘は当たってるか?)
逢「先輩!」
しゅう「え?ああ、えっと……」
逢「はぁ」
しゅう「とりあえず、この辺を見て回ろう」
祈「ん?」

祈が何かを見つけた。

祈「ねぇ、お父さん。あれ、なーに?」

祈が遠くを指さしている。

しゅう「あれって?……ああ、何かの建物?」
しゅう「ええっと」

僕は事前に用意していた地図と照らし合わせた。

しゅう「ジュネス?デパートか」
逢「ジュネスって……あの?」
しゅう「そういえば都会によくあるデパートらしいんだけど、見かけたことないな」
逢「ええ。私たちの家の周辺にはありませんでしたね」
しゅう「都会にしかないと思ってたけど、この田舎にもあったのか」
逢「先輩。予習したのに知らなかったんですか?」
しゅう「予習って。ちょっと地図を見ただけだよ」
逢「それで私たちを連れて来たんですか?」
しゅう「え?だって、調べるよりも直接確かめた方が……。ほら、習うより慣れろって言うし」
逢「先輩?それを言うなら百聞は一見に如かず、ですよね?」
しゅう「……そうとも言うな」
逢「……」
しゅう「な、何だよ、その目は?」
祈「行ってみたい!ジュネス行きたい!」
しゅう「ここまで来てジュネスか。まあ、行ったことないし、いいかな。よし、行くぞ!」

ジュネスに向かうことになった。

店内放送「ジュネスは毎日がお客様感謝デー!来て見て触れて下さい。エヴリデイ・ヤングライフ!ジュネス♪」
祈「エヴリデイ・ヤングライフ!ジュネス♪……おもしろい!何この歌」
しゅう「へぇ、結構大きなデパートだな」
逢「品揃え良さそうですね」
祈「わぁ、すごい!」
逢「祈、待ちなさい」

祈がすごく珍しそうに、どんどん僕らを置いて先に行こうとしている。

しゅう「僕は祈のそばにいるから、逢はゆっくり幸伎を連れてエレベーターで来てくれ」
逢「分かりました。祈から目を離さないで下さいね」

逢は幸伎が乗っているベビーカーを押しながらエレベーターに向かった。
行き先は何故か食品売り場。
祈が行き先を決めてしまっている。

金髪の男性店員「これ美味しいよ。食べてみて」
祈「……美味しい!」
金髪の男性店員「でしょでしょ!」
茶髪の男性店員「おい、クマ。持ち場から離れるな」
金髪の男性店員「だって、この子かわいいから」

祈は試食コーナーにいた。

しゅう「探したぞ。ご迷惑をおかけしました」
茶髪の男性店員「いいっすよ」
しゅう「すみません。何せ初めて来たもので、普段は大人しいのに今はご覧の通りです」
茶髪の男性店員「初めてっすか。ご来店ありがとうございます」
金髪の男性店員「おっと、そこのお姉さん。僕がお肉を焼いて差し上げましょうか?」
逢「えっ?あの……」
しゅう「逢、来たか」
金髪の男性店員「知り合い?」
しゅう「妻です」
金髪の男性店員「ワイフ?」
茶髪の男性店員「人妻だ。手ぇ出すなよ」
金髪の男性店員「残念だクマ」
茶髪の男性店員「一家揃って……ですか?」
しゅう「そうですね」
茶髪の男性店員「ご来店誠にありがとうございます」
金髪の男性店員「サンキューベリーマッチ!」
茶髪の男性店員「お前はさっさと持ち場に戻れよ」
茶髪の男性店員「鳴上が来るまでに金貯めとくんだろ?だったらさっさと仕事しろ」
金髪の男性店員「分かったクマ」
逢「鳴上?さっきも聞いたような……」
茶髪の男性店員「え?知ってんすか?」
逢「ええ。私たち、遠いところから家族旅行で来ました」
逢「先ほど寄って来た宿泊予定の天城屋旅館で里中さんという方からその名前をお聞きしました」
茶髪の男性店員「そうだったんすか!里中が……」
金髪の男性店員「センセイは有名だクマ」
しゅう「先生?鳴上さんって教師なんですか?」
茶髪の男性店員「あ、いや、そうじゃなくて。こいつが勝手にそう呼んでいるだけです」
金髪の男性店員「センセイはヨースケとチエチャンとユキチャンの元同級生だクマ」
茶髪の男性店員「俺は花村陽介って言います。こいつは熊田です」
逢「なるほど。そういう繋がりでしたか」
しゅう「じゃあ熊田さんは?」
熊田「知り合いです」
祈「すごい!みんなお友だちだね」
花村「まあ、こんな狭い田舎町だし。珍しくないよ」
しゅう「皆さん、高校卒業後は?」
花村「天城は旅館を継ぐための修行を、俺はここの店長の息子なんでここを継ぐための勉強を」
花村「里中は刑事に憧れて刑事を目指し、鳴上は都会に戻って大学進学しました」
しゅう「刑事か。僕と同じだ」
花村「刑事なんすか?」
しゅう「ええ、一応」
花村「そうっすか」
逢「店長さんの息子さんだったんですね。すごいです」
花村「大したことないっすよ」
花村「元々都会に住んでいて、親父がここの店長になった関係で一家で引っ越して来たんす」
花村「その流れでこうなったわけで」
しゅう「へぇ……」

僕たちはただただ感心するばかりだ。

花村「あ、えっと、業務に戻るんで、これで失礼します」
しゅう「いえ、こちらこそお引止めしてすみませんでした」
花村「里中と天城に逢ったらよろしく伝えておいて下さい」
熊田「バイバイ」
祈「バイバイ」
花村「まだいたのか!行くぞ」
熊田「分かったクマ」

しゅう「面白かったな、あの店員さんたち」
逢「ええ。狭い田舎町ならではの出来事でしたね」
祈「上行こう」
しゅう「急かすなよ。まだ時間は十分あるんだぞ」

その後もジュネスの至る所を見て回った。
祈にせがまれてジュネスでお土産を買った。
まぁ、こんな田舎町のジュネスは珍しいからな。
ここで買ったってだけで十分お土産品になりそうだ。

観光のほとんどをジュネス見物に使い、再びバスで天城屋旅館に戻った。

雪子「花村くんと熊田さんに?」
しゅう「ええ。よろしく伝えておいて下さいと言われました」
雪子「そうですか。しばらく逢ってないんで名前を聞いただけで懐かしく感じます」
しゅう「まぁ、旅館は忙しい商売ですからね。無理もないと思います」
雪子「それでは、ごゆっくりどうぞ」

雪子さんはフロントへ戻って行き、部屋で再び家族4人だけになった。

しゅう「夕飯まで間があるな。二人で行って来たらどうだ?源泉かけ流しのラドン温泉」
逢「いいんですか?」
しゅう「この時間帯は女性専用らしいし、幸伎の面倒は僕が引き受けるから」
逢「大丈夫ですか?」
しゅう「任せろ!僕を信じろ!幸伎なら大丈夫だ!」
逢「……分かりました。では、信じます」
祈「温泉?やったー!」
しゅう「ゆっくりしておいで」
祈「うん」

逢と祈が温泉に行っている間に僕は物思いに耽った。

しゅう「やっぱり、雪子さんを変えたのは鳴上さんなんだろうな」
しゅう「きっと恋愛だ。僕が逢を変えたように、鳴上さんと雪子さんも……」
しゅう「やっぱり人との繋がりは大事なんだな。そう思わないか、幸伎?」
幸伎「……」

幸伎は気持ちよさそうに眠っている。

しゅう「お前はいいよな、眠っていればいいんだから」
しゅう「でも、お前だって将来雪子さんみたいに何かに悩むことはあるだろう」
しゅう「そんな時は僕も逢も祈もいるし、友達や先生や恋人だって……」
しゅう「この前の祈みたいに、身近な人間がすごく大事だって気付くこともきっとあるさ」
しゅう「お前も立派な人間になれよ、幸伎」

幸伎の頭を撫でた。

夕飯までに交代して僕も温泉に浸かった。
やっぱり温泉は素晴らしい!!生き返る!!溜まってた日頃の疲れがどこかに飛んで行った!!


そして夕飯。

しゅう「うまい!さすがは老舗旅館!!」
逢「この味、そう簡単にはマネできませんね」

コンコン。

逢「はーい」
雪子「あの、よかったら、これどうぞ。メニューにはないですが」

出されたのはだし巻き玉子だった。

しゅう「いただきます」
逢「いただきます」
祈「いただきます」
雪子「どうぞ」
しゅう「……」
逢「……」
祈「……」
雪子「あの、お味は?」
しゅう「ん!!」
逢「これ、美味しいです!!」
祈「おいしい!!」
雪子「よかった……お口に合いましたか」
しゅう「これ、もしかして雪子さんの?」
雪子「はい、手作りです。一応厨房で料理人の立ち会いのもとに作りました」
逢「そうでしたか。美味しかったです」
雪子「ありがとうございます」
しゅう「でも、どうしてこれがメニューにないんです?」
雪子「それは……」
仲居「雪ちゃんのお料理の修行です」
雪子「仲居さん!?」
しゅう「修行?」
仲居「ええ。雪ちゃんが将来この旅館の女将にならず、独り立ちするために修行を許可しているんです」
仲居「大好きな人のために料理ができるようになりたい……そんな雪ちゃんの願いを叶えてあげたいんです」
雪子「仲居さん……」

雪子さんは赤面している。

逢「もしかして、鳴上さん……ですか?」
雪子「!」
逢「……」

逢は“なるほど”という顔をしている。

雪子「えっと、失礼します」
仲居「では、私も失礼します」

しゅう「そっかぁ。そうだったか」
逢「そのようですね」
しゅう「誰かを想う気持ちはその人自身をいい方向へと変えていくんだな」
逢「ええ。私もそう思います」
祈「ここ来てよかったね」
しゅう「ああ、よかった。いろんな意味でな」
しゅう「ここは一見すると何にもない田舎町だ。でも、だからこそ素敵な出逢いがある」
しゅう「それが分かったってことが、今回の旅行の一番の思い出になったな」
逢「まだ終わってませんよ。明日も素敵な思い出を作りたいですね」
祈「うん!」
しゅう「祈がジュネスに行こうって言ったおかげだ。祈がジュネスではしゃいだおかげだ」
祈「そ、そんなことないよ。あの歌を聞いてちょっと楽しい気持ちになっただけ」
祈「えっと……」
祈「ジュネスは毎日がお客様感謝デー!来て見て触れて下さい。エヴリデイ・ヤングライフ!ジュネス」
祈「だったよね?」
しゅう「すごいな。もう覚えたのか」

その後も寝るまで僕と逢と祈と、時々幸伎で盛り上がって楽しかった。

逢「先輩」
しゅう「ん?」
逢「今日はありがとうございます」
しゅう「まだ旅行は終わってないぞ?早く寝ないと明日は早い。見ろ、祈はもう寝てる」
逢「散々はしゃいでいましたからね。疲れたんでしょう」
しゅう「考えてみれば、僕も逢と出逢えたからここまで変われたんだよな。感謝してる」
逢「それを言うなら私だって感謝してます」
しゅう「逢……」
逢「先輩……」

逢とキスをした。
深い深いキス。

逢「おやすみなさい」
しゅう「おやすみ」


翌日、僕たちは旅館の方々と、出勤前の花村さんと熊田さんに見送られた。
どうやら急遽二人が駆けつけてくれたようだ。

女将「またお越し下さいませ」
雪子「どうかお元気で」
熊田「また来るクマ!」
花村「何度でも来て欲しいです」

最後はみんなに見送られて稲羽市を後にした。
素晴らしい思い出の残る旅行となった。

祈「旅行、楽しかったよ。お父さん、ありがとう」
逢「ありがとうございました」
しゅう「どういたしまして」
しゅう「まあ、旅行が楽しかったのは雪子さんたちのおかげだけどな」
逢「ええ。大切なことを学びましたね」
祈「わたし、しょうらい、雪子さんみたいなりっぱな人になりたい」
しゅう「うん。僕もあの人は立派だと想う!祈もきっと立派な人になれるよ!」
祈「本当?」
逢「うん。お父さんもお母さんもそう信じてる」
祈「……う、うん!がんばる!」

こうして祈は新年早々、新たな決意を胸にしたのであった。



七咲アフターストーリー
エピソード正月版
END

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2012-01-01

エピソード正月版「先輩、祈、幸伎、あけましておめでとう」

僕と逢の長女である祈が小学校低学年になった頃の話。
同じく長男である幸伎が生まれて4ヶ月ほど経った翌年の元日。

とある七咲家にて、家族全員による「あけましておめでとうございます」が聞こえる。
僕と逢と祈と幸伎、それに逢のご両親に弟の郁夫もいる。
そう、ここは輝日東の七咲家だ。
僕と逢と祈は幸伎を連れて帰省していた。
大晦日の数日前に帰省し、逢と幸伎が七咲家に、僕と祈が橘家に泊まった。
数日間それぞれの家で過ごしたり時々合流したりし、元日になったら七咲家で再び合流した。
4人全員でどちらかの家に泊まるとさすがに窮屈になるからだ。
幸伎はやはり逢がいないとどうしようもないので逢に任せた。
祈は僕らが付いていなくても一人で何でもできる子だし、美也とも仲がいい。
ちなみに祈が幸伎くらいの歳の時は僕が一人で橘家に泊まるなど、少し悲しい思いをしていた。

まあ、そんな感じの年末だったが、年明けは華やかだ。
僕と祈がちょっと早く起きて橘家から七咲家に向かい、七咲家の家族全員が七咲家で合流した。
その一方で、橘家では僕の両親と美也がよろしくやっている。
橘家か七咲家のどちらでおせちを食べようか迷ったけど、僕は一応七咲家の人間でもあるので七咲家を選んだ。
どちらかの家に美也たちも含めた全員が集まるという手もあったが、それはやはり窮屈になるのでやめた。
いいんだ、向こうは美也がいれば何とかなる。

というわけで、事前の相談で七咲家では6人前、橘家では3人前のおせち料理が用意されている。

希「逢、お疲れ様」
逢「え?」
希「ほら、幸伎君生まれたじゃない」
逢「ああ、うん」
邦夫「二人目は大変だっただろ?郁夫が生まれた時に思い知った」
逢「そうでもないよ。先輩も祈も手伝ってくれたから」
しゅう「そうだっけ?僕は何もしてないけど?一番協力してたのは祈だったぞ」
逢「いいえ。先輩が頑張って働いたおかげで無事に出産できたんですよ」
しゅう「いや、そんなの当然だって」
祈「それにお父さん、わたしにいろいろ教えてくれたから。つうほうの仕方とか住所とか」
逢「あ、そういえば。先輩が祈に知恵を付けたおかげでもありましたね」
邦夫「そうだったのか」
しゅう「あれぇ?そんなことしたっけ?」
逢「とぼけても無駄です。感謝してますから」
しゅう「……」
郁夫「……」

僕は照れ隠しでわざととぼけていたがバレバレだった。
そんな僕を見て、ニヤニヤしている郁夫。相変わらず人見知りだ。

あ、そうだ。
説明しよう!
さっき会話に出て来た「希(のぞみ)」さんと「邦夫(くにお)」さんは逢のお母さんとお父さんだ。
第12話で登場した七咲アフターストーリーオリジナルネームだ。
ゲーム本編にはそもそも逢のご両親は登場しない。

希「あらあら。しゅう君はうちのお父さんに、祈ちゃんはお母さんに似てきたわね」
しゅう「いえいえ。僕なんてまだまだですよ」
祈「お母さんも郁夫おじさんが生まれる時、よくおてつだいしてたの?」
希「それはもうすごかったわ。本当に助かったから」
逢「お母さん……」

逢は照れている。

祈「そうだったんだ……。だったらわたし、もっとがんばらないと」
しゅう「頑張る?」
祈「お母さんをこえる!」
逢「祈……」
祈「この前のクリスマス、同じクラスの男の子のお父さんがしんじゃって」
祈「それで分かった。一番大事なのは家族だって」
祈「友だちも大事だけど、一番そばにいてくれるのは家族だから」
祈「わたし、もっともっと役に立ちたい。大好きな人を守りたい」

一同、黙って聞いている。

祈「あ、えっと、あの……」

周りが静まり返っている中、一人で話したので祈は照れている。

幸伎「おぎゃあ、おぎゃあ」

幸伎が祈の気持ちを察したのか、突然泣き出した。

逢「どうしたの?」

逢が席を外す。

希「立派ね。泣きそう」
邦夫「祈ちゃん、これからもお母さんを頼むよ」
祈「う、うん」
しゅう「よし。じゃあ、恒例の……」

僕はポケットに手を突っ込んだ。

しゅう「じゃーん!これな~んだ?」

僕は小さな紙の袋を取り出した。

祈「わぁ!」

祈は見覚えがあるので、目を輝かせている。

邦夫「あ、忘れていた」
希「え?こんな大事なものを?」
邦夫「冗談。ほら」
希「まぁ」

二人もそれぞれ小さな紙の袋を取り出した。

祈「ありがとう」
逢「何ですか、みんなして」

逢が戻って来た。

しゅう「おかえり」
逢「私がいない間に渡すなんてずるいです」

と、言いながらさりげなく似たような小さな紙の袋を取り出した。

祈「えっと……」

祈は小さな紙の袋に入っている金額を確かめた。

祈「こんなに、いいの?」
しゅう「祈は頑張り屋さんだからな。ご褒美」
逢「それで好きな物を買って」
祈「こんなに、受け取れない」
希「まぁ、そんなところまで似て……」
邦夫「まるで二人の逢を見ているみたいだ」
しゅう「よし、分かった。このお年玉は貯金しよう」
祈「うん」
しゅう「いつか祈がお嫁さんになる時まで」
祈「およめさん?」
しゅう「うん。大好きなむー……」
逢「!」

ドガッ!

しゅう「いてっ!」
逢「ごめんなさい。そこにハエが止まったような気がして」
しゅう「わざとだろ?」
逢「……」

そういえばそうだった。
祈の前では祈の大好きなむーくんの話はしない約束だったな。
にしても、肘鉄はひどいよ。
もう少しズレていたらみぞおち辺りだった……。

逢「じゃあ、お年玉はお母さんが預かるね」

逢が祈のお年玉を回収した。

しゅう「あれ?そういえば郁夫がいない」
逢「……いつの間に?」
邦夫「郁夫なら初詣に行くと言っていた」
希「コレらしいわ」

逢のお母さんが右手の小指を立てた。

逢「えええええっ?」
しゅう「あいつ、人見知りなのに、よく……」
逢「私がいない間にそんなことが……」
希「今回こそうまくいくといいんだけどね」
祈「ん?どういうこと?」

祈が右手の小指を立てて不思議がっている。

しゅう「えっと……」
しゅう(祈が知るにはまだ早いか)

僕は祈の前にしゃがみ、右手の小指を立てて、祈のに絡めた。

しゅう「ゆ~びきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。ゆびきった!」

指を離した。

祈「何のやくそく?」
しゅう「ん?えっと……3日後の1月4日にお母さんと祈と幸伎と旅行に行く約束」
祈「えっ?」
逢「はい??聞いてませんが」
しゅう「当然。今話したんだから」
祈「旅行??どこ??」
しゅう「稲羽市っていう田舎。そこにある老舗旅館“天城屋旅館”を予約した」
祈「しにせ?あまぎや?」
逢「予約した?いつですか?」
しゅう「去年の11月くらい。たまたま思い付いて予約したらたまたま空いてた」
逢「お仕事は?」
しゅう「当然休みさ。ていうか、本当は去年のうちに行きたかったけど、休み取れなくてな」
しゅう「幸伎のために逢も祈も頑張ってたから骨休めだよ」
逢「いいんですか?」
しゅう「うん。祈が生まれた時だって、3人で旅行したじゃないか。今度は幸伎も」
祈「わたしも旅行したの?」
しゅう「うん。高級旅館だったよ」
祈「本当に?」
しゅう「疑うのか?ほら」

携帯の画像を見せた。

祈「うわぁ、すごい……わたし、まだ赤ちゃんだったんだ」
しゅう「この前、警察でお話を聞いてくれた、華村刑事いるだろ?」
祈「あの人?」
しゅう「たまたま応募で旅行券が当たったんだって。それでお父さんにくれたんだ」
しゅう「祈のために頑張ったお父さんとお母さんにご褒美だって」
しゅう「今度はそういう理由じゃなくて、お父さんがお金を出すけど……ご褒美なのは変わらない」
祈「やったー!」
逢「ありがとうございます」
祈「あ、ねぇ」
しゅう「ん?」
祈「おじいちゃん、おばあちゃんと郁夫おじさん、美也おばさんは?」
しゅう「あ……しまった。考えてなかった。すみませんでした!」

僕は逢のご両親に謝った。

邦夫「おいおい、何で謝るんだ?」
希「そうよ。私たちのことはいいから。4人で楽しんで来て」
しゅう「ありがとうございます」
邦夫「こちらも仕事があるし、郁夫の世話だってしなきゃいけない」
希「誘われても多分予定合わないと思う」
祈「来れないの?」
邦夫「ごめんな」
祈「ううん」
しゅう「そういうわけだ。急で悪い。旅行の支度頼むよ」
逢「はいはい。まったく、いつも急ですね。クスッ」
邦夫「そうだ。旅行は一緒に行けないけど、これから初詣に行こうか」
祈「はつもうで?」
逢「そういえば行ったことないかも」
希「逢、祈ちゃん。こっちいらっしゃい。用意してあるから」
逢「用意?まさか?」
祈「はい」


それから、6人で輝日東神社の初詣に向かった。
支度に手間取りそうな女性陣を残して、逢のお父さんと幸伎と一緒に先に向かった。
人混みのせいか郁夫の姿は見つけられなかった。
あるいはもう別の場所に移動した可能性もある。
何せ、彼女が一緒のようだから。
しばらくして……

逢「お待たせしました」
祈「ど、どう、かな?」
しゅう「……」
邦夫「……」
逢「や、やっぱり私には……」

僕も、逢のお父さんも、二人の着物姿に魅了され、黙るしかなかった。
僕は黙って携帯電話を取り出した。

ピッ、カシャッ!

着物姿の逢と祈を写真に収めた。
なお、逢のお母さんは私服だった。

逢「えっ?な、何か言って下さい……」
しゅう「ふふっ、似合ってる!二人とも、すごく、いい!!」
邦夫「そう思うよ」
逢「え……」
祈「ん……」

二人とも照れてしまった。

しゅう(逢の着物姿、こんなにも美しかったのか!祈もすごく美しい!)
しゅう(待てよ?着物姿ってことは……履いてない?)
しゅう(ごくり)
しゅう(逢と祈の着物をめくれば……もしかして……もしかして!?)
逢「ほら、先輩、行きますよ」
しゅう「あ、逢……」
逢「はい」
しゅう「え、えっと……」
祈「早く!」
しゅう「あ、う、うん。いいんだ」
逢「?」
しゅう(さすがに、ここじゃ無理だな)

カランカラン。

みんなでお参りした。

祈「こっち、おみくじあるよ」

みんなでおみくじを引いた。

しゅう「うっそぉ、凶だなんて……」
しゅう(さっきあんな妄想したバチが当たったんだろうか。とほほ)
祈「やったー!中吉!」
しゅう「いいなぁ」
逢「……信じられません」
しゅう「逢はどうだった?」
逢「これ」

ナント……
大吉

しゅう「うへぇ!!すごいな」
邦夫「逢は頑張ったからご褒美だよ」
しゅう「……」
邦夫「あ、えっと、しゅ、しゅう君も……」
しゅう「……いいんです。これが結果です」
希「あら……」

逢のご両親はともに小吉だった……。

しゅう「な、何で僕だけ凶!?」
逢「日頃の行いですね」
しゅう「ひどい……」
逢「凶だけにきっと今日限りですよ」
しゅう「うまい……」
祈「ん!そうだ!もう100円ある?」
しゅう「あるけど?どうするんだ?」
祈「もう一回引く!」
しゅう「え?い、いいって。何回やっても変わるものじゃ……」

僕から100円を受け取って、祈はもう一回おみくじを引いた。

祈「出た。えっと……きょ、う?」
しゅう「あ……ガーン!ほら見ろ」
祈「凶だって。ざんねんだったね」

祈が幸伎に話しかけた。

逢「なるほど、幸伎の分だったんだ」
しゅう「そうか。そうだったのか。お前、仲間だな。よかった。あははは」

僕は幸伎の頭を優しく撫でた。

しゅう「いい子、いい子。男同士、仲良くしような」
逢「ちょ、先輩、どいて下さい」

逢に無理やり幸伎から引き離された。

しゅう「何をするんだよ?」
逢「何をじゃないです!悪運を幸伎に移さないで下さい!迷惑です」
しゅう「ひどいよ……」
希「こらこら」
希「じゃ、えっと、みんなでそこに並んで。記念撮影」

逢のお母さんはスタンド付きのカメラを用意していた。
スタンドを立てかけ、七咲家の集合写真を撮った。
残念ながら郁夫だけいないが……まあいいか。

その後、帰宅して家族全員でトランプやら花札やら百人一首やら正月らしい遊びをやった。
ついつい盛り上がって何時間もやっていると……

逢「祈。宿題は終わったの?」
祈「まだ」
逢「早く終わらせなさい。じゃないと旅行連れてかないよ?」
祈「ええっ?」
逢「旅行から帰ったらどうせ疲れてやらないでしょ。そしたら冬休みはあっという間に終わっちゃう」
祈「う、うん」
逢「まったく。誰かさんが急な予定を立てるからこんなことになるんです」
しゅう「は!?僕か?僕のせいか?そりゃ悪いことしたなぁ」
しゅう「どれ、祈。宿題手伝ってやる。元はお父さんのせいでもあるし」
祈「い、いいよ……」
しゅう「遠慮するなって」
逢「いいんですか?私だけ旅行に行きますよ?二人は罰としてお留守番です」
しゅう「ええっ?そんなのやだ!」
祈「がんばる!しゅくだい終わらせる!」

祈は逢の部屋に閉じこもった。
橘家から来る時に持って来たカバンに一応宿題の道具が入っていたんだ。

しゅう「頑張れ!頑張れ祈!一緒に旅行行くんだ!」
希「さてと。祈ちゃん頑張ってることだし、おいしいご飯作るわ」
逢「私手伝う」
希「いいわ。逢はしゅう君と一緒にいなさい」
逢「でも……」
希「いいから」

逢のお母さんは台所に向かった。
逢のお父さんも部屋に戻っていた。

しゅう「……」
逢「……」

二人っきりになった途端に話すことがなくなる。

逢「先輩」
しゅう「ん?」
逢「郁夫の部屋に行きましょうか」
しゅう「いいのか?」
逢「私の部屋は祈が使っているので、今ちょうどいない郁夫の部屋に行きましょう。郁夫いないから平気です」
しゅう「そ、そうか」

二人して郁夫の部屋に向かった。

しゅう「……」
逢「……」

そこでまた無口になる。
すると、逢が僕の肩に手を回し、僕をじっと見つめた。

しゅう「逢……ん」
逢「ん……」

初キスをした。

しゅう(逢……逢)
逢「んん……」

しゅう「んんん……」
逢「んんん……」

久しぶりに深いキスをした。

しゅう「はぁはぁ」
逢「はぁはぁ」
しゅう「やっぱり、逢の唇はいつだって気持ちいい」
逢「先輩も」
しゅう「ふっ」
逢「クスッ」
しゅう「逢、照れ屋さんだな」
逢「えっ?」
しゅう「本当はキスがしたくて人払いしたんだろ?」
逢「え……?」
しゅう「祈に宿題をやらせ、希さんにご飯を作ってもらい、邦夫さんはたまたま部屋に戻り……」
しゅう「さすがに居間じゃ人目につくからここを選んだ。そうだろう?」
逢「ち、違いますよ……それを言うなら先輩だって」
しゅう「僕だって?」
逢「私と祈の着物姿を見て、また良くない妄想をしていましたね?」
しゅう「し、してない!断じて」
逢「本当ですか?」
しゅう「うん」
逢「私気付いてました」

そう言って逢は僕のある部分を触った。

しゅう「逢?」
逢「ここ、盛り上がってましたよ。あの時」
しゅう「そ、そんな馬鹿な……」
逢「もう……何にそんなに興奮してたんですか?」
しゅう「う……」

逢は手を離した。

逢「嘘です。でもやっぱりエッチな妄想はしてたんじゃないですか」
しゅう「う……だ、だって、逢も祈も美しかったから。つい」
逢「……」
しゅう「ほ、褒めてるんだぞ?いけないのか?」
逢「ふふっ」
しゅう「……」
逢「旅行、ありがとうございます」
しゅう「いや、いいって」
逢「祈も一生懸命宿題を頑張っています。楽しい旅行にしたいですね」
しゅう「うん」


こうして三が日を輝日東で過ごした。
祈はどうにか頑張って三が日で宿題を終わらせた。
急な旅行の話だったので、輝日東から旅先に向かうことになった。
ま、ちょうどいいっちゃちょうどいい。
輝日東に戻って来たのも一種の旅行。
旅支度は万全だからだ。
いよいよ1月4日に、幸伎も含めた七咲家の旅行が始まる!



エピソード正月版「先輩、祈、幸伎、七咲家の旅行に行きましょう」へ続く

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